臭わないし、虫もわかない!生ゴミを即分解する超簡単ベランダ・コンポストの作り方
臭わないし、虫もわかない!
生ゴミを即分解する
超簡単ベランダ・コンポストの作り方
毎日キッチンから出る生ゴミ…野菜クズに玉子の殻、肉や魚の骨、廃油、はたまた残飯…。夏が旬の瓜科やナス科の果菜はヘタや皮などの食べられない部分が多くて廃棄率が高いし、
調理済みの食品でも高温で傷みやすく、ダメにしてしまいがち。
だから夏場は生ゴミの量がどうしても増えてしまいます。
その上、夏の生ゴミからはイヤな臭いが発生し、虫も湧きやすいですよね。
かといって、消臭剤や防虫剤は完璧ではないし、市販のものは化学物質も心配です。
こんな夏のよくあるお悩みを一気に解決してくれるのが、
コンポストと呼ばれる、家庭用の生ゴミ処理機です。
夏の大活躍する!
家庭用生ゴミ処理機「コンポスト」
はいいことだらけ!
実は、夏こそが「コンポスト」の出番。
コンポストとは、家庭の生ゴミや落ち葉などの有機物を、
微生物の働きで発酵・分解させて堆肥化する容器のこと。
なぜなら、コンポスト内部の微生物が高温で活発化し、
生ゴミを喜んで分解してくれるから。
20数年前の新婚当初から生ゴミを可燃ゴミ袋に入れて焼却処分することに抵抗を覚え、
数々のコンポストを調べ、試してきた“コンポストおたく”の私。
そんな私が、ここ4年、浮気することなく使い続けているコンポストが、
「キエーロ」という木製コンポストです。
キエーロを暮らしに取り入れると…
・簡単に快適に、生ゴミを始末できる
・ゴミ出しの回数が減り、家事や家計の負担がダウンする
・分解された生ゴミは良質な堆肥となり、
家庭菜園や観賞植物の鉢植えに使うこともできる
と、いいことづくめ。
そして何よりも、自分の後始末が自力でできる気持ちよさは、
一度知ったらやめられません。
キエーロってなんだ?
コンポスト「キエーロ」の名付け親は、神奈川県葉山町の松本ご夫妻。葉山町は、生ゴミを含めた資源ゴミの80%の再資源化を目指して、
行政と町民が協力しながら進めていますが、
そのきっかけは、1996年の広域ゴミ処理施設の建設の賛否を巡る町長選だったそうです。
松本さんご夫妻を含めた有志によるゴミ減量化へのアクションが広がりを見せる中、
十数年の試行錯誤を重ねて考案されたのが、木製コンポストのキエーロでした。
(現在、キエーロ、バクテリアdeキエーロは松本さんが登録商標を取得。
同じく、ベランダdeキエーロは実用新案登録商標となっています。)
※参考)「キエーロ葉山」ウェブサイト
使いやすさ抜群!! キエーロの大きな特徴とは?
・サイズは100×50×50cm程度、写真の通りの透明のフタ付き木箱です
・庭や畑など土に直接置く底なしタイプと、舗装された地面に置く底ありのベランダタイプがある
(庭付きの一戸建てに限らず、マンションなどのベランダに設置できます)
・この木箱の中に、土(黒土や培養土、腐葉土など、庭の土でも)や落ち葉を、
7〜8分目の高さまで入れて使用します
・この土に穴を掘って3〜4日分の生ゴミを埋めると、
夏なら5日間、冬なら2週間間で分解されて土に変わる
キエーロの特徴は他にも数々あるのですが、最も素晴らしい点は使いやすい、
ということ。
他のコンポストと異なり、キエーロでは日光と風を好む好気性バクテリアが
生ゴミを分解してくれます。
そのため、
・不快な虫や臭いが発生しにくい
・ゴミのおよそ90%が消滅するので、中身が増えない(むしろ少しずつ減る)
今まで主流だった、嫌気性の菌(EMボカシなど)やミミズによるコンポストは、
分解が緩慢な上に、湿っぽくて虫や臭いが沸くことも多く、
これがトラウマになって、コンポストを諦めたという話はよく聞きます。
また、一般家庭では、どんどん増えていく生ゴミ堆肥の使い道に悩むこともあったでしょう。
生ゴミは毎日出るもの。当然、使いやすいということは、続けやすいということに繋がります。
超シンプル!「キエーロ」の使い方
さて、次はキエーロの具体的な使い方についてです。我が家は5人家族。100×50×48cmの底なし、直置きタイプのキエーロを庭の東側に設置し、
中に竹チップ(※)と庭の土を半々に混ぜたものを充填して使っています。
※竹チップ … 竹林整備の際に伐採した竹を、粉砕機でチップ状にしたもの。
不要な竹の伐採は里山の景観保全に繋がり、できた竹チップは土壌改良に効果がある。
<使用法の5ステップ>
①キエーロ内の土をおおよそ6区画に分けましょう。この内の1区画に1回分の生ゴミを埋めてみる。
②スコップを使って土に穴を深く掘りましょう。
浅く埋めると、虫を呼ぶので要注意です。
③穴に生ゴミを投入して、土をかけましょう。
この時、土とよく馴染むように埋めると分解も早まります。
④目印をつけてフタをして終了。時間にしたら5分程度。
⑤キエーロに埋めた生ゴミは、夏なら5日、冬なら2週間あれば、おおかた土に還ります。
次に埋める時は、目印のない区画に。私は1〜6の順で埋めることにしています。
生ゴミはまとめて埋めるのが効率的!
生ゴミは毎日埋めるよりも、3〜4日まとめて埋める方が効率がよく、分解も早いと言われています。
フタ付きのステンレス容器(我が家では写真の4ℓのタッパーを使用)
につど溜めて満杯になるまで冷蔵庫で保管してください。
生ゴミの水気を切る必要はなく、傷んでしまったカレーや廃油なども、
そのまま投入できます。
肉の骨、貝殻、木の実(クルミや栗、落花生)の殻、果実(アボカドやマンゴー、桃、びわ)の種、
空豆のサヤなどは分解に時間がかかるため、入れない方が良いでしょう。
玉子の殻や大きな魚の頭、カボチャの種、散髪後の髪の毛などは時間が少しかかるものの、
は消えるので私なら入れてしまいます。
また、大量の草や木の枝、ペットのフン、小さなペット(金魚や昆虫)の亡骸などは、
私でも入れないようにしています。
また、微生物の活動が控えめになる冬場は野菜クズを粗く刻むなど、
ひと手間かけることで、分解を早めることもできます。
続けるうちに、キエーロの好きなもの、苦手なものが、自然とわかってきます。
これは入れてもいいのか、どうしたら早く分解してもらえるのか、
考えたり、工夫をする余地がある暮らしは楽しいものです。
DIYする? 購入する?
キエーロを手に入れるには
前述した通り、キエーロは発案者の松本さんが登録商標を取得されていますが、たくさんの人に使ってもらいたいという松本ご夫妻の思いのもと、
誰もがキエーロの名で、作成や販売ができるようになっています。
自治体によっては、助成金の対象コンポストになっていることもあるようです。
可燃ゴミの減量を目指し、キエーロの普及に積極的な市町村もあります。
雇用創出も兼ねて、地元の製作所や就労施設に、
製造・販売委託していることもあるので調べてられてみるとよいでしょう。
キエーロを手作りしてみよう!
設置場所の条件や家族の状況に合わせて、キエーロを手作りすることもできます。土の上に直接設置するか、舗装された場所に設置するかで、
底の有無を決め、サイズや材質を考えましょう。
材質としては一般的に木材が多いのですが、直置きタイプで底を付けないなら、
コンクリートブロックやレンガで枠だけ作り、フタになる物を取り付けてもよいでしょう。
小さめサイズの底ありキエーロに、四本脚を付けたり、丈夫なタイヤを付けて使っている方もいます。
お手軽に収納ボックスを使って、数ヶ月間試してみてもよいかもしれません。
手作りする際には、前面よりも背面を、10〜15cm高くすることが重要なポイント。
こうすることで、フタと横面の間に、三角形の空きができるので、風通しがよくなります。
そして、日光がよく当たり、雨が入らないように、透明なフタを付けることも、
微生物の働きをよくするためには必要です。
透明なフタと、フタと本体の隙間の2点さえを備えていれば、
それはもう立派なキエーロということに。
できるだけ、日のよく当たる場所に置いてあげましょう。
我が家のキエーロは、本体に国産の杉材を、フタにはポリカーボネイトを使用し、
友人たちと手作りしたものです。
思い入れがあるのはもちろんのこと、庭先に置いても違和感がなく、
素敵なコンポストだと自負しています。
家庭菜園や園芸などに。
キエーロの中身を使ってみよう!
生ゴミを分解し続けるキエーロの中身の土は、自然と素晴らしい堆肥になります。家庭菜園や鉢植えに使用する場合は、使用する分だけを袋などに取り出して、
完全に分解が終わるまで1ヶ月ほど待ちます。
分解に時間のかかる玉子の殻や果物の種子などが残っている場合は、軽くフルイにかけて。
鉢植えの場合、土の半量分をキエーロ堆肥にして、土とよく混ぜて使用します。
畑に使う場合は様子を見ながら。化成肥料のように効果が強過ぎるということもないので、
直に作物に触れても大丈夫です。
さらに我が家では大掃除も兼ねて、年に一度キエーロの中身を全部出し、
土嚢袋に詰めて、お世話になっている有機農園に差し上げています。
キエーロ堆肥を肥料として使わずに、そのままキエーロの中で、
生ゴミの分解に使い続けてももちろんOK。
中身は増えることなく、むしろ少しずつ減っていきます。
少なくなり過ぎると、虫や匂いの発生の原因となるので、
年に一度くらいは元の量まで、補充する必要があります。
ごみはまわる、暮らしはまわる
コンポスト生活を始めてかれこれ20数年。失敗もあったけれど、それでも続けてこられたのは、ゴミも自分の暮らしの一部であるから。
日々の生ゴミの始末を自らするということは、大きく捉えれば、
自分の生活を自らデザインするということに繋がるのではないでしょうか。
買い物を投票行動だと考えるのであるならば、購入した物の先行きにまで気を配るべき
ではないかと思います。ゴミ袋に入れて捨ててしまえば、ハイ終わり、では済まされない。
近年、葉山町や私の暮らす千葉県南部のように、都会からほど近い、
自然豊かな地に、広域ゴミ処理施設建設の計画が持ち上がっています。
広域ゴミ処理施設とは、都市で暮らす人々や企業の出す大量の可燃ゴミを、
お金をもらって燃やすための、地方には見合わない大規模な施設。
増収目的の安易な建築は、未来に取り返しのつかない「環境汚染」と
「増税」を押しつけることにならないかと心配です。
そこで、私たち一人ひとりがキッチンや庭先、そしてベランダからできることが、
身近に多々ある環境問題への、ささやかな改革になるのではないかと考えます。
キエーロに適した暑さは、もうしばらく続くでしょう。
キエーロが、あなたの循環する暮らしの一部を、お手伝いするになれば幸いです。
参考: 「キエーロ葉山」ウェブサイト
「ごみっぺらし通信(葉山町環境課)」
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