どうして体内にカンジダがいるの?体内に潜むカンジダ菌は本当に有害?カンジダ菌増殖のメカニズムとその真実をお伝えします。
「カンジダ」に関して、あまり良い印象をお持ちでない方も多いと思います。
カビ、真菌と聞けば顔をしかめてしまうのも無理はないでしょう。
実際、カンジダと言えばポジティブなイメージを持つようなことはなく、
疾病や不調と関連つけて考えられるのが一般的です。
しかし、一般に言われるように「カンジダそのものが悪」なのでしょうか。
悪や善という極端な見方をしてしまうと、
もしかしたら見逃してしまう事実も多いのではないかと思います。
そこで、今回はカンジダ菌そのものが本当に有害なのか、
もしくは有益な可能性を持っているのか、
カンジダ菌が体内で増殖してしまうメカニズムの紹介と共に、
その真実について少し触れてみたいと思います。
どうして体内にカンジダ菌がいるの?
カンジダ菌に感染?いえ、共生しているのです
カンジダと病院で診断を受ければ、恐らく大半の人が
“カンジダというものに感染してしまい、酷い事になってしまったのだ”
と錯覚するのではないかと思いますが、実はそうではありません。
カンジダ菌は最初から私たちの体内におり、共生しているのです。
私自身は、“菌との共生”と聞けば腸内細菌のことをすぐに連想してしまいますが、
皆さまもご存じのように、人体には様々な部位に微生物が棲んでおり、
腸内だけに留まりません。
皮膚や口中はもちろん、肺までの気道やその他の箇所にもいるのです。
ヒトマイクロバイオームについて
今でこそ、腸内細菌叢に関する情報が当たり前のように発信されていますが、
以前はそれほど一般的に着目されていないような印象でした。
乳酸菌と呼ばれる存在が体に良いというようなイメージが一般的なものであり、
サプリメント市場においても乳酸菌や乳酸菌が生み出した産生物質が主だったようにも思います。
しかし、今では腸内細菌や皮膚常在菌を含むヒトマイクロバイオーム(人と共生している微生物群)が
「人の健康維持に貢献している」ことは常識となり、国内外における研究は目覚ましい速度で進んでいます。
カンジダ菌を含め、私たちは様々な微生物たちと上手く共存を行いながら歩んできています。
しかし、現代における無菌至上主義や化学物質の乱用などによって、
その微生物群のバランスが著しく崩れてしまう(あるいは環境が変化してしまう)と、
様々な異常が生じてしまう事がわかってきました。
現代の先進国では、何かあれば除菌、制菌、殺菌と菌を減らすことを考えてしまいますが、
本来はどこにでも微生物はたくさんいますし、
むしろ無菌の環境というのは自然界から見ればとても不自然な状況です。
また、腸内常在菌を含むヒトマイクロバイオームが特別なわけではなく、
どこにでも様々な微生物がいるわけですから、
“自分たちの安全を守りながら微生物・細菌たちと共生する方法”に目を向けた方が、
より健全な環境が創りだせるのではないかと、私は考えています。
全ては調和(バランス)の乱れから始まる
調和という側面から見れば、
数えきれないほどの微生物群が特定の環境下で共生を続けているという点で、
ヒトマイクロバイオームは極めて優秀な存在であるように思います。
微生物群は特定の部位にただ根差しているのではなく、
宿主との兼ね合いをみながら、
その中で自分たち(微生物叢)のコントロールを図っている
というのですから、驚きですよね。
こういった部分について考えてみると、
個人的には菌がお互いに共生し合いながら作られていく発酵食品のことを思います。
発酵食品に関しても、菌にとって良好な環境でなかった場合は発酵せず、
腐敗を進めてしまいますよね。
人における微生物叢は決して難しいものではなく、
身近な存在である土壌や発酵食品と同じようなものではないでしょうか。
そう考えてみると、○○が良い、○○が一概に言うことが難しく、
やはりバランス・調和がもっとも大切なのではないかと思うのです。
どうしてカンジダが人に悪影響を及ぼすのか
例えば、食生活が芳しくない方の体内では、
小腸のpHが本来あるべき状態から少しアルカリ性にずれていると言われています。
本来、小腸のpHは5~6.5の弱酸性に保たれているのが正常です。
しかし、カンジダを過度に繁殖させるような生活習慣を行っていた場合には、
pHのコントロールが難しくなってしまうのです。
カンジダは、健全な状態ではその姿が「酵母型」になっており、
全くの無害な存在と言えるのですが、
環境が悪化すると姿を「菌糸状」に変えて、
そのふるまいを変化させてしまいます。
これは、ソマチッドの変化(環境に合わせて姿やふるまいを変える)とも似ているように思います。
また、“リーキーガットの方の体内ではカンジダ菌が過剰に繁殖していることがある”と言われますが、
併せて“カンジダが腸に穴をあけてしまう”とのアナウンスもよく入りますよね。
これは、カンジダ菌にとって環境が芳しくない状態に変わっている為に、
このような事が起きるのではないでしょうか。
本来カンジダにとって居心地の良い場所だったはずが、
偏った食習慣や特定の有害物質が入ることによって、
その棲み家を脅かされた時、
体内でカンジダに関連する不調が生じると考えれば、
なんとなく“なるほど”と思えるかもしれません。
カンジダが過度に増殖してしまう理由
体内でカンジダが異常に増殖を続けてしまう理由としては、
「カンジダの好物となる“餌”ばかりを摂取してしまう」こと、
抗生物質の使用、過度のストレス、アルコールの摂りすぎなどが挙げられます。
食生活という観点に絞ってみますと、
精製された白い穀物(特に小麦)を良く摂取する、
甘いものが好きな傾向、暴飲暴食などがその最たるものと言えます。
最近では、「定期的に甘いものが欲しくなる場合は、
カンジダの増殖を疑った方が良い」とも言われていますよね。
私たちは大抵「腸から脳への指令」に基づいて、
食べたいものを取捨選択しています。
甘いものや小麦ばかり食べたくなるその裏には、
腸内環境の著しい乱れや、
潜在的な気持ちの乱れといった背景が隠れているのではないでしょうか。
カンジダにも役割がある?
免疫活性作用を持つ可能性が示唆されている
カンジダ菌は、健全な状態の人の体内では大人しくしていることが知られていますが、
過剰な増殖や腸内環境の悪化等により、様々な不調をもたらすとされています。
そのため、一般の印象としては「悪者」として扱われる事が多いのですが、
実は特定の乳酸菌と連携をとることで、
宿主の“免疫機能を活性化させる作用”をもたらすことが
2014年に発表された論文内で明らかとされています。
例えば、カンジダの増殖によって強い炎症や免疫反応
(特に自己免疫疾患と呼ばれる反応)が生じることが報告されていますが、
もしかしたらカンジダ菌が悪いわけではないのかもしれません。
むしろ、根本の原因はカンジダの過度な増殖を促すような、
全体の調和を乱す要因そのもの(例えば糖や抗生物質)であり、
カンジダそのものを抗真菌剤などで無理に除去しようとするよりも、
カンジダが健全に生育されるように、
環境そのものを良い状態に変化させることが重要なのではないかと思います。
参考文献: Protection of Mice from Oral Candidiasis by Heat-killed Enterococcus faecalis, possibly through its Direct Binding to Candida albicansーMedical Mycology Journal
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mmj/55/1/55_E9/_article/-char/ja/
最後に
ここまで、“カンジダそのものが悪とは限らない”
という主旨の内容を書かせて頂きましたが、
もし体内でカンジダ菌が増えすぎているのだとすれば、
対症療法としてカンジダ菌を減らす(あるいは菌糸型から酵母型に戻す)ことも
有効な一つの手であるという事実は変わりません。
ココナツオイルやハーブ・スパイス、麹製品などで
ゆるやかにコントロールする方法もあれば、
精製された白い穀物や糖、塩の摂取を止めることもお勧めです。
カンジダが増える原因物質はどこにでも潜んでいるため、
人によってはある程度の覚悟がなければ食生活を切り替えることが難しいでしょう。
もし様々な不調に悩んでいる、カンジダの異常増殖が疑われる等、
ご自身の体調が心配ということであれば、まずは
パンや甘いものを食べる回数を減らしてみる、
甘味料や抗生物質を摂らない、
オーガニックな調味料を導入してみる、
という所からゆるくスタートしてみるのもアリではないかと思います。
私たちは、身近な環境から様々なものを取捨選択して、
毎日の食生生活を送っていますが、自然界から見て、
あまりにも不自然なものを体に取り入れる(例えば、小麦における遺伝子改良されたDゲノム等)
習慣が続けば、身体に何らかの異常が起きることは明らかです。
こういった“当たり前に流通している不自然な食品を避けること“こそが、
カンジダ対策以上に重要なのではないかと、私は思います。
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