免疫力アップは唾液の質を高めることから!消化管の入口「唾液」が健康の鍵を握る?
突然ですが、皆さんは「口腔ケア」をしていますか?
「口腔ケア」と聞くと、口の中だけを清潔にすると思われがちですが、
実際は「カラダ全体の健康を保つケア」のことをいいます。
口腔ケアがカラダ全体の健康を保つだなんて驚きですよね。
私も約5年前に出会った歯科医師の方から、
「口腔内がカラダの健康に左右し、歯は臓器と繋がっている。」
そう聞いて目からうろこでした。
しかし欧米諸国では、
「お口のエチケットがビジネスにおいて重要」
と考えられているほど常識化されています。
今回は、口の中でも、特に免疫に関わるとされる「唾液」についてお伝えします
免疫とは、身体を守ってくれる目には見えないサポーター
まずは免疫について簡単にお伝えします。
生物である私たちヒトには、
異物(病原体や有害物質など)の侵入を防御したり、
侵入してしまった異物を排除する「免疫」というしくみがあります。
この免疫には以下の2種類があります。
①自然免疫:もともとカラダに備わっている働き
②獲得免疫:あとから異物の刺激に応じて形成される免疫
免疫は、異物から私たちの身体を
健康な状態に維持しようと頑張ってくれます。
しかし、免疫機能が低下しても、過剰になっても、
免疫応答の異常によるさまざまな病気があります。
<免疫が低下して起こる病気>
・日和見感染
・エイズ
・ガンなど
<免疫反応が過剰・異常で起こる病気>
・アレルギー
・自己免疫疾患であるバセドウ病やⅠ型糖尿病、全身性エリテマトーデスなど
免疫が過剰や低下に偏ることなく、
結局はバランスのとれたカラダづくりが必要です。
免疫能力を維持するために必要なことは?
私たちの身体は食べ物によってできています。そのため食事は非常に重要な役割を担っています。
栄養は偏ることなく、自分自身の身体と相談しながら、
体内に必要な分を摂取する必要があります。
免疫能力の維持に必要なのは、バランスの取れた食事です。
食事だけでなく、私たちには身体機能を一定に維持するための自律神経もあります。
この自律神経が乱れることも免疫機能の低下に繋がります。
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また、睡眠不足も自律神経が乱れるきっかけにもなります。
自分の身体をよく観察することは非常に重要です。
私は常に、
食事を摂った後の体調を観察したり、
リラックスしている状態の体調を観察したりしています。
そうすることで、日々の自分の身体の変化に気づいていきます。
私はもともと身体が弱い方なので、
無理をしすぎると、おりものに変化が出る、
扁桃腺が腫れる、朝起きたら舌苔が白いなど、
何らかの症状が現れます。
その症状を見逃さないように、ありがたく受け止めて
身体を休めるように心がけています。
どのような時にどんな症状が出るかは人によって様々です。
唾液に含まれるIgA(免疫グロブリン)は免疫の陰の立役者
次は、いよいよ今回の本題「唾液と免疫の関係性について」
お伝えします。
私の事例になりますが、
私は幼いころから胃腸が非常に弱い上に偏食で、
いつも口呼吸をしており、
食事の時もあまり噛まずに食べる「早食い体質」でした。
そのため、意識しないとすぐに体の不調が現れます。
先にもお伝えしましたが、
私の場合、免疫力が下がると「舌苔が白くなる」のです。
健康な方だと、あまり口の中まで意識はされないと思いますが、
不調になると唾液の量が減ったり、舌苔の色が変わったり、
様々な症状がでてきます。
口の中で非常な役割を持つと言われる唾液ですが、
その唾液には免疫機能が備わっています。
唾液に備わっている免疫機能は、IgAという免疫グロブリンです。
このIgAという免疫グロブリンは、
唾液以外にも乳汁や胆汁、腸液などいろいろな機関から分泌しています。
参考:健常男女成人における唾液の分泌型免疫グロブリンA濃度に対する深海鮫肝油含有食品の効果
このIgAの役割は、
①ウイルス中和
②細菌凝集
③粘膜上皮細胞への細菌付着の阻止
④食物アレルゲン物質の結合
などがあります。
この唾液に含まれるIgAという免疫グロブリンのおかげで、
身体に侵入してくる異物を第一線で防御してくれています。
唾液で防ぐことができなかった異物を
身体の至るところからでている免疫グロブリンが
防御や排除する役割をしています。
消化管の入口『唾液』|免疫の他にも健康維持の多くの役割がある
唾液は口にあり、口は消化管の入り口です。
消化管の入り口が口であれば、出口は肛門。
この消化管は、身体に必要な栄養素などを吸収する役割以外に、
ウイルスや細菌などから身体を守る機能も備わっています。
身体を守る機能を持つ消化管の入り口である『口』に含まれている唾液には、以下の9つの役割があります。
<唾液が持つ9の役割>
①咀嚼・嚥下の補助作用: 食物を湿らせ、固まりやすく飲み込みやすくする
②溶媒作用: 唾液と食物によって味を感じる
③洗浄作用: 食物中に含まれる繊維物質を噛むことで口腔内が洗浄される
④化学的消化作用: 唾液に含まれるアミラーゼがでんぷん質を麦芽糖に分解する
⑤歯や粘膜の保護作用: 唾液タンパクに覆われ磨耗・脱灰から保護
→感染や機能的損傷からの保護
⑥緩衝作用: pHバランスと脱灰抑制作用
⑦抗菌作用: ペルオキシダーゼ・免疫グロブリン・ラクトフェリンなどによる細菌抑制作用
⑧歯の再石灰化作用: 脱灰された歯の再石灰作用
⑨発ガン性・変異原性抑制作用: 発がん性・変異原生を抑制する作用
参考:厚生労働省HP
このように、唾液には健康維持のための様々な役割があります。
免疫も役割の1つであり、
消化管の入り口から身体を守るために、
必要な役割を果たしてくれています。
みなさんの唾液は正常に分泌していますか?
消化管の終わり『肛門』|腸内環境のよしあしが免疫を左右する
さて、口は消化管の入り口でしたが、腸内と肛門は出口です。
この出口はいわば『体内の結果』です。
肛門からの便によって、
体内環境がどうか、結果として目で見ることができますよね。
便の色や形、臭いなど、
毎日観察している方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「昨日よりも大きく太く出て、バナナ以上だった」
「形がなくて、下痢だった」
毎日の便によって体調は様々ですが、
免疫力が低下していると、
下痢や腸粘膜異常、食物アレルギー、便秘などになっていることがあります。
これらは腸内の細菌バランスの乱れによって生じるもの。
そんな腸内細菌には、以下の8つの役割があります。
<腸内細菌の8つの役割>
①有害物質、発ガン物質の分解・排泄
②病原菌・有害菌からの感染防御
③免疫系の賦活
④各臓器の機能の活性化や保全に関与
⑤腸内pHの調整と腸の蠕動運動の活性化
⑥ホルモンやビタミンの産生
⑦脂質代謝への関与
⑧消化・吸収・代謝への関与
腸は消化管の出口側ですが、
入り口の『口』の影響を大きく受けます。
口腔内の環境が非常に重要になるのです。
免疫を左右するのは唾液だった?
消化管の入口『唾液』が出口にある『腸内環境』を左右
先にお伝えしたように、腸内環境が免疫を左右するのですが、
さらにその腸内環境を左右するのが『唾液』なんです!
たとえば、
消化管の入り口である口腔内で歯周病になったとします。
その歯周病菌は身体をめぐりめぐって、腸内へ流れていきます。
その菌によって腸内細菌のバランスが乱れ、
腸内の保護機能が低下し、
血中に細菌由来の毒素量が増加することになります。
つまり、口腔内の菌が腸に影響を及ぼすのです。
また、歯周病菌は、高脂血症や動脈硬化、
糖尿病と関わりがあるとも言われています。
参考:歯周病と糖尿病の関係-日本歯科医師会
腸内細菌を調整することで、
糖尿病の発症を予防できる可能性があるという報告もあります。
参考:糖尿病と腸内細菌
さて、ここまでで、
消化管の入口にある『口腔内』と、出口である『肛門・腸』が、
各臓器の病気に関与する可能性についてお伝えしてきました。
次に、あなた自身の免疫力はどうなっているのか、
唾液の量で確認してみましょう。
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さて、以下の項目の中で、
あなたに当てはまるものはありますでしょうか。
□お酒をよく飲む
□口の中がネバネバする
□パンなどの乾いた食品が飲み込みにくい
□舌のひび割れ
□口臭の悪化
□薬の副作用
□ストレス・緊張による交感神経の刺激で唾液の分泌量が少なくなっている
□口呼吸
参考:厚生労働省のHP
これらのうち複数にあてはまる方は、
唾液量が少なくなっているかもしれません。
それでは、唾液の質をアップする方法には
どのようなものがあるのでしょうか。
免疫力に大いに関係?唾液の質をアップする6つの方法
唾液の質をアップする方法は以下の6つです。
①リラックス:副交感神経が優位のときに口腔内を洗浄する殺菌力のある唾液が分泌
②口呼吸をやめる(睡眠時も含む):口腔内の乾燥を防ぐため
③唾液腺のマッサージ:舌をよく動かして唾液腺を刺激
④姿勢改善:胸を開き深呼吸することで副交感神経を優位にする。前かがみや過緊張で交感神経が優位になるため
⑤起床後に歯と舌を磨く:起床時は唾液量が減少し、細菌が口腔内で増殖しているので朝食前に細菌を飲み込まないため
⑥腸内細菌のバランスを整える:腸内環境を整えることで身体の免疫力が向上、食物繊維や発酵食品などを積極的に摂取
免疫力アップは唾液の質改善から!目指せ健康なカラダ作り
新型コロナウイルスの影響で、
免疫力を上げることの重要性がいたるところで叫ばれています。
口の中の状態が免疫と大きく関わっていることはあまり知られておらず、
唾液のことを気にされている人はあまりいないと思いますが、
ぜひこの機会に唾液の質をアップさせて免疫力を高め、
いっそう健康なカラダ作りを目指しましょう!
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