「いつもだるい」なら見直してほしいいつもの「コーヒー」|あなたに不足している栄養素
あなたは1日何倍のコーヒーを飲みますか?
少し古いデータですが、株式会社カンター・ジャパンの調査によると、
日本人の64%が毎日コーヒーを飲んでいるそうです。
(調査対象:16歳以上の男女992名)これはミネラルウォーターを含むボトル入りの水19%よりも、
かなり高い割合で調査対象の22か国の中でも第5位だそうです。
筆者もご多分に漏れずその一人で毎日4~5杯のコーヒーを飲んでいます。
コーヒーの健康効果
まずはコーヒーの健康効果についてのご紹介から。
かつてはコーヒーを飲むと胃痛や胸やけを起こすなど健康に悪いイメージが強かったのですが、
近年は世界中でそのアンチエイジング効果や2型糖尿病のリスク低減など、
多くの健康に役立つ効果があるとの研究結果が多く発表されています。
日本人約9万人を対象に行われた調査結果(調査対象:がんや循環器疾患に罹っていない40歳~69歳の男女)でも、
1日3杯~4杯のコーヒーを飲む人達の全死亡リスク及び、
心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患による死亡率が最も低かったという結果が出ています。
ただしこの調査ではがんの死亡リスクには影響が見られず、
1日5杯以上のコーヒーを飲む人は心疾患や脳血管疾患などの死亡リスクが高くなっていました。
コーヒーが女性のメンタルヘルスにも影響?
ハーバード大学の研究(調査対象:平均年齢63歳で調査開始時にうつ病がない女性50,739人)では、
1日4杯以上のコーヒーを飲む女性は、コーヒーをほとんど飲まない女性よりも、
うつ病になるリスクが20%低いと発表されたり、
ドイツのルール大学の研究(調査対象:平均年齢24.3歳の健康な男女66人)では
「1日にコーヒー2杯~3杯分のカフェインを摂取したグループは、摂取しないグループと比較して、
ネガティブな言葉よりもポジティブな言葉の処理能力が高かった」という結果が出ています。
ただこの研究は調査対象が66名と少ないので筆者としては納得出来かねる部分もあります。
ちょっと安心?子宮内膜がんの予防効果も!?
ハーバード大学の栄養学部と疫学部の26年にわたり、
コーヒーの摂取と子宮内膜がんについて調査(対象:34歳から59歳の女性67,500名)した結果、
1日に4杯かそれ以上のカフェイン有りのコーヒーを飲む女性たちはコーヒーをあまり飲まない女性たちよりも
子宮内膜がんの発症リスクが25%低かったと報告しています。ただしこの研究者たちは、
単にコーヒーを飲むだけでなく、食事やエクササイズで体重のコントロールをすべきだとも主張しています。
コーヒーの飲み過ぎで不足するアレ!
一般的な栄養学の本を読んでいると分に摂れているようなことが書かれています。
しかし現実的にはビタミンやミネラルというものは、糖質や脂質、タンパク質の代謝に使用されたり、
新しい細胞の原料になったりして、毎日かなりの量が消費されています。
中でもチアミン(サイアミン)とも呼ばれるビタミンB1はブドウ糖をエネルギーに変える際に必要なビタミンです。
私たちが毎日の食生活の中で摂るご飯やパン、麺類やスイーツなどには多くの糖質が含まれ、
その糖質がアミラーゼやマルターゼなどさまざまな消化酵素の働きによってブドウ糖にまで分解され吸収されます。
そしてブドウ糖はビタミンB1の働きによってエネルギーに変えられます。
白米にパンやパスタなどの麺類、パンケーキなどのスイーツを好んで食べる人だけでなく、
加工調味料や加工食品などにも非常に多くの糖質が含まれ、
精製した砂糖、小麦粉、ミックス粉などを使った料理をよく食べる人もビタミンB1の不足が心配されます。
しかもビタミンB1は水溶性のビタミンなので、調理の過程で茹でてそのゆで汁を捨ててしまうような調理法では、
大切なビタミンB1も一緒に捨ててしまうことになります。
そしてコーヒー。
ノルウェーのベルゲン大学の研究(対象:中年層の10,601名の男女)によると、コーヒーの摂取量が増えるほど、
血液中のビタミンB濃度が低下すると報告されています。
これはコーヒーを多く摂ることでビタミンB1の働きが不活性化することによると考えられています。
ビタミンB1が不足すると何が起こる?
日本人のビタミンB1の不足の歴史は古く、元禄時代(1688年~1704年)にまで遡ります。
当時の日本人にとって玄米の糠の部分はとても貴重なビタミンB1の供給源でした。
しかし元禄時代以降、江戸では玄米を精製し糠を取り除いた白米が食べられるようになり、
それがある意味江戸に住む人のステイタスのようになっていきました。
しかし白米を食べるようになった人たちの間で、
食欲不振やダルさ、感覚の麻痺や動悸、手足に力が入らないなどの症状を訴え、
最終的には心不全や脳症を起こし亡くなってしまう恐ろしい病気「江戸わずらい」が増加しました。
現代でいう脚気です。
しかし当時はその原因が分からず、脚気は昭和初期までの長きにわたり、
多くの死者を出す恐ろしい病気だったのです。
では今の日本では全く見られないかというと実は脚気予備群が増えつつあると言われているのです。
手軽に食べられる上に安価なインスタント食品や冷凍食品、コンビニ食やスナック菓子、パンなどを
主たる食事にしている人たちの増加が原因として挙げられます。
そこに今では100円出せば手軽に飲めるコンビニコーヒーの大ヒット。
缶コーヒーの缶の匂いが苦手で外出時はコーヒーではなく、
水やお茶を飲んでいた人たちが、コンビニコーヒーを飲むようになっていますよね。
もちろんカフェでも多くの人がコーヒーを飲んでいます。
こんな調子で糖質の大量摂取にコーヒーの多飲が重なると、
言うまでもなくビタミンB1の不足が顕著に表れ、
何をするにも「ダルイ」すぐに「疲れる」のは当たり前と言えば当たり前になってしまうのです。
筆者も「なんか疲れが取れない。」「体がダルイ」と思うときは、
食事がご飯ものや麺類中心になっていないかをまずチェックします。
コーヒー好きはこれを摂ろう!
ビタミンB1は穀物なら糠や胚芽部分に多く含まれているので、
玄米やパンやパスタを食べるなら全粒粉のものを。
筆者は食事指導の中でビタミンB群の多いナッツ類や豚肉、ご飯を食べるなら必ず海苔を一緒に摂るよう勧めています。
またニンニクや玉ねぎなどに含まれる香り成分アリシンとビタミンB1を一緒に摂ると吸収率が高まるので、
豚肉は玉ねぎやニンニクと一緒に炒めて食べるのもいいですね。
ただし熱に弱いので、加熱時間は出来るだけ短く調理して下さい。
忙しい女性が増えた今、作り置きをしておきレンチンでお手軽に食べるのも流行っているようですが、
何度も加熱するたびにビタミンB1をはじめとするビタミンB群が減ってしまうことも、
頭の片隅に置いておいて欲しいと思います。
余談ですがアルコールの摂取もビタミンB1の大量消費を招きます。
朝から日中にかけてはコーヒー、夜はアルコールという人は食事だけでなく、
間食でもナッツをこまめに摂るなどの工夫が必要かもしれません。
ナッツ類の中でもビタミンB1に特化して言えば、
ヒマワリの種やピーナッツ、カシューナッツやピスタチオがおススメです。
厳密にいうとナッツをは種実類のことを指し、
地下茎であるピーナッツはナッツではないという説もありますが、
厚生労働省の食品データベースではピーナッツも種実類に含まれているので、
今回はあえてピーナッツを含むナッツ類をご紹介しています。
ただし、輸入品が多いナッツ類なので、防カビ材などの使用の有無をチェックしたり、
オーガニックにこだわったりした方がいいかもしれません。
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参考文献
http://kantar.jp/whatsnew/2013/08/kantarjapan_pr_0820.html
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25762807
http://europepmc.org/articles/pmc1375232
https://www.hsph.harvard.edu/news/press-release
https://news.uga.edu/chemical-in-coffee-may-help-prevent-obesity-related-disease/
https://www.hsph.harvard.edu/news/hsph-in-the-news/coffee-depression-women-ascherio-lucas/
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0048487
https://www.hsph.harvard.edu/news/hsph-in-the-news/coffee-endometrial-cancer-risk/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/127/11/127_11_1825/_pdf
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