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明るみになる性犯罪は氷山の一角。性教育=恥ずかしいものと思っていませんか?子どもを被害者にも加害者にもさせないために大人が身に付けたい正しい知識とは。

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性犯罪が増加傾向にある現代。親しい人さえも信用できない悲しい時代。

表面化している発生件数は氷山の一角。実際の被害はその5倍近くにのぼる。


強制わいせつ事件やセクシュアルハラスメントなど、性犯罪に関する事件が近年急増しています。
テレビや新聞などのニュースでも、このようなニュースを見かけることが珍しくない時代になってしまいました。

被害者にも加害者にもなりなくないと、誰もが思っているはずです。

私自身にも、まだ幼い二人の娘がおりますので、これらのニュースは他人事ではありません。

しかし、残念ながらこのような事件は後を断ちません。


法務総合研究所研究部報告・性犯罪に関する総合研究によると、以下のことがわかっています。

強制わいせつの認知件数は,昭和45年から61年までなだらかな減少傾向にあったと
ころ,62年以降増加傾向にあり,特に平成11年から急増し,15年に最多の1万29件を記録した。

その後,21年まで減少し続けた後,22年から増加傾向にあったものの,26年は7,400件(前年比
254件(3.3%)減)
であった。また,同年の検挙件数は4,300件(前年比333件(8.4%)増),
検挙人員は2,602人(同115人(4.6%)増)であり,いずれも,昭和41年以降で最多
であった。


報告書のデータによると、年によって若干の増減があるなど、急増しているようには見えないかもしれません。
しかし、減少しているから良い、著しく増加していないから問題ではない、というような話ではありません。

それに、このような目に見える統計は、特に性犯罪に関して、氷山の一角とも言えるのです。

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犯罪被害の中には,警察等の公的機関に認知された犯罪件数のほかに,被害者が届出をしな
いことによって事案が顕在化しない部分(暗数)があると言われている。
「あなた又は誰かが捜査機関に被害を届け出ましたか。」との質問に対して,「はい」と回答したのは5人,
「いいえ」が20人,無回答が2人であった。


つまり、性犯罪による被害を受けた人の中で警察に届け出られるケースは全体の18.5%程度ということになります。
このことからも、データ上にある数字から算出した場合、その数がどれほど多いかご理解いただけるのではないでしょうか。

時代と共に犯罪形態も変化している

子どもへの防犯対策のひとつに、「イカのおすし」という標語があります。
これは、犯罪の被害者にならないために気をつけることの頭文字をとって、子どもの印象に残りやすいように作られているものです。

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「イカ」行かない・・・知らないひとについていかないこと。
「の」乗らない・・・知らないひとの車に乗らないこと。
「お」大声を出す・・・危険な目にあいそうになったときは大声で助けを読んだり防犯ブザーを鳴らすこと。
「す」すぐに逃げる・・・危険を感じたら大人や人がいる方へ逃げること。
「し」知らせる・・・不審者がいる場合、近くの大人や家の人、学校の先生に知らせること。


これは、おそらく多くの子供達が幼稚園・保育園や学校での防犯訓練で学んでいることです。
しかし、残念ながら近年では、これを教えるだけでは足りないようになってきました。

何故なら、近年の犯行は全く知らない人が加害者というケースよりも、知人・顔見知りの犯行であるケースが増えているからです。

強姦,強制わいせつの検挙件数について,被害者と被疑者の関係別構成比の推移(最近20年間)
を見ると,強姦,強制わいせつ共に,被害者が「面識あり」及び「親族」の割合が上昇傾向にある。


このようなケースが想定されるため、我が家でも子どもたちには
「例え知っている人でも無断でついて行ったり車に乗ったりすることは決してしないように」と話をしています。

もちろん、普段から子どもたちを見守ってくれている地域や保護者の方々の大部分は、心から子どもたちの安全を願ってくださっています。
このことを十分承知したうえで、現実に痛ましい事件が起きている以上、最悪のケースを想定した防犯対策を施す必要があるのが現実なのです。


被害者にも加害者にもならないために必要な正しい性教育

それでは、被害者にも加害者にもならないために、私たちにはどのようなことができるのでしょうか。
残念ながら決定的となる解決策はありません。

しかし、性について正しく学び、理解し、伝えていくことが、それぞれの身を守る重要な武器の一つとなると考えます。

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性教育=恥ずかしい話ではありません。自分を守り、命をつなぐために大切なことです。

「性教育」といえば、どのようなイメージがあるでしょうか。


・あまり大きな声では話せない
・親から具体的な話をするのはちょっと・・・
・保健体育の授業で学ぶから家庭では必要ない
・成長していく段階で自然と知っていくものだろう


いろいろなものがあると思いますが、現代の日本において多くの場合、
「できれば隠したい」「具体的かつ直接的な表現をすることなく教える」という傾向が強いように感じます。

実際につい先日も、東京都内のとある中学校の性教育中に「性交」という言葉が使用されたことについて、
教育委員会が不適切だと指摘したという出来事がありました。


しかし、性教育は、これほどまでに包み隠して行う教育ではありません。
動物も植物も、地球上に存在する全ての生き物が、種を守っていくことはごく当たり前のことです。
人間は自然界に存在する生き物とは異なりますが、人類にとってもやはり子孫を残していくということは最重要テーマです。

だからこそ、正しく学び、守り、そして伝えることが大切なのです。

性教育は幼少期から家庭で行うことができます。

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学校の保健体育の時間の数時間では、表面的なことしか伝わらず、本当に大切なことが伝わっていません。
また、性に対する子どもからの質問について、堂々と伝えられる大人が少ないようにも感じます。

では具体的に、私たち大人は子どもたちに何を伝えれば良いのでしょうか。

インターネットや雑誌、DVDの話は現実とは異なることを伝える

例えば、幼い子どもはよく、「あかちゃんはどうやってうまれるの?」「どうしてお父さんとお母さんの体はちがうの?」というような質問を投げかけてきます。

このとき、きちんと回答できるでしょうか。


仮に、まだ幼いからとはぐらかし、その後もまともに話をしないとしても、成長と共に子どもは具体的な正しい答えを求めます。
ところが、誰も教えることなく、また、聞くことができる雰囲気がなければ、思春期の子どもたちは自らインターネットや雑誌、テレビ番組などで知ろうとします。

インターネットや雑誌の中の話は現実とはかけ離れたものですが、それを正しいと思い込んでしまいます。
つまり、「同じことをすると相手が喜ぶ」「このようなことをしても良いのだ」と考えるようになるのです。

インターネットや雑誌、DVDなどのアダルト作品は作り物の世界です。

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体や性に興味を持つことは悪いことではありません。


もし、子どもが体や性についての質問をしてきたときは、決して叱ったりはぐらかしたりしないでください。
子どもが体に興味を持つことは悪いことではなく、ごく自然な流れなのです。

とは言っても、どのように話をすれば良いのかがわからないときは、性について取り上げた書籍を参考にしてください。
子どもと一緒に見ることができる絵本タイプのものから、大人向けの書籍まで様々なものがあります。

大人である私たちが改めて勉強し、正しい知識を子どもたちに伝えていきましょう。

子どもを授かるということは奇跡の繰り返しでとても尊いことであることを伝える

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卵子は、排卵してから6〜8時間以内に受精しなくてはなりません。
精子は、1度に2〜3億排出されますが、精子が卵子にたどり着くまで多くが脱落。

最終的にたどり着くことができるのは数個だと言われています。
そして、無事に卵子と精子が出会ったとしても、正しく受精が成立するとは限りません。

無事に受精が成立したとしても、受精卵が子宮に到着し、無事に着床しなくてはなりません。
さらに、着床するためには、子宮内膜が十分分厚くなっていることが必要であるなどの条件も必要になります。
妊娠成立後も、そこから約10ヶ月間、お母さんのお腹の中で無事に過ごさなくては、元気に誕生することができません。

このように、赤ちゃんがこの世に誕生するまでの間は、数々の奇跡が繰り返し起きている大変尊いことなのです。

ですので、このことを是非子どもたちに伝えてあげてください。


例えば、妊婦健診でもらえる胎児のエコー写真を子どもに見せながら話をするのも良いでしょう。
その子が生まれてくるときのストーリーや、お母さんの妊娠期間中のことを話してあげることも良いでしょう。

子ども自身のエピソードを交え、命がいかに尊いものであるか、一人一人の存在が大切なものであるかを伝えることで、自己を大切にし、他者を思いやる心が育まれるのです。

プライベートゾーンは大切な場所であり、むやみに見せたり触らせたりする場所では決してないこと。
また、逆に相手の同意なく侵してはならないことを伝える

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プライベートゾーンとは、水着で隠れる場所と口のことを指します。


このプライベートゾーンは、たとえ親であっても侵すことができない大切なところなのだと、幼い頃から伝えましょう。
とは言っても、幼い子どもは時にふざけることもあります。

そのような時も、厳しく叱るのではなく、優しくたしなめながら、根気よく話し続けます。

軽率な行為には大きなリスクが伴うことを伝える

性犯罪は、身体だけではなく、心も傷つくことです。
一度被害に遭うと、被害者は以降何年も、あるいは生涯に渡って辛い記憶が残り、忘れられることができません。
また、望まない妊娠の可能性、性感染症及び生命の危険の可能性など、数々の問題が生じます。

理性を保てずにとった軽率な行為が重大な罪となることを、私たち大人が責任を持って伝えなくてはなりません。


万が一被害に遭った場合はすぐに信頼できる大人に話すこと。

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被害者の多くは自分で抱え込み泣き寝入りしているのが現状だと聞きます。
しかし、72時間以内であれば妊娠を防ぐための緊急避妊薬が使えるなど、対応が早ければ防げることがあります。
また、被害者を支援する団体もあります。

普段から性についての話をできる環境を作り、万が一被害に遭ったとしてもその後の二次的被害が最小限に抑えられるようにしておくことが重要です。

自分と相手との性を尊重し大切にすること、信頼し合える関係を築くことが最大の武器になります。

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性犯罪の原因が教育不足によるものだけではありません。
加害者の生い立ちや、取り巻く環境的要因の影響も大いに考えられることです。

しかし、近年の性犯罪の傾向はあまりにモラルに欠けていて、必要なこと・大切なことが伝えられていない気がしてなりません。
性犯罪の被害者といえば女性や女の子がほどんどでしたが、最近の傾向としては男性・男の子が被害に遭うケースも増えていたり、被害者の年齢も若年化するなど、犯罪形態も多様化しています。

また、悲しいことに性犯罪の被害者にも問題があるのではないか、などという声が聞かれることも多々あります。

「襲われても仕方がないような格好(露出が多い・大人っぽいメイクをしているなど)をしていたのではないか」
「分かっていてついて行ったのではないか」
「襲われて抵抗しなかったということは同意があったと考えられる」


しかし、上記のような理由が被害に遭う要因となることは、実際には少ないのです。
むしろ加害者は、「抵抗しない」「黙っている」「騒がない」というように、外見的要因よりもおとなしそうなタイプを狙うと言われています。

性は尊いものであるからこそ、きちんと話をされなくてはなりません。

自分と相手との性を尊重し、大切にしあう関係づくりを行うこと。
困った時や辛い時は信頼できる大人が周囲にいること。
正しい情報や支援を受けることができること。


これらが家庭で正しく伝えられることが、被害者にも加害者にもならないための重要な武器となるのです。


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