春の養生は「肝のケア」が最大のカギ。
東洋医学の知恵を借りて、からだを春モードにチェンジしよう。

IN YOU 読者のみなさま、こんにちは。
看護師のほんのりです。

気温も徐々にあがり、だいぶ暖かいと感じる日が多くなりましたね。

新型コロナウイルスの影響でなんだが活気の無い空気が日本全体を覆っている一方で、
街中ではモモの花やモクレン、早咲きのサクラも見られるようになり、
そんな色とりどりの花を目にすると、沈みがちな気分も少し上がります。


東洋医学の視点からみると、春は物事の始まりの季節です。
寒い中で冬眠していた動物が起き出し、草木も芽吹き始めるように、
のびやかなエネルギーがそこここに満ち溢れていく時期なのです。

その反面、冬の間にからだに溜まった毒素を排出しようと、さまざまな不調が出やすいのも春。
冬の寒さで凝り固まっているからだは、簡単には春モードになりづらく、
からだの中のいろいろな器官が調整を行っていく期間でもあります。

そこで今日は、よく見られがちな春の不調を自然のお手当てで解消し、
新年度や新学期を健やかに迎えるための東洋医学的養生のポイントについてお伝えします！

東洋医学で、春は「肝」の季節。
こんな症状、ありませんか！？

東洋医学の「陰陽五行説」では、季節と五臓六腑を対応させて総合的にとらえます。

春は「肝」と対応しており、春に起こりがちな不調では「肝」と関係のある症状が多く見られるのです。

西洋医学の「解剖生理学」の考えに従えば、肝臓はとてもたくさんの役割を担っている内臓です。
その多彩な働きについては、IN YOUジャーナルでも既に、さまざまな記事で取り上げてきたため、
ここではあえて割愛させて頂きます。

ここでは東洋医学的観点から「肝」の主な働きをざっくりとまとめると、

・解毒や分解をする
・血（けつ）を貯める
・“感情”と深く関係する

となります。

従って、肝がダメージ受けると、これらの機能に支障が生じ、何かしらの不調の症状が出てきます。
どんな症状が生じるのか、順を追って具体的に説明していきましょう。

症状①:解毒・分解機能の異常

解毒・分解能力が低下することで、

消化不良や下痢、腹痛、おなかの張り、
口の中に苦いものが上がってくる、

などの症状が出てきます。

症状②:感情の不安定化

東洋医学で肝は「血（けつ）」を貯める臓器、とされますが、
血（けつ）は気（き）とともに感情面に深く関わりがあります。

血液は実際にホルモンなどの運搬もしているため、血（けつ）の巡りが不安定だと、
ホルモンが不安定になることは理解できますよね。

そして肝がダメージを受けた場合、

気持ちが不安定になって鬱的になったり、
逆にそわそわと落ち着かなくなったり、怒りっぽくなったり。

こんな症状が出やすくなります。

症状③:目や筋肉の不調

そのほかにも、肝は目や筋肉にも関わります。

目ヤニや目の乾燥、かすみ目、充血、
筋がこわばりや痙攣も、肝の不調による症状の一つです。

肝に不調が起きていないかをセルフチェックしてみよう

以下は、肝が乱れた時に出やすい症状です。
ぜひ、参考にしてみてください。

□おなかが張り、ガスがよく出る
□食欲にムラがある
□肩こりが辛い
□下痢と便秘を交互に繰り返す
□目の疲れや充血が気になる
□めまいをおこしやすい
□生理不順、生理痛がある
□爪が割れやすい
□足がつりやすい、しびれやすい
□（子どもの場合）ひきつけをおこしたことがある
□口の中が苦く感じる
□生理前に胸が張りやすい
□イライラして怒りっぽい
□（子どもの場合）かんしゃくを起こしやすい
□寝つきが悪く、一度眠ってもよく目が覚める
□夢をよく見る
□情緒不安定になりやすい
□顔が青白い
□気候の変化に弱い

からだを春モードにチェンジ！
春の不調を癒す、ナチュラルなお手当て４選

先ほど、春は肝に対応すると述べましたが、「春の養生法」では肝の機能を整えることが大切です。
その４つのポイントをまとめてみました。

ポイント①:香りで肝を刺激する

肝の乱れは、香りを上手に使って整えましょう。
リフレッシュするような香りは、気のめぐりを調節し、よい気分転換にもなります。

グレープフルーツ・オレンジなどの爽やかな柑橘系のアロマ、ミントなどの清涼感あるアロマ
などが良いでしょう。
個人的にはユーカリやシトラス・シトロネラもオススメです！

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香りのある野菜などを料理に加えるのも効果的です。

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ポイント②:食事で肝の働きをサポートする

旬を迎える春野菜は、春菊、うど、たらの芽、セロリ、わらび、ふきのとう、大根など、
やや苦みがあるのが特徴です。
この“苦味”は毒素を排出するのに効果的、肝の働きを助けてくれます。

冬に溜め込んだ余分なものを排出したい私たちに合わせるかのように、春先に伸びてくるこれらの野菜たち。
自然って、よく出来ているなぁ・・・と感心してしまいます。

適度に取り入れながら、体内の不要物をしっかりとデトックスしていきましょう。

ポイント③:ツボで気の流れを活性化する

東洋医学では、全身に「経絡（けいらく）」と呼ばれる気の通り道があると考えます。
「ツボ」は、この経絡上の刺激ポイントのことです。

このツボを、指で押したり、お灸などで熱を入れて刺激をすることで、
そこに繋がっている臓器や気の通りが良くなる、と言われています。

親指で軽く10秒程度押すことを3セットほど行ってみてください。

以下、肝の働きに関係するツボをいくつかご紹介しますね。

ツボ①:太衝（たいしょう）

画像引用元、参考：『みんなの臓活　五臓をのぞき、活かす　肝／心／脾／肺／腎（尹生花著、ワニブックス）』

脚の親指と、人差し指の骨の間のくぼみにあるツボです。

ツボ②:三陰交（さんいんこう）

画像引用元、参考：『みんなの臓活　五臓をのぞき、活かす　肝／心／脾／肺／腎（尹生花著、ワニブックス）』

内くるぶしから指4本分上に位置するツボです。
肝経（かんけい）・脾経（ひけい）・腎経（じんけい）の3つの経絡が交わるポイントで、
女性にとって非常に重要と言われる万能ツボです。

ツボ③:足五里（あしごり）

画像引用元、参考：『みんなの臓活　五臓をのぞき、活かす　肝／心／脾／肺／腎（尹生花著、ワニブックス）』

足の付け根の少し下の部分にあるツボです。

☆足五里の「肝経」をマッサージ

画像引用元、参考：『みんなの臓活　五臓をのぞき、活かす　肝／心／脾／肺／腎（尹生花著、ワニブックス）』

ツボはピンポイントで刺激していきますが、経絡は実際に道のように繋がっています。
写真でもわかるように、肝経は太ももの内側を通っており、
ここを全体的に線に沿うように手のひらでマッサージするのも、肝の活性化には効果的です。

参考：『五臓をのぞき、活かす肝/心/脾/肺/腎　みんなの臓活（尹生花著、ワニブックス）』

ポイント④:自然のエネルギーから春の気を取り入れる

春は、陰陽で言うと”陽”の季節になります。
上述しましたが、この季節は、エネルギーを伸ばしていく時期です。

朝日を浴びながら自然の中を散歩したり、
旬の野菜を食事に取り入れたりしながら春の“陽”の気を取り入れると、
からだも徐々に春モードに切り替わっていくでしょう。

こんなときだからこそ。
自然のリズムと合わせた暮らしを

現在の社会的情勢では、どんな方でも鬱々としやすいのではないでしょうか。

新型コロナウイルスの問題がある今、不特定多数の人との接触は確かに控えたいところですが、
自然のパワーを感じられるような体験を意識して行ってみてはいかがでしょうか？

入り乱れるように流布する情報に振り回されると、混乱・不安な気持ちを助長してしまいがちですが、
ポカポカ陽気のなか、太陽の光を浴びながら咲き始めている花々を見たりすれば、
穏やかで清々しい、希望の気持ちを感じられるはず。

いつも変わらずに、四季折々の表情を見せてくれる自然は、
不安を始めとする私たち自身のネガティブな思いを吸収してくれます。

こんな時だからこそ、自然のリズムとからだのリズムを合わせ、
心身共に健やかな暮らしをしてみませんか？

この記事が少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。

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