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えっ、肉だけじゃなく野菜や冷凍食品からも食中毒は出る?!|暖かくなる季節に気をつけたい今すぐできる6つの食中毒予防法

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食中毒対策、勘違いしていませんか?

チャーハンやスパゲッティで食中毒?

食中毒というと、カキなど魚介類で起きるノロウイルス、そして、肉類につき死者も出す腸管出血性大腸菌こと、
Oー157、カンピロバクターなどが有名です。

肉や魚介類が感染源というイメージが強い食中毒ですが、野菜やお米から感染が広がるものもあります。
しかも、凍っているのを温めたから安全だと思っていた冷凍食品が原因で食中毒になるなんていうこともあるのですよ。

菌は熱で死ぬから大丈夫は思い込み

一人でご飯を食べるともなると、鍋を出して材料を出して加熱してと面倒が待っている、
だから冷凍食品を食べるという人は多いでしょう。そしてお弁当に冷凍食品を使う人も多いです。

これらは電子レンジなり、湯煎でなり火を通して食べるから食中毒にならないと思っていませんか。
確かに食中毒の原因菌になりやすいカンピロバクター菌などは死にますが、
次の菌類は75度加熱でも食中毒を起こします。

芽胞を作るから死なない

括弧内は感染源となる食品です。
セレウス菌(穀類、野菜類、乳製品)、ウエルシュ菌(肉類等)、ボツリヌス菌(はちみつ、密封された食品)
ボツリヌス菌は特に毒素が強く、神経中毒を起こします。最も強い生物毒とされています。

芽胞を作る菌は、25~30℃ほどの適温になると、発芽して毒素を生み出します。

毒素が熱に強い

黄色ブドウ球菌等、主なものをあげましたが、加熱しても毒素が消えない菌は多いです。
夏場、空調をかけているからと、常温で解凍したものを置いておく人が多いですが、
台所は調理家電の放熱などもあって、25℃から30℃になっている可能性があります。

食中毒の二次被害が命を危険にさらす


セレウス菌や黄色ブドウ球菌による食中毒は、
O-157やノロウイルスほど症状が重くならないことが多い上に、患者数は多くありません。
でも、嘔吐や下痢という症状は脱水の危険性を伴うもので、夏場は特に危険です。

また、嚥下機能が下がっている人は、胃液と食物が肺に入って誤嚥性肺炎を起こすことがあります。
食中毒というよりこちらの付随の方が医療や福祉の現場では警戒されます。
吐しゃ物がのどに詰まることもあります。

吐いてしまったら、口をしっかりゆすいで水分をとって気道が確保できる体勢で休みましょう。

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現実に食中毒を起こす菌と起こりうる問題

セレウス菌とは

では、実際に食中毒を起こす菌を見てみましょう。
嫌気性菌、酸素がなくとも生存できる菌の一種で、河川や土に存在します。
下痢型と嘔吐型の食中毒を起こし、日本で多いのは嘔吐型です。

下痢型 症状は、腹痛と水様の下痢 潜伏期間 8時間~16時間
嘔吐型 症状は吐き気、嘔吐   潜伏期間 30分~6時間

両方とも24時間以内に症状が治まることが多く、脱水予防の点滴など対症療法で済みます。

しかし、この菌は芽胞という殻のようなものを作るため、90℃で60分加熱しても生存します。
また、毒素は120℃の熱にも耐えてしまいます。

本菌
は、10~50℃の温度域で増殖(増殖至適温度 28~35℃)しますが、7℃以下の低温で増殖する
菌株も存在します 2)。芽胞は通常の加熱条件下で生残し、高い耐熱性(90℃で 60 分の加熱に
抵抗性。)があります 3)。
また、本菌は嘔吐毒及び下痢を引き起こす毒素を産生し、これらが食中毒の発症に関与しま
す 1), 2)。我が国では嘔吐型食中毒が多く見られます。嘔吐毒が産生される至適温度は 25~
30℃であり、126℃で 90 分の加熱処理でも失活しません 2)。

「食品安全委員会 ファクトシート」


そのため、スパゲティや、ピラフ、チャーハンやプリンなど加熱する食品からも食中毒患者が出るのです。
軽症とはいえ、低温でも増えることがあるしぶとさは厄介ですね。
救いなのは、菌がある程度増殖してから毒素が出されるため、
作ってからすぐに食べる分にはリスクが少ないことです。

黄色ブドウ球菌とは


最もオーソドックスな菌で、私たちの鼻の穴の中や傷口にいる嫌気性菌です。
普段は害がない菌なのですが、過労や病気、怪我などで体力が落ちていると感染症を引き起こします。
食中毒の他にとびひなどの皮膚病の原因菌となる菌です。
黄色ブドウ球菌自体は熱で殺せますが、食中毒の原因は菌が作るエンテロトキシンという物質です。
この毒素は100℃で20分加熱しても壊れません。

症状は嘔吐、腹痛、下痢などです。

黄色ブドウ球菌もセレウス菌も接触感染を起こす菌ですから、
手に菌が付いた人が動き回ってあちこち触ることで感染が広がります。

避難所で黄色ブドウ球菌?


この菌に関して特に注意をしていただきたいのは、災害などで避難所にいる方や、その支援をしている方です。
2016年の熊本地震の時、黄色ブドウ菌による食中毒が報告されました。おにぎりが原因食品です。

患者の共通食は避難所で喫食したものだが、
飲食店で調理したおにぎりと避難所で準備した災害支援物資が混在し、詳細な情報が不明であった。

検査の結果、有症者便7検体中7検体、嘔吐物8検体中7検体、食品9検体中2検体、
ふき取り10検体中4検体(作業台、手洗い用水道のコック、手洗い用水道のシンク、調理従事者の手)から
黄色ブドウ球菌が検出され、全てエンテロトキシンA型産生株であった。

黄色ブドウ球菌の検出された食品2検体は、10倍乳剤から直接エンテロトキシンAが検出された。
なお、調理従事者便1検体からは黄色ブドウ球菌は検出されなかった。
黄色ブドウ球菌およびエンテロトキシンAが直接検出された食品は、
「おかかおにぎり」であった。

国立保健医療科学院 No.17020 避難所におけるおにぎりが原因となった黄色ブドウ球菌食中毒事例」

 

避難所では、水などを十分に使えな上に避難者は体力が落ちます。感染しやすくなるのです。
東京都などが対応マニュアルをまとめていますので平時に目を通しておきましょう。

「避難所ですぐに使える食中毒予防ハンドブック」

私は2011年の東日本大震災の時、震度5弱だった横浜に住んでいますが、
計画停電で冷蔵庫が止まって、水が使えなくなったことがあります。
周辺区域でも、いかに食品を腐らせないか事前に考えておく必要があります。

母は事前に氷を沢山作って冷蔵庫内の温度が上がらないようにしていました。
帰宅困難の状態になると、不特定多数の人が同じ空間にいることになるので、
感染症になりやすくなります。
当時まだ幼い姪が側にいたので、私も震災後しばらくは鞄にビニール手袋と、
消毒剤をいつも入れていました。
何かの拍子に怪我をして、その傷口の黄色ブドウ球菌で食中毒が起きたら、
何かあった時身動きが取れなくなるからです。

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MRSAによる院内感染

黄色ブドウ球菌は、通常非常に弱い菌なのですが、病院などで大幅な院内感染を起こすことがあります。

メシチリン耐性黄色ブドウ球菌、敗血症、髄膜炎、腸炎、肺炎などを起こします。

多剤耐性菌、複数の薬に耐性を持っているので、消毒薬が効かないのです。
問題となるのは、長時間カテーテルを体内に入れている人、
重度の火傷をした人、大きな手術をした人などです。

親族が難病で寝たきりになっていた時に病院で厳しく消毒の注意を受けました。
普段の生活では心配するような菌ではありませんが、お見舞いなどの場合、
自分が菌を持ち込まないようにマスクを使ったりしてください。

冷凍食品で食中毒を起こさないために

食中毒予防の要は自己免疫

黄色ブドウ菌をはじめとする菌類は、常に私たちの周囲にいます。
食中毒を発症するかどうかは、免疫機能が正常かにかかっています。
特に高齢者やお子さんなどは弱毒の菌でも感染しますが、
大人でもむやみなダイエット、ストレス、睡眠不足、深酒などによって体が弱っていると罹ってしまうことがあります。

特に、腸内細菌の集まる小腸の腸内フローラは免疫に大きく関わっていることが分かっています。

腸の調子を整えるには水溶性食物繊維を摂ることが大切です。
他に乳酸菌を持つぬか漬けやヨーグルトや善玉菌を増やしてくれる甘酒なども夏におすすめの食材です。

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正しい消毒や手指洗浄の仕方を覚える


手を洗っている、消毒しているから食中毒にはならないと言い張る人がいますが、
ただ消毒するだけだと汚れが残ってしまいます。

免疫にプラスの働きをしてくれる菌も死んでしまうことになります。
正しい手洗いを覚えましょう。

・ネイルを塗ったり、付け爪をしたりしている場合はとる
・指輪やブレスレットは取る


洗浄は、まず手指を濡らし、石鹸をつけて泡立てるところから始まります。
洗う時には、力いっぱい洗ってしまうと傷が肌についてしまいます。

指と指の間
手の甲
親指の付け根
爪の間と甘皮


このあたりが洗い残しやすい場所ですので注意してください。
特に指先は物と接触する場所で汚れやすいのでしっかり洗いましょう。

また、洗う時には手首から先だけではなく、肘から先を洗うようにしましょう。
この部位は調理台に触れることが多い場所です。

消毒は、アルコールが揮発すると菌を防除する機能が無くなります。
調理を始める前に消毒をし、食材を触り終えたときにもしましょう。
1回の消毒で菌が防げると思っている人がいますが、
複数回塗布したほうが消毒剤が通用する菌は減ります。

除菌シートを使ったから大丈夫ということではないのです。

怪我をしている人は調理に関わらない

黄色ブドウ球菌は、傷口など湿った場所を好み空気がなくとも育つ嫌気性菌です。
怪我をしている人が素手で調理をしてしまうと、菌が食材に入ってしまいます。
怪我の部位が手指ではなくとも、気になって無意識のうちに触ってしまうことがあるので、傷は覆って調理や配膳をしましょう。

手荒れのささくれなどでも、菌は入るのでハンドケアは夏でもしっかりしてください。

まな板は常に清潔に

まな板からウェルシュ菌等が野菜にうつってしまうことがあります。
肉と野菜でまな板を分けることは常識です。
少しテクニックがいりますが、ビニール手袋をしてはさみや包丁で食材をカットしていく方法もあり、
これならまな板をいちいち洗わなくて済みます。切った食材はそのまま鍋に落ちるようにすればよいのです。
私はラップをかぶせた牛乳パックの上で肉類は切ったりこねたりします。
汚れた面を内側にして丸めて燃えるゴミに出してしまえば安全です。

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冷凍食品は温めたらすぐ食べる

セレウス菌や、黄色ブドウ球菌は、温度管理の失敗によって増えて毒素を排出します。
大事なのは、菌が増えやすい常温、20℃30℃ぐらいの温度に食品を置かないことです。
冷凍食品は、温めたらすぐに食べましょう。

夏場のお弁当はどうすればよい?


作り置きを使う時には冷蔵庫で保存したものを使う
・冷凍食品を加熱するときには時々加熱ムラが無くなるようにかき混ぜる
・水分が多いと菌が増えるので水気はしっかり切る、水分が多い食材は入れない
・おにぎりを握るときにはラップか手袋をする
・保冷剤を適宜使う
・加熱はしっかりする
・手をしっかり洗う


上記の工夫は農林水産省の注意喚起によるものです。
保冷剤は菌が増えるのを抑える役割はしてくれますが、菌自体を殺すことはないので油断は禁物です。

また、夏場のお弁当は菌が増えるには絶好の温度の場所に置かれることが多いので、冷蔵庫に保管しましょう。
腐っているかを匂いで判断する人が多いですが、匂わない菌も多いので匂いの過信はしてはいけません。

弱い菌でも大変なことになる食中毒

黄色ブドウ球菌もセレウス菌も弱い菌なので、インフルエンザのような感染症ほど警戒されません。
でも、感染者が毎年出る菌です。
何となくお腹が痛いな、下痢しているなという人が壁や手すりをべたべた触ったら、
セレウス菌や黄色ブドウ球菌のスタンプがあちこちに付く、考えてみると怖い光景です。

その原因がいつも食べているお米や麺というのも盲点です。

健康な人ならば、冷凍食品を温めそこなっても吐く、下痢するで済むかもしれませんが、
体が弱い人には命にかかわることがあるのです。

夏の食事には自分のためにも、他者のためにも要注意!ですよ。

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