パンやパスタ、小麦製品を食べる私たちは除草剤グリホサートまで一緒に食べている?学校給食からも残留農薬が検出されている実態と安全な小麦製品を選ぶ基準
パンやパスタ、小麦製品を食べる私たちは除草剤グリホサートまで一緒に食べている?学校給食からも残留農薬が検出されている実態と安全な小麦製品を選ぶ基準
食の安全性と聞くと、真っ先に思いつくのは農薬は添加物問題ですよね。
野菜や果物の残留農薬、コーヒーやカカオ栽培に使われる農薬、食品添加物など、IN YOUではこれまでに食の安全性を問う記事を公開してまいりました。
さて今回は、小麦食品の農薬です。
小麦の代表的な食品はパンやパスタですね。
それらは加工食品なので、農薬よりも添加物に注意を払うべきだよね?と思われがちですが、実は輸入小麦食品からはしっかりと農薬が検出されているのです。
その農薬とは、発ガン性物質「グリホサート」。
2019年には学校給食からも検出されています。
今回はグリホサートについて詳しく学んでいくと同時に、安全度の高い小麦食品の見分け方もご紹介します。
本記事のポイントは3つ
1 輸入小麦食品に含まれる添加物
2 グリホサートの危険性
3 小麦食品を選ぶ基準
2 グリホサートの危険性
3 小麦食品を選ぶ基準
筆者はグルテンフリーなので、小麦に関する情報はさほど気にしていませんでした。
しかし、今回あえて小麦農薬の危険性を伝える理由は、学校給食からも残留農薬が検出されている事実を知ったからです。
商品の原材料をいくら意識していても、農薬の使用されないオーガニック認証を受けている商品を除き、一般の商品にどんな農薬が使われているかまでは丁寧に記載されません。
赤ちゃん、幼児、児童は自ら食べるものを選べない。
だからこそ、残留農薬の危険性は伝えなければならないと感じました。
お子さまやご家族の健康のために知識を磨いていきましょう。
輸入パスタ・輸入パンなどの小麦製品に含まれる添加物
グリホサートに触れる前に、パンやパスタなど小麦食品に使われやすい代表的な添加物を下記に示します。
・イーストフード
・臭素酸カリウム
・ファットスプレッド
・乳化剤
・メタリン酸ナトリウム、リン酸塩
・ソルビン酸
・ビタミンC
・pH調整剤
・臭素酸カリウム
・ファットスプレッド
・乳化剤
・メタリン酸ナトリウム、リン酸塩
・ソルビン酸
・ビタミンC
・pH調整剤
などです。
ご存知のように、食品添加物というのは自然界に存在しない人工的に作られたものです。
味を良くするため、美味しそうに見せるため、加工しやすくするため、保存期間を伸ばすため、販売価格を下げるため、などと試行錯誤されて作られています。
安全性が不明な食品添加物ですが、全てを完全否定するわけではありません。
災害時にはやはり緊急食糧が必要で、長期保存が可能な食品が評価されていることも事実です。
ただし、食品添加物の中でも危険と言われる種類が多くあります。
健康上よくないとされる理由は、素材の持つ栄養分が体へうまく吸収されにくくなること、摂取を続けることで疾患リスクが上がる可能性があること、特に成長段階のお子さまは発達にも影響が出るとの意見もあります。
添加物ではないものの、白い砂糖が大量に使われた菓子パンやお菓子もまた依存度を高め、脳への影響が懸念されます。
改めて、無添加食品を選ぶことはメリットしかないと言えるでしょう。
食品添加物について少しおさらいしたところで、もう少し小麦のお話をしてみましょう。
日本で消費されている小麦の現状
画像:農林水産省
農林水産省によると、日本で食べられる小麦食品(菓子、パン、パスタ等)の約85%が外国から輸入されたものであり、国産小麦は14%です。
グラフでもわかるように、日本の小麦生産量は低いことがわかります。
これは一体なぜなのでしょうか。
実は小麦は1990年には若干増加が見られました。
しかし品質や作柄の安定が難しく、2000年ごろには減少してしまいました。
参考:農林水産省
こうした理由から、小麦輸入率85%という輸入率の高さに結びついたのです。
では、日本はどこの国から小麦を輸入しているのでしょうか。
農林水産省2017年の調べによると、
1位 アメリカ(54.8%)
2位 カナダ(28.9%)
3位 オーストラリア(16.2%)
こちらの3国が主な輸入先です。(※)
ご自宅にもしパンやパスタがある場合は、読み進める前に原産国を確認してみましょう。
それでは次に、近年問題となっているグリホサートについて解説します。
小麦栽培に使用される除草剤「グリホサート」とは?
5月、6月となると、庭や畑、道端の草は急速に成長しますよね。
生い茂ってしまった草たちは1本ずつ引っこ抜くのが大変。
中には除草剤で一掃する方もおられるでしょう。
いまや除草剤はホームセンターでも見かけるくらい、誰にでも手に入るものです。
その除草剤がパンやパスタに含まれていたらと考えるとかなり怖いですよね。
農林水産省では、兼ねてから輸入小麦の残留農薬を分析してきました。
中でも突出して検出率の高かった農薬が、除草剤グリホサートです。
グリホサートとは
アミノ酸系除草剤の一種。グリシンにホスホノメチルというリン酸が結合した構造をもつ。芳香族アミノ酸の合成を阻害して、植物を枯死させる。1970年に米国の農業化学会社が開発。商品名はラウンドアップ。
引用:コトバンク
グリホサートの能力はどれほどのレベルなのかというと、散布されたすべての植物を枯死し、仮に耐性を持っていても関係なく枯らす強力さを持ち合わせています。
グリホサートはかつて、ベトナム戦争で森林に隠れた兵士を見つけるため、枯葉剤を大量に散布して森林を一気に枯れさせた薬剤を開発した化学企業の除草剤として知られています。
グリホサートは発ガン性物質に分類される
IARC(国際がん研究機関)ではグリホサートをグループ2Aの「おそらくヒトに対して発がん性がある」に分類しています。以前、子どもに絶対に食べさせたくないアクリルアミドを含む食品の記事を公開しましたが、そのアクリルアミドもグループ2Aでした。
IARCで発ガン性物質に分類されているグリホサートが輸入小麦食品から検出されているのです。
さきほど日本の小麦食品の85%が輸入したものとお伝えしました。
その検出結果を公開されているのでみていきましょう。
輸入小麦商品で検出されたグリホサート
農林水産省が調査したグリホサート残留分析(2017年前期・後期)では(※)
【アメリカ】
・検査点数139
・検出点数135
・検出率97%
【カナダ】
・検査点数75
・検出点数75
・検出率100%
【オーストラリア】
・検査点数37
・検出点数6
・検出率16%
日本が輸入している小麦の生産国トップ3と照らしあわせてみましょう。
1位:アメリカ(検出率97%)
2位:カナダ(検出率100%)
3位:オーストラリア(検出率16%)
アメリカとカナダでは非常に高い確率でグリホサートが検出されています。
さらに、 農民連食品分析センターが2018年10月から2019年1月にかけて実際に販売されている食パンを購入しグリホサート残留検査を行った結果、国内販売されている食パン、シリアル、小麦粉、パスタ、全24製品中、17製品からグリホサートが検出されました。
検出された製品にはひとつの特徴がありました。
・輸入された小麦を使用しているもの
・原産国記載なしのもの
国産小麦はどうなの?
国内産小麦100%であればグリホサートは検出されていないとのことです。ではなぜ輸入小麦からのみ検出されているのでしょうか。
なぜ輸入小麦からグリホサートが検出されるのか
グリホサートが検出される理由は、小麦の収穫方法の違いによるものです。検出されたアメリカ、カナダなどは、収穫前の小麦にグリホサートを散布し、小麦を人為的に枯らします。
これは「プレハーベスト」といって、小麦を乾燥させ、収穫の効率化をはかる栽培方法です。
日本の小麦栽培では農薬取締法により、収穫にグリホサートを使用する方法は認められていません。
そのため、国産小麦100%の製品からの検出がなかったのです。
近年検出されたグリホサート
身近な食パンを調査した結果がインターネット上に公開されていたのでご紹介します。
2019年度「学校給食パンからの検出」
農民連食品分析センターでは、2019年6月から2020年1月にかけて自治体や学校給食会などの協力を得て学校給食パンを入手し、グリホサート残留調査を行いました。その結果、学校給食パン14製品中、外国産小麦を使用したパン12製品からグリホサートが検出されました。
国産小麦100%で作られたパンからは検出なしとの結果です。
いずれも残留農薬基準を超えた数値は見られなかったため、食べても問題はないレベルとされています。
・日本のグリホサート小麦の残留基準値 30ppm
参考:残留農薬基準値検索システムより
グリホサート残留農薬の人体への影響は?
輸入される小麦のグリサホートは残留農薬基準値以内とされているため、健康を害さないとされています。
しかしこれは各国の基準によるもの。
再度申し上げますが、IARCでは発ガン性物質グループAのものです。
しかしアメリカでは、グリホサートを長期使用を続けた結果、開発企業に対して損害賠償を求める裁判があったことも事実です。
参考:BBC NEWS JAPAN
実際、グリホサートは腸内細菌への悪影響、不安行動など神経系に影響を及ぼすことも実験でわかっています。
動物実験を取り上げるのはとても胸が痛いですが、除草剤曝露がマウス実験により立証されています。
参考:グリホサートに基づく除草剤曝露はマウスにおける腸内細菌叢,不安および抑鬱様行動に影響するJST・京大機械翻訳
これを受けて、みなさまはどう感じられるでしょうか。
除草剤の残ったものを食べたいと思う方はおそらくいらっしゃらないでしょう。
子どもたちにも食べさせたくないです。
グリホサート規制についての各国の動き
出典画像:農民運動全国連合会
各国でグリホサートの規制は進み始めています。
アメリカやカナダからの輸入小麦から9割以上の確率で検出されているものの、2020年1月を見ると、アメリカ大手のケロッグ社が2025年までに段階的に規制する方向に動いています。(※)
ドイツでは2023年までにグリホサートを有効成分とする一部製品の販売を禁止するなど各国で減らす段階にきています。
日本では消費者から規制や禁止を望む声が増え始めていますが、今後の政府の動きに注目です。
安全な小麦製品の基準
小麦食品は私たちの生活のあらゆるところに存在しています。
グルテンフリーではない限り、小麦は日常的に摂取しやすい食品ですよね。
各国が規制に乗り出したとは言え、輸入小麦の9割以上にグリホサートが含まれているのであれば、より安全な小麦食品の基準はどう見分けたらいいのでしょうか。
ポイントは3つあります。
・国産小麦
・有機JAS認証
・グリホサートフリー認証(国による)
国産小麦
日本国内では小麦収穫の際に人為的に枯らすプレハーベストは認められていません。そのため、国産小麦100%の製品であればグリホサートを避けられるということになります。
注意すべきは、すべての小麦製品に原産国名が記載されていないということです。
品質の安定のため、さまざまな産地の小麦をブレンドされる製品が多く、国産小麦使用と書かれていても、輸入小麦をブレンドしている場合もあります。
国産小麦100%(産地も記載されていればなお良し)と書かれたものを選んだ方がリスクがより低くなります。
有機JAS認証の小麦
オーガニック認証の条件は国によって異なりますが、日本では除草剤を使用していると認証許可は降りません。増え続ける雑草は手で取り除いています。
有機JAS認証を取得した小麦製品であれば、除草剤はもちろん、農薬、化学肥料、化学添加物も含まれないので安全性が高いのです。
安心して小麦製品を買いたい!グリホサート・フリー認証
2017年、アメリカ最大の独立認証企業、BioCheckedとワン・ディグリー・オーガニックの協働によりグリホサート・フリー認証が始まりました。(※)ワン・ディグリー・オーガニックは第三者認証機関を設け、消費者の安全保障を確保するための重要なステップだと話します。
グリホサート・フリー認証は下記の条件がクリアすることが求められます。(※)
◆少なくとも年3回、異なるロットでの検査
◆残留グリホサートとその代謝物のアミノメチルホスホン酸(AMPA)が不検出であること。検出限界は0.01ppm。
◆残留グリホサート・フリーへの2年間の移行期間製品は、残留グリホサートとAMPAが0.2ppm未満であること。
◆残留グリホサートとその代謝物のアミノメチルホスホン酸(AMPA)が不検出であること。検出限界は0.01ppm。
◆残留グリホサート・フリーへの2年間の移行期間製品は、残留グリホサートとAMPAが0.2ppm未満であること。
小麦製品を通じて実感!今こそ認められる地産地消、そしてオーガニック
2021年のニュースでは、ニュージーランドが日本向け蜂蜜のグリホサート規制を強化していることがわかっています。(※)
ニュージーランド産の蜂蜜から日本の基準値を超えるグリホサートが検出されたからです。
日本では禁止こそしていませんが、食品ごとに残留基準が設けられています。
基準レベルがあるとはいえ、発ガン性物質に分類されているためわざわざ選んで食べたいと思う方はどれほどいるでしょうか。
子どもたちにも食べさせたくはありません。
今回は小麦製品についてのお話でしたが、国産小麦100%であれば今のところ検出なしとのことです。
改めて地産地消の重要性が理解できました。
さらに踏み込んでいくと、グリホサートだけではなく食品に使われる農薬は私たちの身近な食品に多く使われています。
そう考えると、オーガニック認証のある食品を選ぶということは安心を買うということにつながりますね。
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