目覚ましい発展を遂げ今や日本も追い抜き、先進国となりつつある注目の中国という国の医療の現状とは?
今や目覚ましい発展を遂げ日本を追い抜き先進国となりつつある注目の中国という国の医療の今
最近何かと話題の中国。
一昔前までは、パクリ文化や食の汚染など色々よくないイメージがあったかもしれませんが、今や日本を超える先進国になりつつあります。
高層ビルが次々と建ち、日本とは比べものにならないような富裕層が登場したり、
グローバル企業として羽ばたく組織も次々と登場したり・・・、
日本の方が先進国であるというイメージも過去のもの。
すでに追い抜かれ気味ということはご存知の方も多いかと思います。
皆様はそんな中国の医学というと何を思い浮かべるでしょうか? 漢方(薬)、鍼灸、気功、経絡、陰陽五行などでしょうか?
IN YOUでもよく取り上げている東洋医学のようなイメージもあるかと思います。
何せ歴史の深い国です。
今の遡ることおよそ3500年以上前、紀元前1600年代にはすでに生薬が使われていたと言います。
今や世界も注目する中国医学の歴史とは?
2000年ほど前の前漢時代(紀元前202~8年)には「黄帝内経(こうていだいけい)」という医学書が作られ始めたとされています。
この書の原本は未だに発見されていませんが、日本にも写本が存在しています。
「黄帝内経」は中医学の原点とも言われ、自然界の万物を陰と陽に分け、さらに自然界の要素を木・火・土・金・水の5つに区分し、人体を五臓六腑に分類していく陰陽五行説を基調に構成され、これらの概念が、現代の漢方、鍼灸、気功などの実践へとつながっていきました。
この技術は今やアジアだけでなくヨーロッパやアメリカなどの先進国も大注目しています。
現代にも受け継がれる漢方医学のルーツは?
西暦200年には張仲景という医師が「傷寒論(しょうかんろん)」という医学書を編纂しました。
この書では生薬の使い方を始め、急性熱病の治療法がさまざまに記されており、その後の中国医学の礎を築く典拠となりました。この書は日本にも伝わり、漢方医学の礎に。
ちなみに漢方医学とは中国医学のことではなく、中国医学を基に日本で発展を遂げた医学体系のことを言います。
その後、西暦500年ごろには陶弘景という学者が、「神農本草経」という薬学書を編纂。
この書は365種の薬物をその薬効から、生命を養い延命に役立つ主要な生薬である「上薬」、健康に役立つが毒にもなりうる「中薬」、
病気を治すが副作用もあり長期服用ができない「下薬」に分けており、薬物治療のバイブルとして使われ続けました。
その後、中国医学は「黄帝内経」の理論をもとに発展していき、望診・問診・聞診・脈診などの診断技法などが確立されていきました。
明の時代、1578年には李時珍が「本草網目(ほうぞうこうもく)」を完成させ、江戸時代には日本にも伝わり、漢方医学に多大なる影響を与えました。
これは、現代でも多くの研究者が薬物学のバイブルとして使っている超ロングセラー作品なのです。
現代にもつながる「中医学」の登場
現代に入り、西洋医学に飲み込まれてしまった、中国医学だが……
では現代ではどうなのでしょう。
1700年ごろになると中国に西洋医学が伝来し始めました。
19世紀に西洋医学が急速な発展を遂げると次第に中国医学は影が薄くなっていき、20世紀に入るとこの動きはますます強まっていきましたが、
一方で西洋医学の長所を取り入れながら中国医学を発展させていこうという機運も生まれたのがこの頃。
そして中国が二大勢力に分かれた1940年代、蒋介石率いる国民党は中国医学排斥の立場を取りました。
一方、毛沢東が首席を務める中国共産党は中国医学擁護の立場を取り、1949年に中華人民共和国が成立すると、中国医学を見直すことに。
これは現代にもつながる、「中医学」とよぶ医学体系にまとめ直されました。
そして「中医学」を習得した者は「中医師」という資格が与えられることになりました。
現在、中国では西洋医学を習得した医師と、中医学を習得した中医師の2つの医師資格が併存しています。
なお、中医師は生薬処方を行う医師と鍼灸や整体などの治療を行う医師の2つの類型に大きく分けられます。
気になる現在の中国の医療・健康事情
家庭の経済力によって受けられる治療が変わってしまう、やや差別的な保険制度
さて、ここで現在の中国の医療事情について紹介しましょう。
中国の医療環境は日本ほど整備されていませんが、医療の中心は日本と同じく西洋医療をベースとした医療を提供する医療機関が担っています。
しかし、大きな特徴としては、国民が自由に医療機関を選び、標準的な治療を等しく受けられる日本とは異なるところ。
受けられる医療が経済力の差で変わってきてしまうのです。
まず中国で病院を受診する際、患者は始めに「掛号費」と呼ばれる受付料を支払い、自分で担当医を指名するそうです。
そして、驚くべきことに、医師にはランクがあって、ランクによって診察料が異なるそうです。
クラブのホストやホステスの指名料みたいなものがある訳ですね。
中国の保険の種類。大きく3種類の医療保険
が存在します。
保険によって使える医薬品の種類も変わってきます。
この中で一番、優遇されているのが①都市労働者医療保険。
被保険者は医療機関から処方される医薬品を自己負担なく利用することができます。
そして、②、③の順で自己負担しなくてはならない医薬品の数が増えていきます。
「このような差をつけるべきでない。日本を見習うべきだ」という意見もあります。
今後変わっていく部分もあると思いますが、何せ人口が多く、地域性が色濃く残っているのが中国です。
制度の統一はとても難しいお国柄なので、日本のような皆保険制度が確立するとしてもまだ先のことだと思われます。
中国人の主な死因と、日本と比較しての傾向とは。
がん、心筋梗塞・・・日本と似たような傾向も
中国も日本同様、生活習慣病の患者が多く、心筋梗塞・心不全などの心血管疾患、がん、肺炎・COPDなどの呼吸器疾患で亡くなる人が90%近くを占めています。
また、中国の農村部では、未開なところも多く、衛生状態が悪いため、戦前戦後直後の日本のように感染症による死亡例も都市部に比べて多く見られます。
さらに、水や食べ物から感染するA型肝炎やE型肝炎、血液や体液から感染するB型肝炎やC型肝炎も多く見られます。
都市部では自動車の排気ガス、石炭を燃やしたときに出る汚染物質などにより大気汚染が深刻化しています。
のどや肺など気管支の病気が多く、肺結核は2015年の調査では80000人以上が罹患し、2000人以上の方が亡くなっているとのこと。
エイズ感染者も一定以上いる中国
また2015年の調査ではエイズに1年間で50000人以上が感染し、13000人近くが亡くなっているとのことです。主な感染の原因は麻薬の注射や売血、性交渉など。
人口が多いだけに、また先進国とはいえ、まだ貧富の差が激しいこともあり日本とは少し違う傾向も見られます。
他に今の日本では考えられないのが放し飼いにされた犬から噛まれることによる狂犬病。
2015年時点で、年間700人以上の狂犬病死亡者数が確認されています。
中国医療のこれから。まだ西洋医学に飲み込まれがちだけれど世界が注目する中医学にも目が離せない。
先ほどもお伝えした通り、中国も日本と同様、医療の中心は現代では西洋医学です。
中国だからといって全ての病院が東洋医学であるわけではないのです。
そこは日本と似ていますね。
また、中医学は評価され始めている注目分野ではあるものの、ヒト試験などで効果を積み上げていく西洋医学に比べると実証性には劣ることもあり、
治療を受ける側が信頼しきれない、治療する側も確信をもって患者に応対しきれないといったケースが出やすいと思われます。
しかし、中医学は世界からも注目されている分野であることは間違いなく、
対症療法であると言われがちな薬物治療に比べると体に負担の少ない方法でケアすることができなど、西洋医学と比較し、計り知れない利点も多いです。
また、西洋医学は解剖学的、分析学的手法で治療の正当性と社会的信用度を高めていきました。
世界の医学者たちはどんなことでも解析してメカニズムを把握してやるぞ、自分たちが人類救済の歴史を作るのだ、といった気概を持ち、多くの発見を次々に続けていきました。
そこには畏敬の念を禁じえません。
でも一方で、今は亡きおばあちゃんが「これを飲むと風邪も治るよ。待っててね、今作ってあげるから」といってこしらえてくれた生姜湯や玉子酒などは、
病院で処方される薬のような即効性や効果はないとわかっていても、「ありがたいものだ、こういうものはなくなってはならないものだ」としみじみ思うものです。
実際のところ、先人の知恵の中には、根拠が曖昧ないい加減なものも多少は含まれているかもしれませんが、理にかなっているものもあるでしょう。
そして、これらの知識や想いを信愛して引き継ぎ、これをアップデートしながら、中医学者や漢方学者は中医学や漢方の体系を構築していったのです。
中国では西洋医学が構築してきた科学的検証技法を一部踏襲しながら、生薬の有効成分や経絡・経穴刺激などの効果を検証・確認していく動きが劇的に進んでいます。
さまざまな情報がWEBで即座に飛び交う今。
西洋医学も東洋医学も混沌としており、消費者や患者が自ら治療の方法やケア方法を選択できる時代になってきています。
特に都会では西洋医学のクリニックのみならず、漢方や中医学専門医のいるクリニックもたくさんあります。
中国医学や漢方医学は先人たちが年月をかけて積み上げてきた大切な資産です。
これらの中には先人たちが解明しきれず、うまく活用されていない成分や治療法という「宝」がまだまだたくさん眠っていることは言うまでもありません。
すばらしい検査法や分析法というシャベルやドリルを持ち出した科学者たちは、今まさに血眼になってこれらの宝の掘り起こし作業を進めている最中なのです。
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