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山陰の温泉宿『竹葉』の女将・小幡美香さんがつくる、極上のマクロビオティック

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島根県安来市にある『竹葉(ちくよう)』という温泉宿でマクロビオティックが楽しめることを島根滞在中に知った私は「この方のお話を聞いてみたい」と思い、お会いする約束をさせていただきました。滞在先の浜田市から安来市まで約150kmの道のりをクルマでとばし、宿泊を兼ねて小幡美香さんにお会いしてきました。小幡さんはクシマクロビオティックス・コンシェルジュのライセンスを持つ、竹葉の三代目女将です。素晴らしいお料理と女将の素敵な人柄に痺れた1泊2日。早速レポートです。


「来たら安心する場所」が島根県安来市の地名の由来

島根県安来市は人口約40,000人。島根県の東端に位置し、鳥取県と県境になります。かつて「神聖な地」とされ、この地区の土地名を冠している神社名が全国に散見される例が他所よりも多いのは神話の影響であり、『出雲国風土記』に出てくるスサノオノミコト(日本神話に登場する神)より安来(やすぎ)と命名されたと伝えられています。


江戸時代には国内の鉄生産量の実に90%以上の素鉄・素鋼品の製造・流通を取り扱うことで繁栄を極めました。古くから良質な砂鉄を原料にした、「たたら」と呼ばれる製法による製鉄が盛んで、和鋼(高級工具鋼や日本刀の金属刃部を構成する材料およびその原料のこと)の伝統を引き継いだのが、島根県安来市です。その伝統は今もなお健在で「日立金属株式会社」が代表的な企業です。

山陰・安来市の雄大なランドスケープ。緑の小島のような鉄穴残丘が点在しているのも安来市の特徴で、たたら製鉄が盛んだった中国山地沿いでは、独特の手法を用いた新田開発により、なだらかな傾斜の棚田の中に鉄穴残丘が残る里山景観を造りあげています。

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過去にはNHK連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」のロケ地にも選ばれました。観光面で言えば圧倒的な観光客数を誇る「足立美術館」が挙げられます。島根県の観光名所第1位はご存知「出雲大社」ですが、第2位がこの「足立美術館」なのです。

フランスの旅行ガイドブック『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』では美術館にある日本庭園が、山陰エリアでは唯一となる最高評価を獲得しました。「三つ星」は「わざわざ旅行する価値がある」を意味します。さらには日本庭園に的をしぼった米国の専門誌「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」でも12年連続で庭園日本一に輝いています。これは実に快挙で、その恩恵をこの土地にもたらしています。

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また587年に開かれた天台宗の古刹である「清水寺(きよみずでら)」も非常に有名で、山陰地方唯一の三重塔や県や国の重要文化財も数多く、境内は何と5万坪と荘厳な空間です。島根県西部の伝統芸能のいえば「神楽(かぐら)」ですが、こちら東部では伝統的な民俗舞踊として「どじょうすくい安来節」というものがあります。御座敷芸とされ、どじょうすくいの「ひょっとこ顔」は有名です。

安来市自体が絶好の観光スポットとなっていますが、今回おじゃました温泉宿『竹葉』は足立美術館のすぐ隣にありました。


2006年の久司道夫氏の講演が「マクロビオティックとの出会い」

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小幡さんがマクロビオティックに出会ったきっかけは、2006年11月に奥出雲にて久司道夫氏の講演を聞いたことにありました。その当時の小幡さんは調理師免許の取得と同時に薬膳料理を展開しており、「もっと日本の食材を見直してみたい」「より深く健康食について追究してみたい」という気持ちが高まっていたこともあり、このときの講演に強い感銘を受けたといいます。

「日本は、和の国であり、穀物を口にしていれば、調和が持たらされます。万物が調和し、素敵なハーモニーが奏で合うことが出来るような食事を作れるように。理を料(はか)り、調和を生み出せるような人間になりたいと思いました。」

「幸福論は難しいけれど、その人が幸せだと感じれば、それが幸せそのもの」、「苦労やストレス、重圧感など様々なものが自分達の身体を攻撃してくるかもしれないけれど、生きている限りハッピーで、ものは捉え方次第」といった「考え方」をご両親や身の回りの環境から学んだ小幡さんですが、マクロビオティックでそれは揺るぎないものになったといいます。

マクロビオティックと言えば久司道夫氏ですが、実は島根県はマクロビオティックゆかりの地でもあります。2009年に島根県仁多郡奥出雲町横田の「むらくもの丘」という場所で久司氏の今は亡き奥様であるアヴェリーヌ偕子氏の顕彰碑の除幕式が行われていますが、奥様が「奥出雲出身」だったことから、昔からこのあたりの地にはマクロビオティックに通づる食習慣があったといいます。

「久司先生とアヴェリーヌ偕子夫人が戦後長い年月を経て、ここまで築いていらしたこの心を、 島根にある小さな旅館ですが、繋いで参りたいと思います。」と小幡さん。『島根県、奥出雲の地がマクロビオティック界の聖地です。』とまで久司氏は講演会で話しをされていたといいます。神々の国で有名な島根ならではの縁を感じます。

その頃、病気で苦しむ家族がいたこともマクロビオティックを学ぶ大きな理由になりました。 病院ではほぼ投薬対処しかなく、手術も視野に入れ、遠くの病院に行かなければ満足いく治療を受けることができないこともあり、「これでは病気は治らない」と思った小幡さんはマクロビオティックの食事や導引、お手当などを通じ家族の健康を取り戻していくことを決めました。

現在は完治していないとはいえ当時より投薬種類は半分以下、 量も減らすことに至り病状も随分と改善されているそうです。 投薬量を減らしてくことに際し、病院側にはそれまでやってきた食事コントロールの成果を数字と棒グラフで説明したといいます。

「(決めたことを)そうやって詰めて考えていくのが好きなんです(笑)。」


「健康な食事」を求める声が年々増え、今では「魚料理4割、薬膳3割、マクロ3割」

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「古くからある宿ですが、ここで伝えられることと言えば『食』なんです。」竹葉のメニューにマクロビオティックを本格的に導入したのは2008年からだそうですが、年々マクロビオティックや健康な食を求めてくるお客さんが増えて来ているそうです。今は検索の時代ですから宿泊とともに食事も検索します。

「せっかく時間とお金を使うのですから自分の気持ちと近い食事をしたいですよね。」

竹葉でのおすすめはもちろん「マクロビオティック食養生コース」ですが、山陰の名産でもある魚中心のメニューでゆるやかな「マクロビオティック食楽コース」もあるのでどなたでも楽しめます。その他「海鮮会席」「薬膳会席」の計4コースから選ぶことができます。食養生コースは実に色とりどりで華やか、満足度は非常に高いものでした。来館される方のどれくらいがマクロビオティックを求めているのかを伺うと、「魚料理が4割、薬膳料理が3割、マクロビオティック3割」だそうです。

観光の最大の魅力は「非日常感」ですからどこでも食べられるようなものを提供するより、「そこでしか味わえないもの」の方が喜びが得られるはずです。薬膳料理やマクロビオティックを”未体験”な人にとってはとても価値ある(初体験)ことでしょうし、健康意識が高い人にとってもよいものです。

私は地方都市の観光産業における「食」は今後、そこでしか味わえないもの、作り手のテーマとコンセプトがしっかりあるものしか訴求していかないとすら思っているので、その意味では竹葉が提供する料理はとても存在価値が高いものだと感じます。さらに多くの方々に知ってもらいたいと思っています。

昼時は美術館の観光客で周辺が賑やかになります。「お食事処」として昼食をオーダーされる機会が多いそうですが、昔は「天ぷらとお造り」がメインだったのに対し、ここ数年は「健康的な食」に逆転しているそうです。「6割くらいが健康食を求めている感じ」「健康意識が高まる人とそうでない方が二極化しているのがわかる」と小幡さんはいいます。食習慣の変化はもちろんですが、コンセプト、何より「やる理由」が明確なマクロビオティックをブレずにやり続けている小幡さんの努力の賜物でもあると思わずにはいられません。

地方都市へのUIターンを意識する都市部の人が最近増えていることはよくご存知で、それについてお聞きすると「首都圏に暮らしている方のほうが健やかに、軽やかな生活をしたいと思っているんでしょうね。こっち(田舎)の方はゆっくり自然の中で生活なんて当たり前過ぎて、健康意識はむしろ都会の方が高いかも知れません。その土地ならではの料理でも白砂糖を入れ過ぎなほど入れたりしますよね。和食の基本の分量はすごいです(笑)。知識として理解した今ではびっくりです。」

たしかに、田舎料理の調味料でも白砂糖はとても重宝されているので、”ドバドバ”使うのも決して珍しいことではありませんよね。


これが竹葉の「マクロビオティック食養生」コース

「人間が自然体で豊かに生きるために考えられた確実で実践的な食事法です。」「究極の食養生として日本の伝統料理が再び見直されています。山陰の厳選食材を吟味し、調理した自然食の『マクロビオティック』。動物性タンパク質を一切のぞいた『食養生コース』。お魚を取り入れたゆるやかな形の『食楽コース』からお選びいただけます。」と竹葉のリーフレットには記されていました。

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「マクロビオティック食養生」
 食前酒(加賀梅酒)、切り干し大根の茶巾包み、隠岐アラメ煮、昆布と蓮根の炊き合わせ、
 ベジミート入りキンピラごぼう、養老蒸し、刺身こんにゃくの生姜醤油掛け、
 豆腐とわかめの雪鍋、精進揚げ、大山産ヤーコンうどん、紫黒米ご飯、ハトムギ、
 甘酒ぜんざい(白玉入り)/全13種
「マクロビオティック食楽」(魚中心のコース)
 食前酒(加賀梅酒)、切り干し大根の茶巾包み、隠岐アラメ煮、昆布と蓮根の炊き合わせ、
 三色なます干し柿入り、ベジミート入りキンピラごぼう、養生蒸し、
 朝獲れ白身魚(まとう鯛)のカルパッチョ、朝獲れ魚(鱈)の豆乳鍋、
 高野豆腐の麦味噌フライ、大山産ヤーコンうどん、紫黒米ご飯、
 奥出雲舞茸と出雲産ハトムギと白木耳のスープ、季節のデザート「ゆずゼリー」/全14種

竹葉はご主人様とお二人で経営されていますが、結婚前は農業に強い意識があったといいます。小幡さんのご実家にある柿は当時松江の最高値を記録し、かの東京日本橋、千疋屋総本店御用達の最高級干し柿として、島根で唯一取引がある生産農家。取引はもう10年以上になるそうです。今回こちらの「干し柿の胡桃揚げ」をいただきましたが、もう、なんと言いますか…絶品です。

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曰く、一番原価率が高い極上の一品です。このためだけにわざわざ行く、というのもおもしろいかも知れません。満足過ぎて言葉も出ませんし、久しぶりにお腹いっぱいで動けなくなってしまいました。古き良き温泉宿の世界観と小幡さんのつくるマクロビオティックに大満足です。

家族が仲良く健康でいられることが幸せ。自分が変わるとまわりも変わる

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この日、ゆっくりお話が出来たのは夜9時過ぎでした。こんなにもボリュームがあり、繊細な料理を作るのは大変な仕事です。「厨房が好きですが、お客様と話すのがとても好き」と言いながらニコニコと話される小幡さんはとても華がある方です。さすが女将と呼ばれるだけありますね。

宿の仕事以外にも安来市の地域ブランディングにも関わっており、積極的にいくつものプロジェクトを進めています。「そうかも知れませんが、そろそろ(自分は)他のポジションへと移り、次の世代にバトンを渡していきたい」といいます。「一箇所にいるのが苦手で落ち着きがないんです(笑)。どんどん新しいことに挑戦していきたいんです。」と語る小幡さんは今やっていることでも次々にアイデアが浮かんでいくそうです。

「農業や安来節、そして食をテーマに全国色々廻りたい」というのが近い将来の夢。非常に人気のある方で、現在も他県から講演依頼が来ているそうで、それも仕事にされています。

「しっかりした自分を持てるようになったのはマクロビオティックのおかげです。本当に知ってよかった。これからも家族の健康を第一に考えていきます。」

家族みんなが健康であることが何よりも幸せと感じている小幡さんは、家族で過ごす時間をとても大事にされています。

「マクロビオティックを実践していると願いがささやかなことから、まさか?!と言うことまで叶いやすくなるんです。笑われるかもしれませんが(笑)、例えば化粧品がないな、でも買いにいく時間がないなと思っていたら化粧品に関わる仕事の話が来たり、あの人に会いたいなと思っていたらむこうから連絡が来たり。いろんなアンテナを張っているのでキャッチが早くなりましたし、思ったことが実現していくことが多くなりました。 自分ときちんと向き合う時間は心地よいですし、そしてマクロビオティックの中庸を意識していると、何事も大丈夫でしょって思えるようになりました。」

この言葉はマクロビオティックを意識されている方に多く見受けられるポジティブな思考ですよね。全くそのとおりで「あらゆることは自分の中に答えがある」ということなんだと思います。マクロビオティックの持つ魅力は「心身が健全に保たれること」なのだと強く感じます。

男性の従業員や部下の育児参加に理解のある経営者や上司のことを「イクボス」と最近呼ぶそうですが、その波は島根にもあるそうです。夫婦共働きの時代ですので、お父さんが台所に立つ家庭も増えています。

「安心・安全な食ってこういうことなんだよっていう話や、カロリーの低い、植物性たっぷりの食事を男性が提案してくれるとかなり女性の支持率はアップしますね。さらに20代や30代でマクロ知ってるというのは相当ポイント高いですよ(笑)。」

とうれしそうに語ってくれました。

島根県の東部は玉造温泉がとても元気だそうですが、最近そこで働いている料理人の方に「マクロビオティックを男性がやったらおかしいですか?」と聞かれたそうです。もちろんそんなわけないですよね。こんな風にマクロビオティックに興味を持つ人も徐々に増えているそうです。私は日本男児こそマクロビオティックだと思っているので期待したいところです。

地域ブランディングの活動の幅も広げています。島根県のイメージである「縁結び」やポーラ社が調査した「美肌県グランプリ、島根V3」への仕掛け役、 「女子旅」などは中心メンバーとしてじっくり作り上げてきました。マクロビオティックコンシェルジュの知識を活かし、島根を代表する美肌食材を取扱った料理教室も開催しています。

安来は土壌が恵まれていることから県内最大のイチゴの産地でもあり、中でも「章姫(あきひめ)」と「紅ほっぺ(べに)」という品種は出来が素晴らしく全国的に注目が集まっているといいます。今年は2015年ということもあり、『安来のイチゴ』のPRにも力を入れています。また、全国女将若女将ブログ人気ランキングサイトでは上位をキープし、島根県の魅力発信も心掛けています。

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(▲「どじょうすくい安来節」はこの土地の伝統芸能。一般客も壇上で安来節が体験できる。)

自分が活かされていることへの感謝と、自分にしか出来ない仕事への使命感を持ち、良い結果を生んで行きたい。 マクロビオティックを日常生活に取り入れ、自分の中にブレない軸ができると人は強い自信を持てるのかも知れません。

「すべての答えは自分の中にある」ことを知れば、つらい人間関係に苦しむことは少なくなるでしょうし、 「食」から正していけば自ずと健康を手に入れることができるのだと小幡さんを見ていて感じます。 サービス業であれば、その健康な人間性は相手にも伝わります。抜群に美味しい料理と女将の素敵な人柄に引き寄せられ、多くの方がこれから「竹葉」に行くことになると思います。本当に素敵な温泉宿でした。


INFORMATION

10425063_700185883431451_384269486905058292_n小幡 美香/Mika Obata
竹葉・3代目女将。’01年調理師免許取得と同時に旅館の看板料理となった「薬膳料理」を展開。 地方情報誌、新聞、経済誌、TVに多数出演。’08年「クシ・インスティテュート・オブ・ジャパン」認定のクシマクロビオティックス・コンシェルジュ取得。’10年『にほんブログ村』の『女将・若女将ブログ』人気ランキング1位獲得。市内小学校、幼稚園、保育園を対象に、食育の講義も行うなど多岐に渡って活躍。

周遊指定地 さぎの湯温泉(国民保養温泉指定地)
島根県安来市さぎの湯温泉(足立美術館横)
日本観光旅館・お食事処 竹葉
住所:島根県安来市古川町438
TEL:0854-28-6231
FAX:0854-28-6232
ウェブサイト:http://www.chikuyou.jp
ブログ:~縁結び☆島根県〜足立美術館〜徒歩30秒の温泉旅館『竹葉』女将繁盛記
Facebook:https://www.facebook.com/saginoyuonsenchikuyou
お問い合わせ:info@chikuyou.jp

[アクセス]

■飛行機
(米子空港→竹葉まで車で50分)
(出雲空港→竹葉まで車で50分)
東京から(全日空→米子まで75分)
大阪から(日本航空→出雲まで80分)
福岡から(日本エアコミューター→出雲まで65分)
■JR
岡山から(特急やくも号→安来駅まで2時間15分)
■車(中国自動車道→米子自動車道→山陰道)
大阪から(約3時間30分)
岡山から(約3時間)
(中国自動車道→松江自動車道→山陰道)
広島から(約3時間)
山陰道安来市I.Cから(10分)

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