癌などの生活習慣病、認知症予防に！|旬の柑橘類に含まれるノビレチンの凄い力とは

こんにちは。国際中医薬膳師の清水えりです。

「ノビレチン」ってみなさん、聞いたことありますか？

近年、認知症予防やガン予防に効果があるとの研究結果もあって、
注目を集めている成分です。

「最近物忘れが多くなった。。」
「血糖値が気になる。。」
「生活習慣病に気をつけている。。」
「美肌になりたい。。」

そんな現代人の美容と健康のお悩みの全てを解決するかもしれない成分、
それがノビレチンです。

今回はそんなノビレチンについて、

・どんな成分なのか
・どんな作用があるのか
・何をどれだけ食べればいいのか
・効果的なノビレチンの摂り方

についてお伝えします。

植物性機能成分ノビレチンとは？

ノビレチンは、柑橘類の果皮に多く含まれる「フラボノイド」の一種で、特に、シークヮーサーやポンカンなどに多く含まれます。

フラボノイドはポリフェノールの一種で、植物色素の総称です。
よく「ポリフェノールには抗酸化作用がある」などと言われますが、
フラボノイドはもともと植物自身が紫外線によって発生する活性酸素から細胞を守ったり、
種子を害虫などの外敵から守るために作り出している物質で、野菜や果物の色や苦味、アクなどの元となっています。

自然界には4,000種類以上のフラボノイドが存在し、近年は研究によって、様々なフラボノイドが人間の生理調節機能に働きかけて健康維持に役立つことが分かってきました。

中国薬膳では古くから柑橘類の果皮が、陳皮（チンピ）や橘皮（キッピ）として、気の滞りを改善する薬に用いられてきた歴史があります。

そしてノビレチンの研究は20年以上前から行われてきましたが、近年、ノビレチンには健康維持に有用なさまざまな機能があることが分かってきました。

こんなにある！ノビレチンの健康作用

最近の研究では、ノビレチンには次のような作用があるという結果が報告されています。

-記憶障害の改善
-血糖値上昇の抑制
-記憶障害の改善
-脂質代謝の改善
-血圧の上昇抑制
-抗炎症作用
-がん抑制作用
-軟骨の分解の抑制
-メラニン合成の抑制

つまり、ノビレチンには高血圧や糖尿病などの生活習慣病を予防する作用や、
認知症予防やリウマチ、関節炎など、エイジングに伴う諸症状の進行を遅らせる作用、
代謝アップや美白など、健康維持から美容まで様々なメリットがあると期待されています。

そのため、ノビレチンは以下のようなお悩みの改善におすすめです。

・最近、物忘れが多くなった
・記憶力をアップしたい
・血糖値が気になる
・生活習慣病が気になる
・ウエストが気になる
・アレルギー症状を緩和したい
・節々の痛みが気になる
・紫外線が気になる

日本国内でのノビレチン研究の歴史

日本でノビレチンが注目されるきっかけとなったのは、薬用植物研究の権威、東京薬科大学の指田豊（さしだ ゆたか）氏（現同大名誉教授）の研究でした。指田氏の研究では、ノビレチンにはガンの抗体物質を活性化する作用があるという結果が出されました。

またその後も生活習慣予防、アルツハイマー予防などの分野でも研究が進み、血糖値や血圧の上昇を抑える作用があるとの報告や、有望な研究成果が次々に発表されています。

認知症予防にノビレチン

数あるノビレチンの作用の中でも、特に注目されているのが、ノビレチン摂取が認知症予防につながるのではないか？ということです。

特にアルツハイマー型認知症を予防する効果が期待されています。

そこでまずは、アルツハイマー型認知症の原因からおさらいしてみましょう。

アルツハイマー型認知症の特徴のひとつとして、アミロイドβというタンパク質の過剰蓄積が挙げられます。
アミロイドβは本来は神経の成長促進や修復を行うのですが、炎症によってアルツハイマーを引き起こす原因物質になる
と言われています。

ノビレチンはこのアミロイドβを減少させるとともに、脳内に沈着するのを防ぐことで、アルツハイマー型認知症の予防になることが期待されているのです。


この他にも、老化によって脳内の神経ネットワークの形成が徐々に行われにくくなっていくことも認知機能低下の原因となっています。

ノビレチンには神経細胞から神経突起を伸ばす機能を活性化させて、神経ネットワークの形成を進める働きも報告されています。

血糖値コントロールにノビレチン

近年注目を集めているのが、ノビレチンの血糖値を下げる効果です。

糖尿病のモデル動物を使った実験ではノビレチンを投与することで、血糖値が3分の1に下がることが確認されています。

この実験をした愛知県にある中部大学の禹済泰（ウ・ゼテ）教授の研究によれば、ノビレチンを摂ると、次のようなメカニズムで血糖値が下がる事がわかりました。

①アディポネクチンの分泌促進
（アディポネクチンは血糖値を下げるインスリンの感受性（効果）を高めます）

②インスリンの働きを阻害する物質の活性が下がる

③脂肪が糖を取り込みやすくなる（血中の糖の量は減る）

④肝臓内の糖を作り出す酵素の活性が低下する

こうした様々な作用によって、ノビレチンは血糖値を下げることが動物実験では明らかになりました。

また、海外の研究では、人間でもノビレチンが同じように血糖値を下げるという結果が報告されています。

美容やダイエットにもノビレチン

ダイエットにノビレチンが良い理由

血糖値を下げることはダイエットにもつながります。

インスリンには使いきれなかった糖を中性脂肪に変える作用があるため、インスリンの分泌が抑えられれば体脂肪も増えにくくなります。

糖質の多い食事の時にノビレチンも一緒に摂取すれば太りにくくなるというのです。
また、ダイエットの他にもノビレチンの摂取で美肌、美白も期待できます。

美肌や美白にも良いノビレチン

近年の温室効果ガスの排出増加などの影響でオゾン層が薄くなるとともに、紫外線量が増えています。
環境省の発表によると、1980年代以前に比べ、2003年時点では世界の観測地点で平均6％〜13％も紫外線量が増加しているそうです。

そんな中、ノビレチンには体の中から日焼けによる肌のダメージを予防する働きがあることが分かってきました。

一般的な「日焼け止め」は紫外線を吸収したり、反射したりする物質を塗ることで日焼けを防ぎますが、ノビレチンは体内で皮膚に炎症を起こさせるプロスタグランジンE2という物質が作られるのを抑制することで、日焼けによる炎症を防ぐのです。

日焼けによる炎症は、皮膚がんをはじめ、シミ、そばかすの原因となります。

また炎症を防ぐ以外にも、メラニンが過剰に作られるのを抑える働きが報告されています。
メラニンは紫外線が皮膚に当たると、チロシナーゼという酵素が活性化することで作られます。

ノビレチンにはチロシナーゼを活性化するタンパク質の働きを抑える作用があり、
その結果メラニンの生成が抑えられるのです。

つまり、ノビレチンを摂ると、

・炎症を抑えることでの日焼け（サンバーン）を予防する
・メラニンの生成を押さえる

この両面から肌を紫外線から守って、シミ・そばかすも防ぐことが出来るのです。

ノビレチンを豊富に含む食材とは？

最初にも書きましたが、ノビレチンは柑橘類に多く含まれる成分で、特にその皮に多く含まれます。
ただし柑橘類といっても、みかんやオレンジといった、おなじみの果物にはあまり含まれていないのです。

ノビレチンを多く含む柑橘類ランキングは次のようになっています。


１位　シークヮーサー　　　　　　267㎎
２位　ポンカン　　　　　　　　　127㎎
３位　カボス　　　　　　　　　　89㎎
４位　温州みかん　　　　　　　　24㎎
５位　グレープフルーツ　　　　　1㎎

※それぞれ100ｇ当たりの含有量
（出典：東北大学超臨界溶媒工学研究センター）
http://www.che.tohoku.ac.jp/~scf/o-scf/nobiletin.html

となっています。

この他にも、日本古来の柑橘類である橘（タチバナ）や、三重県特産の新姫（ニイヒメ）などもノビレチンを多く含む柑橘類です。

一日の食事で必要なノビレチンの量は？

1日の摂取量の目安は、3.5mg～11mg/kgと 言われています。

つまり体重が50kgの人なら、1日に175mgから550mgが必要になります。
シークワーサーなら約65ｇから200g、3個から10個ほどに相当します。

みかんであれば1kg以上（約10個以上）が必要です。

効果的な量のノビレンチンを食事で摂るのは難しい

ノビレチンは果皮に多く含まれるため、皮ごと柑橘類を食べる工夫も必要です。
まるごとジューサーで絞ったり、皮を干して粉末にして食べてもよいですが、
毎日の食生活ででノビレチンを効果が期待できる量、摂取するのはなかなか大変です。

ジュースなら大量に飲まなければならず、酸味が強いシークワーサージュースを毎日飲むことは胃腸にも負担がかかり、実はとても現実的ではありません。

かといってみかんやポンカンなどの他の柑橘類では、ノビレチン含有量が少ないので、さらに多くの果汁を摂る必要があります。

毎日手軽に摂るならサプリメントもおすすめです。

まとめ

いかがでしたでしょうか？

アルツハイマー予防や記憶力アップ、ガン予防、血糖値コントロール、血圧や中性脂肪の抑制、美肌や美白作用など、健康と美容によい効果が期待できる成分「ノビレチン」。

日々の食生活に上手に取り入れて、元気に生き生きと過ごしたいものですね。

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出典：ノビレチンとは┃抗認知症機能性食品開発部門┃東北大学
http://www.che.tohoku.ac.jp/~scf/o-scf/nobiletin.html

参考：環境省　平成17年度オゾン層などの監視結果に関する年次報告書
https://www.env.go.jp/earth/report/h18-03/2-III.pdf

参考：「果物の機能性に関する研究動向」
http://www.5aday.net/v350f200/doko/kisoteki2.html