患者数は300万人以上！？40歳以降の女性に多発する「へバーデン結節」をご存知ですか？

 

「へバーデン結節」という病気について、お聞きになったことはありますか？
現在、患者数は女性を中心に300万人以上とも言われ、悩まれている方が多い疾患です。

このへバーデン結節は第一関節（指の最も爪に近い関節）が腫れたり、
変形したりする「変形性関節症」の一つ。
痛みが出ることもあり、日常生活に支障をきたす場合もあります。


■画像引用元：『WOMAN SMART ビューティー』

今回の記事では、この「へバーデン結節」について、その診断や治療だけでなく、
予防についても重点的にご紹介します。

注）タイトルの下のモノクロ写真はイメージです。
「へバーデン結節」の症状を示すものではありません。

「へバーデン結節」になりやすいのはどんな人か？

「へバーデン結節」は40歳代以降の女性によく見られ、高齢ほど発生しやすくなります。
手を良く使う人（農作業や裁縫、パソコン作業など）にはなりやすい傾向があります。
遺伝については、分かっていません。
そして、患者数は300万人以上と言われています。

へバーデン結節の原因については諸説ある

原因は不明ですが、閉経によるエストロゲン（女性ホルモン）の減少が背景にあるという指摘があります。

エストロゲンは関節を包む滑膜（かつまく:軟骨の働きを助ける役割を持つ部位）の炎症を抑える働きがあり、
このエストロゲンが不足することで、滑膜が炎症を起こし、関節の動きが悪くなった結果、
「へバーデン結節」を発症するという説もあります。

へバーデン結節の症状とは？

主に二つの症状を呈します。（症状は個人差が大きく、日によって違うこともあります。）

症状①:指関節の腫れや痛み

人さし指、中指、薬指、小指の第一関節が赤く腫れ、曲がったりします。
ズキズキとした痛みを伴うことが多く、また、関節の動きが悪くなることもあります。

そして症状が強いと、日常生活に支障をきたすこともあります。
例えば、マグカップを持ったり、箸を使ったり、スマートフォンの使用などの場面で
不自由を感じることがあります。

症状②:水ぶくれ

■画像引用元：「ヘバーデン結節学会」ウェブサイト

第一関節の近くに、透き通ったこぶのような水ぶくれができることがあります。
これを医学的には「ミューカスシスト（粘液嚢腫）」と呼びます。

指先が使いずらくなると、パソコン作業などにも支障をきたす可能性があります。

へバーデン結節の検査や診断は
どのように行われるのか？

「へバーデン結節かな」と思ったら、整形外科（特に手外科専門医）を受診しましょう。
そこでは以下のような診察がされます。（あくまでも一例です）
参考にしてみて下さい。

問診

以下のような問診がされます。
・いつから痛むか
・具体帝にどこが痛むか
・どのような痛みか（例　ズキズキ）
・広がるような痛みはあるか
・関節の痛み以外の症状はあるか
・常に痛いのか、たまに痛いのか
・どうすると痛いか（例　曲げると痛む）

診察

診察では第一関節の腫れなどを視診したり、実際に指を曲げてみることで痛みの性状を確かめたりします。

X 線検査

軟骨がすり減り、関節の隙間が狭くなったり関節が破壊されたりしてないかを確認します。
また、骨の一部がとげ状になった骨棘（こっきょく）も重要なポイントとなります。

問診や診察では不明な軽い症状でもX線検査では確認できます。X線検査が確定診断には必要です。

血液検査

関節リウマチの可能性を否定するために、血液検査が行われることもあります。

へバーデン結節の治療法には
どのようなものがあるのか？

現在知られている、「へバーデン結節」の治療法は以下の通りです。
主治医とよく相談して、適切な治療法を選択するようにしてください。

治療法①:保存療法（手術をせずに回復を待つ療法）

テーピング

テーピングや装具を用いて関節を固定することで、痛みが軽減します。

ステロイド薬

第一関節内にステロイドを注射することで炎症を抑えます。

サプリメント

エストロゲン（女性ホルモン）に似た作用をするサプリメント（エクオールなど）が、
症状の軽減に有効であるという報告もあります。

治療法②：食事療法

キッコーマン総合病院整形外科部長の田中利和先生によれば、
大豆イソフラボンはエストロゲンに似た作用を持ち、へバーデン結節に有効とされています。
大豆イソフラボンはきな粉、豆腐、枝豆、豆乳、油揚げ、納豆などに含まれます。

治療法③:手術療法

保存療法後でも痛みや変形が強く、日常生活に支障をきたすときには、手術が行われることもあります。。
コブを切除したり、関節を固定する手術が行われます。

「関節固定術」を行うと痛みや関節の腫れや骨棘（骨の一部がとげ状になること）も軽減します。
固定した関節は曲げられなくなるので、指の動きは少し制限されますが、
日常生活に支障をきたすことは少ないようです。

日帰り手術で、一本の指につき手術時間は30分程度であることが多くなっています。

「へバーデン結節」はどうしたら予防できるのか？

既に述べた通り、手を良く使う人はへバーデン結節になりやすい傾向にあります。
指先に負担をかけ過ぎないようにしましょう。
例えば、はさみやペンチを使ったり、重い物を運ぶ際には注意が必要です。
また、こういった指先を使った作業を連続で長時間行わないようにしましょう。

日常生活では以下のことに注意しましょう。
・重い物を持つときは取っ手をつける（指ではなく、手のひらを使う）
・ビニールの包装などを切るときははさみを使う（手で引きちぎると、指の負担が大きいので）

へバーデン結節が遺伝するかどうかは分かっていませんが、ご家族にへバーデン結節の方がいる場合は、
体質が似ている可能性がありますので、特に注意してください。

まとめ

症状の苦しんでいる人は多いにも関わらず、その全容がまだ明らかにはなっていない「へバーデン結節」。

そこで40歳以降の女性で症状がない方は、まずは予防に力を入れましょう。
そして指をできるだけ酷使しすぎないように心がけてみて下さい。
症状が出た方は早めに整形外科（特に手外科専門医が良い）を受診することが重要です。
変形した骨は基本的に元の形には戻りません。進行を止めるためにも、早期発見・早期治療が大切です。

参考文献:
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_935.html
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/heberden_nodes.html

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