若年齢化が進み、男性にも増加する「更年期障害」｜ケアに有効な生活習慣のポイントとは

ある年齢になると、誰もが迎える”更年期“。
｢もう経験してるよ｣という方も、｢まだピンとこないな｣という方もいらっしゃるかもしれません。

近年、この更年期を迎える年齢が以前に比べ早まっていると言われています。
また従来は、女性だけのものというイメージが強かった更年期障害ですが、
最近では男性にも更年期障害を訴える人が増えていると言います。

今回は、多様化する現代の更年期の実態と、その原因や対策についてご紹介したいと思います。

女性の「更年期障害」とは

更年期障害には、幾つかの特徴的な症状があります。
｢最近体調がすぐれなくて…これって更年期かな?｣という方は、
以下の症状で自分に当てはまるものがないかチェックしてみて下さい。

女性の更年期障害の主な症状

心身の両面に渡る、女性の更年期障害。
その主なものは次の通りです。

精神的な症状

・不眠
・イライラ
・注意力散漫
・物忘れ
・気分が沈む
・無気力になる
・不安になる

肉体的な症状

・のぼせ
・顔のほてり
・発汗
・頭痛
・めまい
・肩こり
・肥満
・疲れやすい
・手足など末端の冷え

当てはまる症状がありましたでしょうか?
40代以上の女性の場合は特に、のぼせや顔のほてり、発汗(滝のような汗)、
手足の冷え、イライラや不眠などが顕著であれば更年期障害である可能性が高いといえるでしょう。

若年齢化する更年期、
「プチ更年期（プレ更年期）」とは？

実は最近では、更年期障害の症状を感じているのは40代以上の女性だけに限らないようです。

日本人女性の平均閉経年齢は、50歳前後と言われています。
それに伴って更年期と呼ばれる期間は50歳を挟んだ10年間の45～55歳くらいとされてきましたが、
社会の複雑化と共に更年期が始まる年齢の若年化が指摘されるようになりました。

20～30代に増えている「更年期障害」がある

参考：赤羽駅前女性クリニック

上のグラフのように、卵巣の機能が緩やかに低下し、徐々に女性ホルモンのエストロゲンが減ってきて
更年期の症状が出始めるのは、一般に早くても30代後半ぐらいです。

ところが最近では、20～30代の若い女性でもエストロゲンの分泌量が少ない人が増えています。

20〜30代といえば「成熟期」と呼ばれ、生涯の中で性ホルモン分泌が最も活発なはずの時期ですが、
エストロゲン分泌が少ないことによって、まだ来るはずのない更年期のような症状が現れるのです。

ただしこれはまだ医学的には定義されていない症状であるため、便宜上、
“petit=少し”や”pre=前”をつけて”プチ更年期・プレ更年期“などと呼ばれています。

そして、その主な症状は、ほてり・のぼせやイライラ、やる気の低下などです。

この原因としては、ストレスや睡眠不足、偏った食習慣など、
現代人が陥りやすい生活スタイルが挙げられます。
このような習慣を長く続けると、自律神経が乱れます。

自律神経が乱れると、体の各器官の相互機能が正常でなくなり、
ホルモンを分泌する内分泌系の器官の働きも悪くなって、
結果的にエストロゲン分泌が減少してしまうのです。

こちらも見逃したくない、「男性の更年期障害」

多様化・複雑化の進む現代社会の中で、近年は男性も更年期様の症状に
悩まされる人が増えていると言われています。

しかも、以前は50～60代が中心と考えられていた男性の更年期ですが、
働き盛りと言われる35歳ぐらいから既に危険度が高い状態にあると言われるようになっています。

男性の更年期障害の主な症状

女性同様に、男性の更年期障害も
こころとからだの両方に症状が現れます。

精神的な症状

・集中力の低下
・興味や意欲の喪失
・不眠
・憂鬱感
・不安感
・性欲の低下
・イライラ

肉体的な症状

・筋肉痛/関節痛
・発汗
・ほてり
・頭のもやもや
・頭が重い
・疲れやすい
・肥満
・頻尿
・性機能の低下

この中に気になる症状が多ければ多いほど、男性更年期を疑ってみる必要があります。

男性更年期の場合、原因として最も指摘されているのはストレスです。
「仕事が忙し過ぎる」、「休暇があっても家族サービスに明け暮れ、休めない」、
「家に居場所が無くて十分な休息が取れない」、
「ストレスを解消しようとお酒を飲み過ぎて、結果的に体に負担をかけてしまう･･･」。

このようなことでストレスが積み重なると、男性にとって大切なホルモン、
テストステロンが減少してしまいます。
そのため男性更年期で現れる症状は、特にテストステロン不足によるものだと言うことが出来ます。

30代と若くても、ストレス過剰の生活を送っていたり、長い期間ストレスを受け続けていると、
テストステロン量が減少し、通常よりも早めに更年期を迎えることになってしまいます。

そして男性更年期の場合、筋肉をつけることがテストステロンの分泌を促し、その改善に有効である
と言われています。上記のような更年期の症状にお悩みの男性の方は、ぜひ筋トレに励んでみて下さいね!

更年期のケアで注目されるサケの成分

女性の更年期障害をはじめする、女性ホルモンの影響によって出る様々な症状を緩和するものとして
よく知られているものには、中央アジア・地中海原産の低木・チェストツリーや
大豆イソフラボンの活性代謝物であるエクオールなどのサプリメントがあります。

そして、最近の研究では他にも更年期のケアに有効とされる新しい成分が発見され、
その効果が期待されています。

更年期ケアに効果が期待できる成分①「サケプロテオグリカン」

2020年1月、更年期障害の改善に画期的なニュースが発表されました。
サケの鼻軟骨から抽出されたサケプロテオグリカンという機能性成分に、
更年期における高脂血症などの脂質異常を予防する効果があることが確認されたのです。

ラットを使った実験で、プロテオグリカンを摂取したラットは摂取していないラットに比べ、
総コレステロールや中性脂質、非善玉・悪玉コレステロールの増加が抑制される結果が出たということです。

また、既にプロテオグリカンは、骨粗鬆症や変形性膝関節症の予防効果があることが
弘前大学の研究で明らかになっています。

参考：日本経済新聞

更年期ケアに効果が期待できる成分②「オバリー・ペプチド」

また、別の研究では、サケの筋子からイクラを作る時に出る卵巣外皮から作られる
｢サーモン・オバリー・ペプチド｣という成分が、女性の更年期症状の緩和や肌状態の改善に
効果があることが示唆されました。

この成分を配合したドリンクでモニター試験を行ったところ、
ほぼ全員が肌や体への改善効果を開始1週間以内に自覚していたことから、
ある程度の即効性も確認でき、また飲み続けることで効果が持続することも示唆されたとのことです。

参考：すこやかネット

様々な研究が進むことで、更年期による症状の改善に光が灯りつつあることは
とても心強いことであるといえます。

生活の中で行える更年期のケア

更年期障害の緩和に向けて、病院の助けを借りることの有用性を否定は出来ませんが、
ここでは、普段の暮らしで実践出来るケアのポイントをご紹介しましょう。

ポイント①睡眠を十分に取りましょう

質の良い睡眠をとることは、更年期障害の改善に効果的です。睡眠不足が続くと頭の中に活性酸素が増え、
主要なホルモンの製造器官である副腎と脳の連携機構に支障を及ぼすことがわかっています。
その結果、副腎でのホルモン製造量が減り、更年期障害が悪化してしまうことになります。

そこで色々と工夫をすることで、質の良い快適な睡眠を摂るようにしましょう。
ほてりで良く眠れない場合には額を冷やしたり、水枕を使うなど首から上を冷やすと眠りやすくなります。

ポイント②有酸素運動を行いしょう。
男性は筋肉が付く位に重めの運動をこころがけましょう

“有酸素運動“とは体に酸素を取り込む運動で、
汗をうっすらとかいて全身に血が巡るのを感じられるレベルの運動を指します。
有酸素運動を続けると、自律神経が整ってきます。

1日2回、朝晩30分ずつのウォーキングや、ヨガなどもオススメです。

男性の場合は、腕立てやスクワットなどの筋肉がつく運動や階段の上り下り、
少し息切れするぐらいの速さで歩くなど、少し重めの運動を毎日10分程度、
継続して行うとより効果的です。

運動は毎日少しずつ、自分にとって無理の無い範囲で行いましょう。

ポイント③予定表または日記をつけましょう

更年期の悩みの一つ、物忘れを改善するのに役立つ方法です。
例えばカレンダー形式になっているスケジュール帳などに、毎日の予定を書き込んでいきます。

その際に、その日の体調やふと思ったことなども、1行でいいのでちょこっと書いておくといいですよ。

また、スマホなどを活用するより、ペンを持ち手を動かして書く方が記憶の整理にはより効果的です。
パソコンやスマホを使うより手で文字を書く方が脳は活性化されるからです。
ペンなどによる手書きでは指先を繊細に動かす際に、脳はとても集中します。
文字を書くという行為には、単にタイプやフリックするより脳をフル稼働させる効果があるのです。

参考: 東洋経済新聞ONLINE 脳機能の低下を防ぐには｢手書き｣が有効だ

生活習慣の工夫で、更年期を快適に乗り切ろう

日々目まぐるしく動く、忙しい現代社会。

そんな環境の中で私達には、知らず知らずのうちに
エストロゲンやテストステロンなどのホルモン不足が起きているのかもしれません。

その結果、性別や世代に関係なく更年期様の症状を訴えることになっているのではないでしょうか。

ストレスの多い環境に暮らしているからこそ、このホルモン不足を意識して生活習慣を見直し、
サプリメントなども上手に活用しながら、更年期の不快な症状を少しでも減らしていきたいですね。

今できることから始めて、人生の質を前向きに高めていきましょう。

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