一般的な「良い肉」=「安全な肉」とは限らない!安全な牛肉を見分ける方法と高い肉に隠された落とし穴。
みなさんにとって良い肉とはどんな肉ですか?
おいしい肉?
やわらかい肉?
高い肉?
木箱入りの肉?
霜降りの肉?
松坂牛などのブランド肉?
A5ランクの肉?
一般的に「良い肉」と呼ばれるものは上に挙げたようなものだと思います。
しかし残念ながら、その「良い肉」は必ずしも安全な肉であるとは限りません。
もちろん肉も食べるものですからおいしいに越したことはありませんが、
それと同様に体にとって安全であることも必要不可欠です。
おいしいものを食べて幸せな気持ちになったのに、それが健康を害する原因になってしまうのなら悲しいですよね。
せっかくなら安全でおいしい肉を食べたいところ。
そこで今回は肉の中でも日本人から特に人気のある牛肉について、
畜産の実態と安全な牛肉の選び方についてお伝えしていきます。
牛の飼育に使われている
抗生物質・ホルモン剤とは?
効率的な生産のため、肉牛の飼料に抗生物質やホルモン剤を混ぜているということはみなさんもご存じだと思います。
具体的にはどのような目的で使われているのでしょうか。
また、肉を通して体に取り込まれた場合の健康への影響は?
抗生物質
過密状態で不衛生な飼育環境では病気になりやすくなるため、その予防・治療の目的で使用されています。<健康への影響>
・抗生物質耐性菌の出現、増加による感染症(通常の感染症よりも重症化しやすく、治癒に時間がかかったり死亡することもある)ホルモン剤
エストロゲン、プロゲステロン、テストステロンなど。牛の成長を早め、少ないエサで済ませ、赤身の割合を増やす目的で用いられます。
<健康への影響>
これらの健康への影響は計り知れませんが、
中でもホルモン依存性のがんのリスクを高めるということが分かっています。
日本人であっても、欧米に移り住んだ女性のほうが乳がんになる確率が高いというデータがありますが、これも欧米の肉や、乳製品などが影響している可能性もないとは言い切れないでしょう。
・女子の思春期早発症(身長の伸びが早く止まり結果的に低身長になったり、のちの乳がん発症リスクが上昇)
・乳がん
・前立腺がん
トロッとしておいしいと大人気の霜降り牛。
実はこれも注意したい牛肉のひとつです。
日本ではやわらかくてこってり脂の乗った霜降り牛が大人気ですよね。
霜降り、という響きだけで高級感があり、ついつい惹かれてしまう人も多いでしょう。
しかしそんな霜降り牛も注意したい牛肉のひとつなのです。
脂身が多いのは不健康である印。
霜降り牛の白い脂身部分は「サシ」と呼ばれ、このサシが細かく入った肉は高値で取引されます。
脂肪を増やすためには脂肪細胞の増殖を抑えるビタミンAを摂らせないようにする必要があり、
牧草などを減らし穀物中心で育てるのです。
しかし、長期的なビタミンA欠乏により視力低下、失明を引き起こすこともあります。
他の栄養も偏り、様々な体調不良の原因に。
さらに、狭い牛舎に閉じ込められ動くこともままならないため、
運動不足によるストレス、健康状態の悪化も懸念されます。
本来牛が食べるものである草をほとんど食べず、
広い大地をのびのびと動き回ることもなく肉となり食卓にのぼる牛たち。
ここまで不自然に育てられた彼らはもはや加工食品に等しいと言えるのではないでしょうか。
有害物質の蓄積にも注意。
また、脂肪には有害物質が蓄積されやすいため、脂身の多い肉を食べることでそれらを体内に取り入れやすくなります。
人工的に作られた霜降り牛もある。
飼育の過程で無理やり脂肪をつける生産方法も充分不自然で不健康極まりないのですが、
なんと霜降り牛の中には赤身肉に脂肪を注射器で注入して作られたものまであるのです!
これはインジェクション肉と呼ばれます。
(英語ではこの手法のことを「artificial marbling」と言います。「beef injection」で検索すると違う意味のものもヒットしてしまうのでご注意を・・・)
インジェクションには動物性脂肪も植物油脂も使われるため、安価な植物油脂ではトランス脂肪酸の心配もあります。
日ごろ、揚げ物や、悪い油を避けていても、肉からトランス脂肪酸を摂取する可能性があるとは、恐ろしいものです。
まだ日本のスーパーや外食チェーンに並ぶ「死んだ油」 トランス脂肪酸の危険性について。
加工食品を避けていてもインジェクション肉により
トランス脂肪酸を摂取してしまう可能性があることも忘れないでおきたいですね。
牛肉の産地の確認方法
「国産と書かれていても安心ならない。」
帰国子女の牛たちがいるという落とし穴・・
肉の産地表示については以前執筆した「えっ、それ遺伝子組み換えだったの!?」買い物をする時に気を付けたい食品表示のカラクリとワナ。という記事でもご紹介していますが、
「産地=生まれ育った地域」でない場合もあれば
「産地=最終生育地」でない場合もあるのです!!
「国産」表示があってもずっと日本で育ったとは限らない。
国産の肉を買いたい、という人も多いでしょう。
マクロビオティックの身土不二という考え方からも、な
るべく近くで生産されたものを食べるのは望ましいことです。
しかし、肉に関しては「国産」と表示してあっても生まれてからずっと日本で育ったとは限りません。
肉の原産地は「育った期間が一番長い国」を表示することになっているため、
実際は海外で育っていても、「国産」と表示されてしまう場合があります。
外国で生まれ育って日本に渡ってきた、いわゆる帰国子女の牛さんたちもたくさんいるのです。
例)アメリカで10ヶ月、中国で8ヶ月、日本で12ヶ月育った場合
→「国産」と表示可能
この場合、国内よりも海外で育った期間の方が長いですが、一番長く育った国は日本であるため、「国産」と表示することが認められます。
個体識別番号をチェックすればどこで生まれ育ったかがわかる。
牛トレーサビリティー法により利用されるようになった「個体識別番号」。
「容器」「包装」「店舗の見やすい場所」に記載されている10ケタの番号がそれにあたります。(通常は食品表示ラベルに記載)
(独)家畜改良センターのウェブサイトで個体識別番号を入力すると、「その牛がいつからいつまでどこで育ったか」という情報を見ることができます。
海外で育った期間があるかどうかはもちろん、日本国内でもどこで育ったかがわかるのでとても便利なシステムです。
<個体識別番号をチェックすることによるメリット>
・どこの国で育ったかがわかるので、生まれてからずっと日本育ちの純国産の肉かどうか確認できる。
・日本の中でも放射能汚染が心配な地域がいくつかあるので、それらの地域で育った牛を避けることができる。
・自分の住む地域の近くで育った牛肉かどうか確認し、より「身土不二」を意識した買い物ができる。
※ただし、例外として牛タン、ひき肉、くず肉などは個体識別番号の表示義務がないので、できるだけ個体識別番号が表示されている肉を買うようにした方が良いでしょう。
高い肉だから安心、ではない。
知識をつけて、本当に良い肉を選ぼう。
もちろん加工食品やお菓子、チェーン店の食事など、安かろう悪かろうというものもあります。
しかし、特に肉に関してはそのような単純な話ではありません。
もはや「安かろう悪かろう」が絶対ではなくなってきている、ということも事実です。
食べ物に気を付けている方は
「安いものは何が入っているかわからない。高いものを買おう」と思うことがあると思います。
これはある視点からは正しい判断です。
実際に、高いものほどいいものである可能性も高い傾向はあります。
また、特に年配の方は「安かろう悪かろう」だった時代を生きてきたため、
高いものを買っておけば間違いないと考える方もいらっしゃるようです。
しかし、こと肉に関しては高いものほど気を付けた方が良い場合がとても多いです。
(もちろん、100g何十円といった安すぎる肉は避けた方が良いですが)
100g1000円も2000円もするような高級肉は一見食べてみたくなりますが、
その値段の中身は食味を良くするための人工的な処理や広告費、ブランド代であることが多く、それだけの値段に見合った質が伴っていない場合があるのです。
化粧品にたとえるとわかりやすい
高級ブランドの化粧品はとても高価ですが、品質表示を見てみると石油由来の原料や保存料がてんこ盛りで、とても安全なものとは言えませんよね。
中には原価が数十円のものもあると言われています。
野菜や果物は無農薬・減農薬のものを一般のスーパーで見つけるのは難しいのが現状。
あってもかなりお値段が張るものです。
しかし肉に関しては意外と自然食品店や比較的新しいスーパーで
放牧や抗生物質不使用のものを見つけることもできますし値段もそこまで高くありません。
今度スーパーに行ったら、単に「国産」表示やブランド名に惑わされるのではなく、
きちんとした視点を持って牛肉を選んでみてくださいね。
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