地産地消を掲げるアメリカのオーガニックスーパに学ぶ、日本のスーパーに致命的に足りないものとは。
私は海外旅行が趣味なのですが、
なかでも海外のオーガニックスーパーマーケットを見てまわるのがとても大好きです。
特にオーガニック先進国である欧州やアメリカのオーガニックや地産地消を掲げたスーパーマーケットを眺めるのは、
実際に購入して食べても美味しいし、見てまわるだけでも胸がときめくようなアイディアが満載で、オーガニックスーパーがまだ身近ではない、日本人である私たちにとって夢のような場所ではないでしょうか。
世界トップレベルを誇るオーガニック先進国ドイツと、オーガニックを探すのも困難なオーガニック後進国日本。私が衝撃を受けた決定的な5つの違い。
上記の記事でも、日本のオーガニックへの理解の遅れが目立っていましたが、
本当に海外に行くほどオーガニック商品の希少性を、痛感します。
残念ながら日本には胸がときめくオーガニックスーパーは皆無。
でも・・・日本へ帰ってくると、そのような胸をときめかせてくれるオーガニックなスーパーマーケットはほとんどありません。
どのスーパーマーケットへ足を運んでも、品揃えは皆同じ。
しかも、食に対する安心・安全志向が高い人にとっては、物足りないのでは?という印象があります。
「有機」と書かれた商品は血眼になって探さないと見つからない。
貴重な自然食材店に行っても、あまりにも規模が小さすぎてあっという間に買い物が終わってしまいます。
今日は私が今まで足を運んだことのあるスーパーマーケットで、一番印象に残ったアメリカのオレゴン州ポートランドに数店舗構えているニューシーズンズ・マーケットの事例について紹介します。
そして、ニューシーズンズ・マーケットに学ぶ、日本のスーパーに足りないものを考察していきます。
ニューシーズンズ・マーケットについてご存知ですか??
まずニューシーズンズ・マーケットとはどのようなスーパーマーケットなのでしょうか。
アメリカ合衆国オレゴン州の最大都市であり、経済の中心であるポートランドに店を構えるこのスーパーマーケットは、
その地域に生きる人に寄り添った品揃えで、来る人を魅了し続けています。
地産地消がテーマになっている
経営方針について
CEOであるブライアン氏によれば、「地産地消」をテーマにスーパーマーケットを展開しているとのことです。
地域の商品、地域の人たちによって成り立ったスーパーマーケットは、地域住民の健康を第一に考えたマーケティングを行なっています。
そして彼の考え方は、経営者陣だけでなく全従業員にも浸透しているので、実際にお店へ足を運べば、消費者と販売者の信頼関係をかいま見ることができます。
なんと8割が「地元の食材」
特徴的な店内
店内も特徴的です。青果売場は、一見すると至って普通の売場のように見えますが、実はその製品の7〜8割が「地元商品」だと言われています。そのため季節ごとに商品の比率は変わります。
日本のスーパーマーケットで販売される「ツルツル」と不自然に形の整った野菜は、その季節が旬ではない野菜も並んでいる姿を見ますよね。
本来であればニューシーズンズ・マーケットの売場のように、季節ごとに商品比率が変わるのが普通だと思うのですが・・・。
「地産地消」を掲げていますから、生産者の顔が表示されることは特別なことではなく、”当たり前”です。
至るところに「生産者の顔」パネルが展示されています。
従業員にも経営方針は徹底されていますから、
実際に旅行先で「これはどういう商品ですか?」「ポートランドらしい食べ物を買いたいのですが」等々質問をぶつけると、
こちらが望む回答以上に答えてくれました笑。
健康相談にまで乗ってくれる人が常駐するケースも・・
食品以外にも徹底されたオーガニック商品のラインナップ
もちろん特徴的なのは食品だけではありません。
スーパーマーケットですから食料品以外も取扱があります。
販売されている日用品や化粧品、その他もろもろ全て健康志向、安心・安全志向の人によりそった商品展開となっています。
例えば無香料・無着色の無添加商品は品揃えが沢山あります。
「化学物質過敏症」を抱える人にとっては、無香料・無着色の品揃えが多いことは救いになるのでは。不自然なフローラルの香りをうたうマスプロダクトが並ぶ日本の商品棚
一方で、日本のスーパーマーケットに並ぶ台所用洗剤や柔軟剤は、香りのバラエティに富み過ぎていると思います。
無添加無香料、石油由来の薬剤不使用のものを探しても店内にはゼロ。なんてことも。
しかも、ほとんどは超大手企業が販売する「マスプロダクト(大量生産型商品)」となっています。
それらに対して安全性を期待すること自体が無駄な気がしてしまいます。
過敏症で悩んでいる人の「商品を選ぶ」という楽しみを奪っている気もするのですが、皆さんはどう思われますか?
ちなみにアメリカらしいコーナーといえば、ビタミン剤やサプリメントのコーナーです。
しかしこのエリアに関しても、健康志向の方に寄り添った商品展開なうえ、そのコーナーを専門に預かっている人に質問すれば、健康相談にものってくれるので非常に助かります。
参考文献
1,New Seasons Market
2,オーガニック志向なポートランダーのためのスーパーマーケット「New Seasons」
日本のスーパーマーケットに足りないもの
「消費者の健康よりも自分たちの利益を優先する主義」
では日本のスーパーマーケットには、一体何が足りないのでしょうか?
色々とリサーチをしたところ、やはり考え方の根底や方針から、ニューシーズンズ・マーケットや先進国のオーガニックスーパーとは、違うのだな、ということを知りました。私個人の私見となりますが、
恐らく日本のスーパーマーケットは、消費者や生産者に対する思いではなく、「自己利益」つまり自分たちさえ儲かればいいという商売としての思いが強く表れてしまっているのでは?と考えています。
小売店だけでなく、消費者への健康への影響や子供への影響を考えているとは言えないプロダクトばかりを生産し続ける大手企業もその類なのでしょう。
日本のスーパーマーケットの現状
平成27年〜28年のスーパー業界の規模は17兆2,020億円となっています(主要対象企業47社の売上高の合計)。
食生活や日常生活というなくてはならない存在を司るのが、スーパーマーケットですから市場規模は非常に大きいのです。
平成24年末の政権交代により、スーパー業界全体の売り上げが減少気味だったものは
少しずつ回復し、平成25年の増税前の駆け込み需要などもあいまって、業界の推移は安定してきているとも言えます。
食料品を中心とした生鮮スーパーは、業界の拡大に寄与しているとも言われています。
近年ではPB(プライベート・ブランド)商品が注目されています。卸売業者を通さずに販売できる自社ブランドは、企業にとって高い利益を得ることができるうえ、消費者にとっても安価で良いものを提供でき、一見すると非常にWIN-WINな存在となっています。
参考文献:「業界動向.SEARCH.COM」
ちょっと待って!安くて良いもの=安心・安全?
しかしここで私が疑問を抱いたのは、ここまでの話が基本的には「生産者側の利益」を重視した話であること、
また安くて良いものは”食”に本来求められるべき「健康」や「安心・安全」といった観点での話がなさすぎるのでは?と考えています。
ニューシーズンズ・マーケットを含む欧米のオーガニックスーパーの考えは、
地産地消での地元産業の活性化と、消費者の健康が念頭に置かれているはずです。
そしてその考えが、生産者やメーカー、流通や小売に関わる人、そして消費者にも統一して伝わっているからこそ成り立っています。
一方日本のスーパーマーケット(オーガニックスーパーを除く)では、
オーガニック商品を”品揃えの一部”としか考えていないのではないでしょうか。
悪くいうなら客寄せパンダのようなイメージです。
根本的に「浅はか」だと言わざるを得ない経営方針が目立ちます。
だからこそ、一般的なスーパーに並ぶオーガニック商品を見ると
「他の商品よりも値段が高い」「品揃えが少ない」といったマイナスイメージばかりが浮かんでしまうのではないでしょうか。
全面的にオーガニックに取り組むなら、どうすべきか
海外と日本を比べては、国の規模も、生産規模も、多様性も異なりますから、全く一緒のことをいきなりできるとは思えません。
ですが、もっと生産者側も販売者側も統一された理念をもって取り組まないと、ただただオーガニックは知識のない消費者から見て「値段が高くて、とっつきにくいもの」という印象になってしまう一方だと考えます。
以前立ち寄った、日本の一般のスーパーマーケットには、オーガニックコーナーは青果売場の横にとても小さく設置されているだけででした。
品数も情報量も、圧倒的に有機野菜”以外”のものに比べて非常に少ないです。
そのうえ、店員さんも販売する仕事が目的となっていますから、質問をしても全く適切な回答が得られそうになく、
商品についての理解はあまり深くないという印象をもたれてしまうのが現状です。
オーガニック商品を置いているだけのスーパーマーケットは、オーガニックを消費者に知ってもらうためには不十分なのです。
参考文献:オーガニックとは? 2017年オーガニックについて考えてみた
日本の小売店への提言
日本のスーパーが頑張らなければならない課題
私が考える、日本のスーパーマーケットがもっと頑張らなければならない課題は以下の通りです。
- オーガニック商品を置く理由を考える
- 消費者だけでなく従業員にも理念を伝える
- ターゲット層である消費者の意思を汲む
これらの課題を乗り越えることが、日本のスーパーマーケットに足りない部分を補うためには必要だと考えます。
特に全従業員に理念を伝えるという点は、日本には必要な点です。
小売店に限らないのでしょうが、
経営者は経営者、社員は社員、アルバイトはアルバイトで、そこに勤める目的がバラバラすぎるような気がします。
アルバイトとはいえ、経営者によるスーパーマーケットの理念を全く捉えていなければ、いざ消費者から問い合わせを受けた時も、対応しきれないことが多々あるでしょう。
ましてオーガニック食品を取り扱うのであれば、理念まで徹底されていなければ、消費者の気持ち、意思を汲むことはできないと思います。
日本に致命的に足りないオーガニックへの想い
ニューシーズンズ・マーケットと比べて、日本のスーパーマーケットに足りないものは「オーガニックへの想い」だと思います。
これにはそもそも日本のオーガニックの歴史が浅すぎるといった背景や、
消費者の本物を追求する思考に全く業界が追いついていないこと、消費者の意識が低いこと、
オーガニックを支援する動きが鈍いこと、新規農業者が増えていないことなど根深い原因が山積み。
想いだけでなく知識や消費者に伝えるための情報量も圧倒的に足りていません。
情報に振り回され「憧れ」とか「ブーム」などの薄っぺらい理由でオーガニックを始めてしまい、続かない人たちが多すぎるのかもしれません。
だからこそ去年まではオーガニック食材に関心を持っていたが「高い」「飽きた」などの理由で辞めてしまい翌年には添加物入りのおやつやジャンクフードばかり食べている、、という信じられない光景も見かけます。
しかし2020年には東京五輪が開催され、恐らく世界中から様々な人達が日本へ足を運ぶでしょう。
そんな時に、世界各国の人に
「安心して食べられるものがないよね。日本って。」
「日本のスーパーのレベルって本当に低いよね」と言われてしまうのは、やっぱり悔しいと思いませんか?
選手村では日本では役不足なので、輸入したオーガニック食材を使うのではないかと言われています。
日本が誇る日本の農産物。
消費者や小売店が変わり、これらがもっとオーガニックになれば流れは変わります。
生産者→流通・小売→消費者の流れが、
「健康」や「安心・安全」というテーマでつながるようなスーパーマーケットが、もっとたくさん誕生することを期待しています。
IN YOUMarketでオーガニックな暮らしを。
こちらは、虫除けはもちろん抗菌剤や、ニキビ対策ケアにも使える優れもの。
安眠やリラックス効果もあるので、使い方は何通りもありますよ。
ぜひ使ってみて。
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