「使えるものは使う」。余った農作物を堆肥にし、農薬をやめた農家たち。 農薬大国日本の片隅で輝く有機農家の取り組みとは
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「使えるものは使う」。余った農作物を堆肥にし、農薬をやめた農家たち。 農薬大国日本の片隅で輝く有機農家の取り組みとは
農薬はやっぱり使われていないほうがいい! 有機栽培は大変な労力が必要なことを知っていますか?
私がよく行くスーパーの一角で、有機栽培の野菜が売られています。
他の売り場でもオーガニックと書かれた商品がチョコチョコと売られています。
身体のことを考えたらそういう野菜や商品のほうがいいとは思うけれど、ついいつい安いほうを選んでしまう私。
有機栽培やオーガニックって本当のところどうなの?
日本は農薬大国って本当?
日本の夏は蒸し暑いですね。蒸し暑いので害虫が多く発生し農薬を何度もまかないといけない。
そのため実は単位面積当たりの農薬使用量では韓国に次いで世界二位とされています。
世界二位と聞くと驚きますが、外国と比較して過剰ではないようです。
あまり農薬が必要ではない小麦やジャガイモなどを多く作っているアメリカは、国土も広いので割合が低くなるだけ。
作物ごとに農薬使用量を比較するとブドウはアメリカの3分の2、大豆はアメリカの2倍というようにそれぞれ違い、
どの国もその国の事情でそれなりに農薬を使っています。
(参考:農薬工業会www.jcpa.or.jp)
厚生労働省の「残留農薬等の基準値の比較」を見てみますと、農薬量が他国と比べて多いもの、同じもの、少ないものとがあることがわかります。
日本 | 国際基準 | |
(1)日本の基準値が国際基準より低い(厳しい)ケース アジンホスメチル(殺虫剤) | ||
ブルーベリー | 1ppm | 5ppm | アーモンド | なし | 0.005ppm |
(2)日本の基準値が国際基準と同じケース クロルピリホスメチル(殺虫剤) | ||
米 | 0.1ppm | 0.1ppm |
小麦 | 10ppm | 10ppm |
(3)日本の基準値が国際基準より高い(緩い)ケース イミダクロプリド(殺虫剤) | ||
ぶどう | 3ppm | 1ppm |
ブロッコリー | 5ppm | 0.5ppm |
マンゴー | 1ppm | 0.2ppm |
農薬のおかげでいろいろな野菜や果物を食べられるようになりました。
生産性を上げるために化学肥料を使いますが、
化学肥料を使うと害虫が増えて農薬の使用量が増えてしまいます。
私たちも、野菜に虫くいの跡があるとどうしても抵抗を感じてしまう。
少しくらいならまだしもボコボコあるとさすがに買いたくない。
そうならないように農薬をまかざるを得ないという現実もあります。
商品の食品表示を確認していますか?
スーパーで商品を選ぶとき、
パッケージやCMからのイメージで買うことが多くありませんか?
「何となくおいしそうなパッケージ」だからとか、
好きなタレントがCMに出ているからとか…。
気にするとしたら賞味期限や消費期限。
成分まで確認することはあまりないかもしれません。
確認しても何のことだかよくわからないし、
結局どれを見ても同じような成分が入っているし…。
それに確認しても表示されていないものもあります。
加工食品を作るときに直接使った添加物でなければ、
原材料で使われた添加物は表示されません
(例:せんべいを作るときのしょう油の保存料など)。
表示もメーカーの判断です。
実際、食品表示を見てもざっくりとした感じ。韓国のほうが厳しく表示されています。
原産地の表示も結構ややこしかったりします。
国産牛は日本で生産された牛ですが、
黒毛和牛は牛の一種なので、他国で生産されていることもあります。
海外の子牛を輸入して育てた場合、
肥育期間が長い地域が原産地になったり、
加工食品は最終加工地が原産地です。
ハチミツの場合、国産と表示されていれば100%国産のはずなのに
中国産が混ざっていることがあります。
あまりに安い値段の場合、中国産かも?
食品表示に無関心だと、添加物にも農薬にも無関心になってしまいます。
国が基準値を決めて時々検査しているから大丈夫と思っても、
大人と子供を同じ量で考えるわけにはいかないし、
一つ一つの食品は大丈夫でも食べたもの全部を合わせると、
残留農薬や添加物はかなりの量になるとも言われています。
輸入食品の現実
輸入された食品を空港ですべて検査するのは、さすがに無理です。ですが、実際に検査されているのは全体の10%。
しかも食品衛生監視員の抜き打ち検査は4%で、
残りの6%は業者らの検査などによるもの。
また、遺伝子組み換えやポストハーベストなど問題山積です。
牛肉にはこんな問題も…
牛は牧草を食べて育つのが普通ですが、
穀物を食べさせると早く育ち肥ります。
日本での牛の飼育は、穀物がエサでその穀物は輸入に頼っています。
肥ると病気になりがちで、抗生剤などの薬の投与が増えます。
鶏や豚も薬を使います。
肉を食べると抗生剤も体内に入ってしまうのです。
ただ国産牛はしっかり管理されているので、
どこで育ちエサは何かすべてわかるようになっています。
アメリカの場合は管理されていないし、
ホルモン剤を使って成長を促進させます。
ホルモン剤は日本では禁止。
抗生剤も頻繁に使われます。
さらに穀物を飼料にして短期間で成長させ、
欲しい部分だけ輸入できるアメリカ牛はとても安いのです。
国産の野菜、肉のほうが安心ですし、
さらに有機栽培の農作物のほうが安心です。
有機JAS認定を受けていないと有機と表示できないのですが、
この有機JAS認定、かなり厳しい。
細かく決められた農薬や肥料、資材のみの使用なので、
何かあったとき使いたい農薬を使えないと困るからと、
あえて認定をもらわない人もいるぐらいです。
さらに有機野菜を作ったところで、どんどん売れるわけではない現実。
それでも有機栽培農家はみんなの健康のために、半端ない努力をしています。
有機栽培農家の取り組み
出荷用と農家の人たちが食べる用の農作物では作る畑が違うとか?出荷用には農薬を使うけれど、自分たちが食べる農作物には農薬を使わない。
それは農家にとっては生活のためにやむを得ない選択で、
ただ安いものを買いたがる私には責めることはできません。
ところが有機栽培農家は自分たちを含めみんなに
安全・安心なものを食べてほしいと、
あえて手間のかかる栽培方法で作っています。
そんな有機栽培農家をご紹介します。
使えるゴミは使って、農薬は使わない
熊本ののはら農研塾。代表の野原健史さんは二人のお嬢さんと仲間たちのために安全で安心な農業をスタートさせました。
人に優しいのはもちろん、環境にも優しいをコンセプトに「誰かが捨てた」物を慎重に調べて再利用。
米や大豆の搾りかすなどはたい肥に使うそうです。
若いメンバーたちとおいしい野菜と果物を作っています。
のはら農研塾:www.nohora-nouken.jp
とことん土にこだわって無農薬
能登の西出隆一さん、東大農学部卒で研究文献を読みあさり、良い土作りを研究。農薬を使わずに1本の樹から25㎏のトマトを収穫。その糖度は7~8という驚きの数字。
土にこだわり、毎日丁寧に農作物を観察して栽培することを大切にしてこられました。
参考:『知らずに食べている体を壊す食品』手島 奈緒 アスコム
言葉で説明するのは簡単ですが、天候が悪くてもかんかん照りの暑い日でも、
毎日コツコツと地道に続けられていることに頭が下がります。
私は重度の障害を持った娘を育てました。
話すことのできない娘の顔色、表情を見て体調の良し悪しを判断し、
食べられる時は1さじ1さじスプーンを口に運んで食べさせました。
わが子だからやるのは当然と思っていましたが、
みんなの健康のために有機栽培を続ける農家の皆さんに感服です!
海外の有機栽培の現状
先進国(G7)のうち、欧州連合(EU)加盟国の有機農業の面積シェアは高いです。イタリアが9.0%、ドイツが5.1%、イギリス4.2%、フランス1.9%です。
ただイタリアは9%で近年高止まりですが、フランスは2007年と2011年を比べるとほぼ倍の3.6%でです。
アジアの主要国で1%を超えるのは「親環境農業」の推進に力を入れている韓国だけ(1.0%)。ちなみに日本は0.2%。
(参考:農林水産省 有機農業の推進に関する現状と課題(H25.8))
牛の飼育では、オーストラリアやニュージーランドでは牧草を中心。
ヨーロッパでもホルモン剤の使用を禁止しています。
安全・安心なものを届けたいと頑張っている有機栽培農家。支えたいですね
農業の仕事はご存じのとおりの重労働。
週休二日が当たり前の私たちが同じように働けば腰が痛いだの膝が痛いだの。
夏は熱中症、冬はしもやけで大変な毎日になること間違いありません。
さらに有機栽培となるとなおのこと。
除草剤や防虫剤、化学肥料を使えば少しはラクができますが、
ただひたすら農作物を丁寧に作ります。
少しくらい高くたって、少しくらい見た目が悪くたって、
と有機農業のシェアが高いヨーロッパでは
当たり前のように有機栽培の野菜や果物を買います。
日本でも同じように、何があろうと有機栽培の野菜を買い続けた消費者がいたから、
少しずつでも有機栽培農家が増えたことは事実です。
脳科学者の林成之先生によると、脳は本能的に社会貢献を求めているそうです。
有機農業を育てるために、高い野菜や果物を買うということも社会貢献ですね。
私の場合、安いものを買って浮いたお金で何を買うかと言えば、スイーツだったり食べ過ぎたり。
それなら有機農業のためにお金を使うほうが社会貢献になるし、安心だしダイエットにもなる。
私たちにとって何が良くて、何が害なのか?
情報に振り回されないように1つ1つ確認しながら、賢い消費者になりたいと思います。
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