紙の本の方が、電子書籍よりも理解力が上がる!? 読書をきっかけに考えたい、デジタル社会を健康に生きるためのヒント
紙の本の方が電子書籍よりも
理解力が上がる!?
「読書」をきっかけに考えたい、
デジタル社会を健康に生きるためのヒント
突然ですが、IN YOUジャーナルをお読みの皆さまは、読書をする時に紙の本を読みますか?それともタブレットなどで電子書籍を読みますか?
最近では、学校などでも、タブレット端末で授業を行うなど、
紙に印刷された文字を読む機会はどんどん減少しています。
世の中がどんどんデジタル化していく中で、
こんな、大変興味深い研究結果が発表されています。
それは
「電子書籍は、紙の本を読むのと比べて、
ストーリーや本の構成順序の理解が損なわれる」というもの。
参考:「電子書籍と紙の書籍、脳への影響はどう異なる? 「深い読み」を身につけるために必要なこと」YAHOO!JAPANニュース
芥川賞受賞作家の中村文則さんは執筆をされる際に、
パソコンで打つが、手直しは必ずプリントアウトして行うと、
話しています。
また、中村さんは近年のインターネット上の議論についても、このように言及しています。
インターネット言論は論理的じゃないものも多い。
小説にも書きましたが、発光する画面を見ている時、
人間はどうやら前頭葉が抑制的になるらしいと。
前頭葉が抑制されている時の言葉なので、そりゃネット議論は劣化しますよね。
引用:「中村文則「僕は小説家だからこそ恐れずに言う」 安倍政権に疑念投げかける芥川賞作家の信条」東洋経済ONLINE
そこで、この記事では、電子と紙で脳に与える影響の違い、
電子書籍と紙の本で理解力に差はつくのか、
そもそもの問題は何か、など
読書をきっかけに考えたい私たちの暮らしについて、
幅広い視点からお話ししていきます。
紙の本の方が電子書籍より理解力が上がる?!
冒頭で「電子書籍で本を読むと、紙の本を読むのに比べて、
ストーリーや本の構成順序の理解が損なわれる」との研究結果をご紹介しました。
これは一体、どのようなことなのでしょうか?
具体的にご説明していきましょう。
紙の読書には、深い理解を導くための秘密があった
これはノルウェーで行われた実験です。
同じ短編小説を全体の半数の学生は紙の本で、残り半分の学生は電子画面で読みます。
その結果、紙の本で読んだ学生の方が、電子画面で読んだ学生よりも、
小説の筋を時系列順に正しく再現できたというものです。
それはなぜなのか?
理由のひとつとして考えられるのは、電子画面で読書をすると、
斜め読み、拾い読み、飛ばし読みなどの読み方をする傾向があること。
このような読み方は大雑把に流れを把握するのには適していても、
深い理解には結び付きません。
もう一つの理由は、皆さまにも経験があることかもしれません。
紙の本を読んだときに「あれ?これってどこに書いてあったっけ?」というような感じで、
前のページを辿って該当する内容を探したことはありませんか?
紙の本で読書をすると、このように物理的、空間的な位置と、
本の内容をリンクさせて記憶することができます。
それによって、より深い読みへと繋がっていくと考えられます。
参考:「電子書籍と紙の書籍、脳への影響はどう異なる? 「深い読み」を身につけるために必要なこと」YAHOO!JAPANニュース
ページをめくる感覚が育む豊かな感性
紙の本を読むときと、電子書籍で本を読むとき、一番大きな違いと言えば、
ページをめくるという動作ですよね。
ページをめくるときに紙が擦れる音、指と紙が触れる感覚。
私たち人間は長い歴史の中で、そういった繊細な感覚を大切にしながら暮らしてきました。
しかし、テクノロジーの発達に伴って、私たちの暮らしは便利になる反面、
暮らしの中からそういった感覚が失われていってしまっています。
紙の本で読書をする時、私たちはその物語の内容だけでなく、
本の重さ、厚み、匂い、そういったものを無意識のうちに認識しています。
子どもの頃に読んだ本などを思い出すときに「厚みのある本だったなあ」などと思い出すのは、
私たちの脳がそういったものを複合的に記憶するものだからです。
人間は人生という長い旅の途中で、何度も立ち止まって過去を振り返ります。
そんなときに私たちを豊かにさせてくれるのは、五感を通して味わった感覚なのかもしれません。
出典:「脳は紙の本でこそ鍛えられる——言語脳科学で明らかになった読書の知られざる効能」
電子画面と紙の本が脳に与える影響とは?
先ほど、小説家の中村文則さんは原稿を書くことはパソコンを打って行い、
直しは紙に印刷して行う、というお話をしました。
電子画面や紙が私たちの脳にどんな影響を与えるのでしょうか?
詳しく見ていきましょう。
人間らしくために生きるには前頭前野の働きが大切
脳の全体の80%を占める大脳には、「前頭前野」と呼ばれる部分があります。
思考や判断など、人間として重要な機能を担っているのが、この前頭前野です。
前頭前野には、記憶する、考える、などはもちろんですが、
感情をコントロールする役割もあります。
その他にも、手足などの運動に対する司令や温かい・冷たいなどの身体的感覚など、
今、私たちが考えたり感じたりしていることの全ては、
前頭前野を通して行っているということもできます。
そのため、私たちが人間らしく生きるためには、
この前頭前野がきちんと働いている必要があるのです。
出典;「人間らしく生きるためには「前頭前野」が大事」Active Brain Club
出典:「大脳皮質のおはなし」Akira Magazine
どうして紙に印刷すると、電子画面で気づかなかった間違いに気づくのか?
文章の間違いなどを探しているとき、電子画面を見ていると気付かないのに、
紙に印刷して見ると、間違いに気づくことがあります。
これは、なぜなのでしょうか?
人間は紙に印刷された文字を読む時、「反射光」と呼ばれる、
一旦紙に反射した光を利用して文字を読んでいます。
その光とは太陽光やデスクライトなどのことです。
一方で、パソコンやスマホなどはそれ自体が発光する「透過光」です。
この反射光と透過光はそれぞれ、人間の脳に異なる影響を与えるとされています。
反射光で紙の文字を読む時、人間の脳は「分析モード」になり、
集中して文字を読むことができます。
これに対し、透過光、すなわち電子画面で文字を読む時、
人間の脳は「パターン認識モード」になり、
情報をそのまま受け止めるようになるそうです。
紙で文字を読むと間違いに気付きやすいのはこのためです。
出典:「「紙」に印刷すると間違いに気づく理由 =「画面」にはない脳の働きとは?=」RICOH
紙の文字を読んだ時には、前頭前野がより活性化する
先に触れた通り、前頭前野は人間の思考や意志決定、感情コントロールなど、
人間の行動の全ての中心になる場所です。
2013年に行われた研究では、同じ情報を紙と電子画面で見た時に、
紙のほうが、脳の前頭前野(前頭前皮質)が強く反応するという結果が出ました。
そして前頭前野が強く反応するということは、紙に印刷された文字を読む方が、
より文章の内容理解や知識整理が深まることを意味します。
参考:「「紙媒体の方がディスプレーより理解できる」 ダイレクトメールに関する脳科学実験で確認」TOPPAN FORMS
スマホ依存から考えたい。
私たちの読書と健康的な暮らし
紙の本と電子書籍の違い、そしてそれらが脳に与える影響について
お話してきました。
ここからは、今までの話を踏まえて、みなさんの最も身近にあるスマホの問題から、
読書を含めた暮らしや健康について考えてみようと思います。
スマホによって私たちの脳が劣化する!?
電子画面が暮らしを支配する世界
突然ですが、まだ若いのに最近物忘れが激しい、何を見ても心に響かない、
そんな経験はありませんか?
もしかしたら、それはスマホの使い過ぎによって、
脳が疲れ切っているのかもしれません。
近年の研究で、スマホの使い過ぎによって脳に異常が起きることが明らかになっています。
これは「スマホによる脳過労」「オーバーフロー脳」などとも呼ばれます。
スマホの使い過ぎで脳過労の状態になると、正常時に比べて血流が減り、明
らかに脳の機能が低下します。
脳が正常に働かなくなると、物忘れが激しい、感情がコントロールできずに怒鳴りつける、
何をしても感動しなくなるなど、その症状は笑い事ではありません。
満員電車では、ほとんど全ての人々がスマホと睨めっこをしている。
残念ながら、このような現実は当たり前の日常になってしまいました。
スマホによる脳過労が一時的なものなのか、それとも認知症の初期症状なのかは、
まだ明らかにされていませんが、
もし、これが認知症の初期症状だとするならば、それは恐ろしいことですよね。
出典:「“スマホ脳過労” 記憶力や意欲が低下!?」NHK クローズアップ現代
スマホでイライラが止まらない! 私の個人的な体験談
これは私の個人的な体験ですが、私は自分自身がイライラしているときの多くは、
スマホをいじっているときだということに、ある時、気がつきました。
私はSNSを利用しますが、SNSで何かを投稿したり、意見を言ったり、いいねを押しているとき、
その時の自分を冷静に観察してみると、深く考えることをせずに
感情に振り回された状態であることが多いように思います。
冒頭で紹介したように、小説家の中村文則さんは
「ネット上の議論は劣化する」とおっしゃられていましたが、
自分を振り返ったときに、自分自身にその言葉が当てはまります。
電子画面を見ているときは、一時的には脳の血流が増えるなどの状態が見られるようですが、
私自身、電子画面を見ていると、紙の文字を見ている時の何倍もの短時間で疲労に襲われます。
そしてこれは、栄養ドリンクを飲んだ時のような状態なのかなと、私自身は感じています。
栄養ドリンクは一時的には元気になりますが、長い目で見れば体が弱っていきますよね。
スマホ依存や電子画面との向き合い方も、
長期的な視野で危険性を考えていくべきなのではないかと思います。
「デジタルデトックス」で心も体もリフレッシュ!
皆様は「デジタルデトックス」をご存知でしょうか?
デジタルデトックスは、自分から意識的に、スマホなどの電子機器から離れる時間を作ることです。
もし、本格的にやりたいと考えるなら、
休日で誰とも連絡を取る必要がない日に、スマホの電源を一日オフにする、
などがおすすめです。
中々、そこまで出来ないという場合は、ちょっとしたことから始めてみましょう。
例えば、朝起きて真っ先にスマホを見るのではなくて、窓を開けて外の空気を吸う。
そのような小さな意識が、心と体をリフレッシュさせてくれます。
そして読書がリフレッシュという読者の方もいらっしゃるのではないかと思います。
もちろんスマホなどで読書をするのが悪いことだとは言い切れませんが、
この記事でご紹介した理由もあり、時間に余裕がある場合は、紙の本を開いてみませんか?
また、スマホで読書をしていると、ついついSNSを見たくなってしまったり、
返信をしなくては、などと余計な事を考えてしまいますよね。
このような状態になるとリフレッシュどころか、脳過労の状態を引き起こしてしまいます。
無理をせずに出来る範囲からはじめてみましょう。
このデジタル社会を生き抜くために
今回は最初に読書を入り口に、様々な問題を考えてきました。
私たちは望んでも望まなくても、デジタル社会を生きていかなければなりません。
それはこれから増々加速し、どのようになっていくかは誰にも分かりません。
ただ、一つ言えることは、デジタル社会の弊害による健康被害は増えていくだろうということです。
今回ご紹介した知識や考え方が、これからデジタル社会を生きていく皆さまにとって、
少しでも助けになるようなことがありましたら幸いです。
オーガニック食品やコスメをお得に買えるオーガニックストアIN YOU Market
IN YOU MarketIN YOU Marketのオススメ電磁波対策アイテム
こちらの関連記事もオススメです!
読書の癒し効果は科学的にも証明されていた!特におすすめのジャンルや読む時間帯は?5Gの電磁波まみれ社会で健康に生きるための“考え方”のヒント|日本で運用が始まった5Gで暮らしはどう変わる?
当てはまればあなたもスマホ中毒|理学療法士が伝えるスマホ中毒チェックリスト
この記事が気に入ったら
いいね!しよう