日本人の大問題|最新研究から知る、より良い眠りのための暮らし方
日本人の大問題|最新研究から知る、より良い眠りのための暮らし方
こんにちは、現役医学生のさとしです。
研修医の平均睡眠時間は5時間程度と言われています。
一般に睡眠時間が6時間を下回ると疲れが残り、また心臓の病気のリスクが高まると言われており、
多くの研修医が健康を害するほどに睡眠時間が短いという現状があります。
また、睡眠時間帯も不規則です。夜中の突然の呼び出しもあるので、
どうしても不規則になりがちです。
少しでも、睡眠の質を上げるために、当直室や仮眠室の環境改善に取り組んでいる病院もあります。
実はこの睡眠の時間や質の問題は研修医に限らず、日本国民全体の課題でもあります。
そこで今回は日本人の睡眠の状況と、最新の研究結果に基づいた、
より良い睡眠を得るためのコツについてご紹介しましょう。
現代日本人の睡眠事情と関連する諸問題
まずは、日本人全体の睡眠について、統計データを確認してみようと思います。年々短くなりつつある日本人の睡眠時間は、世界最低レベル
『平成26年版厚生労働白書 ~健康・予防元年~』によれば平均睡眠時間(15歳以上)は以下の通り、減少傾向にあります。
1976年→8.0時間
1991年→7.7時間
2011年→7.6時間
また経済協力開発機構による国際比較(2014)によれば、
日本は主要29ヶ国の中で、2番目に睡眠時間が短い
と報告されています。
1位→南アフリカ(9.3時間)
2位→中国(9.0時間)
3位→インド(8.8時間)
・・・・
28位→日本(7.7時間)
29位→韓国(7.6時間)
このように、現代の日本は睡眠時間が足りていないと言えます。
日本人の睡眠時間が短い、2つの理由
日本人の睡眠時間が極端に短いことに大きく2つの理由が考えられます。1つ目は、海外と比較して、睡眠に対する教育が遅れていることです。
学校で睡眠の教育を受けた記憶はほとんどないですよね。
しかし、海外では睡眠教育がごく普通に行われています。
諸外国において、睡眠は国全体を巻き込んだ関心事項であると言えるのです。
2つ目は、生活や就業の変化です。
具体的には以下のようなことが考えられます。
・「コンビニや飲食店の24時間営業やスマートフォンやパソコンの普及」による生活の夜型化
・「過重労働(長時間労働)」による睡眠時間の喪失
「寝だめ」は効果がない
日々、忙しく過ごされてる方の中には、週末に寝だめをしている方も多いと思います。健康成人を対象にしたある研究(Belenky et al. J Sleep Res 2003)では、
6~7日間睡眠不足が続くと、その後3日間、十分な睡眠時間を確保しても、
日中の作業能率は十分に回復しない
と報告されています。
この研究から、
睡眠不足が続いて蓄積されると、「寝だめ」だけでは作業能率の回復は期待できない
と言えます。
睡眠不足は日常生活や健康にリスクをもたらす
睡眠には、肉体的疲労と精神的疲労を取り除く働きがあります。そのため睡眠が足りなかったり、睡眠の質が悪かったりすると、
健康を害したり、日常生活に悪影響を及ぼすこともあります。
量的にも質的にも良い睡眠がとれないと、
生活習慣病のリスクが上昇すると言われており、。
それだけでなく、仕事のミスや事故が増える可能性があります。
睡眠についての正しい知識を学び、
定期的に自分の睡眠習慣を見直すことは、深刻な睡眠不足にある日本人の重要課題です。
睡眠の質の向上のために、
普段の生活で気をつけたいポイント
ポイント1:眠りが浅いときは遅寝・早起きを心がけよう
眠くないのに、無理に寝床に入って寝ようとしてる方はいませんか?
『不眠症. 診断と治療』という書籍(著者:内山真)によれば、
眠くなってから寝床に入り、起きる時刻を遅らせないことが重要です。
眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝・早起きすることが推奨されています。
眠くなる時刻は日中の活動量や季節や環境などによって変化します。
常に同じ時間に眠くなるわけではありません。
眠りにつく約2時間前は一日の中で、最も寝付きにくい時間と言われています。
普段、24時に寝る方であれば、22時が最も眠くない時間ということになります。
寝付けない期間が続くと、心配になって早く寝床につこうとしがちです。
しかし、そうすると、逆に寝つきが悪くなります。
心配や不安から逆に緊張がもたらされることが予想されます。
およその寝る時間は決めてもいいですが、あくまでも目安です。
その日の眠気に応じて、眠くなってから、寝床につきましょう。
これが、入眠への近道です。
ポイント2:良質な睡眠を導いてくれる、日常的な運動
運動習慣があると、良い睡眠を得られる可能性があります。
日本人を対象にした研究論文(Inoue et al.J Aging Phys Act 2013)によれば、
週5日以上の習慣的な運動をしている人は、
眠りやすく、途中で目覚めることが少ない
と報告されています。
これは運動によって体内リズムが正常化するためであると予想されます。
また、アメリカ人を対象とした研究論文(Peppard et al. Sleep 2004)によれば、
運動時間が短いほど睡眠時無呼吸の重症度が高い
との報告もあります。
ただし、
激しい運動はかえって睡眠を妨げる可能性があるので注意が必要です。
無理のない範囲で運動を習慣化させましょう。
ポイント3:朝食を食べると良く眠れるようになる
忙しくて、朝食を食べないという方は多いと思います。
しかし、朝食は良い睡眠にとって重要です。
日本人を対象にした研究論文(Yamaguchi et al. Asia Pac J Clin Nutr 2013)によれば、
睡眠-覚醒リズムが不規則である人は朝食を食べない傾向がある
と報告がされています。
朝食をとることで、
こころとからだを目覚めさせ、活動的な一日を送れる
とも言えます。
また、ブラジル人を対象にした研究論文(Crispim et al. J Clin Sleep Med 2011)では、
間食で摂取したカロリーの量が多いと、睡眠の質が悪くなる
と報告がされています。
さらに日本人の中高生を対象とした研究論文(Kaneita et al. Sleep Med 2007)では、
朝食を食べない人は、眠りずらさや眠りが浅くなる傾向がある
と報告されています。
ポイント4:寝酒は睡眠の敵
夜眠れない時に少量のお酒を飲むとよい、とよく言われます。
実際に、ある研究論文(Kaneita et al. Sleep Med 2007)では、
日本人は寝酒をする頻度が高いと報告されています。
また、同じ研究論文には、
寝酒を週1回以上する男性は48.3%、女性は18.3%ともあります。
世界中の人を対象とした研究論文( Soldatos et al. Sleep Med 2005)でも、
睡眠のために、アルコールをとる人の割合は世界の平均が19.4%に対して、日本人は30.3%です。
ただし、寝酒と睡眠の関係について、
ある研究論文(Arnedt et al. Accid Anal Prev 2001)では、
飲酒によって、睡眠の質が悪くなり、昼間の眠気が増す
と報告されています。
特に、睡眠後半において、眠りが浅くなる
と言われています。
また、飲酒によって、睡眠時間が短くなる
という報告もされています。
他にも、
研究論文(Mennella et al. Alcohol Clin Exp Res1998)によれば
頻度が高いほど、睡眠が浅くなる報告もあります。
ここには、アルコールの覚醒作用が関与していると思われます。
日本人を対象とした研究論文(Jennum et al. Int J Epidemiol 1993)では、
飲酒は睡眠時無呼吸を悪化させるとの報告もあり、
睡眠時無呼吸は日中の眠気だけでなく、高血圧や不整脈を引き起こす可能性があり、
注意が必要です。
ポイント5:入浴は眠る約30分前に。湯温にも注意
入浴は就寝o.5~6時間前に、40℃程度のお湯に入ることが良質な睡眠には効果的です。
睡眠と体温の変化は密接に関係しています。
研究論文(Dorsey et al. J Geriatr Psychiatry Neurol 1996)によれば
就寝0.5~6 時間前の入浴することで、
体温が変化して、眠りやすくなり、睡眠は深くなる
と報告されています。
上昇した体温が徐々にさがることで、入眠しやすくなると言われているのです。
そして40℃程度の高すぎない湯温が最適です。
研究論文(Horne et al. Electroencephalogr Clin Neurophysiol 1985)によれば
精神的なリラックス効果だけでなく、
体温を軽く上げることで末梢血管が拡張して、その後の放熱が活発になり、
深い眠りが得られる
と報告されています。
ただし、就寝直前に42℃以上の高温浴を行うと、
体温を上昇させすぎ心身を目覚めさせてしまうため、
かえって入眠が妨げられるので、注意が必要です。
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ポイント6:寝室の環境にも気を配ろう
寝室の室温は13~29℃が最適です。
ある書籍(梁瀬度子. 温熱環境. 鳥居鎮夫 編. 睡眠環境学. 東京: 朝倉書店, 1999)によれば、
室温を13~29℃に保ち、寝床内で体の周りの温度が33℃前後であれば、
睡眠の質は落ちないと報告されています。
また湿度が高いと睡眠の質が落ちるので、注意が必要です。
エアコンや除湿器を有効に使いましょう。
また、うるさすぎず、静かすぎない寝室環境も重要です。
うるさい環境では眠りが妨げられるのは想像に難くないと思います。
しかし、
無音環境でも、睡眠が妨げられる可能性がある
と言われています。
ある研究論文(Harvey et al. Behav Res Ther 2002)によれば
暗く無音である環境では、物音などの些細な刺激が気になり、
不安や緊張感を高めてしまうと報告されています。
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ポイント7:ブルーライトにも注意しよう
就寝前はスマホなどのブルーライトを浴びないことが重要です。
ある研究論文(Dijk et al. J Biol Rhythms 1995)によれば
入眠前に普通の室内よりも明るい光の下で数十分過ごすだけでも、
光により覚醒し、体内リズムが崩れることで、
眠りずらくなると報告されています。
また、青白い光や白っぽい光は覚醒作用が強いと言われています。
夜は、白熱電球のような暖色系の環境で過ごし、
スマートフォンやパソコンの使用を控えることが重要です。
遮光カーテンなども有効でしょう。
その他のポイント
今回、ピックアップできなかった安眠法もご紹介します。以下の内容は
厚⽣労働科学研究班・⽇本睡眠学会ワーキンググループ作成の
『睡眠薬の適正な使⽤と休薬のための診療ガイドライン』
を参考にしています。
・規則正しい⾷⽣活
規則正しい⾷⽣活をして、空腹のまま寝ないようにしましょう。
空腹は睡眠は妨げます。
睡眠前に軽⾷(特に炭⽔化物)をとると睡眠の助けになることがあります。
ただし、脂っこいものや胃もたれする⾷べ物を就寝前に摂るのは避けましょう。
・就寝前に⽔分をとりすぎない
就寝前に⽔分を取りすぎないようにしましょう。夜中のトイレ回数が減ります。
脳梗塞や狭⼼症など⾎液循環に問題のある⽅は主治医の指⽰に従ってください。
・就寝前のカフェインを避ける
就寝の4時間前からはカフェインの⼊ったものは摂らないようにしましょう。
⽇本茶、コーヒー、紅茶、コーラ、チョコレートなどにはカフェインが含まれています。
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・寝床では考え事をしない
昼間の悩みを寝床に持っていかないようにしましょう。
⼼配した状態では、寝つくのが難しくなるし、寝ても浅い眠りになってしまいます。
心配事は、翌日考えようという姿勢が重要です。
今一度、睡眠について振り返り、
あなた自身の快眠のコツを見つけよう
最新の研究結果に基づいて、より良い睡眠のために大切なポイントをご紹介しましたが、その全てが皆さんにとってベストな睡眠に繋がるとは限りません。
今現在、睡眠についての悩みを抱えている方は、まずはそれぞれを試してみることで
自分にとってのベストな快眠テクニックを見つけることが出来ることでしょう。
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参考文献:
健康づくりのための睡眠指針2014.厚生労働省健康局. 平成26年3月
睡眠薬の適正な使⽤と休薬のための診療ガイドライン.厚⽣労働科学研究班・⽇本睡眠学会ワーキンググループ
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