花粉やコロナが怖くて室内の換気を諦めていませんか？室内の空気は屋外よりも汚染されている驚きの事実

新型コロナウイルスの影響を受け、ステイホーム、在宅勤務等により室内で過ごすことが多くなり、私たちの生活習慣が変わってきています。

私の住むフランスでは、パリなど16の県で、3月20日（土曜日）から、３度目となる外出制限になりました。

再び、室内に閉じこもらなければならない生活を余儀なくされています。

実は、室内の空気は屋外の空気よりも汚染されていることが多いという事をご存知ですか？

家の中は、十分に換気されていないと、酸素濃度が下がってしまい、様々な病気やアレルギーを引き起こす危険な場所になるのです。

人間をはじめ、動物、植物、すべての生き物は、酸素を消費し、CO2を排出して呼吸をしています。



地球温暖化が問題になり、ますます大気汚染されていく地球、

そして、パンデミックの新型コロナウイルスによる空気感染、

その上、花粉症は、毎年、感染者が増加している病気で、低年齢化してきています。

残念ながら近年、安心して呼吸できる場所が少なくなっています。

屋外の空気の質については、1970年代から多くの研究、警告、測定が行われてきました。

しかし、室内の空気の質については、最近になって一般の人々や専門家の注目を集めるようになり、室内空気の汚染を抑制することは、健康のためにとても大切な事が分かったのです。

現在、お住まいの自宅、職場、学校など、室内の空気の質はいかがですか？

今回は、体に良い空気を取り入れ、健康な日々を過ごすための家の換気の大切さや、対策についてご紹介します。

まず、ご自宅の室内の空気汚染をチェックしてみましょう！

湿度の上下関係

人間は、呼吸や発汗などで水分を放出しています。なので、室内で生活しているだけで、湿度を上げています。

水回りのある部屋、浴室、トイレ、洗面所、そしてキッチンなどに、室内の空気の排出、排煙又は室外の空気との入れ替えができる換気扇が設置されますか？

そして、これらの換気扇の掃除を定期的に行っていますか？

湿度が、60%以上になると、カビやダニが発生しやすくなります。

一方、湿度が、40％以下になると乾燥のしすぎで、ウイルスが活発になります。

どうして室内が汚染されるの？

私たちが日常で使用している整髪剤、

芳香剤や除菌剤などのスプレー類、

化粧品、

たばこや線香などの煙、

カーテン、カーペット、家具などの装飾品、

動物や植物、

ペンキなどのDIY製品や建築材料などから、

室内を汚染する、揮発性を有し、大気中で気体状となる有機化合物 VOC（volatile organic compounds）が、排出されています。

こんな経験をしたことはありませんか？室内生活で放出される汚染物質

マニキュアを落とす時に使用する除光液の匂いは、鼻にツーンときますよね。

これは除光液の中に含まれた VOC が急激に揮発して空気中に溶け込み、それを吸い込んだことで鼻の粘膜が刺激されているからなのです。

これらの VOC は、私たちの健康を害す刺激物となったり、アレルゲン、発がん性、毒性のある化合物が含まれています。

例えば、ホルムアルデヒド（ベンゼン、トルエン、キシレンなど）は、発がん性のある物質として分類されています。

この VOC が原因で、風邪や花粉症に似た症状の「シックハウス症候群」になる可能性が高くなるのです。

このように、私たちが室内で生活する事によって、日頃の活動のなかで気づかないうちに汚染物質を放出しています！

【出典】
 厚生労働省  シックハウス症候群とは？
 環境省  揮発性有機化合物（ＶＯＣ）対策

換気システムの取り付けが義務。フランスの取り組み

image : atmo-auvergnerhonealpes.fr

フランスでは、新型コロナウイルスの影響を受け、国を挙げて、室内汚染の問題に取り組んでいます。

VOC（揮発性有機化合物）をはじめとする汚染物質が室内に「閉じ込められて」しまうことが原因で、室内の空気は屋外の空気よりも汚染されてしまうことが、お分かり頂けたと思います。

そこで、装飾品や建築用製品については、揮発性汚染物質の排出量を表示することが義務付けられています。

そして、意外と軽視されがちな換気ですが、家の中を快適にするためには重要な役割を担っています。

そこで、メディアを通して、10分間窓を開けて、室内の空気を入れ替えるように呼びかけています。

実際、空気が更新されることで、VOC の汚染物質が排出され、建物の衛生状態を改善することが可能になります。



また、1969年以降、集合住宅、個人住宅を問わず、すべての住宅に、換気システムの取り付けが法的に義務付けされています。

この換気システムには、自然換気と、機械換気（VMC）によるものがあり、選択できます。

換気をすることで、新しい空気を取り入れ、酸素を家の中へ取り込むことができ、ウイルスの発生も抑えられるからです。

フランスでは、長期にわたり外出制限が繰り返され、気持ちよく呼吸できない日々を送っています。

このことで、ストレスが溜まり、アレルギーや様々な病気を引き起こす原因になっていることが問題視されています。

 

換気の原則は2つ

自然換気には2つの物理現象があります。

1つ目は「対流」です。

部屋の暖かい空気が上昇して窪みができ、そこに冷たい空気、つまり新しい空気が入ってきます。


image : 対流効果を応用して自然換気を「作る」ことを示した図

2つ目は「風」です。

実際、風は圧力差があり、風が家の開口部に吹くことで家の中の空気が循環します。

花粉飛散シーズンの換気の仕方

花粉症が原因で、換気をしなくなった方が多いのではないでしょうか？

外出時の服装は花粉が付着しにくいものを選んだり、

マスク、メガネなどで花粉を防いだり、

帰宅時には花粉を払うなどして家の中に花粉を持ちこまないなど、

皆さん、それぞれ花粉症対策をしていることと思います。

もちろん、花粉飛散シーズンに窓を全開にして換気すると大量の花粉が室内に流入します。

花粉は昼前後と夕方に多く飛散するので、この時間帯を避けることが大切です。

この時期、換気する時間帯は、早朝と雨が降ったあとがお勧めです。


image : weathernews.jp　環境省「花粉症環境保健マニュアル2019」資料を基に作成

 

環境省が、花粉の最盛期に行った実験では、3LDKのマンション一戸で1時間換気をした場合、およそ1000万個もの花粉が屋内に流入した結果が出ています。

そこで、上手に換気するには、窓を開ける幅を10cm程度にし、レースのカーテンをすることで屋内への流入花粉を約４分の1に減らすことができると言うのです！

流入した花粉は床やカーテンなどに多数残存していますので、カーテンは定期的に洗濯しましょう。

また、掃除のコツですが、花粉が舞い上がらないように、拭き取ることをお勧めします。

【出典】
花粉症環境保健 マニュアル　環境省
厚生労働省 花粉症の疫学と治療そしてセルフケア

観葉植物は、室内空気の浄化に効果があるの？

植物は、光合成で二酸化炭素を吸収し、酸素を増やしてくれ、空気中の有害物質を吸収してくれるということを聞いたことがありませんか？

また植物が発生するマイナスイオンは、空気中の塵や埃を取り除くことで、空気をきれいにしてくれるとも言われています。

この事を知っている方は多く、天然の空気清浄機として、家に飾っている方もいらっしゃると思います。

フランスでは、2001年から2012年まで、「観葉植物による室内空気の浄化の可能性と、室内空気質の生物学からみた能力」に関する研究を行ってきました。

実は、このフランスの「Phyt’air 研究プログラム」で、観葉植物による汚染物質の吸収はそれほど大きなものではなく、通気や換気の方が有効であると結論づけられました。

【出典】Le programme Phyt’air

観葉植物による室内空気の浄化の研究結果

宇宙飛行士が、より健康的な空気を吸えるように、スペースシャトルや将来の軌道ステーション（完全閉鎖環境）で使用される建設資材から発生する化学物質を除去する研究の一環として、

1980年代、アメリカのNASA のビル・ウォルバートン教授によって、観葉植物による室内空気浄化の科学的研究が初めて行われました。

約50種類の観葉植物のリストを作成し研究した結果、狭い気密容器内で観葉植物がVOCを低減できることを発表しました。

NASAが、観葉植物の空気浄化能力を発表して既に40年以上立ちます。

その後、日本で行われた研究で、観葉植物は、様々な汚染物に対して効果が出るのは遅いが、10種類の代表的な観葉植物は、ホルムアルデヒド除去能力があることを明らかにしています。

また、除去能力は総葉面積が大きい程高く、若い葉の方が、ホルムアルデヒドの吸収を活発に行うため除去能力が高いことを発表しました。

10種類の代表的な観葉植物のリスト

•　ポトス
•　アオワーネッキー
•　幸福の木
•　スパティフィラム
•　ベンジャミン
•　カミーラ
•　アレカヤシ
•　コンシンネ
•　シルバークイーン
•　サンスベリア

【出典】植物の空気浄化能力の定量的評価法の導出



しかし、ここで注目しなければならない点は、観葉植物を狭い気密容器内で実験した研究結果であるという事です。

室内の広さを見ると、大きな効果は得られない事は、一目瞭然です。

しかし、観葉植物を飾る事は、癒しに繋がります。

たとえ効果が少なくても、好きな観葉植物を飾って、換気を行えば、室内空気の汚染を抑制する事ができるのです。

また、規則正しい生活習慣を身につけ、睡眠をよくとり、正常な免疫機能を保つことができれば、室内空気汚染による症状改善にも繋がります。

花粉症で悩まされるこの時期、気持ちよく呼吸できる環境を自分で作ることができます。

上手に室内の空気の換気をおこない、健康的な毎日を過ごしましょう！

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