何かと問題になっているグリホサートの真実|あなたは反対派?賛成派?どちらの意見も比較して考える「農薬」のこと。
残留基準値以下ながら検出された除草剤グリホサート
アミノ酸系の除草剤であるグリホサートが、
日本の大手3小麦粉メーカーの小麦製品から検出されたと一部で話題になりました。
日清フーズ・日本製粉・昭和産業がその3社にあたりますが、
いずれの会社も農水省が輸入した輸入小麦からの検出となっています。
さまざまな研究機関によるデータ的にも、
小麦製品にもっとも残留しやすいとされているグリホサート。
しかし世界では、小麦製品以外にもさまざまな食品からグリホサートが検出されています。
発ガン性の懸念があると言われるグリホサートが微量でも含まれているとあっては、不安に感じるのも無理はありません。
現代の私たちの食生活は、他者や他国の農産物なしには語れませんが、毎日の食事では、
ひとつひとつの食べ物を安心して口にすることのできるということが何よりも大切です。
グリホサートに限らず、
いろいろな種類の農薬がもたらす可能性のある危険性について今一度考えてみるべきかもしれません。
残留基準値がある薬剤は、グリホサートだけではない
残留基準値が設けられている農薬は何もグリホサートだけではありません。
有機リン系殺虫剤のイソキサチオン・ネオニコチノイド系殺虫剤のニテンピラム、
植物成長調整剤のパクロブトラゾール、アミド系殺菌剤のフルトラニル・アニリド系殺菌剤のボスカリドなど、さまざまなものがあることをご存知でしたか?
残留基準値があるということは、人体や環境にとって良くない農薬ということ。
消費者目線で見てしまうと、どうしても「農薬なんて!」と思いがちかもしれません。
しかし、生産者目線で考えた場合、
農薬を使うことで大幅な効率化を図ることができますし、確実に利益を出すこともできます。
このように、農薬が使われるには理由があることはもちろん、
消費者が求めるからこそ生産者が農産物を生産しているということを忘れてはいけないのではないでしょうか。
世界と日本でのグリホサート残留基準
グリホサートは、万が一残留物質が体内に入った場合も、
人の体内には残留せずに排泄物としてすぐに排出されると考えられています。
母国アメリカや世界各国でも、グリホサートに対する残留基準値が設定されており、
摂取した際も健康への影響がない値が基準とされています。
アメリカの環境団体では、こどもの健康を考える基準値として、160ppbをがひとつの目安とされています。
しかし、アメリカ国内では、朝食用として広く普及されているシリアルやオーツ麦などに残留しているケースが広く認められており、
時には、400-500ppbにもなるグリホサート残留値が検出されています。
日本では、残留許容量を2017年に緩和したものの、一番基準値が緩い品目でも40ppbと、
アメリカよりもかなり厳しい基準値を設定しています。
また、欧州食品安全機関でも2018年に基準値の見直しがあったりと、日本のみならず世界でも動きがあります。
そもそもグリホサートとはどんな薬剤なのか
除草剤グリホサートは、IN YOUでも度々話題になっている、
もともとはM社のRoundup商標の農薬の種類です。
現在は、ドイツのB社が2018年にモンサント社を買収完了したため、ドイツ企業傘下となっています。
グリホサートは、1976年から市場に出回っているもっとも有名な除草における有効成分のひとつ。
作物の乾燥と除草を目的とした薬剤で、世界中の農業のシーンで幅広く使われています。
「グリホサート」と言っても、
グリホサート
グリホサートイソプロピルアミン塩
グリホサートアンモニウム塩
グリホサートカリウム塩
などが分類としてあり、製品それぞれでその配合なども微妙に異なります。
とくに欧米では、プリハーベストやポストハーベストの期間において、農作物を乾燥させるため、
保存期間を長引かせるための農薬として使われるケースが多くなっています。
グリホサートは、通常の除草剤として使う分には健康への被害はないという研究結果が事実として多くあります。
しかし、収穫前後に散布されることにより、グリホサートが食品に残留物質として残る可能性が飛躍的に上がると考えられているため、
危険性が高いと言われているのです。
日本では、一部防カビ剤・防虫剤の使用が食品添加物として認可されていますが、
ポストハーベスト農薬の使用は禁止されています。
このような背景もあり、たとえグリホサートを使用して生産された農作物でも、
国内産の方が安全と考えられています。
オーガニックは本当にグリホサートフリーなのか?土壌に残るグリホサートの問題。
実は、オーガニック食品や小麦製品をテストした場合にも、
30-60ppbほどの残留値が出ることはめずらしくありません。
これはアメリカだけではなく、ヨーロッパのオーガニック認証済みの食品でも同じことで、
オーガニックの蜂蜜でも検出が確認されたりと各方面で問題になっています。
例えば、フリーレンジや抗生物質不使用のオーガニック環境で生まれた卵でも、
169ppbのグリホサート残留が検出されたという調査結果もあります。
一般の卵で検出された102ppbを上回る残留値となりますので、オーガニックだからと言って、
必ずしもグリホサートフリーというわけではないことがおわかりいただけるのではないでしょうか。
背景としては、グリホサートが土壌に残る期間が当初考えられていたよりも長いこと、
雨などによって水源に広がる可能性などが指摘されています。
また、オーガニックのラベルがある食品が全てグリホサートの検査を受けている訳ではないことも、
合わせて知っておくべきかもしれません。
グリホサートの真実はどこにあるのか
グリホサート反対派の見解
訴訟などの関係で、グリホサートと悪性リンパ腫である、
非ホジキンリンパ腫の引き金となる可能性や発ガン性などが指摘されています。
また1996年や2001年には、M社により、
除草剤ラウンドアップのイメージや生分解性を意図的に脚色した広報、
試験データへの改竄などがされたと法的に問題となりました。
確かにグリホサートには、長期間に渡っての使用や基準を超える使用量などによる、
生物多様性への影響などの問題が考えられています。
しかし、グリホサートの話題で引き合いに出される訴訟問題と科学的な研究結果は、
似て非なるものということを、消費者側も頭に入れておく必要があるかもしれません。
2015年、WHOの外部組織である国際がん研究機関では、「発ガン性がある可能性がある」との見解を示しました。
しかしながら、2017年には、欧州化学物質庁では発ガン性は認められないという研究結果が出ていますし、
WHO・国際連合食糧農業機関・欧州委員会など、欧米の多数の研究機関でも、
いまだ人に対する中毒性・発ガン性・深刻な健康被害への可能性については、核心をつくような研究結果を出せていないようです。
しかし、肌や鼻などへの粘膜への急性毒性・慢性毒性、眼の角膜を傷つける可能性があること、
水生生物に甚大な被害を与える物質であることなどは広く証明されているため、
使用上の注意を厳守することが、製造者側・販売者側からも強く求められています。
グリホサート賛成派の見解
グリホサートが農業従事者にもたらす利点として言われること。
長い間、グリホサートはヨーロッパの多くの農家で
画期的な農作物の保護策として、積極的に使われてきた経緯があります。
グリホサートを使用することで、単純に生産性が上がるためです。
実際に、グリホサートの使用なしには、菜種種子・大麦・小麦・コーンなどの収穫高が、
何と22%も落ちるであろうと考えられているほど。
毎年の農産物生産者の利益は25%ほど上がると言われています。
ヨーロッパ各国は次々と禁止。グリホサートへの取り組みと課題
ですが、近年ではグリホサートの環境への被害や人体に関する危険性に焦点が当たり、
各国のグリホサートに対する姿勢も変化していています。
フランスでは、2019年の1月中旬に、ラウンドアッププロ360の販売・供給・使用を禁止し、
2021年にはグリホサート自体を全面的に禁止するような動きもあり、イタリア・ドイツ・ベルギーなどでも、3年以内に段階的に廃止を目指すという声があがっています。
オランダでは、すでに2015年に農家を除く非営利的な使用を禁止していますし、
オーストリアでは2つの州で脱グリホサートが掲げられるなど、各地で議論が沸き起こっています。
しかし、農業が盛んな国や州によっては、
グリホサートの使用などを禁止するのはかなり困難なことでもあり、
グリホサートに代わる薬剤の使用の問題などもあります。
また、グリホサートを使用しないことで落ちるであろう収穫高や、水供給にかかる負担などの懸念を示す人々もいます。
農家を経済面でサポートしていく体制が必要とされるだけではなく、
別の薬剤による潜在的被害の可能性も考慮に入れたりと、
フル体制でのサポートとオルタナティブに発生していく可能性のある問題と、
直面していく必要があるなど、さまざまな課題を抱えています。
グリホサート以外の農薬の問題も懸念される欧米
カナダのバンクーバーなどでは、公共の公園などでのグリホサートを禁止していたり、
ヨーロッパ各国でも、2009年から徐々に、公共の場所である道路・公園・庭園などでの農薬使用廃止の取り組みがおこなわれています。
ヨーロッパの中でも、農薬規制にもっとも厳しいのはデンマークとスウェーデンと言われています。
しかし、殺虫剤や除草剤の使用状況は、各国の気候・農業に対する国の比重・国からのサポート体制なども、大きく関係している複雑な問題となっています。
例えば、イタリアの温暖な気候の国や観光地・旧市街などでは、
夏の期間中になると害虫駆除目的での殺虫剤の使用が積極的に行われますし、今後の判断が難しい繊細な問題と言われています。
また、殺虫剤として使われているクロロニコチニル系殺虫剤のネオニコチノイドなども、問題視されています。
ハチの大量死へのリスク、農作物や蜂蜜からの検出が認められており、
養蜂や自然農法がさかんな国の間で今後の状況が注視されています。
世界での動きを冷静に見ながら今後の課題について考える
2019年に入ってから早速、アメリカのコストコが、グリホサートベースのラウンドアップレディを販売しないと決定しました。
あなたは、この事実をどう受け取りますか?
グリホサートを使うことのメリットは、生産量をあげられる可能性が高いこと、
デメリットは健康や環境へ悪影響が間がられること。
どちらの見解が、正しいか正しくないかというのは消費者の皆さんが考えてみてください。
しかしコストコでは薬剤自体の販売を中止はするものの、グリホサートを含んでいると言われる、
有名フーズ各社のオーガニックではないオーツやシリアルなどの販売を中止するわけではありません。
アメリカ国内では11,200件にのぼるとも言われるラウンドアップの訴訟問題。
ラウンドアップに大きな注目が集まる中、話題となる決断をすることで、
好感度アップを図るなどの戦略も考えられますよね。
訴訟大国アメリカにおける顧客獲得としてのビジネス的な意味合いが、少なからずあることも知っておきたいところです。
今回グリホサートのプラスの面についても少し触れましたが、マイナス面の指摘や問題があるのも確か。
最終的な見解としてはやはりプラスの面があるとしても、人体への危険性がある以上、農薬使用の推奨できないと言えます。
私たちの国における農業のあり方、クリーンな食をつくる社会のしくみ、
生産者支えるべき体制などのすべての課題に対して、消費者としても注意深く見守っていき、自分の意見を持つようにしましょう。
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