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国際中医薬膳師が教える春になりやすい不調と養生法|今だけの春の食材「ふきのとう」と「菜の花」の効能とおいしい食べ方

春を運ぶ旬の食材「菜の花」

国際中医薬膳師が教える「冬に溜まった老廃物をデトックスする方法」|今しかない春の食材「ふきのとう」と「菜の花」の効能とおいしい食べ方


春は1年の中でも行事が盛りだくさんの季節。
受験や進級・進学、就職や転勤でお引越し、なんていう方もいらっしゃるかもしれません。

バタバタしているうちにあっという間にゴールデンウィーク
なんてこともよく聞きますね。

忙しさの中で、イライラしたり、憂鬱な気分になったり、
また、めまいなどの体の不調を感じた事、ありませんか?

春は「肝」の季節!


春と「肝」
春は、芽吹きの季節。
日照時間が長くなり、冬眠していた動物たちも目を覚まします。

東洋医学では、冬は「陰」が旺盛な季節ですが、
春にかけて「陽」の気が増え、活発に動き始めます。

人も自然界の一部ですから、春になって陽気が増えることで、
自然界と同様、人体にも陽気が増し、気血の巡りが活発になります。

ここで活躍しているのが五臓の中の「肝」です。

肝の働きとは・・・


・気血の巡りを管理して、精神を安定させたり、
感情のコントロールをする
・気血の巡りがスムーズに行われることにより、
臓腑の働きをスムーズに保つ。
・血を貯蔵する。肝血が不足すると、目や関節、爪に不調が現れる。


「肝」は気血の巡りをコントロールしているので、
気血の巡りが活発になる春の季節は、まさに「肝」の季節と言えます。

春のイライラ、不快症状は「肝」と深い関係がある陽気が盛んになる春。
気血が巡って新陳代謝が活発になると、気血の巡りを管理している「肝」へ負担がかかりやすくなります。

「肝」へ負担がかかり、「肝」に必要な栄養(血や水分)が不足してしまうと、
肝の陽気がコントロールを失い、体に不調をきたします。

春の不調の代表例、イライラやストレスなどは「肝」の働きが弱まり、感情をコントロールする作用がうまくいかないために、起こる症状と考えれます。

この他にも、下記のような症状が見られたら、「肝」の働きが弱っているせいかもしれません。

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・のぼせ
・イライラする
・自律神経の不調
・ストレスを感じやすい
・めまい
・目のかすみや充血
・爪が割れやすい


「肝」の働きを助けてあげることが大事


五臓は、それぞれがお互いに助け合い、影響しあっているのですが、
「肝」には、気血を巡らせて、ほかの臓腑の働きもスムーズになるように、管理する働きもあります。

「肝」の栄養分(血や水分)が不足し、陽気が活発になりすぎてコントロールを失うと、
他の臓器を攻撃したり、働きをスムーズに保てなかったり、他の臓器にも影響を及ぼします。

そうならないように、自分の身体に耳を傾けながら、
不調を感じる前に、身近な食材で肝を補ってあげましょう。

春にとりたい「肝」を補う食材


春の養生で大切なのは、冬の間に溜まった余分なものを取り除き、新しい気を養うこと。
そして、肝の陰陽バランスが崩れないよう、不足しがちな栄養(陰血)を補うこと。

春は芽吹きの季節、と言いましたが、春に芽を出す食材には、体の余分なものを取り除く、解毒作用のあるものがたくさんあります。
たらの芽、タケノコ、菜の花、ふき、ふきのとう、などがそうです。

また、菊花、三つ葉、わらび、セロリ、キャベツ、玉ねぎ、アサリ、
などの春が旬の食材には、気の巡りを助けたり、余分な熱を取り去って陰陽バランスを整えたり、
不足しがちな陰血を補う、などの、肝の働きを助ける効果があります。

この中でも、今回は、春のデトックスに、そして、「肝」の働きを助ける旬の食材、
「ふきのとう」と「菜の花」をご紹介したいと思います。

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春を運ぶ旬の食材「ふきのとう」

ふきのとうの栄養成分


ふきのとうは、雪解けとともに顔を出し、暖かい陽気でぐんぐん成長する、まさに初春を代表する植物です。
独特な苦みと香りが特徴ですが、この苦みにこそ、すばらしい効能があります。

有効成分を見てみると、ふきのとうには、苦み成分の中に、さまざまなポリフェノールが含まれています。

その中でも、ケンフェノールには、免疫力アップによる、風邪やインフルエンザの予防効果があるようです。
また、フキノール酸には、抗アレルギー作用があると言われており、花粉症などのアレルギー症状の軽減効果が期待されます。

また、カリウム、カルシウム、葉酸、食物繊維なども豊富に含まれますので、便秘やむくみの解消、などにも良いと思われます。

参考:「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」


ふきのとうの性味と効能


では、ふきのとうの、食性(温熱/平/寒涼)と、
食味(甘/鹹/酸/辛/苦)の分類、また、帰経(どの部位や臓器に作用するか)を見てみましょう。

【性味と帰経】

食性:寒性
食味:苦味
帰経:肺、大腸、肝

寒性は、体の熱を冷まし、苦味は気を下におろす作用がありますので、春の肝気の高まりを抑えるのにはぴったりですね。

また、解熱や解毒作用に加え、肺を補いますので、
春に引きやすい風邪や花粉症の予防、咳などの症状にも良い、とされています。

ふきのとうの美味しい食べ方


おススメの食べ方はこちら。

・ふきのとうの天ぷら
・おひたし
・ふき味噌


ふきのとうは、漢字で「蕗の薹」と書きますね。

盛りが過ぎたことを「薹が立つ」なんて言い方をしますが、
文字通り、薹が立つ前に収穫しないと、固くて食材に向きません。

土から目を出したばかりの蕾の状態のふきのとうは、やわらかく、香りも良いです。
収穫してすぐには苦みも少ないため、野原や庭で収穫する場合は、
収穫してすぐに、天ぷらやおひたしにしていただくのがおススメです。

そして、ふきのとう料理の代表例である、「ふき味噌」。
ごはんのお伴やおにぎりの具など、ごはんとの相性バツグンです。

ふきのとうの寒性が気になる方は、
焼いた山芋や玉ねぎなどに乗せて、田楽風にしても良いですね。

東北地方の私の住んでいるところでは、
ふきのとうを方言で「ばっけ」、ふき味噌を「ばっけ味噌」といいます。

「ばっけ味噌」は昔から愛されてきた、春をよぶ家庭の味です。

春を運ぶ旬の食材「菜の花」


菜の花の栄養成分菜の花は、見て良し、食して良し、
そしてアブラナ科、の名の通り、油の原料にもなる、万能植物ですね。

黄色い花が一面に咲く菜の花畑を見ると、春が来たんだなあ、本当に心が和むものです。
そして、食材としての菜の花は、多くの栄養素をバランスよく含んでいます。

食物繊維やカロテン、ビタミンB群、
ビタミンC、ビタミンK、鉄や葉酸、カリウムなどを多く含み、
免疫力アップや、感染症の予防、貧血の改善や美肌効果などが期待できます。

菜の花の性味と効能


菜の花の、東洋医学の視点からみた、
性味と帰経を見てみましょう。

【帰経と効能】

食性:温性
食味:辛味
帰経:肝、肺、脾

菜の花には、肝の働きを助け、血液の滞りを解消して、血液の循環を助ける効果があるとされています。

また、菜の花の解毒作用には、「消腫」と言って、おできや吹き出物を取り除く作用がある、とされています。

血行を改善して、冬の間に溜まった老廃物をデトックスするだけでなく、肌トラブルにも効果が期待できる食材です。

菜の花の美味しい食べ方

おススメの食べ方はこちら


・菜の花の天ぷら
・菜の花のからし和え
・菜の花とアサリのパスタ


菜の花は、蕾や茎もやわらかく、
ほんのり残る苦みが食欲をそそります。

そのまま天ぷらやお浸しにしても美味しいですし、
炒めたり、焼いたり、調理方法を選ばず、美味しくいただくことができます。

黄色い花が少し咲いた状態のものは、花が咲く前のものに比べて、苦みが少し強くなりますが、
なんと言っても見た目がキレイですので、食卓にも花が咲いたようで、より春を感じられそうですね。

特に私のおススメは、「肝」に帰経して、同じ春の食材である、「アサリ」と一緒に調理した、菜の花とアサリのパスタです。
アサリは寒性ですので、温性の菜の花と一緒に使うことで、体を冷やしすぎず、温めすぎず、陰陽バランスのとれたお料理になります。

旬の食材を食べよう!


旬の食材はなぜ美味しい?
そもそも、なぜ、旬の食材は美味しく、体に良いのでしょうか?


もちろん、今しか食べられない、という付加価値も大きいかと思いますが、
さらに、東洋医学的に見ると、人の身体そのものが、その季節仕様になっているのかと考えられます。

東洋医学では、「整体観」と、「身土不二」という考え方があります。

「整体観」とは・・・

自然と人の関係性。
人は自然界の中で生きているため、自然の一部であり、
人の身体は、気候や季節の変化によって影響を受ける。

「身土不二」とは・・・

「人(身体)と土とは一体であり、2つには分けられない(不二)」
住んでいる土地の一部であるため、その土地の食材を食べるのが良い

つまり、その土地でとれた旬の食材は、
その季節の身体が求めているものに合うため、美味しい、
ということですね。

例えば、夏は暑いため、体に熱がたまりやすく、
身体を潤す作用のある夏野菜は、その時期の身体の状況にあっていて、美味しく感じる、という感じでしょうか。

というわけで、美味しいだけじゃない、旬の食材。

春には春の食材、積極的に取りたいものですね。

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