ごく普通の家庭にある毒物|発達障害の原因にもなり得る殺虫剤の種類と危険性について
おうちで殺虫剤、使っていますか?
虫が苦手な人には有難い存在の、殺虫剤。
キッチンやリビングの床などに置いている方も多いのではないでしょうか?
実はその行為、とても危険なのです。
特に赤ちゃんや子どもへ及ぼす影響は多大なもの。
「すごく良く効くもの、それこそ本当に危ないもの。」との専門家の話も聞いたことがあります。
なぜ殺虫剤を使用することが危険なのか、その理由について詳しくご紹介します。
農薬の一種である殺虫剤
虫を殺す殺虫剤。
その殺虫剤、実は農薬の一種なのです。
日本で使われている農薬は世界でも有数の量。
野菜やお米といった農作物だけでなく、
家庭用殺虫剤や公園や学校、幼稚園などにある樹木などにも使用されています。
残念ながら、日本ではまだ農薬の使用について取り締まりを厳しくするといった傾向は見られません。
しかし、農薬である殺虫剤は、私達人間の身体にも確実に影響を与えているのです。
殺虫剤の仕組み
殺虫剤は、どうやって虫を殺すのか?その仕組みは虫の神経系に攻撃を与えるというもの。
今回は殺虫剤の中でも神経系阻害剤に分類される、3つの殺虫剤についてご紹介します。
有機リン系殺虫剤
殺虫剤として使用されることの多い、有機リン系殺虫剤。
毒ガス兵器として開発されたものから生まれたという側面も持っています。
有機リン系殺虫剤は昆虫の体内に入ると、
コリンエステラーゼという酵素と結合します。
コリンエステラーゼは神経伝達物質であるアセチルコリンを、
コリンと酢酸に分解する働きを持つ重要な酵素。
このコリンエステラーゼが有機リン系殺虫剤と結合してしまうと、
アセチルコリンを分解することができなくなってしまいます。
アセチルコリンには体内の筋肉の収縮を促進する作用があるのですが、
その働きが失われた結果、中毒症を起こして死に至るのです。
次に紹介するピレスロイド系殺虫剤よりも殺虫力が高く、
ゴキブリやハエ、蚊の成虫や幼虫対策に使われることが多くなっています。
ちなみに地下鉄サリン事件で使用されたサリンも、
この有機リン系のものです。
ピレスロイド系殺虫剤
もともとは除虫菊の殺虫成分から開発が始まった、ピレスロイド系殺虫剤。
この殺虫剤の特徴は速効性で、
微量でも昆虫が薬剤に触れると一瞬で死んでしまうほどです。
また、潜伏場所から昆虫を追い出したい時にも使われます。
この殺虫剤の主な作用は、神経まひ。
神経を過剰に興奮させる作用があります。
魚毒性といって、魚介類に毒性を及ぼす危険性があるため、使用場所に注意が必要とされています。
ネオニコチノイド系殺虫剤
近年使用量が急増しており、
ミツバチの大量死、赤とんぼ激減の原因とも言われているネオニコチノイド系殺虫剤。
この殺虫剤の構造は、タバコに含まれるニコチンに似た成分をベースとしたものです。
ネオニコチノイド系殺虫剤が影響を及ぼすのは、
神経伝達物質であるアセチルコリンの受容体の1つであるニコチン性アセチルコリン受容体。
ネオニコチノイド系殺虫剤はニコチン性アセチルコリン受容体と結合してしまうため、
アセチルコリンが排出されていなくても神経伝達物質が排出されたことになってしまうのです。
よって、昆虫の神経回路に異常をきたし、死に至らしめるのです。
本当に害を与えるのは虫だけ?
神経へ攻撃を与える、殺虫剤。
人には毒性が低く影響はないとされていますが、それは本当なのでしょうか?
実は、昆虫と人の神経系の作りは一緒。
どちらにも中枢神経系と末梢神経があり、
どちらの生き物にとっても欠かすことのできない神経伝達物質、アセチルコリンがあります。
昆虫にとってアセチルコリンは、中枢の主要な神経伝達物質。
人においては自律神経、末梢神経にアセチルコリンが多いとされていますが、
中枢神経でも重要な働きをしている物質の1つ。
このアセチルコリンに作用を及ぼす、殺虫剤。
本当に殺虫剤は人に影響がないと言いきれるのでしょうか。
農薬と子どもの注意欠如多動性障害(ADHD)
2012年、米国小児科学会は「子どもへの農薬ばく露低減を求める政策声明」を発表。
中でも、農薬と子どもの注意欠如多動性障害(ADHD)の関連性が
示唆された研究が注目されました。
ADHDと診断された子どもの尿を調べたもので、
体内で変化した有機リン系殺虫剤の物質が検出された子どもは、検出されなかった子どもに比べて、
ADHDのリスクが2倍も高くなるというものです。
また、有機リン系殺虫剤だけでなくピレスロイド系殺虫剤にも同様の危険性があるとのこと。
特に子どもは脳や神経の発達が未熟なため、受ける影響も大きいとされています。
ネオニコチノイド系殺虫剤と
喫煙によってもたらされる健康被害は類似
ネオニコチノイド系殺虫剤が影響を及ぼす、ニコチン性アセチルコリン受容体。
この受容体は、自律神経への信号伝達をはじめ、
記憶や学習、認知といった脳の高次機能においても重要な役割を果たしています。
ネオニコチノイド系殺虫剤はニコチン性アセチルコリン受容体と結合するため、
人の神経発達障害と関連する可能性があるとEUが2013年に正式発表しました。
そして、ADHDや自閉症との関連も示唆されています。
また、ネオニコチノイド系殺虫剤はタバコと似た成分を持っていることにより、
喫煙に起因する健康被害と類似した影響が出るとも。
「子どもにタバコは吸わせたくない。」と思っていらっしゃる方は多いのではないでしょうか?
そのタバコと同じような影響が、殺虫剤からも及ぼされるのです。
真実を知った上で、選択・購入・使用を
私はこの殺虫剤の仕組みを、水野玲子氏の講演会で知りました。
なぜ虫と人の神経系は同じなのに、人には影響がないと言いきれるのだろうか。
そんなはずあるわけないと、愕然としました。
子どもが生まれてからは殺虫剤もナチュラルなものを選ぶようになってはいましたが、
若い時は自分で購入してキッチンに置いていた時もありました。
今まで知らなかったとはいえ、なぜ自分の目で、耳で安全性を確認しなかったのだろうか。
「無知は罪」という言葉が頭をよぎりました。
殺虫剤は毒ガス兵器開発中に生まれたこと、
そして人と虫の神経構造は一緒だということ、この2つを知った時、
「国や企業が安全だと言っているから大丈夫!」と安易に受け入れるのは危険だと感じました。
どんなものも、まずはしっかりと自分で情報を集め、考えること。
その上で、今の自分・今の生活に合った、必要なものを選んで購入するという、
私たち消費者の1人1人の意識・心構えが重要なのです。
そして、親である私達が、どのような基準で商品を選び購入しているのか、
そのことを子どもたちに伝えていくことも親として果たすべき重要な役目だと感じています。
今の我が子の身の安全を守るのはもちろんですが、子どもはいずれ1人立ちするもの。
我が子が大人になった時、しっかりと自分で判断ができるように、
親である私達が、今から少しずつでも真実を知り、我が子に伝えることを始めてみませんか?
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参考文献:知ってびっくり 子どもの脳に有害な化学物質のお話
参考文献:継世代毒性 母から子に受継がれる有害化学物質
参考文献:買うな! 使うな! 身近に潜むアブナイものPART1 (あなたの常識を疑え コマーシャルに騙されるな)
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