あなたは環境に負荷の少ない電力会社を本当に選べていますか?原発事故により再生可能エネルギーへのシフトが期待される日本。電力自由化、各地で建設されるメガソーラー。今私達は何をすべきか。
先日は、私たちの生活に欠かせない水道についてお伝えしました。
料理、洗濯、掃除・・・。水道から出る水は、何をやるにも欠かせませんよね。
では、私たちが暮らしていく上で、その次に必要なものは何でしょうか?
洗濯機や冷蔵庫、炊飯器は勿論、夜間の照明にも欠かせないといえば「電気」ですよね。
7年前に起きた福島第一原発事故後は、東北・関東の広い地域で計画停電が行われましたね。
原発事故をきっかけに、節電や省エネ、再生可能エネルギーについて考えるようになった方も多いのではないでしょうか?
あなたはどの電力会社を選んでいますか?
電力全面自由化は、すでに2年前からスタートしています。
2016年4月からは日本でも遂に電力全面自由化がスタートしました。
IN YOU読者の皆様なら、すでにご自身でお好きな電力会社を選んでいる方も多いのではないでしょうか。
それまでは契約電力50KW以上のコンビニや工場などしか電力会社を自由に選択することができず、一般家庭の私たちは、電力会社を選べなかったのです。
その結果、原発を推進してきた電力会社から、長年に渡り電気を買い続けることになりました。
また定められた金額でしか電気を購入する事ができませんでした。
事故により放射性物質拡散などのリスクが高い原発に依存せず、安全な再生可能エネルギーを選びたい。なるべくお得に電力を使いたい。
そんな声が高まり実現された電力全面自由化。
2015年に経済産業省が20歳から69歳の男女1000人を対象に実施した電力自由化に対する国民意識調査では、回答者の8割が購入先を変更すると回答しています。
また電気料金が1割値下げされた場合、61.8%もの人達が電力会社の切り替えを行うとの意向を示しました。
原発事故後、放射性物質による健康被害を心配していた私も、電力自由化後すぐに、再生可能エネルギーを利用する電力販売事業者に切り替えを行いました。
リスクの高い原発から脱却を図るために、再生可能エネルギーへの転換を図っていくことは大切なことですから。
IN YOUで度々お伝えしているように、ケミカルな力を使わない、
オーガニックな食事をしていくことも大事ですが、それ以外のことになると、意外と無頓着な方もいるのではないでしょうか。
電気も食と同じように、どの会社を選ぶかで日本の未来は変わっていく、その意識をあなたは持っていましたか?
今最も注目されるのが太陽光発電
再生可能エネルギー産業で最も期待されているのは何かご存知ですか?
それは太陽光発電です。
原発事故以降、再生可能エネルギー産業に新規参入した電力事業者により全国各地に大規模なメガソーラー建設計画が進められています。
再生可能エネルギーは、普及が進むほど、価格が安価となり、性能もあがっていくもの。
再生可能エネルギーによる雇用は、化石燃料の2倍から8倍。
2030年には、直接雇用で5万5000人、間接的には33万人の雇用が予測されています。
放射性物質による健康被害の不安がなく、多くの雇用を生み出す可能性を秘めています。
こうしてみると再生可能エネルギーに参入した電気販売事業者からの電気を購入する事は、一見良いことのようにも思えますよね。
では、実際はどうでしょうか?
再生可能エネルギーであれば、健康被害や環境への影響はないのか。
私たちは、本当に安全でクリーンな電力を供給する電力会社を選べているのでしょうか。
各地で建設が進む大規模な太陽光発電施設メガソーラーを元に考えてみましょう。
固定価格買取制度FITにより飛躍的に増えた太陽光発電。本当に環境に優しいの?
再生可能エネルギーを推し進める為に世界では、政府による様々な支援策が行われています。
その1つが、固定価格買取制度。
通称FITと呼ばれるこの制度は、2012年に日本でも導入されました。
これは、再生可能エネルギーによる発電事業者に対して、送電網へのアクセスと発電した電力に対する長期の買い取り価格を保証する仕組みです。
FIT初年度の買い取り価格は1KW当たり42円。
これは世界一高く、欧州の3倍以上もの価格となりました。
このFITが導入されて以降、日本各地でメガソーラーの建設が増加しました。
高値の買い取り価格につられた不動産業者や自治体、海外企業が太陽光事業に次々と参入したのです。
2014年3月の1ヶ月間で国が認定した発電容量は、なんと2700万KW(原発27基分)。
総発電量に上限を設けず開始された為、供給量過多となり買い手である大手電力会社が受け入れ中断を決断し、制度を一部改正する事態となりました。
これにより既に電気の供給量は、既存の設備で十分賄える状態になりました。
それにも関わらず現在もメガソーラーの建設は進んでいます。それは何故でしょうか?
FITの買取り期間はおよそ20年。
この期間は、申請時の買い取り価格が保障されているのです。
この買取りに必要な費用は、私たちが支払っている電気料金から「再エネ賦課金」として、毎月電気代とは別に徴収されています。
皆さんは、その金額が、年々増額されているのをご存じですか?
以下の表がその金額になります。
引用:新電力ネットホームページ 再エネ賦課金
電気料金の検針票に小さく記載されているこの再エネ賦課金は、今後も値上がりするのではとの指摘が出ています。
またメガソーラーは、災害時にパネルが損壊することによる有害物質流出の恐れが指摘されています。
2030年代半ば以降には、経年劣化による使用済パネル廃棄急増が見込まれ、適性な廃棄処理が必要とされています。それにも関わらず、関連業者や自治体からは住民に十分な説明がなされていない地域が多いのです。
このような事態に対し、総務省が環境省や経産省、関連業者、自治体などに勧告を行い、昨年12月に業界団体により有害物質情報開示に関するガイドラインが作成されましたが、今年2月時点で情報公開を行ったのは僅か1社となっています。
引用:総務省「太陽光発電設備廃棄処分等に関する実態調査の勧告に対する改善措置状況」
太陽子パネル損壊により発生する有害物質の健康被害
太陽パネルは、鉛やセレンなどの有害物質が含まれており、災害で損壊する可能性や適切な処分が行われないことにより健康被害を引き起こす可能性があります。
鉛:頭痛、吐き気、嘔吐。長期に渡り繰り返し暴露すると血液や神経、腎臓に影響を与えたり、脳障害や生殖機能に影響を与える場合がある。
セレン:咽頭痛、咳、臭覚損失、頭痛、下痢、皮膚の赤みなど。呼吸器や神経に影響を与える。
参照:国際化学物質安全性カード・セレン
参照:国際化学物質安全性カード・鉛
電力小売り業者が計画するメガソーラー
これらの健康被害を生むメガソーラー建設を行っている自治体や企業の中には、電力自由化により電力販売事業に参入したところもあります。
長野県諏訪市・霧ヶ峰高原では現在、皇居と明治神宮を合わせたほど面積の土地にソーラーパネル31万枚を敷き詰める太陽光発電施設建設計画が持ち上がっています。
貴重な天然記念物やレッドリストに登録された植物が生育し、農業用水として利用してきた湧水地を含むこの土地で開発計画しているのは電力自由化により電気小売り業に参入したLOOOP社(東京)です。
またソフトバンクグループのSBエナジーは、現在稼働している静岡県最大級のメガソーラーに加え、新に1.2ha、予想年間発電量142万kw(一般家庭394世帯分)の太陽光発電施設浜松市に建設し、8月の稼働を目指しています。
多くの企業がFITによる利益を得るために、環境破壊や健康被害を生み出すメガソーラー建設に携わっている現状。
今すぐ、私たちに出来ることはなんでしょうか。
契約を結んでいる電気小売業者の事業をチェック
ドイツなどの事例より・・・
ドイツでは電力自由化後、国民から「どれが本当に信頼に足る事業者なのか」と戸惑う声が多く聞かれるようになりました。
この声を受けて、ドイツ環境省は2012年には電力由来証明書登録制度を導入したのです。
これにより、消費者に対し契約した事業者の電力がどこから調達されたかが証明されるようになりました。
残念ながら、日本にはまだこういった制度はありません。
ですが、自分が電力を購入している販売業者の太陽光発電施設建設計画などを、ホームページで確認する事はできます。
またFITは今年3月、認定量の太陽光発電施設への偏りや未稼働施設増大が指摘により法改正が行われ、事業計画などの認定基準が厳しくなりました。
過剰な建設を進めていないか、管理運営を徹底しているか消費者の目でチェックしていくことで、発電施設の乱立や杜撰な管理を防ぐことができるのです。
出来る限り、市民の目線にたった小売り業者を選びましょう。
家庭で出来る省エネ対策
既存の太陽光発電所の耐用年数を少しでも長くし経年劣化を遅らせること、損壊や廃棄処理による有害物質発生の恐れを減少させましょう。
その為には省エネ対策が重要となります。
電力診断を受けよう!
長野県松本市でソーラー発電機の設計・製作を行っている「みよしや」さんでは、家庭の電気使用状況をチェックし「電力カルテ」を作成。
どの家電や照明で、どの程度の電気を使い、どれだけ電気代がかかっているかを「見える化」した上で、電気を上手に使う方法をアドバイスするサービスを提供しています。
診断料は1回5,000円。ただし松本近隣3市町村以外では別途交通費がかかります。
魅力的なサービスだけど、遠くて利用できない。
そんな方には環境省が行っている「うちエコ診断」がおすすめ。
認定資格を持った診断士が電気の使用状況をチェック、アドバイスを行ってくれます。
うちエコ診断
非電化グッズを使ってみよう!
節電を行うには、私たちが日常生活で使用している家庭用品を“非電化”に切り替えていくことが大切です。
電気を使わない家庭用品は、災害時に電気がストップしても使うことができる優れもの。
忙しい毎日、全てのものを非電化にして生活することは難しいですが、出来ることを少しずつやってみませんか?
ほんの一部ですが、便利な非電化グッズをご紹介させて頂きます。
災害用水電池 NOPOPO
付属のスポイトで注水口に水を0.5~1mL入れるだけで、単3型電池として使用できる「水電池」。
嬉しいのは重貴金属などの有害物質を一切含まないところ。
そして、なんと約20年も保存可能なんです。
一般的に使われている充電タイプ電池の寿命が6年~10年と言われていますから、その倍近く長持ちするということですね。
またアダプダーを単1、単2電池として使用可能です。ただし、デジカメやフィラメント型懐中電灯には適しません。
非電化洗濯機
すっかり全自動洗濯機が定着した現代。
でも母の子どものころは、まだ手洗いや洗濯板が主流だったとか。
便利な生活に慣れた私たちは、流石に毎日の洗濯を手洗いというわけにはいきませんよね。
家族の分まで洗うには、やっぱり洗濯機。
でもたまに「布巾だけ洗いたい」「生理用品だけ洗いたい」なんて時がありませんか?
そんな時が節電のチャンスです。
最近は、節電は勿論アウトドアでも使える生活用品として、手動や足踏みの小型洗濯機が販売され、注目を集めています。
足踏み洗濯機
カナダYiREGO社製の足踏み洗濯機です。重さ11kgと女性には少し重いですが、少人数のご家庭でも使用できるサイズ。
ご家族でキャンプに行く時などに持っていくと便利です。お子さんたちと一緒に、足踏みしなが洗濯するのも楽しそうですね。
小型手動洗濯脱水機HANDWASH SPINNER
一人暮らしや、赤ちゃんのいるご家庭で少量の洗濯物を洗うときに便利です。
本体が軽いので、女性でも気軽に持ち運びができます。
使用後は、本体を軽く洗っておくだけで、清潔さが保てる手軽さも魅力です。
また、まだ電力会社を切り替えていないという方はこれをきっかけに各社にヒアリングを行い、納得のできるところへ、早々に切り替えるといいでしょう。
メガソーラーが増えても、再稼働される原発。
本当に日本は原発に依存しない社会に向かっているのか・・・・?
過去に原子力発電に協力していた企業が「恩恵」のために再生可能エネルギーに乗り出している??
現在の私たちの生活に必要な電力は火力発電所などで、全てまかなえている状態です。
ですから、これ以上の発電所建設は、本来であれば不用なはず。
しかも、
再生可能エネルギーの開発が進められているにも関わらず、今のなお日本では、原発再稼働が進んでいます。
2016年、政府は東京オリンピックに向けて復興のシンボルになる新産業を作り上げる狙いで「福島新エネ社会構想」に乗り出しました。
福島県内で再生可能エネルギーによる電力を大量に作り、余剰電力を利用し、2020年までに燃料電池車1万台分の水素を製造する計画です。
これらの建設計画には、過去に東京電力と業務提携してきた企業が数多く参入しています。
同じ福島県内で住民主導により太陽光発電所が作られた例もありますが、それらはほんの一部。
発電所建設計画を進める多くの企業は、実際には環境のためではなく、経済的な恩恵の為に再生可能エネルギー開発を行っている可能性があるのです。
「再生可能エネルギー開発=エコ」という図式に惑わされることなく、自分たちの目で、しっかりと、政府や自治体、企業の動きを見ていってください。
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安全な水が消える日。次々と多国籍企業の格好の餌食にされる日本。水面下で進められる水道民営化と水ビジネスがもし実現されたら日本人の生活はどう変わるのか。
参照:
・たあくらたぁ40号 「続・再生エネルギーならよいのか 福島に470基の巨大風車計画」
・たあくらたぁ39号 「太陽光発電所建設ラッシュの裏事情」
・小林 義行著「45分でわかる!どうなる?日本のエネルギー問題。再生可能エネルギーと分散型ネットワークが鍵!」
飯田 哲也著「1億3千万人の自然エネルギー」
・電力自給自足性活研究会編著「愉しい電力自給自足性活」
・木舟辰平+柳沼倫彦共著「電力自由化がわかる本」
・田口 理穂「著市民がつくった電力会社 ドイツシューナウの草の根エネルギー革命」
・メガソーラービジネスニュース「SBエナジー、浜松市メガソーラー建設、買取価格21円で。」
・総務省「太陽光発電設備の廃棄処分等に関する実態調査」
・「福島復興・浮体式ウィンドファーム実証研究事業 2MWダウンウィンド型浮体式洋上風力発電設備および浮体式洋上サブステーションの設置完了・運転開始について」
・資源エネルギー庁ホームページ なっとく!再生可能エネルギ―
・電気新聞編著「電気の選び方 わが家の電力自由化ガイドブック」
本物のオーガニックが見つかるオーガニックショップ
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