学校に行けないのは君のせいじゃない!~自律神経と睡眠との深い関係について〜
夏休みも終わり、生徒児童のにぎやかな声が街中に戻ってくる時期です。
…が、この時期をすんなり喜べない人もいます。
いわゆる「普通」に子供が学校に行って帰るという生活をしていたころには、
私自身もこんな思いで新学期を迎えるなんて思ってもいませんでした。
プライベートではありますが、実は私も何年もこの問題の真っただ中にいます。
不登校という、トンネルです。
今現在、医師に相談をしながら子どもとゆっくり向き合っている最中のこの問題を、
ここでじっくり整理して見つめ直してみたいと思います。
日本における不登校の推移
ここ内閣府の出した「平成30年版子供・若者白書(旧 青少年白書)」によるデータがあります。
また文部科学省がまた2017年に公表した平成28年度の問題行動・不登校調査で、1千人当たりの小中学校の不登校(年間の欠席日数30日以上)児童生徒数が、過去最多の13・5人(前年度12・6人)に上ったことが分かりました。
これらの調査結果から、大人には分からないところで子供たちを蝕む、ある状況が分かります。
それは、子供たちが不登校になる要因です。
上から2つ目の今日の「不登校の要因」を見てください。
現在の不登校の要因の1位は「いじめ」でもなく、「非行」でもなく
「不安」「無気力」が6割以上を占めているのです。
私も当事者になる前は、特に不登校に否定的ではなかったにしても
「学校に来られない子もいるんだな」
くらいにしか感じたことはありませんでした。
言ってしまえば我が子ではありませんし、他の家庭の事情も環境も分かりません。
相談されても「○○さんなら、きっと大丈夫だよ」などと言う、通り一遍等の受け答えしかできないような状態でした。
ところがある日我が家にも同じ状況がやってきたのです。
正直なところ
「なぜうちの子が」
「どうしてこんなことになったのだろう」
と、毎日登校していく他の生徒の後姿を見て涙を流す日もありました。
声を荒げる日もありました。
しかし、子供も色々なことと戦っていたのだと、今になって様々な医師の先生と出会い、
勉強をして気付きました。
もし読者の皆さんの中で、同じようなことで悩んでいる方、
周りにそんな悩みを持っている方をご存知の方
もし今が大丈夫でも、いつ同じような状況が送るか分からない世の中です。(私の様に)
そんな皆さんに、少しでも有意義な情報がお届けできたらと、この記事をお送りします。
「不安」「無気力」はどこから来るのか
2015年1月8日(木)放送のNHK『クローズアップ現代』で
不登校12万人のかげで ~広がる子どもの睡眠障害~
という題名で、睡眠障害が取り上げられていました。
不登校児の多くが睡眠障害を抱えていると言われます。
あなたのお子さんの睡眠は足りていますか?
この番組で紹介された女の子は、体は起きたくても起きる事がつらくて
朝起きられないようになっていました。
本来、夜になると脳の中で眠りを促すホルモンが分泌して眠くなり、
朝になると覚醒ホルモンが出て目覚めます。
しかし彼女は、習い事などの慢性的な寝不足により、分泌されるリズムが乱れ、
夜眠れなくなり、朝起きられなくなってしまいました。
病名は「概日リズム睡眠障害」と診断されました。
彼女の場合はリズムのズレで、睡眠障害の医師と出会い、
結果良い方向に導かれましたが、リズムの乱れが進むと全くの昼夜逆転の
症状になってしまいます。
これを睡眠相後退症候群と言います。
以下が、睡眠相後退症候群の症状になります。
・夕方から夜にかけて目が冴え、0時前には眠れず入眠が午前0~2時以降になるため昼夜逆転傾向となる。
・一度、寝付くと中途覚醒はほとんど無く10時間あるいはそれより長く眠る。
・社会の活動開始時間に起床できない。自然に目が覚めるのは昼ごろとなり、遅刻・欠席・欠勤状態となる。
・長時間睡眠にもかかわらず睡眠質低下に伴う日中の眠気、頭痛、倦怠感、食欲不振・増加が見られる。
・勉強・仕事に集中できない。
・慢性化し、学業・仕事を続けることができない。
・うつ状態が現れる。
・日本だけでなく世界的な問題で不登校(ひきこもり)の主原因。
・治療が極めて困難である。
兵庫県立リハビリテーション中央病院HPより抜粋
我が家もこの状態で、本人は明日起きられるように夜の9時に寝ても、
朝 体を起こすことがまったく出来ない状態にまで陥りました。
また「クローズアップ現代」では
年々、部活動や塾が深夜・早朝にまで及び、真面目に打ち込む子供ほど
睡眠障害に陥る環境が加速していると医師は指摘しています。
2010年に行われた「日本心身医学会総会ならびに学術講演会」での報告によれば、
テレビ、携帯電話、テレビゲーム、インターネットなどの電子機器を合計して
1目5時間以上していると答えた群の62%が不登校を合併しており、
入眠障害がある割合は34%、朝起きられない割合は73%、朝だるさを訴える割合は
64%と高かった。 とあります。
シンポジウム「睡眠と健康」不登校と睡眠障害について増田彰則氏
睡眠障害が子供に与える影響
再び「クローズアップ現代」に戻りますが、
番組内で国立精神・神経医療研究センター客員研究員の白川修一郎氏のお話の中で、
睡眠障害について興味深い内容がありました。
睡眠不足がずっと続いて睡眠障害になってしまって、
脳の一種の過労状態になってしまったんですね。
だから結局、起きたくても起きられない。
一方でまた同時に、やはり睡眠中には成長ホルモンなどの分泌があります。
その分泌がうまくいっていないと。
あと、自律神経の乱れもかなり生じてきています。
だから自律神経失調がたぶん起こっています。
自律神経の失調が起こると、血圧がちゃんと睡眠時に下がらないとか、
体温がしっかり下がらないとか、そういうことがあって、睡眠を長い時間とっても
疲労の回復という働きをちゃんとしない。
それからもう1つは、とりわけ子どもにとっては、睡眠というのは疲労の回復とか、
今言った自律系の再調節をする、非常に大切なものなんですね。
睡眠は、実はもともと一番最初に影響しやすいのが前頭葉なんですね。
睡眠不足があると。
前頭葉とは、例えばものを判断したり、それから例えば意欲に関係していたり、
あるいは記憶に関係していたり、それから記憶を引き出す働きがあります。(中略)
糖尿病もありますね。
例えばインシュリンに対する抵抗性が上がるという報告がありますので、
糖尿病になるリスクも高くなってきます。
この自律神経の乱れが前出の表にあった、不登校の原因でもある「不安」「無気力」
の原因に関係してくるのではないでしょうか。
ましてや糖尿病のリスクも上がってしまうと言われているとは。。。
たかが睡眠と侮るなかれですね。
睡眠のリズムを整えるためにできる事
ここで、私が睡眠外来の医師から言われた何点かをご紹介します。
≪周りがやってはいけないこと≫
・無理矢理学校へ行かせる。
・感情的に責める、説教をする。
・ゲームや携帯電話を取り上げる
≪本人がやるべきこと≫
・起きたら陽の光を浴びる
・睡眠リズムを携帯アプリなどで管理して、自分の睡眠を知る
・起きたら楽しいことがあるようにする
(なので周りはゲームなどを取り上げない)
自律神経の乱れから来る体の不調は、本人の気持ちが学校へ行きたくても
やる気も出ずに体が動かないことが多いものです。
また、こういった症状が出る子供は、真面目で融通が効かないタイプの子に
多く見られます。
そういった子を責めて無理矢理親の言うことをきかせようとすると、
パニックになったり、自傷行動、ひどい場合は家庭内暴力に発展することも
あります。
子供は小さな大人ではありません。
精神的にも身体的にもまだ未熟ですので、しっかりフォローに回れるよう、
私自身も気を付けたいものです。
さて、ここで一番大事なことは、起きたら陽の光を浴びる(見る)ことだと医師は言います。
睡眠にはメラトニンというホルモンの分泌が大きく関わっています。
私たちの体温やホルモン分泌などを調整している体内時計は、25時間周期で動いています。
これを概日リズムといいますが、地球の1日の周期は24時間です。
このズレを調整するのが日光なのです。
朝、陽の光を見るとメラトニンの分泌が止まり、体内時計がリセットして
体を活動状態にします。
また、陽の光を見ることでメラトニンの原料となるセロトニンが作られます。
メラトニンは目覚めてから14〜16時間ぐらい経過すると体内時計からの指令が出て再び分泌されます。
朝7時に起床した場合、夜の9時から11時にメラトニンの分泌が始まります。
メラトニンの分泌が高まると、その作用で深部体温が低下して、眠気を感じるようになるのです。
部屋の中だって明るいじゃない?
とも思われるかもしれませんが、家のリビングでしたら大体300~750ルクス位で読書ができると言われます。
これに比べて太陽の光は…
曇っていても32,000ルクス、晴れた日の日中なら100,000ルクスもあるのです。
家から出られないのであれば、ベランダでも構いませんので、お日様の光の中に立って体内時計をリセットしましょう。
食からも自律神経を整えよう
メラトニンを生成するために必要なセロトニンは、別名『幸せホルモン』とも言われています。セロトニンを増やすことにより、質の良い睡眠を得ることができます。
メラトニンを増やす栄養素とは
2つ目は、トリプトファンからセロトニンを合成するのに必要なエネルギー源『炭水化物』
3つ目は、トリプトファンからセロトニン合成を促進させる『ビタミンB6』
トリプトファンは、バナナ・牛乳・ヨーグルト・チーズなど乳製品や大豆製品に含まれています。
また、くるみ・エゴマ油・アマニ油などの不飽和脂肪酸(オメガ3)にも多く含まれています。
炭水化物は、穀物(米類・麺類・パンなど)・芋類・果物などに含まれています。
ただし精製された小麦粉を使用したパンや、精製された砂糖を使用したものは避けてください。
ビタミンB6が豊富なのはさつまいもで、炭水化物としても摂取できますね。
イワシやバナナからは、トリプトファンとビタミンB6の両方を摂取できます。
そうなると、朝の忙しい時 これは最強ですね。
しっかり太陽の光を浴びて、セロトニンを作る食べ物をしっかり取って、
よりよい睡眠と寝起きが訪れるように、少しづつでも努力していきましょう。
最後にこれを読んでくださった方の中に、私と同じようなお悩みを持った方がいらしたら、
一言だけ言わせてください。
お子さんのことに心を痛めているのはとてもよく分かります。
でもそのために、ご自分の心を壊さないでください。
親が健やかで朗らかであれば、子供の心も健やかになります。
まずは笑顔でお子さんに接してください。一人ではありません。
周りを見渡せばきっと理解して一緒に泣いてくれる人もいます。孤独にならないでください。
同じ時間を過ごすのなら、笑顔でいきましょう。生きて行きましょう。
快適な睡眠について、考えてみませんか?
オススメの記事
微生物の力を毎日の食卓に『おうちで育てる本醸造醬油』の作り方と、子どもたちとつくる伝統調味料。子供の歯並びはお母さんの胎内で決まる。 歯への影響は口の中だけじゃない!子供の将来のために必要な栄養素・避けたい栄養素
2019年次に来るオーガニックトレンドを大予想!幸福度ランキング上位の北欧諸国に見る、ネクスト・オーガニック・ムーブメント
この記事が気に入ったら
いいね!しよう