スーパーで販売される安価な食肉や畜産物の裏側。薬剤の多量投与・遺伝子組み換え飼料・ストレス過多の飼育が動物と人間に及ぼす悪影響。アニマルウェルフェアをご存知ですか?私たち消費者の正しい選択でオーガニック畜産物を広げよう
皆さんはスーパーで食肉やバター、チーズなどの動物性食材を買いますか?
近頃ではベジタリアンも増えてきていますが、生活に動物性食材がまだまだ欠かせないと思っている方の方が多いのではないでしょうか。
食物連鎖の頂点に立つ私たち人間は、日々多くの畜産物からの恵みをいただいています。
当たり前のように食卓に並ぶ食肉や卵、乳製品。
スーパーではたったの数百円で安価に販売されています。
これらが、一体どのように飼育されているのか、想像したことはあるでしょうか。
実はかつて、畜産物の飼育環境は非常に劣悪なものだったと言われています。
その環境を改善すべく、提唱されるようになったことがアニマルウェルフェアという考え方です。
動物の精神的肉体的自由を守るアニマルウェルフェア
アニマルウェルフェアは、日本語では動物福祉と直訳されますが、「5つの自由」という概念が定められています。
1 飢えと渇きからの自由
2 肉体的苦痛と不快からの自由
3 痛み・苦痛・病気からの自由
4 動物本来の行動を行う自由
5 恐怖や悲しみからの自由
この考えは、イギリスから発信され、徐々に世界各国へ広がりつつあり、飼育方法を法律で規制している国も見受けられるようになりました。
動物愛護という言葉も最近ではよく聞くようになりましたが、ただ単に動物を虐待せずに可愛がろう、保護しよう、ということではありません。
また、ケージ飼いされ、狭い家畜小屋の中で過ごす動物たちが単に可哀想だという考えに基づくものでもありません。
主体となるのはあくまでも動物であり、
動物が精神的肉体的に安定した状態で、病気にならないように不自然ではない飼育環境づくりを目指そうというものです。
効率的な生産方法が招いたBSE問題
BSE大流行の原因は効率重視の飼料にあったと言われています
1980年代後半から1990年台前半にかけて、世界で問題となったBSE(牛海綿状脳症)問題についてご存知の方も多いでしょう。BSEは、プリオンというタンパク質が異常化したものが蓄積し、脳の神経細胞が破壊され、やがて脳がスポンジ状になって死に至るという、恐ろしい病気です。
そして人間がBSE感染の牛肉を食べることで、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(脳がスポンジ状になる)を引き起こすことがある、ということで大きな問題になりました。
このBSEが大流行した原因と言われているのが、牛たちに与えられていた飼料です。
当時、このBSEに感染した牛を原料とした飼料(肉骨粉)が他の牛にも与えられていました。牛は、本来であれば牧草を食べて育ちます。
ところが、牛をより早く成長させ、より多くの肉量を生産すること、
消費者に人気の高い柔らかくサシの入った、臭みの少ない肉質にすることなどの効率が重要視され、そのために、牛の骨や内臓を原料とした肉骨粉が飼料に混ぜられていたのです。
家畜に与えられる輸入飼料には遺伝子組み換えや残留農薬のリスクも
また、現在では日本の家畜においても遺伝子組み換え飼料を与えられるケースが多いです。
ただ、現在の日本で、牧草のみを食べて育つ完全なグラスフェッド牛の飼育を行うには、まだまだ多くの課題があります。
それでも、家畜の健康および人への影響を考えた場合には、安心安全な飼料が与えられるべきではないでしょうか。
日本では、家畜飼料の大半を輸入飼料に頼っているという現状があります。
それらの輸入飼料である小麦・大豆・とうもろこしなどは、遺伝子組み換え飼料である危険性が高く、また輸送時のカビや雑菌の繁殖を予防する目的で大量の農薬・防カビ剤が散布されています。
肉を中心に食べている人は特に、食肉や畜産物を通じて遺伝子組換え作物や農薬を摂取している可能性が非常に高いです。
遺伝子組み換え食品や農薬が残留している農作物を人間が食べることによって起こり得る弊害についてはよく知られていますが、同様のことが家畜においても考えられます。
それらの飼料を家畜が食した場合の悪影響、さらにはその家畜を人間が食した場合の影響は必ず連鎖します。
抗生剤の乱用によって生じる耐性菌問題
抗生剤使用の目的は感染症予防ではなく成長促進
牛・豚・鶏そして近年では養殖魚に至るまで、人工的に飼育されている家畜のほとんどには抗生剤が使用されています。
狭い家畜小屋やケージの中でほとんど動くことができない、すし詰め状態とも言える飼育環境。
このような環境下においては、当然、病気や感染症も起こりやすくなるので、抗生剤を家畜に投与して感染症の予防が行われます。
ところが、抗生剤を利用する目的は感染症予防だけではありません。
より早い成長を促すための成長促進目的で使用される抗生剤・ホルモン剤が大半なのです。
しかも、その使用量は年間1万5400トンという、膨大な量にのぼると言われています。
抗生物質と言えば、一般には医療の現場で使われるものという認識がありますから、
食品の製造にもそれが使われていると聞いて驚く人は多いでしょう。
けれども、実は地球上で最も抗生物質が使われているのは、人間ではなく食用動物に対してです。
米国では、年間1万5400トン以上の抗生物質が、食用動物へ使用されています。これは、人間が使う量の4倍にもなります。
そして、そのほとんどは感染症治療が目的ではなく、体重を増やすためのいわゆる「成長促進」に使われているのです。
牛・豚・鶏などの動物に多くの抗生剤やホルモン剤が投与されていることは知っていましたが、これほどだとは正直私も驚きました。
当たり前ですが、動物に投与された薬剤は動物の体内で綺麗に消えて無くなるはずはありません。
たとえ間接的であっても、私たちはそれらの薬剤を口にすることになります。
そして、この抗生剤の乱用が引き起こす問題が、耐性菌の蔓延なのです。
抗生物質が食用動物に使用されるようになってから間もなく、人々は何かがおかしいと気付き始めました。
食中毒に抗生物質が効かなくなっていたのです。最初に英国南部で集団感染が起こり、その後ヨークシャーでさらに深刻な事態になっていることに、エフライム・サウル・アンダーソンという科学者が着目しました。多くの子どもたちが、抗生物質に耐性を持つ大腸菌で命を落としていたのです。
アンダーソンは感染経路を突き止めようと、牛肉を販売する中間業者をたどっていきました。耐性菌によるこれほどの規模の食中毒は、過去に例がありません。アンダーソンの調査から、感染元は動物たちに大量の抗生物質が使われていた飼育場まで遡り、そこで生まれた耐性菌がやがて人々へと感染したことは明らかでした。
鶏に乱用の抗生物質、耐性菌の温床と識者が警告より引用
人に対する抗生剤の乱用が耐性菌を引き起こすことが近年問題となり、その使用は減ってきています。
実際に、動物にも同様のことが起こっていました。そしてそれは、動物だけではなくすでに人へも悪影響を及ぼしています。
リスクが高く農薬まみれの飼料、人間の都合による抗生剤の乱用は、アニマルウェルフェアの概念にそぐわない行為です。
これらは、動物の精神的肉体的に悪影響を与えるばかりではなく、それらを口にする私たち人間の健康をも蝕んでいくことになります。
多くのストレスを抱える家畜の現状
以上の他にも、アニマルウェルフェアを無視した人間の利益本位の生産方法により、動物たちはさまざまなストレスを抱えています。
・狭い小屋やケージでの飼育
方向転換や大きく伸びができないくらい狭いスペースで、一頭ずつ閉じ込められて飼育されています。・時間や時期を問わない飼育
例えば、鶏舎を夜でも明るくしておくことで朝が来たと勘違いさせ、卵の生産量をあげます。また、雌牛にホルモン剤を投与することで、いつでも乳を絞れるようにします。
外国から輸入されてきたにも関わらず、驚くほど安い価格で販売されている食肉。
外食産業などで取り扱われている食肉の大半は安価な輸入肉ですが、その裏側には、これらの背景が隠されているのです。
狭い場所で自由がないストレス、ゆっくり休めないストレス、ホルモン剤や薬剤によるストレス、
これらは動物たちを取り巻く問題は、私たち消費者の問題でもあります。
アニマルウェルフェアを実践した飼育環境改善の取り組みを広げよう
アニマルウェルフェアの概念とともに、飼育環境改善の取り組みも世界中で広がりつつあります。
例えば、グラスフェッドに取り組む日本の畜産農家も少しずつですが増加傾向にあります。グラスフェッドまでは難しくても、遺伝子組み換えでない無農薬飼料を使用するところもあります。
抗生剤や薬を使用せずに、広いスペースでストレスのかからないように飼育されているところも増えてきました。
また、安心安全な飼料と薬を使わないストレスフリーの飼育は、野菜や果実などの農業へも良い影響をもたらします。
農作物の肥料として、家畜の糞が堆肥として利用されますが、無投薬の畜産堆肥には、有用な微生物がたくさん含まれています。
一方、抗生剤が与えられた家畜の堆肥は、土の中の微生物の働きを阻害します。
安心安全な飼育方法で動物を飼育することで、良質な堆肥が作られ、それによって有機農業も活性化することができるのです。
動物性食材を毎日本当に食べる必要はありますか?
大切なのは私たち消費者が正しい選択をするということ
いくら飼育環境の改善を訴えても、抗生剤乱用の中止を訴えても、それだけではアニマルウェルフェアは広がっていきません。大切なのは、私たち消費者が行動を起こすこと、ストレスがなく安全に育てられた安心の食肉を選ぶことです。
確かに、一般的なスーパーなどで販売されている食肉と比較すると高価です。
しかし、それほど多くの食肉は私たちの体に必要ではありませんし、反対に過剰な動物性タンパク質は私たちの健康を害します。
野菜中心で健康な人たちはたくさんいますから、動物性食材は本来、必要最小限でいいはずです。
質の良いものを少量とれば十分満足感は得られ、私たちの体は心身ともに健やかに循環していくのです。
アニマルウェルフェアを採用するオーガニック畜産物を入手する方法
取り組みが広まりつつああるとはいえ、オーガニック畜産物を一般的なスーパーで入手することは難しいのが現状です。
最後に、私が入手している方法をいくつかお伝えします。
1オーガニック食材を取り扱う宅配業者を利用する
有機野菜やこだわりの調味料、平飼い卵、そして安心安全な飼育方法で無投薬畜産物など、オーガニック食材を幅広く扱っている宅配サービスがあります。業者が契約しているので、比較的リーズナブルな価格でオーガニック野菜や畜産物、質の良い商品を購入することができ、送料なども節約できるのでおすすめです。
2こだわりのオーガニックスーパーを利用する
地域によって異なりますが、最近ではオーガニックの農作物や畜産物を扱うスーパーも見受けられるようになりました。完全ではなくても、販売スペースの一角にオーガニックコーナーがあったり、抗生剤不使用の養殖魚や食肉が販売されていることもあります。
3インターネットで購入する
今や、インターネット通販でほとんどのものが購入できる時代です。個別に購入するには送料などのコストがかかることがありますが、こだわりの一品を見つけ出すには大変便利です。
これらの方法で既にオーガニック商品を入手されている方もいらっしゃると思います。
何よりも私たし消費者の意識を改善することが環境への変化にもつながります。
アニマルフェルフェアの取り組みが広がることは、家畜を快適な飼育環境下で育るとともに病気の予防へと繋がります。
それによって、私たちの日々の食卓もより安心・安全なものとなっていくのです。
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