自然の流れに乗ろう。漢方に学ぶ、理想的な一日の過ごし方vol.2 ~午後以降~
IN YOU読者のみなさま、こんにちは。
看護師のほんのりです。
子どものアトピーをきっかけに、自然に寄り添う暮らしを実践・発信をしています。
前回の記事で既にお伝えしましたように、漢方の時間治療学である「子午流注」では、
1日24時間を12分割して2時間ごとに区切り、十二支と各臓器がそれぞれ対応させて考えます。
十二支と臓器との対応表
子(23〜1時): 胆丑(1〜3時): 肝
寅(3〜5時): 肺
卯(5〜7時): 大腸
辰(7〜9時): 胃
巳(9〜11時):脾
午(11~13時):心
未(13〜15時):小腸
申(15〜17時):膀胱
酉(17〜19時) :腎
戌(19〜21時):心包
亥(21〜23時):三焦
前回は、「漢方に学ぶ一日の過ごし方 朝・昼編」をお届けしましたが、
今回はその続きとなる、夕方・夜編です。
午後からは陰の時間。
それまでの活発な活動を癒す、労わるような過ごし方をしよう
漢方の考え方に従えば、夕方以降の時間は、
申(15〜17時):膀胱
酉(17〜19時) :腎
となっています。
「子午流注」の理論では、その時間帯に、膀胱そして腎の臓器が活発になる、と考えます。
ですから、夕方以降は水分代謝と排泄の時間帯だと言えるのです。
ここでいう排泄系というのは「デトックス」の意味。
そのため、水分を十分に摂り、トイレにもしっかりと行くようにして、
身体の中の老廃物などをよく流すことを意識すると良いでしょう。
この時間帯は一日の終わりにあたり、日中の疲れを癒すために
美味しい物をたらふく食べたい気持ちはわかりますが、
あくまで排泄系の時間帯であり、身体が消化や吸収にベストな状態ではなくなります。
ただ勘違いしないでいただきたいのですが、これは食べ物を摂るとそのまま排泄されるという訳ではなく、
消化・吸収の機能が弱まる時間帯であるということです。
ですから基本的に、消化器がもたれたり負担を背負い込みやすい、ということになりやすいのです。
そのため、理想的なことを言えば、夕方以降はさっぱりとした消化の良いものを食べた方が、
身体への負担は小さくなるのです。
夕方以降の「陰」の不足は、
オーバーヒートによる不調を招く
午後を過ぎると、万物は「陽」のエネルギーから「陰」のエネルギーへと徐々に切り替わって行きます。
そのことは、影が長くなり、夕焼けが見え出すと実感出来ることでしょう。
そして、日没が過ぎるころには、すっかりと「陰」のエネルギーになります。
「陰」とは西洋医学的な視点で言うと、副交感神経が優位になってくるとき。
活動する力となる「陽」のエネルギーも減ってくるのため、疲れも感じやすくなります。
17~19時は「腎」と対応する時間ですが、漢方で言う「腎」とは排泄器官だけでなく、
生命力を蓄える重要な役割を果たします。
ですから、この時間帯に仕事などを積極的に行って「陽」のエネルギーのままの状態でいることは、
「陰」を消耗させることに繋がってしまいます。
「陰」が消耗(不足)してくると、
・頭がボーっとする
・だるい
・熱っぽい
などの症状が出てきます。
これらは風邪というよりは、身体の消耗が激しくて「陰」が減り、身体の潤いが不足することによるものです。
例えるならば、電化製品を付けっ放しにしていたために機器が熱くなってしまうのと同じです。
もし電化製品をそういう状態で使い続けると、電池や部品などの寿命を短くしてしまいますが、人間も同じ。
いわばからだの中で、「オーバーヒート現象」が起こっているのです。
よく、子どもで連日、夕方にだけ熱を出して、朝は下がっている、他に風邪っぽい症状はないけれど・・・
なんて話を聞くことが多いかと思います。
私の職場の先輩やママ友の子ども、そんな症状だったことがありましたが、
今考えれば、「疲れによる『陰』の不足だったのではないかな?」と思います。
そして、「そんな時に解熱剤や(風邪だと思って)子どもに抗生剤をせっせと飲ませたのは
本当に必要な処置だったのか?」と疑問に感じてしまうのです。(もちろん、真実はわかりませんが)
これは大人も一緒です。夕方、仕事終わりにだるくて熱っぽい、そんな症状が時折感じてしまう場合は、
「陰」の不足が考えられます。
そんな時には何よりも無理をせず、仕事をきっぱりと切り上げて滋養のある食べ物を少量食べ
(消化の負担にならない程度に!)休養を取ることがとても重要です。
一日の流れは、最後に睡眠で整えよう
時間を少し進めて、続く夜の時間は、
子(23~1時):胆
丑(1~3時):肝
となっています。
漢方で胆-肝がペアの関係にありますが、23時から翌3時までの深夜の4時間は
これらの臓器に関係が深いと言われています。
そして漢方の柱となる理論である「五臓六腑」において、特に重要な臓器とされるのが「肝」です。
もちろん他の臓器もそれぞれに大切なのですが、特別しっかりとケアしてほしいのがこの「肝」です。
なぜかといえば、「肝」の大きな役割に
・不要物の解毒・分解を行う
・血を貯める
・感情と関わる
ということがあります。
この他にもありますが、要は、「肝」は体内での仕事量が多いのです!
そして漢方の理論では「血」は感情とも密接に関わっているため、
その血を貯める臓器である「肝」は感情とも関係性が深いのです。
従って、肝に対応するこの時間帯(午前1〜3時)は、
しっかりと休息を取り、エネルギーを養うことが重要です!
つまり夜に眠って身体を休めることは非常に大事なこと。
その結果、精神も安定すると言えるでしょう。
成長ホルモンが一番盛んに分泌される時間とか、お肌のゴールデンタイムと言われているのも、
夜22時~2時頃ですよね。ほぼ一緒です。やはり一番エネルギーが養われる時間帯なのだと思います。
余談ですが、以前私が病棟に勤務していた時、夜勤の時はこの時間帯も働いているわけなのですが、
眠れない患者さんとか、(主にお年寄りで)この時間帯に少し不可解な行動
(ゴソゴソ不穏な感じの行動)を取られる方が多かったように覚えています。
家庭から病院へという環境の変化のためなのか、入院や治療のストレスを感じているためなのか、
などの理由は考えられますが、やはりこの時間帯に、積もっていたもののスイッチが入る感じなのか・・・?
友人が勤めていた産科病棟でも、この時間にそわそわしだす、とか不安を吐露してくる、
とかいつもとは異なる何らかの変化を見せるケースが多い、という話も聞いたことがあります。
(あくまで、個人的な見解ですのでご承知おき下さい。)
いくら毎日忙しくても、やはり身体のリズムを考えるとこの時間までには眠りにつきたいもの。
是非、意識してみるようにしてくださいね。
全て出来なくてもいい。
ゆっくりゆっくり、流れに乗っていこう
これまで2回に渡り、「漢方理論から見る一日の快適な過ごし方」をご紹介しました。
朝に目覚めて、夜はしっかり眠る。
「陽」である日中に活動して、「陰」である夜には休息を取る。
ごく当たり前のことですが、忙しい現代人にはなかなか難しかったりする現状もあるでしょう。
「昨日よりちょっとだけ、早く寝られた」
「いつもより少し、夕食を控えめにした」
「朝食前に、便が出た」
それはきっと、身体が”心地よい”と感じることのはず。
そんな気持ちの良い毎日を積み重ねが、1週間、1か月、1年、ひいては人生となります。
完璧に出来なくてもいい。
昨日も今日も出来なくても、また明日意識出来ればそれでよし!
他の誰も代わる事が出来ない皆さん自身の「身体」。
是非そんな身体を大切に、自然のリズムと共に快適に生きて行きましょう。
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