グルテンフリーの食事は結局、健康に良いの?小麦を避けるだけでは解決出来ない問題とは?
本物のオーガニックが見つかるオーガニックショップ
どうも、薬膳料理人のzezeです。
今回は健康食の中で最近また注目されているグルテンフリー食や、
除去の対象にされている小麦について書いていきたいと思います。
実は、私が薬膳を始めた最初期の、数年前の時点から、
この小麦に多く含まれるグルテンの、心身の健康への影響について学び、議論もしてきました。
乳タンパクのカゼインとともに、発達障害から鬱まで、
さまざまな精神疾患、アレルギーの基とも言われているグルテン。
特に、アメリカのヘルシーフード業界では悪魔の様に嫌われているようなイメージがあります。
確かに私個人的には、パンやケーキなどを食べ過ぎると精神的に不安定になりますが、
全ての人に当てはまるとも思いません。
何よりひとつの作物を悪者にするよりも、もっと重要な事があると思います。
グルテンとは?
そもそも、グルテンとは麦科の穀物の胚乳で生成される
グルテニンとグリアジンの2つのタンパク質が結合したものです。
モチモチとした弾力をもつグルテニンと、
伸びやすく粘りのあるグリアジンの、
それぞれの良さがあいまって、弾力がありながら伸びが良い、
料理では万能とも言える特性を持つグルテン。
しかし、近年では、食物アレルギーをはじめ、
セリアック病などの成分過敏性免疫疾患との関連を指摘されています。
これらをふまえて掘り下げてみます。
グルテンが引き起こす問題とは?
分かり易いのは食物アレルギー。
グルテンのその粘る特性が粘膜に貼り付くため、腸管膜障害の原因だとも言われています。
セリアック病など、グルテン不耐性の場合、 最悪腸管に孔があく場合もあるのです。
アメリカでは発達障害の方の食事から小麦製品を減らしたとき、
暴れる、パニックになるなどの頻度が減ったという指摘もあります。
参考:自閉症と広汎性発達障害の生物学的治療法 ウィリアム ショー
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米と小麦の体への影響の違い
私自身はパンを多量に食べると不安定になると書きましたが、
嫌いな訳ではありませんし、食べることもあります。
あまり本意ではありませんが、
料理人としての味覚が一般感覚から離れすぎないように、
たまにはチェーン店で食事したりもします。
外食はパンの時もご飯の時も両方ありますが、
やはりご飯の方が体調も精神も安定感が違うのです。
とりわけ朝食は、パンよりもご飯にする方が断然、午前中の調子がよいです。
血糖値の上下の問題もあるでしょうが、GI値の低いとされる全粒粉のパンでも同じ感じなので、
グルテンの影響も少なからずあるような気がします。
半年ほど前までは、障害を持った方の外出のお手伝いをする事もありましたが、
体感的に感じたことがあります。
同じ診断名や病名でも、気性はそれぞれ違うのは当然ですが、食べ物の好みとの相関関係です。
概ねではありますが、ピザやパスタなどの小麦と乳製品を好む方は、気性が激しい方が多かった様に感じます。
問題視されるグルテンも、栄養的には優秀!
ここまで見てきたように、確かにグルテンが悪さをするデータはあるのですが、ずばりグルテンそのものであるお麩は、ベジタリアン食としてはかなり優秀です。
アミノ酸に偏りがあるので、お麩だけでは足りませんが、
豆などと組み合わせることで肉を食べない事によるたんぱく質不足を補ってくれます。
ベジタリアン食を考えたとき、小麦と大豆の組み合わせはたんぱく質源として、
かなり重要な食べ物であることはごまかせません。
大豆もやはりアレルギー指定物質の中に含まれるのですが、
アレルギーなどの免疫の過剰反応はたんぱく質に対する反応なので、
自然に高たんぱく質の食材が多くなってきます。
問題はグルテン?農薬?遺伝子組み換え?
ベジタリアン食としてどれだけ重要であろうとも、小麦や大豆のアレルギーの方も居られます。また、どんな食材であれ、最終的に選ぶのはお客様なので、なるべく表示しようと考えて、
メニューに特定食品表示などをする提案しましたが、残念ながら決済はおりませんでした。
小麦などの食材そのものにはそんなに罪はないという意見と、
体質によって合わない人も多いので、選ぶのはお客様だという私と、
噛み合わない議論を、どれだけ重ねたかわかりません。
正直、小麦だけが悪い訳ではないという点は私も同じ考えです。
ひとつひとつのグルテン原因論にはちゃんと根拠がありますが、
単純に小麦やグルテンを悪者に出来ないというのも確かです。
アレルギーでもないのであれば、オーガニックな国産種の小麦なら良いのではないか?
というその指摘は中々鋭いもので、むしろ賛同すら出来ます。
なので当時の私も、小麦を全く使わないレベルまでは考えていませんでした。
小麦製品を使うか使わないは店の裁量ですが、グルテンフリーか否か、選ぶのはお客様です。
お客様の選ぶ権利を考えると、小麦を使用していることを表示する方が誠実だと、私は今も思っています。
せめて、小麦も含めてアレルギー食品に指定されている食材の含有、
有機野菜や有機原料品の使用率を、店のメニューに表示したいのです。
しかし会社としては、一部の顧客のために、わざわざ不利益を表示する必要はないと、
目先だけのマーケティングを考えるわけです。
古代から人間によって遺伝子操作されてきた小麦の歴史
遺伝子操作とまで言ってしまうと語弊があるかもしれませんが、かなり人為的に交配された痕跡が遺伝子に残っています。
小麦の最低限の遺伝的機能を保つための染色体数は7(対)といわれています。
例えば原種といわれる一粒小麦では7対、
パスタに使われるデュラム小麦等の二粒小麦は14対という具合です。
ところでいわゆる小麦、パン小麦に関しては21対の染色体が確認できるのです。
3倍体と呼ばれる特徴なのですが、この特徴は植物として特に珍しい訳ではありません。
問題は、多様な倍数体があるということは、小麦同士は比較的簡単に交配できるということです。
ライ麦とすら交配できるらしいので、かなり簡単に雑種が出来るといえます。
つまり、
遺伝的な形質を安定させるためには
大規模に選別から間引きをする必要があるのです。
原種と言われる一粒小麦が15000年前から、人為的な栽培をされていた痕跡があります。
これが、別系統のクサビ小麦と交配の結果二粒小麦になり、
7000年前にはさらにタルホ小麦とも交配してパン小麦が生まれたと言われています。
アレルギーの方や不耐性の方はわざわざ摂取して危険を冒す必要はないことが大前提ではありますが、
重要な事をひとつ。
グルテンのなかでもグリアジンが不耐性の反応を引き起こすらしいのですが、
原種である一粒小麦に含まれるグリアジンは、グルテン不耐性に影響しないという説まであるのです。
あくまでも実験レベルであり、推奨されているわけではありませんが、とても興味深い話と思います。
品種改良のしすぎ?北米の悲惨な遺伝子組み換え小麦
以上のように、もとから小麦は人為的な作物なのですが、恐ろしいことに現代ではそんな事さえ大した問題ではなくなってきているのです。
20世紀以降、アメリカ産とカナダ産のパン小麦は、
パンやケーキの原料として、世界的にも優秀になっています。
グルテンの質が均質で扱い易く、収量が高いうえに丈夫なのですが、遺伝子操作を含む品種改良の賜物です。
グルテンの害が最初に言われ出したのも北米ですし、世界的言われ出したのは輸出量が増えてからです。
グルテンの害に関する論文のほとんどはアメリカによるもので、その他の地域では否定的な研究さえあります。
以上の理由から、一般的な意味で小麦があまり健康に良くないとはいうものの、
グルテンが悪いのか、遺伝子操作が悪いのか、慣行農業が悪いのか、
一番発表数の多い北米の論文からでは判別が難しいというのが現状です。
極端な論になると、オーガニックであっても、北米産の北米品種ならば意味がないとまで言います。
使える小麦粉の代用品とは?
何が原因かはさておき、流通量が世界で一番多い北米産小麦が、あまり健康的でないことだけはハッキリしました。
小麦その作物特性から小麦粉にして使うことがおおいのですが、代用品は様々あります。
代表的なものは、米粉、きな粉、大豆粉、片栗粉などでしょうか。
米粉だとモッチリ感が強くなりますし、片栗粉はとろみと弾力が特徴的です。
きな粉や大豆粉は上手く使えば、ケーキやパンなどの再現度は高くなりますが、
高たんぱく質なのでアレルギーの問題があります。
もっともこれは牛乳を豆乳で代用しても起こってくる問題ですが、
ここで一番大切なのは自分の体質に合うものを選ぶこと。
次にその中から思想や宗教的な考えに合致するものを探すことです。
IN YOUでもマクロビやビーガンレシピをたくさん掲載していますので、是非参考にしてみてください。
まとめ
小麦粉の問題は消化器系、脳科学系、など表面的には様々あるけれど、まだ原因は特定されたわけではありません。
その中で私たちが出来ることは、使うものを賢く選択すること。
小麦粉を使うのをやめて、代用品に切り替えることもひとつです。
ヨーロッパ、アジアの品種あるいは
もちろん日本の在来種のオーガニックの小麦粉を使うこともひとつでしょう。
問題が起きたときはチャンスとも言えます。
グルテンなどの害にヒステリックに対応するのではなく、
私たちの食べ物の作り方や使い方を見つめ直す良い機会にしていきたいものです。
それではまた。
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