アトピー性皮膚炎に悩んできた現役医学生がエビデンスから探る、正しいアトピー対策とアトピーが悪化する原因
現在、アトピー性皮膚炎との向き合い方についてはさまざまな意見が溢れています。
正しいスキンケアとはどういうものか。
入浴はすべきなのか。
どうして悪化するのか。
今回は、自身の体験談も踏まえながら、
現役医学生である私がエビデンスから探る、
アトピー性皮膚炎との向き合い方についてお伝えします。
医学的に正しいアトピーのスキンケアとは?
アトピーの正しい入浴
アトピー性皮膚炎では、皮膚の汚れや皮脂だけでなく、
ステロイドなどの外用薬や汗などの体液が皮膚に付着することで、
黄色ブドウ球菌をはじめとした皮膚の常在菌が定着し、
皮膚症状が悪化することがあります。
入浴やシャワー浴により皮膚を清潔に保つことで、
皮膚の生理機能を維持できます。
入浴やシャワー浴の後は、適度に保湿剤や外用薬などを塗ることが重要です。
ここでは「シャワーの温度」と「洗剤の使い方」について注目してみましょう。
シャワーの温度
36-40℃は皮膚のバリア機能回復に至適で、42℃以上で皮膚にかゆみを引き起こす。
(出典:Murota H, Izumi M, Abd El-Latif MI, et al: Artemin causes hypersensitivity to warm sensation, mimicking warmth-provoked pruritus in atopic dermatitis, JAllergy Clin Immunol, 2012; 130: 671―682.Denda M1, Sokabe T, Fukumi-Tominaga T, TominagaM: Effects of skin surface temperature on epidermal permeability barrier homeostasis. J Invest Dermatol,2007; 127: 654―659.Cheng X, Jin J, Hu L, et al: TRP channel regulates EGFR signaling in hair morphogenesis and skin barrier formation, Cell, 2010; 141: 331―343.)
入浴・シャワー浴時の湯の温度は、
皮膚への影響や入浴の気持ちよさを考慮して、
38-40℃が最も良いでしょう。
これ以下だと、冬場は寒いですし体が温まりません。
一方で、これ以上だと皮膚にダメージを与えてしまい、
アトピー性皮膚炎を悪化させてしまいます。
かくいう私も熱いシャワーが好きですが、
この事実を知ってから気を付けるようにしています。
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洗剤の使い方
アトピー性皮膚炎には洗剤を使うべきではないと考えている人もいるかもしれませんが、
アトピー性皮膚炎に対する洗剤の使用に関しては、
いまだ明確なエビデンスのある定説はありません。
むしろ、少なくともアトピー性皮膚炎に洗剤を使うことは悪影響を与えないとされています。
長期間入浴時に石鹸を全く使用しない患者群を対象に,一般的な石鹸による洗浄を行った症例集積研究では,症状は改善し増悪はみられなかった。
(出典:Uehara M, Takada K: Use of soap in the management of atopic dermatitis, Clin Exp Dermatol, 1985; 10: 419―425.上原正巳:アトピー性皮膚炎における入浴時の石鹸使用について,皮膚臨床,1981; 23: 1049―1052)
しかし、石鹸・洗浄剤は主に界面活性剤で構成されており、
使いすぎると皮膚の乾燥が悪化を招くことがあります。
私もアルバイトで食器洗いを沢山していた時は、
皮膚炎が悪化したことを覚えています。
また、洗剤に含まれる色素や香料などの添加物は
皮膚への刺激になる可能性があります。
皮膚への刺激を最小限に抑えつつ、
皮膚の清潔を保つには皮膚症状の重症度に合わせた洗剤の使用が重要です。
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【乾燥が強い又は洗剤がしみて痛い部位】
洗剤の使用はできるだけ少なくし、ぬるま湯で洗う程度にします。
なぜなら、皮脂の融点は約30℃と言われており、
ぬるめの湯でもある程度皮脂は取り除けるからです。
【脂ぎっている、または軟膏を毎日塗る部位】
皮膚症状の悪化させる原因を除去する目的で、洗剤を積極的に使うべきです。
使用する洗剤は刺激が少なく、アレルギー性が低く、
色素や香料などの添加物ができるだけ少なく、
洗浄後に乾燥して肌が突っ張りすぎないものを選択すると良いでしょう。
また、洗い方にも注意が必要です。
こすりすぎると皮膚へのダメージになってしまうので、
よく泡立てて優しく皮膚の汚れを落とします。
決して洗いすぎないように。
そして、洗剤が皮膚に残らないようにしっかりすすぐことも重要です。
アトピーの保湿の重要性とは
保湿剤を使うことで、アトピー性皮膚炎で低下している角質の水分を補い、皮膚のバリア機能を回復させ、アレルゲンの侵入を防ぎ、痒みを抑えることができる。
(出典:Loden M, Andersson AC, Andersson C, et al: A double-blind study comparing the effect of glycerin and urea on dry, eczematous skin in atopic patients, Acta Derm Venereol, 2002; 82: 45―47.川島 眞,沼野香世子,石崎千明:アトピー性皮膚炎患 アトピー性皮膚炎診療ガイドライン作成委員会者の皮膚生理学的機能異常に対する保湿剤の有用性,日皮会誌,2007; 117: 969―977.van Zuuren EJ, Fedorowicz Z, Christensen R, et al:Emollients andmoisturisers for eczema(Review), Cochrane Database Sys Rev, 2016.)
入浴後はすぐにに皮膚の乾燥が進み乾燥肌になっていくので、
保湿剤を塗らないまま放置するのは推奨されません。
汗が引いて体のほてりが収まったら、
できるだけ早く保湿剤を塗って、水分の蒸発拡散を小さくするべきです。
そうすることで、皮膚は水分を保持し乾燥を防ぐことができます。
乾燥肌に対するケアでは低下している水分を補うため、
保湿性の高い親水性軟膏や吸水性軟膏を塗ることが重要です。
例えば、ヘパリン類似物質含有製剤や尿素製剤が挙げられます。
また、白色ワセリンや亜鉛華軟膏などは皮膚に対する保護作用を持ち、
障害された皮膚のバリア機能を補充するために使われます。
外用保湿剤を塗る回数は1日1回よりも、
1日2回(朝・夕)の方が保湿効果は高いです。
そのうち 1 回は入浴直後が望ましいです。
アトピー性皮膚炎患者の皮膚は、病変部位だけでなく、
正常に見える部分も皮膚から多くの水分を失い、
乾燥肌の状態になる傾向があります。
なので、正常に見える部分にも保湿外用剤を塗り、
皮膚炎の部位には炎症を抑える作用のある外用剤を併用すると良いでしょう。
私も朝の洗顔後と夜の入浴後と就寝前に保湿ケアをするようにしたところ、
皮膚炎に良い影響を感じました。
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アトピー患者が汗をかいた時の対処法
高温高湿環境を回避することが重要です。・通気性がよく吸湿性の低い肌着を着用する。
・かいた後の汗は放置せず,シャワーを浴びたり、おしぼりを使い汗を拭く。
・濡れた衣類を着替える。
などに注意してみましょう。
汗が皮膚に長い時間残っていると皮膚の温度が高く湿度が高くなり、
アトピー性皮膚炎を悪化させる可能性があります。
一方で汗は角層の水分保持、角層の剝脱を調節する作用、
皮膚表面の感染防御などのメリットがあり、
上手に付き合っていくことが必要です。
発汗を避けることが症状の軽快につながったというエビデンスはなく、
発汗を避ける必要はありません。
それよりも、発汗後の対処が重視されるべきです。
私には香料のある汗拭きシートは刺激が強すぎるので、
できるだけ柔らかいタオルで汗を拭き、
すぐにシャワーを浴びるようにしています。
アトピーを悪化させる原因とは?
アトピー患者の正しい食事とは?
アトピー性皮膚炎患者、特に乳児では、
食物アレルゲンの関与が認められることがあり、
卵や牛乳の摂取を避けている人もいますが、これは意味があるとは言えません。
食物アレルギーの関与が明らかでない小児および成人のアトピー性皮膚炎の治療にアレルゲン除去食が有用である と示せる根拠が乏しい。
(出典:Bath-Hextall F, Delamere FM, Williams HC: Dietary exclusions for established atopic eczema, The Cochrane database of systematic reviews, 2008: CD005203)
特定食物によるアトピー性皮膚炎の悪化が確認されている場合を除き、アレルゲンになりやすいという理由で特定食物を除去することは推奨されません。
また妊婦や授乳婦にも同様なことが言えます。
妊婦や授乳婦 のアレルゲン除去による食事制限は、生後から18カ月児までのアトピー性皮膚炎の発症を抑制する効果はない。
(出典:Kramer MS, Kakuma R: Maternal dietary antigen avoidance during pregnancy or lactation, or both, for preventing or treating atopic disease in the child, The Cochrane Database Syst Rev, 2012: Cd000133.)
逆に、悪影響を与えることさえあります。
妊婦が食事制限をすることで栄養が偏り、
妊娠中の体重増加が十分に得られないことや、
おなかの赤ちゃんに十分な栄養が行かず、
未熟児の可能性を上げてしまうことが懸念されます。
以上より、
妊娠・授乳婦への食事制限アレルゲン除去を目的にした食事制限は、赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の発症予防に有用ではないと考えられます。
従来の医学の定説に従い、
私の母は妊娠中に卵などの摂取制限をしていたそうですが、
私はアトピー性皮膚炎を発症してしまいました。
様々な皮膚への刺激
アトピー性皮膚炎を悪化させる可能性がある皮膚の刺激には
・衣類との摩擦
・髪の毛の接触
・シャンプーやリンスや石鹸などのすすぎ残しや過度な使用
・唾液、汗
・化粧落としのクレンジング剤
・かき壊し
などが挙げられます。
アトピー性皮膚炎では皮膚が過敏になっており、
ウールやゴワゴワした素材の衣類や、
髪の毛の先端のチクチクした部分の接触で、
痒みが誘発されることがあります。
動物の毛を含んだ衣類は避けるべきでしょう。
またナイロンなどの硬い素材で皮膚を拭くと、
皮膚のバリア機能の低下や刺激による皮膚炎の悪化につながる可能性があるので
ナイロンタオルなどの硬い素材は避けるべきです。
また髪の毛は短く切ったり、束ねたりする工夫が必要です。
また、かき壊し防止のために爪を短く切ったり、
寝るとき手袋や長そでや長ズボンを着用すると良いでしょう。
私は羊毛などのセーターを着るとかゆくなってしまうので、
セーター選びには毎シーズン苦労しています。
アトピーの皮膚に接触すると、アレルギーが起こるもの
外用薬,化粧品,香料,金属,シャンプーやリンス,消毒薬などに対する接触アレルギーで,皮疹が悪化することがある。
(出典:Fonacier LS, Aquino MR: The role of contact allergy in atopic dermatitis, Immunol Allergy Clin North Am, 2010;30: 337―350.Giordano-Labadie F, Rance F, Pellegrin F, Bazex J,Dutau G, Schwarze HP: Frequency of contact allergy in children with atopic dermatitis: results of a prospective study of 137 cases, Contact Dermatitis, 1999; 40: 192―195.Tamagawa-Mineoka R, Masuda K, Ueda S, et al: Contact sensitivity in patients with recalcitrant atopic dermatitis,J Dermatol, 2015;42: 720―722.)
私たちが普段よく使う化粧品やシャンプー・リンスで接触アレルギーを起こし、皮膚炎を悪化させることがあります。
アトピー性皮膚炎の治療が上手くいかない時やぶつぶつの出方が普通でない場合は、
接触アレルギーが合併していることを疑います。
接触アレルギーを疑ったら、
原因と考えられるものが触れるのを避けて、ぶつぶつが良くなるかを観察してみましょう。
私はシャンプーによっては痒くなったりするので、
シャンプーは自分の肌に合うものを色々試して、探しました。
アトピー患者が吸入すると、アレルギーが起こるもの
乳児期以降のアトピー性皮膚炎患者では、ダニや室内塵、花粉、ペットの毛などの環境アレルゲンによって悪化することがある。
(出典:Schafer T, Heinrich J, Wjst M, Adam H, Ring J, Wichmann HE:Association between severity of atopic eczema and degree of sensitization to aeroallergens in schoolchildren, J Allergy Clin Immunol, 1999; 104:1280―1284.)
ダニ対策としては
・ダニ対策を施されたシーツを使う
・布団にこまめに掃除機をかける
・ベッドにぬいぐるみを置かない
などが有効です。
また、花粉対策としては
・外出から帰宅したら、衣類をたたいて花粉を落とし、洗顔をする
・マスク
・花粉用メガネ
・抗ヒスタミン剤、点眼、点鼻
などが有効です。
他には、ペットをこまめに洗ってあげることや、
ペットを寝室に入れないことなどが対策となるでしょう。
私はこまめに掃除機をかけるようにしたり、
シーツを変える頻度をあげたりしています。
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参考文献:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2018.公益社団法人日本皮膚科学会
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