農薬使用が異常に多い日本の果物。一年でどんな農薬をどれくらい散布するか知ってる?発がん性薬剤を推奨か。農薬防除暦を調べてわかった信じがたい実態。
農薬使用が異常に多い日本の果物。一年でどんな農薬をどのくらい散布するか知っていますか?防除暦を調べてあらためてわかった驚きの事実。
果物がおいしい季節ですね。
店にはリンゴや柑橘類が所狭しと並んでいます。
「おいしそうだなぁ」とは一瞬思うものの、やはり気になるのは農薬の問題
日本の野菜や果物には農薬がたくさん使われていることについては、
これまでIN YOUでも数多く取り上げられています。
しかし、どんなものをどのくらい使っているのか、そしてその危険性についてなど、
具体的なことについてはさほど取り上げられて来なかったように思います。
今回は、果物の「防除暦」(農薬カレンダーのようなもの)を見ていくことで、
より具体的に農薬使用の実態に近づき、私たち「買う側」が持つべき姿勢について考えてみたいと思います。
農薬の基礎知識をおさらい
まずはじめに、実際の防除暦を見た時に理解がしやすいよう、農薬についての基礎知識をお伝えします。
農薬とはどんなものを指すの?
何が農薬にあたるのかということについては「農薬取締法」によって定義されています。農薬とは、農作物を害する、菌・線虫・ダニ・昆虫・ねずみなどの動植物、
またはウイルスの防除に使われる殺菌剤、殺虫剤その他の薬剤、
農作物の生理機能の増進または抑制に使われる成長促進剤、発芽抑制剤その他の薬剤のことです。
防除のために利用される天敵も農薬とみなされます。
農薬取締法は、農薬の品質の適正化と安全で適正な使用のため1948年に初めて制定されました。
当時は粗悪な農薬も多く、1970年代には農薬の安全性が社会問題になり、
その後無登録農薬の使用が問題視されたことなどから、たびたび大きな改正を経て現代に至ります。
農薬の用途による分類は?
農薬には、有害な生物を防除するためのものと、植物の成長を制御するもの、
そして農薬の付着を助けるためのものに分かれます。
◆有害生物の防除…殺菌剤、殺虫剤、殺菌殺虫剤、殺ダニ剤、除草剤など
◆成長制御…植物生長調整剤(種無しぶどうを作るジベレリンが有名)
◆農薬の付着補助…展着剤(植物や害虫の表面に農薬をつきやすくする。界面活性剤など)
剤形・使用法に基づいた農薬の分類
ホームセンターなどで農薬コーナーに行くと、「~粒剤」「~乳剤」という名称で販売されていますが、
これらはその農薬の剤形、つまり「どのような形の農薬なのか」を示しています。
後にお伝えしますが、防除暦を見る時にも役に立ちます。
以下、おもな剤形とその特徴を挙げてみます。
◆粒剤
1粒の大きさが直径0.3~1.5mm程度になっているもの。
水田の除草や、畑の土中に入れて有害生物の防除などに使われる。
◆水和剤
水に溶けにくい成分の原体に、増量剤と界面活性剤を加えて作る粉末状のもの。
使う時は水を加えて散布する。
◆フロアブル剤
液状の農薬で、粉末が飛び散らず安全に使える。
使う時は水を加えて濁った溶液を散布する。
◆乳剤
水に溶けにくい原体に界面活性剤や乳化剤を加えて液体にしたもの。
使う時は水に薄めて散布する。
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実際に、温州みかんの防除暦を見てみましょう
防除暦とは?
「どの時期に、どの農薬を、どのくらい散布したらよいか」について記載してあるものです。
地方のJAが出すことが多いですが、農薬メーカーなど業者が出すものもあります。
昔は農協から各農家に紙で配布されたようですが、今はネットで公開されているものも多く、
どんな農産物でもたいがいどこかのJAがアップしています。
JAに出荷したいのであれば、見た目や大きさといった一定の品質や、ある程度の出荷量を求められるため、
技術指導を受けることになります。JAによって異なることもありますが、一般的には指導の際にあっせんされた農業資材(農薬や肥料など)の購入を断ることは難しいようです。
(参照)齋藤訓之著「農業をはじめたい人の本」成美堂出版
それでは、とある地方のJAが出した平成30年度のみかんの防除暦を取り上げてみます。
まず、使用農薬の種類が多いです。
この防除暦では20種類以上の農薬が記載されています。
散布回数も多く、特に夏場は集中的に散布していることがうかがえます。
個々の農薬についてですが、農薬毒性の事典を使用して、農薬の商品名から主要成分を調べます。
そして、その成分についての詳細を調べます。
1つ1つ調べる作業は、非常に時間がかかって大変だということがよくわかりました。
この時に感じたのは、
「JAの指導のもとで果樹栽培をしている生産者は、これらの農薬のことをどのくらい知っているのか」
「疑問を持たずに、この防除暦通りにきちんとやっている農家が多いのではないか」ということでした。(実際はわかりませんが)
以前に化成肥料の種類を調べてみた時も、その種類のあまりの多さに
「自分の畑に何の成分がどのくらい足りないか、多いかを把握して肥料を使いこなせている農家はいるのか」
と疑問に感じたのですが、農薬でも同じことを感じたのです。
この防除暦に記載されているもののうち、どの農薬も、発がん性・環境への影響・環境ホルモンのリスクがゼロであるものはありません。
特筆すべきことは、
1、やはりネオニコチノイド系農薬は当たり前に使われている。
ミツバチが消えた原因と言われ、急性・亜急性・そして慢性中毒さえも証明され、
子供の発達障害などとの関連性も指摘されており、IN YOUでもすっかりおなじみとなった農薬ですが、
この防除暦でも、M顆粒(アセタミプリド)とS顆粒(ジノテフラン)が確認されました。
他地域のみかんの防除暦でも同様、2~3種類のネオニコ系、年間数回~10回程度の使用が見られます。
実は他の果物や野菜でも同様であり、ごく当たり前に使用されていることがよくわかりました。
(生産者がネオニコチノイド系とわかって散布しているかどうかはわかりません。)
2、除草剤に発がん性のあるグリホサートを勧めている。
表の下部に除草剤も3種類記載されていますが、そのうち2つがグリホサート除草剤です。
グリホサートは、アレルギー・自己免疫疾患・発達障害などの疾患との関連性が指摘されており、
昨年はアメリカで末期がん患者が起こした訴訟にて「グリホサートがガンの実質的な原因だった」
という判決が出たニュースは皆さんの記憶に新しいところですね。
残りの1つはグルホシネート(グリホサート同様、アミノ酸の合成を阻害することで植物を枯らせる)なのですが、
帝京大学の実験で、グルホシネートを投与したラットは激しくかみつき等の攻撃性を増すこと、
胎内で暴露した仔ラットは、一般におとなしいとされている雌の仔ラットまでが興奮・攻撃性を生じたという結果が出ています。
また、グリホサートと同じように、
グルホシネート耐性遺伝子組み換えの大豆やナタネ、トウモロコシなどを開発しています。
2017年にはフランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)がグルホシネートの登録を抹消しています。
3、米・EU・豪ではすでに使用禁止になった『ベノミル』をいまだに使用。
これに関しては商品名を挙げさせていただきますが、
主要成分がベノミルである『ベンレート水和剤』はカーバメート系の殺菌剤であり、
うどんこ病、黒星病、そうか病などに効果があり、みかんであれば青カビなど貯蔵の際に発生する病害を抑えるために使われます。
アメリカ、EU、オーストラリアでは禁止されている農薬であり、開発したデュポン社もすでに製造を打ち切っています。
ベノミルは、3ヶ月~2年以上も土壌に残留する場合があり、
有害微生物だけでなく共生微生物まで殺してしまい、植物の生育に影響を与えることもあります。
最近の研究では、ベノミルがトマトの根の細胞内器官の形成を阻害することも報告されています。
アメリカでは90年前後にベノミルを原因とする農作物被害に関する数百件の損害賠償訴訟や、
同じくベノミルの妊娠中の曝露が原因で子供の先天的無眼症など眼の障害が生じたという複数の訴訟によって
デュポン社は多額の補償金を支払うことになり、01年末で国内の製造・販売を、02年までには海外の販売を中止しています。
(参照)上村振作・河村宏・辻万千子著「農薬毒性の事典 第三版」三省堂
そこへどういうわけか某企業がベンレート事業を譲り受けました。
その理由については『継続して使いたいとの多くの生産者のニーズに応えるため』と伝えられましたが、
デュポン社の販売中止までの経緯を知れば、非常に理解に苦しみます。
このベノミルですが、みかんに限らず他の農作物の防除暦でも頻繁に登場します。
人の健康よりも経済や流通コストを重視しているのか、それとも何か裏側があってのことなのかはわかりませんが、
国は国民を守ってくれないということは確かなようです。
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こうして身近な農作物が実際どのような農薬を使用して栽培されているかを知ると、よりいっそう他人事とは思えなくなります。
国の定めるADI(一日摂取許容量)は、どれだけ信用できる?
もちろん国には農薬の安全性をチェックする仕組みは存在し、
農薬の登録基準や残留基準を決める時に欠かせない数値、
ADI(一日摂取許容量)という指標があります。
つまりADIとは、
「一生涯にわたり毎日摂取し続けても危害を及ぼさないとみなせる体重1kgあたりの農薬の量」
を数値として表したものです。
ADIの数値を出すには、ラットを使った長期に渡る毒性試験などの結果が利用されます。
それらの試験のなかでも最も低濃度で影響のあった試験を選んで、その試験でも全く影響のなかった投与量をNOAEL(ノアエル:最大無毒性量)とし、
さらにこのNOAELの値に1/100をかけたものが人体影響がないとみなされる数値、つまりADIです。
(1/100をかける理由は、試験の対象が動物であり、人体の影響を直接検査したものではなく、
さらに個人差もあり薬品に敏感な人もいるので幾重にも安全性の網をかけるためと言われます)
このADIをもとにして、国の農薬登録保留基準や残留基準を定めています。
これをもって検査した結果、作物中の残留農薬や一日に摂取しているであろう農薬量は極めて少なく、
複数の農薬の相乗毒性についても問題がないと主張し、農薬の発がん性や環境ホルモンの危険性、環境に与える影響などを危惧する人・団体を「重箱の隅をつついている」と批判する声もあります。
しかし、いくら分析技術が進み、数値の上ではごく微量で問題がないとしても、
農薬の被害は認可された後になってわかってくるものです。
数々の健康被害が叫ばれ、患者が裁判に勝訴した実例もあるなかで、
こうした事実についてはどのようにとらえるのでしょうか。
日本で使用が大幅規制緩和された農薬グリホサートで末期ガンになった患者が勝訴!とうとう裏付けられた農薬と発がん性の関係性。日本人もすでに危険に晒されている。今すぐ使用禁止を訴えよう!
分析の上では安全な数値であったとしても、その結果だけでは十分ではありません。
人の健康や生態系への影響については、一代限りで安全性がはかれるものではありません。
自分やその子供、孫、ずっと先の子孫やその環境のことまで配慮されなければ意味がないのです。
また、医療の分野で抗生物質の多用による耐性菌の問題が指摘されているのと同様、
農作物の病害虫の薬剤抵抗性についての問題もあります。
いくら農薬を開発しても病害虫が耐性を身につけてしまい、現在もイタチごっこが続いています。
人工的な農薬を使用することの限界を感じざるを得ません。
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自然のめぐみを収穫するのではなく『合成』している?原点に帰って考えよう!
今回この防除暦を見たときに、自然農提唱者として知られる福岡正信氏の、
こんな言葉が頭をよぎりました。
いわゆる現在の近代農法というのは、自然を生かして、自然のめぐみを収穫するというのではなくて、
チッ素、リン酸、カリをあわせて米を合成する、野菜を合成する、果物を合成しているんでないか。
私はこういうのを、加工業者だというんですよ。
近代農法っていうのは、それのまねごとをしてるんじゃないですか。
人工的な、自然のものに似た、にせものを作っているにしか過ぎないんです。
だから、野菜でもですね、自然のものだと思ったら、味がちがう。
これは、チッ素、リン酸、カリという合成品で、ただ、わずかに、その野菜の種を使って、
それに吸収させて、そのチッ素、リン酸、カリが変形したものが、そのものの味になってるんです。
(中略)
いろんな肥料や農薬の加工製品にしかすぎない。
「わら1本の革命」より
IN YOU読者の方々であれば、こうした農薬の問題について「原点に立ち戻る」という必要性を感じておられる方も多いと思います。
農薬の目的は、あくまで人間と作物にとって都合の悪いものを排除することが前提です。
農薬や化学肥料・動物性肥料をたくさん投入することで、
見た目や大きさのよい野菜や果物がたくさん店に並ぶようになったのは、
そういうものが好ましいとして選んできた私たち消費者にも大きな原因があります。
しかし、
「虫がたくさん寄ってくるのには原因がある」
「草が生えることにも意味がある」
「虫や菌を悪者扱いしない」
そのように考え方がシフトすれば、少しずつであれ、選ぶ食べ物も変わってきます。
今すぐに、すべての野菜や果物を無農薬で、自然な栽培方法のものにするということは不可能です。
しかし、買う側が食べ物の安全性について、より具体的に深く掘り下げて調べ、考え直してみることは、一人ひとりの買い物のあり方を変えます。
買う側の求めるものが大きく変わってくれば、
いくら学者が机上で農薬の安全値をはじき出したとしても、
それは社会的にはまったく意味のないことです。
私たちには、実は大きな力があるのだということをもっと知って下さい。
そうなれば、大量生産・大量消費によって健康が害され、
医療費が雪だるま式に膨らむ世の中を終わらせ、本当の意味で豊かで幸せな世の中が訪れるのではないでしょうか。
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参考文献:
https://www.jacom.or.jp/archive01/document/agrbis/news/02071902.html
・フランス グルホシネート(バスタ)の登録取消し
・齋藤訓之著「農業をはじめたい人の本」(成美堂出版)
・寺岡徹監修「図解でよくわかる農薬のきほん」(誠文堂新光社)
・福田秀夫著「農薬に対する誤解と偏見」(「今月の農業」編集室)
『土と健康』 農薬と人体被害の実態
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