舌は健康のバロメーター。舌が教えてくれる不調の原因。鍼灸師が舌診について教えます。

みなさん自分の舌をじっくりと見たことはありますか？
舌の状態は日によって様々。
舌には色々な身体の情報が映し出されており、身体に潜む不調の原因を私たちに教えてくれる、
まさに健康のバロメーターとも呼べる場所。

東洋医学では「舌診」と呼ばれ、
古来より舌を見ることで病気の原因や対処法を読み解く診断方法が確立されてきました。

今日はそんな舌が教えてくれる情報にせまり、
日々の健康管理に役立てる「舌診」の方法まで皆様にお伝えしていきます。

【舌診とは】

東洋医学では舌の状態でその人の健康状態などを判断する「舌診」という評価法があります。
舌は粘膜がとても薄いため、流れる血流の様子がわかりやすく、
舌の色や形なので身体が発する様々なサインを見てとれることができるのです。

東洋医学の世界では、『舌はその人の体質や内臓の状態を映し出す“鏡”である』と言われるほど、
診断において重要な判断材料となる場所です。
舌診では「舌の形状」、「苔の状態」、「舌色」「舌裏の静脈」などをみてその人の状態を判断します。
正常な人の舌は、きれいなピンク色で、薄い白色の苔があり、
舌表面には適度な潤いがあるのが理想的で健康体とされています。
小さいお子さんがいれば是非その舌を見てみてください。
まさにこの健康体と言われる舌をしているのではないでしょうか？

あなた舌はどんな舌？今からできる舌診のポイント

ここからは誰でも簡単にできる「舌診」の見方をポイント別にご紹介します。
ポイントは大きく３つ。
・舌の色
・舌の形
・反応が出ている場所

この３つのポイントに沿ってご紹介していきますので
実際に鏡でご自身の舌をみながら、どのタイプに自分が属するのかみていきましょう。

【色でわかる体調】

舌の色で あなたが「熱体質」か「冷え体質」かが分かります。
まずは舌の色を見て自分の身体が今、寒がっているのか？暑がってるいるのか？感じてあげましょう。

赤っぽい舌

体に熱がこもっている「熱症」タイプ。
のぼせやほてり感がありニキビや口内炎ができやすい状態です。
熱症の方は体質的に

・汗をよくかく
・口が乾きやすい
・赤ら顔
・手足のほてり
・体臭が強い

上記のような特徴を持っていることが多いです。
舌が赤いと感じた方は身体の熱を冷ましてあげるとよいので
辛いものやアルコールなどの刺激物を控えめにし、熱を冷ます食品を多く取りいれると良いでしょう。

白っぽい舌

身体が冷え生理機能が低下している「寒症」タイプ。
顔が青白く、手足の冷えや下痢などを起こしやすい状態です。
寒症の方は体質的に

・顔が白い
・温かい飲み物を好む
・冷え性
・頻尿、下痢をしやすい
・関節痛をもっている

上記の特徴を持っていることが多いです。
舌が白っぽく感じた方は身体を温めてあげることで身体本来の生理機能が向上し活発に働くことができます。
冷たい飲み物や食べ物は避け、生姜やシナモンなどの身体を温める薬味や食材を積極的にとってあげるとよいでしょう。

【形でわかる体調】

舌はよく見ると日によって様々な形をしています。
ぼてっとむくんだような舌、ひょろっと痩けた舌。その形によっても色々な情報がわかってきます。

舌に歯型が残っている

舌のふちにでこぼこと歯型（歯根）が残っている方は身体の生命力が落ている「気虚」タイプ。
虚弱体質ともよばれるこのタイプは

・疲れやすい
・寝起きが悪い
・立ちくらみをよくする
・動悸がすることがある
・風邪をひきやすい

以上の症状を持っていることが多いです。
身体を巡っている生命エネルギーである「気」が不足し、
内臓機能や免疫など身体本来の働きが弱くなっている状態です。

気は、身体を温める作用も持っているため、
「気虚」体質の方は普段から冷えに悩まされていることも多いでしょう。

不足した気を補うためには、過労を避け十分な睡眠をとることが大切です。
補気作用のある穀物や鶏肉などを多く食べることをお勧めします。

舌がぼてっとむくんでいる

舌を出すとぼてっとむくんだような厚みがある場合は身体に水が溜まりむくんでいる「水毒」タイプ。
水の巡りが悪く水はけが悪い状態です。身体が重だるく、むくみの症状が出ている場合はこのタイプでしょう。
水毒タイプの方は

・むくみがち
・胃がポチャポチャ音がする
・雨の日に調子が悪くなる
・太り気味
・痰や唾がよくでる

などの症状があることが多いです。
水代謝が悪いため身体の吸収率が落ちてしまっています。
水太りとはまさしくこのタイプ。
身体がいつも重く動くのが億劫な状態が続いたり、嘔吐やめまいを起こしやすいことも特徴の一つです。
冷たいものは吸収率が悪いため、温めた紅茶やプーアル茶など利水効果の高い飲み物をとることがおすすめ。
また飲み過ぎも良くないので注意です。

舌の裏側の血管が浮き出ている

舌を丸め裏側のスジがある部分を見ると太い静脈が走っているのが見えるかと思います。
その静脈が強く浮き出て波打っている状態の方は、気の巡りが悪くなっている「気滞」タイプ。
身体に不純物が溜まり気の流れが悪くなっている状態です。
気滞タイプの方は

・イライラして怒りっぽい
・お腹が張っている
・喉の異物感や胸のつかえ
・げっぷやおならがよく出る
・便秘がち

以上の症状を持っていることが多いです。
「気」が停滞し滞ることで循環が悪くなっているために張りや痛みを引き起こすことが多い状態です。
また、このタイプは症状が長引きやすいのも特徴。
身体へのストレスが強いとそれだけ不調も長引きやすいため、
早く身体に溜まった悪い物を外に出してあげることが大切です。
運動をして汗を流したり、デトックス効果の高い食材を取るなどして、
身体の外へ気も流してあげると良いですよ。

【場所でわかる体調】

反応が現れる場所によって身体のどこに原因が隠されているのかを知る臓腑配当という考え方が東洋医学にはあります。
五臓六腑の考えに基づき不調の原因がどこに潜んでいるかも舌を見ることで判断することができるのです。

舌先の反応は『心・肺』

舌の先っぽ「舌尖」は『心』『肺』の領域。
東洋医学でいう『肺』は全身に広く気を届ける呼吸器官。また体温調節や免疫機能の役割も果たしています。
『心』は気血を全身に送り届ける循環器官。それは西洋医学的な「心臓』としての働きだけでなく精神や思想、意識も『心』の働きによりコントロールされるという考えを持ちます。
この部分に反応が出てる場合は

・動悸、息切れ
・アレルギー症状
・呼吸器症状
・不眠
・精神不安定

上のような症状が強く出やすいです。

側面の反応は『肝』

舌の両側、サイドは『肝』の領域。
『肝』は血液を貯蔵し体内の血液量の調整を行います。また代謝や解毒にも関わる場所。
目の症状とも密接に関わっています。
この部分の反応が強い場合は

・めまい、立ちくらみ
・貧血症状
・イライラ
・目の充血、疲れ
・筋けいれん

などの症状と強く関わっています。

真ん中の反応は『脾』

舌の中心部の反応は「脾』の領域。西洋医学でいうところの内臓にあたります。
消化・吸収のほかに栄養を全身に行きわたらせるため、血液の運行をスムーズにさせる作用や
そのための血管や筋肉を養う作用を持ちます。
そのためこの部分の反応は

・消化不良
・悪心嘔吐
・内臓下垂
・口内炎、口臭
・出血傾向

などの症状と関係します。

付け根の反応は『腎』

舌の付け根「舌根」の反応は『腎』と関係の深い領域。
東洋医学でいう『腎』は生命エネルギーの源となる場所、生殖やホルモン、
神経との働きが深いです。成長や発育において重要な器官とされており
ここに反応が強いと

・更年期障害
・不妊
・排尿障害
・発育不良
・記憶力や聴覚機能の低下

上記な症状と関係しています。

【まとめ】

舌の状態で今日の自分の身体の状態が把握できれば１日の食事や健康管理にも気を配りやすいですよね。
最初は少し難しいかもしれませんが慣れればちょっとした変化にも敏感になり、身体の状態も感じ取りやすくなっていきます。
また自分の健康管理だけでなく、お子様やご家族の健康チェックに舌診を取り入れてもいいかもしれません。
毎日の暮らしをちょっと健康に過ごすために、舌で見る健康買管理取り入れてみませんか？？

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