政府主導で進められる農協改革。その裏側にはTPP11との深い関係があった!JAが解体されると私たちの食卓は一体どうなる?
こんにちは。今日は天気が良かったので、畑にかぼちゃの苗を植えました。
今年の梅雨は、雨も少なく空梅雨のまま終わりそうです。
ほうれん草は、晴天続きでとう立ちしてしまいました。
とう立ちしにくい品種を選べばいいのですが、あまり品種改良したものは使いたくないと思っています。
アトピーを経験した私は、長年、現在の農薬や化学肥料に依存した農業に対しては複雑な思いを抱いてきました。
慣行栽培の農業法人に勤めていた時は、自分の健康は勿論、他人の健康も脅かしていないかという不安もありました。
「農業で生計を立てる為に消費者の健康を脅かしているのでは?」と悩みつつ働いていました。
私が特に複雑な思いを抱いていたのは「農協」という組織に対してでした。
農協はこれまで、ドイツのバイエル社など様々な企業と農薬の共同開発を行っています。農家に資材や農薬を売って、利益を上げるような経営体質・・そんなイメージがあります。
身近な農家さんの中には、そんな農協を嫌って、独自で販路を開拓している方もいました。
それでも、野菜の流通や販路開拓も担ってきた農協は、農家には勿論、一般の消費者にとっても、とても身近な組織でした。
種や肥料、資材から農機具の購入から整備、共済、金融など、私たちの生活基盤に関わる重要な産業を一手に担っています。
また農協は、つい先日、国会で承認されたTPP11の反対に対しても大きな影響力を持っていました。
農薬などをはじめとし、食の安全に対する姿勢など疑問を抱く点もありますが、それでも私たちの生活に欠かせない役割を担っていたのも事実です。
農協改革をご存知ですか??
自民党が、そんな農協の組織改革に乗り出したのが2014年。
これにより、農協は組織の変革を迫られ、内部で対立を引き起こす事態にまで追い込まれました。
何故、彼らは自分達の強力な支持母体であるはずの農協という組織に変革を求めたのでしょうか?
今回は、この農協改革の内容とTPP11や日米二国間交渉への影響について、お伝えしていきます。
農協改革の具体的な中身は?
まず2014年以降から進められて来た農協改革の具体的な内容をご説明します。農協は、1947年に施行された農協法という法律の元に運営されてきました。
その農協法が、2015年に改正されたこと、皆さんはご存知でしたか?
この農協法改正により、農協はその体質を大きく変えることを余儀なくされました。
以下が、その農協法改正のポイントです。
- 非営利組織→営利追求型組織へ。
- 経営陣に農業のプロを据え、地域の農業の実状に合わせた体制を作ることの義務化。
- 信用・共済事業を除き、地域農協や連合会の株式会社化を可能とする。
- JA全農による監査義務付け→公認会計士監査の義務付け。JA全中・監査部門の分離。(※ 都道府県中央会は業務監査や、貯金量200億円未満の地域農協のみ監査可能。)
- 地域農協の自主的な経営を促す目的で、指導・監査権限があった中央会(JA全中、都道府県中央会)の規定を削除し、2019年以降に中央会の一般社団法人化を可能にした。
引用 :JA解体1000万人組合員の命運 飯田康道著
2015年の法改正で撤廃が見送られた準組合員制度。今後はどうなる?
また2015年の法改正では、非農家組合員である準組合員制度の撤廃が検討されましたが、先送りとなりました。
実はJA共済やJAバンクを組合員以外が利用できるのは、各JAで正組合員利用高の2割までと決められています。
利用高の制限に縛られずに、JA共済、JAバンクを利用する為には、準組合員となることが必要なのです。
準組合員制度が撤廃されれば、非農家の方たちは、JA共済やJAバンクが利用できなくなる可能性があります。
3年前の法改正では、こうした事態は免れましたが、今後も準組合員制度撤廃が議論される可能性はあります。
その目的については、以下で改めてお伝えします。
TPP11やアメリカとの二国間交渉との関係は?
スポーツ観戦の真っ只中で成立したTPP
2015年の農協法改正を機に、JAグループは自主改革にも乗り出し、様々な取組も行っています。
政府主導で進められた農協改革には、経営の健全化など、良い面もある一方で、懸念材料もあります。
実は、この農協改革は、TPP11やアメリカとの二国間交渉と大きく関わる問題でもあるのです。
6月13日に、TPP11が国会で承認。つい先日スポーツ観戦で世間が盛り上がっている真っ只中、成立されたことは既に皆さん、ご存知ですよね。
これに加えて日本とアメリカとの二国間交渉も現在、交渉が進んでいます。
多国籍企業の利益拡大を測るために、農協の株式会社化を推進。
それによって起こること:遺伝子組み換えや成長ホルモンを使った肉類が流通するリスクが高まる
政府が農協改革によりJA全農・全中の権限を弱め、地域農協の株式会社化を推し進めるのは、「多国籍企業の利益拡大を図る」という裏の目的も存在していたのです。
今後、更に農協改革が進めば、TPP11や日米二国間交渉に組織的に反対してきたJAグループは弱体化し、
私たちの食の安全や生活の基盤は、今以上に脅かされる恐れがあります。
それにより、以下のような事態が起こり得ます。
- 成長ホルモンを使用した肉類の流通
- 食品添加物の規制緩和
- 遺伝子組み換え食品の増加
- 多国籍企業による信用、共済事業への参入
遺伝子組み換え小麦も輸入開始の恐れ!?
また鈴木宜弘著「悪夢の食卓 TPP批准・農協解体がもたらす未来」では、以下のような指摘がなされています。
GM小麦を日本に輸入したいアメリカが全農傘下にある全農グレイン社を、日本の市場参入への障壁と考えている。
全農グレイン社は、メキシコにある世界最大級の穀物貯蔵施設で、非GM穀物を管理・輸送している株式会社で、
協同組合で親組織でもある全農相手では、アメリカの企業がグレイン社に対して、何らかの対策を打つことは困難である。そこで、全農を株式会社化し、丸ごと買収することで、日本の食料流通最大のパイプを握ろうとしている可能性が高い。
この本では、1994年にイギリスに存在していた乳業の協同組合が解体されたことにより、多国籍企業がほぼ市場を独占した実例も紹介されています。
こうした過去の事例から考えても、農協改革が進むことにより、日本の食の安全が脅かされる可能性は、非常に高いと言えます。
農協改革が、TPP11、アメリカと二国間交渉の影響を更に拡大させる可能性が高いことがお分かりいただけたでしょうか?
では、こうした食の安全が脅かされている危機的な状況にたいして、私たちが出来ることは何でしょうか?
自然農や有機に取り組むJAを見つけて、支えよう。
化学肥料や農薬を推奨するイメージが強いJAグループですが、一部には独自で安全な農産物の生産に力を入れているところも、あります。
オーガニックへの関心が高いIN YOU読者の皆さんなら、こうした有機無農薬や、自然農に取り組む地域農協のことは既にご存知かと思います。
例えば、特に、JA羽咋の木村秋則さんの自然栽培実践塾などが有名ですね。
またJA岡山では、農薬全盛期の時代から有機無農薬に取り組んでいます。
生活クラブで販売されているお米や野菜の中にも、農協が低農薬減農薬で生産しているものがありますよね。
化学肥料を売って利益を出すことが最優先になりがちな組織でも、地域によっては、独自の取組で食の安全を確保するために努力を重ねているところがあるのです。
そうした独自の取組を行う地域農協から積極的に農産物を買うことで、農協改革の影響から、日本の安全な農産物を守ることが出来ます。
フレッシュミズに参加しよう。
JAには、主に45歳位までの女性が参加できる「フレッシュミズ」というグループがあり、
農業体験は勿論、料理や手芸などのカルチャー講座などを開催しています。
農家、非農家を問わず、食や農業に関心のある女性なら、誰でも参加可能です。
またフレッシュミズでは、農政に関する講演会、勉強会なども開催していますので、農協改革の情勢をチェックしていくこともできます。
援農企画に参加しよう。
農協の取引先である生活クラブは、定期的に消費者の農業体験などの企画を開催しています。この企画では、消費者が、生活クラブの生産物が栽培されている農地に出向き、畑や田んぼの見学や、実際の農作業体験プログラムが行われています。
こうした企画に参加することで、JA職員に直接、今後の農業政策や、農協の在り方に対する意見をすることが出来ます。
TPPが成立した今後の世の中で生き抜くために。
農協は本来、農家による相互扶助を目的として設立された組織です。
それがいつの間にか、トップダウンで農家から利益を吸い上げるような組織となってきたしまった現状。
そうした農協への不満や、組織の健全化を口実に、多国籍企業の日本の農産物市場への参入を則す目的で、政府により推し進められたのが、この農協改革の実態です。
これは、農家だけの問題ではなく、私たちの食の安全や、農協が担っている共済や金融、スーパー、ガソリンスタンドなの事業にも大きく関わる問題です。
現在、進められているような政治家主導よるトップダウンの農政改革ではなく、消費者や農業者を中心した事業の健全化や、安全な栽培方法への転換を則す改革にしていくことが大切だと思うのです。
水面下でTPPが成立した今、今後の日本の食卓は多国籍企業からの影響を受け、
さらなる食品汚染などが進む可能性も含め大きく変化を遂げていくことでしょう。
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*有機肥料は、現状では遺伝子組換え飼料や抗生物質・ホルモン剤漬けで育った家畜の糞尿や、
遺伝子組換え作物(油粕)、農薬を資材を原料としている場合が多いのです。
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