環境ホルモンの溶け出すプラスチックの弁当箱、もうやめませんか?日本人が忘れつつある職人技の凄さとは。 〜IN YOU Marketが教えてくれた“妥協のない職人が作り出す魅力”〜
レジ袋の有料化、使い捨てプラスチックストローの廃止、
生分解可能容器の使用等々、脱プラスチックの動きが強まっています。
脱プラスチックの動きは環境問題以外にも、
他の理由からも取り入れる人が多いようでです。
それは、環境ホルモンです。
プラスチックと環境ホルモン
環境ホルモンと言われると、なんのこっちゃ?と
思われる方もいらっしゃるかと思いますが、簡単に言ってしまうと、
人間や動物の体内に正常に働いているホルモンに悪さをして、
生体に異常をもたらす可能性がある有害物質。
正式名称は「内分泌かく乱物質」といいます。
参考:「環境省_内分泌かく乱物質について」
よく耳にする言葉で代表的な環境ホルモンというと
“ダイオキシン” または、“農薬や除草剤” でしょうか。
農薬や除草剤の危険性については、以前の記事でまとめておりますのでご覧ください。
参考:「スーパーに並ぶ9割の野菜の農薬散布は、驚くべき回数だった!|一般消費者が意識すべき3つの注意点。」
環境ホルモンの代表であるダイオキシンといえば、
人間や動物の生体に恐ろしい影響が出ると
恐れられ大きな問題となっている
“環境ホルモンのひとつ” です。
しかしながら、近年ではダイオキシンだけではない
有害物質と言われる環境ホルモンが多数存在していて、
これらの環境ホルモンは、
なんと私たちの身の回りにある身近な
ものから発見されて、
生体に悪影響を及ぼす可能性があるので
大変注意が必要とされています。
そんな、生体を脅かすと言われている環境ホルモン、
一体どんなところから発生するのでしょうか・・・
人体への影響も脅かす環境ホルモンの実態は、
身近なプラスチックにあった!
有害物質や化学物質などが人間や動物の体内に入る一番の経路は口です。
口を介して体内に入れるものといえば、
食べものですね。
食べものもそうですが、直接体内に入るというと
間接的なものも含まれてきます。
食べものや飲みものが直接触れる容器や、食器
スプーン、フォークなどのカトラリー
調理器具
ラップ
保存袋
乳児に使用する哺乳瓶やおしゃぶり
これらのツールに使われているのは、プラスチックが殆どで、
実はこのプラスチックが曲者なのです。
ひとえにプラスチックといっても様々な種類や性質があるのですが、
プラスチックを製造する過程で加えられる“添加剤”と言われる化学物質が、人体に悪影響を及ぼすのです。
それが他でもない環境ホルモンなのですが、一部の添加剤は、生物に対して内分泌かく乱物質
として作用する危険性があるとして、
世界で問題視されている環境ホルモンなのです。
多くは熱によって有害物質が溶け出し、
食べ物に付着することで多量に体内に入ってしまうケースがあり、使用自体が禁止されてる国もあるほど。
では一体どんな物質が溶け出しているのか、
プラスチックから発生される有害物質についてお話ししていきます。
ビスフェノールA (ポリカーボネート樹脂・エポキシ樹脂)
ビスフェノールAという物質は、
フェノールとアセトンという成分から合成され作られます。
主にポリカーボネート樹脂やエポキシ樹脂といった、
身近なプラスチックの原料として使用され、
様々な用途のプラスチック製品となって世に送り出されています。
一部ではポリ塩化ビニルの可塑剤・安定剤酸化防止剤などの添加剤用途として使用。
日本では、1998年に環境省の「SPEED’98-化学物質リスト」で
内分泌系への影響が懸念される化学物質として取り上げられたことから、
環境ホルモンとして認知されるようになりました。
環境省の研究でも
ビスフェノールAは、極小でありながらもホルモン様作用を持ち、
人や野生生物の内分泌作用に影響をもたらすことが確認されています。
欧州連合(EU)では、水中でもプラスチックから溶け出すことも確認されました。
最近では、各国で問題視されてから、
様々なプラスチック製品にBPA FREEと記載されることが多く見られますが、
BPAと表示がされていないものでも使用されていることがあるので要注意です。
フルオレン-9-ビスフェノール(BHPF)
BPA FREEとされる一部のプラスチック製品の代替として使用されている原料ですが、市販の飲料用ボトルに含まれるBHPFが中身の飲料水に溶け出している可能性があり、
BPAと同様に内分泌に異常をもたらす作用があると示唆されています。
これは中国北京大学のジエンイン・フー教授、岐阜薬科大学衛生学研究室の
中西剛准教授を中心とした日中共同研究によって確認され、
Nature Communicationsや Nature Japan でも大きく取り上げられました。
フタル酸
環境省が公表している「環境ホルモン戦略計画SPEED98」リストにも挙げられている有害物質のひとつです。
主にプラスチックに柔軟性を持たせるための「可塑剤」として加えられ、
食品の容器、ビニール袋や包装材、ビニール製のヒモ、おもちゃ、ラップなどに多く含まれています。
また、プラスチック製品だけではなく、人工香料の原料にもされているほど様々な
用途に使用されている化学物質です。
これらの環境ホルモンといわれる有害物質は公表されているものの一部に過ぎません。
他にも、プラスチックの添加剤などで使用されている化学物質の中には有害物質が
発生するものも多く存在しているので注意が必要です。
プラスチックを取り巻く有害物質が危険視され始めている中、
「ビスフェノール A」をはじめ生体に悪影響を及ぼすと確認された成分を有害物質と認定し、
規制の動きを示している国も出てきています。
EUではBPAの規制を強化
EU諸国はプラスチック製品に使用されるビスフェノールA(BPA)およびフタル酸の規制を強化。(2018年2月)
食品に接触するプラスチック製の材料・製品、
食品に接触するニス加工・塗膜加工された材料・製品は、SML: 0.05mg/kg以下に制限。
乳幼児用の食品に接触するよう設計されたニス加工・塗膜加工された材料・製品、
ポリカーボネート製の哺乳瓶、密閉機能のある乳幼児用のポリカーボネート製飲料用カップ・ボトルへの使用を一切禁止。
フランスではBPA/フタル酸を含む製品の完全禁止へ
2010年以降、ビスフェノール A(BPA)、フタル酸を含む、哺乳瓶や乳幼児の使用する製品への使用・製造・輸出入を禁止。食品などに接触が予測される玩具、衣類、食器、梱包、コンテナ、調理器具への使用および製造、輸入、輸出、販売を制限。
(2015年より規制を強化)
アメリカでは州によって対応が異なる
生殖毒性の物質として「プロポジション65」のリストに掲載。哺乳瓶や乳幼児製品への使用を禁止。
また州によって、食品に直接付着する恐れのある
製品への警告表示を義務づける。
または、6時間還流温度での抽出で、0.15重量%以下と規制。
カナダではBPAを有害物質に認定
ビスフェノール A(BPA)を有害物質に認定。乳幼児の口に触れる恐れのある製品、哺乳瓶などの容器への使用も制限へ。
参考:「「米国及び EU における内分泌かく乱物質の規制動向」」
プラスチック製のものは、
豊富に使われているので物によって避けられないものあったりします。
そんな時には、どんなプラスチックが使われているのか表示を見て確認したり、
食べ物に触れるものや熱を加えるものには使用しないなど気を配るようにしたいですね。
全てを避けることも変えることも難しいけれど、
可能な限りカラダに入れないようにする工夫として、代替品を考えてみることもできます。
私自身も生活する中で取り入れているものをご紹介します。
口にするものだからこそ、しっかり選びたい素材
~「端材」や「間伐材」という新しい選択~
私自身少しずつではありますが、
家族や自分の体内になるべく環境ホルモンを
取り込まないようにする取り組みとして
など、プラスチック製ではない素材のものを
探して選択するようにもなり移行してきている最中ではあります。
その素材の中で、
新たに“木の魅力”を知ることにもなりました。
木材といっても様々ですが、
新しい選択肢として見つけたものは、
住居や製品を作る際に製材会社や木工工場などで、
出る「端材」や植林された山林の環境を整備する
ために伐採された「間伐材」を再利用して作られ
たものです。
これらの「端材」や「間伐材」は、再生燃料になったり、
畜産の敷きわらとして活用されたり、
紙の原料になったりと様々な用途で有効活用されているケースもありますが、
大半は廃棄されているようです。
そんな、本来は廃棄されてしまう木材をなにか製品として活用することができればと考え、
「端材」や「間伐材」を有効活用して作られた製品があるのです。
端材や間伐材とはいえ、
長い年月を生きて育った立派な木材の一部。
新たによみがえった“木の素材”でできた製品は、
ナチュラルな温かみがあって心もちやすらぎを与えてくれます。
私が一番はじめに変えたものでは、お弁当箱に使われていました。
お弁当箱にいれるものは、口に入るというだけあって
接着剤は石油系を使用していなかったり
塗料なども、植物オイルや漆など
こだわっていたり気を遣って作られたものが多いのもとても印象的でした。
実際に使用してみても適度に防腐効果があったり木の持つ調湿作用のおかげか
ごはんが冷めていてもかたくならずすごく美味しい!
木の素材は、“口にするものだからこそ”選びたいと思う素材でもあります。
木の持つ香りもまた素敵ですしね。
木材の持つ力や性質を受け入れつつ、
ひと手間かけたりしながら工夫して使っています。
木と人との歴史をたどると、
遠い昔、元より木材で作られていたのに
耐久性や利便性の面からプラスチックに
取って代わられたものもありました。
これらに使用されている木の多くは、
スギ、ヒノキ、ヒバ、キリ、マツなどといった
日本では歴史の深い「針葉樹」
「間伐材」を有効活用して
作られているものもありました。
今でも製品となっていますが、
使用されている数が減っているのは確かです。
古い昔から木は、住居や日用品などに使われ
人びとは、自然の素材をふんだんに使って
木と長い付き合いを持って暮らしてきた歴史が
あること、忘れてはいけないなぁと感じます。
素材を追及したらたどり着いた~IN YOU Marketで出会った
“妥協のない職人と伝統の素材が織りなす工芸品”「スギと漆のお弁当箱」~
古くから人が、住居や日用品など
長い付き合いを持って暮らしてきた「木」
その木の多くは、
スギ・マツ・ヒノキ・ヒバ・キリなどといった
針葉樹と言われる木でした。
その中のスギは、日本にしかないと言われ
学名でも“クリプトメリア・ジャポニカ(隠された日本の財産)”と称された木。
しかしその杉は、現代の日本全国で林業の問題とされています。
かつて日本の木材は、戦時中の軍事物資として大量に必要であったり、
戦後の復興で、住居被害を再生するために膨大な量の木材が必要となり、
山林から大量に伐採されていきました。
この急激な木材の需要と不足を補う目的で政府の
施策によって行われたのが、
荒廃してしまった森林に
育ちが早いスギやヒノキを大量に植林すること。
戦後もこの植林によって日本の高度経済成長を支えていたのも、つかの間。
石炭や石油などの化学工業の急速な普及、円高による外国材の輸入が増えるなど、
日本の林業は採算が合わなくなり衰退。
もはや産業としても成り立たなくなってしまいました。
こうした末に今では、
植林された森林は手入れが行き届かずに荒れ果て、
手入れが行き届いていないスギ林は大雨や台風などの時には流木となって被害を出したり、
人体への健康被害、動物が生活する環境に悪影響をおよぼす原因となっています。
しかし、こうした背景も人の産物です。
荒廃していく森林を健全なものにしていく、大量放置されている森林問題を持続が可能なもの
へと構築していくことは社会が抱える大きな課題なのです。
こういった現状を踏まえた上で、“スギやヒノキ”といった木材を選んでモノづくり
をされている企業や職人さんがいます。
私の選んだお弁当箱もまた、職人さんの思いがたくさん詰まったもののひとつでした。
そのお弁当箱に食材をつめるとき、おのずと微笑んでしまう自分がいるくらい、
とてもあたたかい気持ちになっています。
食べているときも気分が上がりますし。
美味しさもなんだか違う気がするのは、気のせいでしょうか・・・笑
参考:
「妥協はしません!自分の心にウソはつかない。
お客様に喜んでいただける・自然にも優しいモノづくりを続けていきたい。
福岡県にある自然の豊かな糸島市の工房でお弁当箱をはじめ、地元産の杉を使った作品を作っている溝口さんの思い。」
ひとつひとつ手作業で作られていくもの。
その中には、一切妥協のない作り手の思いも詰まっています。
使うたびに、あたたかさだけではなく重みや自然のありがたみも感じます。
スギの持つ本来のちからも、また魅力的です。
優れた調湿機能や防腐効果、香りはやすらぎを与えてくれます。
私の自宅の内装材もスギをふんだんに使っています。
梅雨時期はサラサラしていて冬は床暖房がいらないくらいあたたかいですし、
家の中の空気もおいしくて、ここでもまたスギの魅力を感じています。
スギだけに限ったことではありませんが、木材は「端材」や「間伐材」など
廃棄されてしまうものから魅力的な製品となって活かされているものがあります。
これまで環境ホルモンについてもお話しましたが、
カラダにもたらす危険が未知数だからこそ、避ける。
他に変わるものはないか?と考えることも大切です。
そして、新しい選択を見つけていく中に、
ぜひ木材の魅力も感じていただけたらなと思います。
今日お伝えする事が、明日、今日、今からと、
少しずつ意識して取り組むきっかけとなれば幸いです。
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