<初心者向け>鍼灸師が東洋医学の「ツボ」・「気」をわかりやすく解説。自分の体の扱い方を知ろう。
最近目にするツボ治療
冷え症には、内くるぶしの上のツボ「三陰交」。
肩こりには、肘のあるツボ「曲池」。
日常生活でちょっと気になる体の症状。
こうした症状に。セルフケアーとして、ツボへの刺激がクローズアップされています。
様々な雑誌でも、この症状にはこのツボ、という特集をよく見かけます。
NHKでも特番を組んでいます。
ところで、「ツボ」とは何でしょう?
経絡という事も時々聞くと思いますが、経絡とツボとの関係は何でしょうか。
東洋医学のソフトウェアー「経絡と経穴」
肩こりにはこのツボ。腰痛にはこのツボ。
そう言った知識も便利ですが、
もう少し踏み込んでみると、もっと面白いことがあるかもしれません。
少しだけ扉を開けて中に入ってみましょう。
その扉とは東洋医学です。
東洋医学は大きく分けて2つの柱があります。
1つが湯液(漢方薬による薬物療法)。
もう1つが鍼灸による治療です。
東洋医学というのは、明治時代の医療制度の改革において、
主流となる西洋医学に対して生まれた言葉です。
ですから、時代劇などで見る世界では東洋医学という言葉は無く、
医療といえば漢方薬や鍼灸だったのです。
もう少し、時間を遡ってみましょう。
紀元前200年頃、中国で書かれた書物があります。
「黄帝内経」という本です。
ここに書かれているのは、当時の人体に関する一種の生理学と鍼灸の基本的な運用方法です。
そしてここに経穴・経絡の事も書かれています。
中国2000年の歴史、東洋医学です。
驚くべき事には、それだけの時代を経ても、
鍼灸師にとってこの本には臨床的な価値があることです。
もちろん当時の医学知識は現代と比べれば、おかしい点も多々あります。
心臓や肺・腎臓なども名前としては出てきますが、その機能は現在医学とは大分違っています。
そもそも人体をどう見るかが違っているのです。
東洋医学では、人間はもともと病気にならないような力を持っている、と考えます。
病気になっても、それを治そうとする力が備わっている、と考えます。
自然治癒力です。
人間の体に中には気が満ちていて、それらが滞りなく全身を巡っていれば、健康である。
良くない気が身体に侵入したり、身体に中にある気が不足すると病気になる。
それが、東洋医学の人間観です。
気とは
では気とは何でしょう?
中国古代哲学では、気は宇宙(すべての物)を構成する要素と考えられてきました。
すべてのものを作り出すことができる基になった物です。
中国医学では、気は物というよりも、
人体各部を滞りなく動かすエネルギーのようなものとしてとらえています。
しかし、この考え方も時代や人により一定していません。
ただ、物理学では、物質はエネルギーである、という考え方があります。
光も波であるか粒子であるか、という問題に対して、
両方の属性を持つという結論が出ています。
気についても、物質でありエネルギーでもあると考えれば気が楽になります。
どこで、どういう状況で物質かエネルギーかという問題は、また別のお話です。
人体を気がうまく巡っている状態。
それが健康であるという事です。
そして、その気の通る道を経絡と呼びます。
経絡は正経十二経脈という12本と督脈・任脈という2本、合わせて14本が主なものです。
十二経脈は各々内臓と深い関係があります。
肺と関係がある「肺経」や、腎臓と関係がある「腎経」。
このような呼び方をしています。
これらの12本の経脈は手足の末端や顔面や胸の中で繋がりがあります。
ですから一筆書きのように人体を経絡が取り巻きそこを気が流れているわけです。
ツボというのは経穴のことです。
経絡上にあって、気が人体外部へと出入りするポイントです。
経絡が線路であれば、ツボは駅のようなものです。
そして、ツボというのは経絡の特異的なポイントになります。
内臓や経絡そのものに問題があると、ツボの部位に変調が出ます。
その時にツボを押すと、強い痛みが出る事もあります。
さらにツボは治療すべきポイントになります。
何らかの理由で、気の流れが悪くなったり、
外部から良くない気が入ってきた時には健康が害されます。
そこで、経絡を使って鍼や灸で気の流れを正常化させるのが鍼灸治療です。
ですから、鍼灸をうまく運用するためには経絡の知識が必須なのです。
たとえば、婦人科関係で不調があると、
内くるぶしの上にある「三陰交」に圧痛が出ます。
その時に、ここに鍼をすることで、気の流れを整えます。
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経絡は本当にあるのかな?
経絡や気の話を聞くと、馴染みのない人には「えっ。何?」という感じになるかもしれませんね。
経絡や気は眼で見る事が出来ません。
人体を解剖しても、どこにも経絡はないのですから。
MRIでもCTでも写りません。
ただ、ツボについてはここです。と示すことが出来ます。
皮膚所の少し硬い所・凹んだ所・湿った所など、いくつか属性を持っています。
鍼灸師は、そ知識と経験から場所を特定する事ができます。
しかしそれらは、ツボのある部位の特徴であって、
それがツボそのものではありません。そこにあるのは皮膚です。
経絡やツボ(経穴)は機能としての存在です。
目に見えなくても、実際にそこに存在はしているのです。
まれに「経絡敏感人間」と呼ばれる人がいます。
あるツボに鍼をすると、響くような感じや、痺れたり電気が流れるような感じが皮膚を走ります。
その走る道筋が経絡の走行に沿っているのです。
こうした人たちの出現も長い歴史の中で、経絡の発見と理論化に一役買いました。
そうした歴史を持ち出すまでもなく、
鍼灸師として治療をしている私も経絡の存在をあたる前のように感じています。
たとえば、逆子の治療というのがあります。
足の小指の先にお灸をすることで、高い確率で逆子が治ります。
寝違いの治療に手首や指先のツボを使う事で、動かなかった首が動き出します。
ぎっくり腰の治療に手の甲のツボを使います。家族に担がれてきた患者さんが、
自分で歩いて帰ります。こうした治療は、現代の解剖学や生理学では説明し難いものです。
経絡の理論でなら、当り前のことになります。
ですから、多くの鍼灸師や経絡を利用して治療をしている人にとっては、基本的な事項で、
あるとかないとかいう問題ではありません。
経絡の恩恵を受けている患者さんにとっても、症状の改善は現実に起こっている事です。
自分の身体と対話 : 身体からのメッセージを聞こう
腰が痛い時、膝の裏側の委中というツボを押すと痛いことがあります。
委中は膀胱経という頭部から背中下肢を通って足に行っている経絡です。
その走行上にある腰が痛い時、ここを押すと楽になります。
委中は膀胱経の中でも、腰痛で反応が出ることが多いツボです。
その反応というは身体からのメッセージでもあります。
背中や腰の気の流れが悪くなっている、何とかしてくれ!
という事です。
体に張り巡らされた経絡のネットワークを、日々気は静かに巡っています。
過労や寒さ暑さ、そう言った要因でも、気の流れは滞ります。
その時に反応が出るのがツボです。
何とかしてくれという身体からの声です。
ここを押してくれという指示でもあります。
ツボとうまく付き合っていく事で、日常の起こるいくつかの症状はコントロール出来るようにもなります。
その為には、お風呂に入った時や、ストレッチなどをやりながら、
日常的に自分の体に触れる習慣をつけておく事が大切です。
早速、今日から始めてみましょう。
ー参考文献―
東洋医学見聞録 西田皓一 医道の日本車
東洋医学・基礎編 山田光胤・代田浩司 学研
医学気功 王暁峰 たにぐち書店
温灸読本 宮川浩也 医道の日本社
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