お風呂に入ると痒くなる? その原因となる「塩素」の問題と手軽にできる対処法
お風呂に入ると痒い原因とは
お風呂に入るといつも全身が痒くなる!という悩みを抱えている方もいらっしゃるかもしれません。
そういう方は、幼い頃から肌が敏感で、アトピー性皮膚炎や金属アレルギー、
またストレスの影響が蕁麻疹やにきびのように肌に現れる場合も多かったのではないでしょうか。
アレルギーや過敏症、ストレス性の疾患は、遺伝的な体質や育ってきた環境要因などから、
消化器系に症状が出る場合もあれば、呼吸器系や皮膚に症状が出る場合もあります。
また大人だけでなく、
我が子の皮膚症状が辛くてお風呂に入れるのに苦労なさっているお母さんがたも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「なぜお風呂に入ると痒くなるのか」という点について
水道水に含まれる「塩素」を中心に取りあげ、その問題点と、身近な工夫でできる塩素の対処法を紹介したいと思います。
皮膚のこと
塩素について考える前に、まず皮膚の構造について簡単に解説します。皮膚には、腸内環境と同じようにたくさんの常在菌が棲んでおり、
皮脂や汗を分解して皮膚の健康を保つように私たちと共存して暮らしています。
だから、「清潔にしよう」と言って殺菌性の強いハンドソープを使ったり繰り返し洗うことによって、
皮膚の健康を保ってくれていた優秀な常在菌たちも一緒にやられ、
結果的に肌の健康を妨げることに繋がってしまうのです。
合成界面活性材入りのハンドソープは、この常在菌を壊滅状態まで追い込み、
皮膚を清潔に保つどころか、皮膚の状態を悪化させ、
常在菌を根絶やしにして、結果的に皮膚を無防備にします。
出典 : 経皮毒ハンドブック|稲津教久
広告などで「こんなにバイ菌がとれた」と「きれい」になった映像が映し出される場合があると思いますが、
実際は、良い菌もまとめて「きれい」になってしまっているのです。
でも、「きれい」というのは、ほんとうは、無菌室のようにまっさらな状態ではなく、
菌と身体(自然界)とがバランスよく調和し、共存している状態をいうのではないでしょうか。
さて、通常はこうした常在菌の存在もあって皮膚は一定のバリアーがほどこされているのですが、
過剰な殺菌社会で弱ってきた皮膚バリアーや、また同時に強度や種類の増してきた合成化学物質によって、
有害な化学物質が肌から体内により多く浸透してくるようになりました。
それは、細胞の隙間をくぐってきたり、細胞そのものに浸透したりといった経路をたどって、
一部は血液やリンパ液に流れ、また一部は皮下組織(脂肪)に溜まっていきます
ちなみに、こうした浸透効果を利用しているのが喘息や禁煙の際に使われる貼付薬です。
どれくらいの比率で侵入するかと言うと、個人差や条件によって違いはありますが、
たとえ天然のものであったとしても成分の0、5%程度は侵入を許してしまうと言います。
たとえば、単純計算しても200本の合成シャンプーを使った場合、
一本分の有害物質が浸透する計算になります。これは自然界にある物質での話で、
合成化学物質が含まれているシャンプーを使えば、それだけ数値は跳ね上がるというわけです。
出典 : 経皮毒ハンドブック|稲津教久
実際はシャンプーだけでなくボディソープや化粧水、合成洗剤、香水など多くのものを使っているので、
そのぶんだけ浸透する量も増えるでしょう。
洗っても洗っても痒くなる一因には、こうした「化学物質の侵入」が深く関係しているのです。
ただ、こうしたものは使わなかったり天然の石鹸などで代用できる
(近所の薬局に置いてありますし、とても安価で優しいです)のですが、
日常でもっとも身近なものとして溢れているのが 「水道水の塩素」です。
Photo : mizu.kenkou-jyouhou.net
上限のない塩素
塩素というのは、ご存知の通り水の殺菌のために使われるもので「残留塩素」が水道水には含まれています。塩素の危険性については広く知られているのでキッチン等は
浄水器などで対策をとっているご家庭も多いかもしれません。
浴場で「この水は飲めません」とあるのは細菌で汚染されているからではなく
塩素が多量に含まれているからですし、発がん性についても長らく警鐘が鳴らされています。
この塩素が、アトピー性皮膚炎の直接的な原因の大きな一つである、と指摘する専門医もいます。
乾燥肌や皮膚に対して直接影響し、
アトピーを形成する要因となっているのが「水道水中の塩素」です。
水道水中の塩素は皮膚を乾燥させ、
汗腺を閉塞させると私は考えています。実際に当院の統計によると、
ホコリや布団に入ると痒くなる方は14%、プールで悪化22%、風呂で痒くなるのは34%です。
この様々なリスクの取り沙汰される水道水の残留塩素ですが、実は、日本では上限が決まっていません。
法律で決められているのは水道水の「残留塩素は0、1ppm以上」という下限の規定だけ。
プールの塩素濃度については0、4ppm〜1ppmと規定があるので、
地域によってはプールの塩素濃度よりも高い値が水道水から検出されるのです。
そう考えると、プールのあとに眼を洗ったりシャワーを浴びることの効果についても首をかしげてしまいます。
日本の水が「安全」だというのは、こうして「徹底的に塩素で殺菌している」という意味なのです。
そして、この塩素ですが、特にお風呂に入っているときが一番肌からの侵入を許すことになります。
なぜかと言うと、冷水よりも温水のほうが塩素が遊離して刺激を感じやすくなるといった物質側の事情だけでなく、
皮膚も、傷があったり温度が上昇すると浸透率が高まって
化学物質が体内に侵入しやすくなるといった双方の理由が挙げられます。
皮膚温度が10℃から37℃に上昇すると、吸収率は約10倍に跳ね上がるといわれています。
皮膚温度が上昇している入浴時は、経皮吸収も盛んに行われているのです。
出典 : 経皮毒ハンドブック|稲津教久
お風呂に入ると全身が痒くなるというのは、単純な温度変化よりも、
むしろその変化によって浸透率が上がり、
そこに塩素を中心とした様々な合成化学物質が入ってくる、ということが原因だったのです。
簡単にできる塩素対策
シャンプーや合成洗剤と比較すると、塩素については避けるのが難しいと思うので、最後に、家庭で簡単にできる塩素の刺激量を減らすための対処法をいくつか紹介したいと思います。
浄水器をつける。
もっともシンプルな方法は、お風呂場の蛇口やシャワーヘッドに浄水器をつけること。それほど高価なものでなくても構いません。特にシャワーを浴びるのが多い方は、
シャワーのほうが塩素の影響が強まるのでシャワーヘッドだけでも変えるようにしましょう。
これは鶴町皮膚科クリニックという茨城の病院で掲載されているアトピー性皮膚炎に悩んでいた患者さんの声ですが、
浄水器をつけて以降は痛みや痒みもずいぶんと軽減したと言います。
お風呂に浄水器をつけるまでは苦痛でしかありませんでした。皮膚が痛いのです。
そして、お風呂に浄水器をつけて入った時の感動は今でも忘れることができません。38度のお湯でも悲鳴をあげていたのが40度くらいでも平気になりました。
ビタミンCで塩素中和
ビタミンCが塩素を中和してくれるので、経口用のビタミンCをひとつまみ入れるか、無農薬のみかんの皮やレモンの搾り汁を湯船に入れるといいでしょう
(写真は残留塩素の試薬で反応を見た図。左がレモン水で、右が水道水です)。
IN YOUお勧めのビタミンCについてもご確認ください。
備長炭で浄化
ホームセンターや通販で備長炭を買って湯船に入れておきましょう。備長炭には小さな穴が無数にあって、
その穴を水が通ることで化学物質が吸着して浄化が可能になります。
部屋に置くだけで天然の空気清浄機としても使えます。
備長炭は、ときおり煮沸して日干しすることで半永久的に効果を発揮します。
市販の浄水器も、実際はこのビタミンCと木炭のどちらかの効果を利用しています。
お風呂の回数を減らす
肌を休ませるために化粧水などを使わない「肌断食」を行うように、お風呂に入る回数を減らすというのも、体の皮膚にとって有効な方法です。
特に日本人は湯船につかる回数も多く、
そのうえ体をゴシゴシと強いボディソープで洗ったり頭を薬用シャンプーで何度も洗うなど、
皮膚にとって刺激の強い習慣のなかで生活しています。
しかし、一向に薄毛は解消されないどころか、どんどんと若年化していってはいないでしょうか。
これは有名な逸話ですが、作家の五木寛之さんはあまり髪を洗いません。
五木さんが若い頃に旅をしたとき、インドやネパールなどの村ではほとんど髪を洗っていないにも関わらず、
禿頭の人を見かけたことがなかったという体験から、洗いすぎの弊害について考え、
滅多に洗わないようにし、そのこともあって80歳を過ぎた今でもふさふさの髪です。
いかがだったでしょうか。
もしお風呂に入るたびに全身が赤くなったり痒みがあるという場合には、天然の石鹸に変えたり、
塩素についてもちょっとした工夫で避けられるので意識して対策を講じてみて下さい。
特に赤ちゃんはより繊細で、皮膚の吸収率も成人よりいっそう高いので、入浴などの際には気をつけましょう。
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