リサイクルはもはや意味がない!?日本におけるプラスチックリサイクルの知られざる実態。未来のために今日からできること。
リサイクルじゃ意味がない!?日本におけるプラスチックリサイクルの現状と、未来のために今日からできること
リサイクルは意味がない?
海洋プラスチックの及ぼす環境への影響が、毎日のように報道されています。やっとという感じも否めませんが、ここに来て日本も、プラスチックごみを喫緊の課題として取り組む必要性を感じていると言えるでしょう。
日々、海だけでなく世界中のあらゆる場所で増え続けるプラスチックごみ。
このごみを減らすために、リサイクル活動をさらに精力的に行おうという風潮に流れているように感じます。
特にIN YOUの読者の皆様には、環境保全に対する意識の高い方も多く、
なんとかこの現状を変えるアクションを起こそうと考えている方はたくさんいらっしゃると思います。
しかしながら、今、目の前のリサイクルボックスに入れたペットボトル。
本当にリサイクルされているのでしょうか?
本当に地球にも私たち人間にも優しいかたちで再利用されているのでしょうか?
今や国内外のほとんどの街で、リサイクルボックスを見かけますよね?
これだけ世界的にリサイクルに取り組んでいるのに、
どうして減る兆しが見えず、増え続けているのでしょう?
今回は、私たちの日常でも当たり前となった「リサイクル」について、その現状がどのようなものなのかをお伝えします。
そして、これからの未来のために、今日から何かひとつ、アクションを起こしてみましょう!
「プラスチックリサイクル」という言葉の罠
燃やしてもリサイクル!日本のプラスチックリサイクル事情
私たちが再利用と聞いて思い浮かべるのは、ごみが一旦分解された後、再生成され、なにかの商品に姿を変えることです。
しかし、プラスチックのリサイクルには3種類の方法が存在します。
ひとつは、先に挙げた、プラスチックの材質をそのまま使用し、新しく生まれ変わる、
「マテリアル・リサイクル」。
もうひとつは、プラスチックを化学的に分解し、樹脂などの化学原料とする、「ケミカル・リサイクル」
3つ目が、ごみの焼却処理の際に発生する熱を回収してエネルギーとして利用する、「サーマル・リサイクル」。
現在日本で行われているプラスチックのリサイクル方法で最も多いのが、
サーマル・リサイクルなのです。
その背景には、再利用の際に発生する処理費用があります。
ペットボトルを分解し、化学物質や製品を生成するためには、専用の施設や機器が必要ですし、その工程も複雑で、費用がかさみます。
しかしながら、焼却処分でしたら燃やすだけですし、その排熱が工場内などでそのまま利用できるのですから、企業負担も少なく、一石二鳥というわけです。
出典;日経ビジネスオンライン
https://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20130823/252552/
プラスチックリサイクル業者のための「容器包装リサイクル法」
1995年に、容器包装リサイクル法という法律が成立しました。原油価格の高騰や、地球環境問題を深刻に受け止めた当時の政府は、
廃棄物のうちの約20%を占めていた容器包装に焦点を当て、リサイクルを推進することで、廃棄量を削減しようとしました。
この法律によって作られた、プラスチックリサイクルの流れは、
ペットボトル飲料などの製品販売会社がリサイクル処理費用を㈶日本容器包装リサイクル協会という団体に支払い、
各自治体が税金で回収費用を徴収し、リサイクル業者へ処理を委託する、リサイクル業者は協会より処理費用が支払われ、再商品化したものをメーカーなどに販売する、というものです。
とてもリサイクル業者が優遇されているシステムというのが、わかりますね。
出典:容器包装リサイクル法(経済産業省):
http://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/data/pamphlet/pdf/youri_0612.pdf
プラスチックリサイクル業者は実は、リサイクルしていない!?
プラスチックごみをリサイクルして、ごみを削減させましょう!と始まった、容器包装リサイクル法。
企業や国からの全面バックアップを受けているはずのリサイクル業者ですが、受け取ったプラスチックごみの行先はというと…
ほとんどが資源として海外に輸出されているのです!
その輸出先として最も多いのが、中国。
日本のリサイクル業者のほとんどは、ペットボトルなどのプラスチックごみを中国へ販売し、利益を得ているのです。
世界のごみ処理場!?プラスチックごみ輸入国の抱える深刻な問題
プラスチックごみを輸出している国は日本だけではありません。
EUはじめ、世界各国のプラスチックごみが中国に集まっているのです。
中国の急成長は、プラスチックのおかげ
近年の中国の経済発展は目覚ましく、特に製造業においては、日本の有名メーカーを追い抜き、世界ランキングでも上位に入る企業が頻発しています。
この急成長の背景には、プラスチックという魔法の資源が、大量に手に入ったことがあるのです。
プラスチックは乾燥・粉砕の後、ペレットという小さな球状の粒になります。
このペレットを300度程度で固め、再形成され、新たな商品が生み出されます。
ペレットは、自動車部品や電子機器、精密機械部品などへ利用されており、
その種類も樹脂加工が施されたものなど様々で、用途の幅は広がる一方です。
ペレット状のものを含め、世界中から安価で大量に廃プラスチックを仕入れることができた中国。
急成長を遂げた企業の製造する商品を見れば、その発展の陰に、世界の廃プラスチックの存在を見て取れることができるのです。
中国がプラスチックごみの輸入禁止を発表!どうなる?世界のプラスチックごみ
海洋プラスチックごみの排出元として第1位となった中国。
世界中から集められるごみの処理により、都市部だけでなく、中国全土における環境悪化が問題視され続けています。
その中国で、大規模な規制がスタートしているのをご存知でしょうか?
2017年12月31日より、中国国務院による「海外ごみの輸入禁止と固形廃棄物輸入管理制度改革の実施計画 」が施行され、外国からの資源ごみの輸入が禁止されました。
この計画では、廃プラスチックや古紙などが対象とされており、廃プラスチックの輸入先において日本は、2016年で84万2000トンと、世界第2位の多さです。
ついに環境対策へと踏み出した中国ですが、これまで中国に集まっていた、世界中の廃プラスチックはどうなってしまうのでしょう?
新たなごみ処理場へ!東南アジアへ流れる世界のプラスチックごみ
中国がプラスチックごみの輸入を禁止した後、もちろんのこと、中国への廃プラスチック輸出量は激減しました。
しかし、ごみは毎日出ます。国内での処理体制の構築も、一朝一夕にはいきません。
ということで、世界のプラスチックごみは行先を変え、
東南アジア諸国へと向かっているのです。
中国が輸入禁止の計画を発表した2017年から、日本からベトナムへの廃プラスチックの輸出量は前年比約2倍の12万6219トンになり、輸出先第1位となりました。
その他、台湾、マレーシア、タイ、フィリピンなどへ最大で前年比6倍もの量が輸出されています。
この現象は日本だけでなく、各国が同じように東南アジア諸国へと輸出先を変えています。
プラスチックごみによる、さらなる環境汚染が加速する可能性
先進国が途上国へごみを輸出して、一安心している頃、
受け入れ側の国では、さらなる問題が噴出しています。
まず、新たな輸出先となった東南アジア諸国では、ごみ処理のインフラや制度が整備途上にあるということ。
そのため、急激な廃プラスチックなどの資源ごみの輸入量増加に対応しきれず、国内にごみが溢れてしまうことになります。
そして次に、国民に対し、ごみ処理の方法やルールなどが周知されていないということ。
国内でのごみ処理関連の規制や法律も未整備な状態ですから、国民のごみに対する意識も、当然低くなってしまいます。
対処しきれなくなった廃プラスチックなどの資源ごみを海洋投棄する、
また、不十分な設備で焼却処理などを行い、有毒ガスが蔓延するなど、
様々なリスクが考えられます。
出展:日本貿易振興機構(JETRO) : https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2018/013284e98573d0f8.html
もはや、待ったなし!
今すぐプラスチックごみによる深刻な環境汚染を食い止める行動を起こして!
この記事を書いている、ちょうど今日。
政府が生分解性プラスチックを製造する企業に対し、補助金を出すことで、プラスチックの代替品の普及を促すということが報じられました。
中国への丸投げに頼れなくなり、発展途上のアジア諸国に分散させてから、約1年。
この間に、どれだけのプラスチックごみが海を覆い、生物を蝕んできたかを、ストローの刺さったウミガメや、胃がプラスチックごみでいっぱいになって死んでしまったクジラのニュースを見ると、痛いほど感じます。国も企業も、やっと重い腰を上げて取り組み始めています。
プラスチックに頼らないための習慣を身につけるためにできること。
リサイクルボックスに入れても、環境には優しくなかったんだ…と
落ち込んでいるヒマはありません。
リサイクル信仰に頼らず、今からできること。
それは、プラスチック依存症から抜け出すことです!
私たちの身の回りには、今やプラスチック製品でないものの方が少ないほど、溢れていますよね。
飲み物はペットボトル、食品はトレーやラップに包まれ、買ったものはビニール袋へ・・・
そんな当たり前の習慣を、ひとつずつ変えていくのです。
これから、プラスチックの代替品の開発や商品化、国や企業の取り組みはどんどんスピードを上げてくるでしょう。
そして、いざ、生分解性プラスチック製品が普及したとき。
あなたは、捨てても自然分解するからと、海に投げ捨てますか?
技術やインフラや制度がいくら進化しても、それを使う人の心が変わらなければ、意味を成しません。
カフェからストローが消えても、スーパーでレジ袋をくれなくなっても、ペットボトルのお茶が買えなくなっても、
私は全然困らないよと思えるくらいに、普段の習慣からプラスチックを省いてみましょう。
そうすれば、おのずとプラスチックごみの量は減っていきます。
自分の捨てたものが、どこかのクジラのおなかに入ってしまうかもしれないことを考えれば、容易いものです。
一日一善ならぬ、一日一プラスチックで、
まずは一歩踏み出してみましょう!
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フードロスの主な原因は「鮮度の低下」 日本は自給率が低いものの、廃棄率がとても高いため、フードロスは昨今注目されてきました。
多くの原因は、「鮮度の低下」。
例えば、「鮮度の低下、腐敗、カビの発生」や「消費期限・賞味期限が経過」が理由なのだそうです。
食材別にみると最も多いのは野菜、次いで調理加工品、果実類、魚介類なのだそう。
この問題を解決しようと、様々な取り組みがなされています。
それは遠くカナダでも、早くから取り組まれて来ました。
例えば、廃棄したものでフードを作ろう!など。
そんな中、「そもそも廃棄を無くそう!」と出来上がったのが、今回のミツロウでできたラップです。
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