G20でも焦点とされる”海洋プラごみ”とは? サーファーのみぞ知る日本の凄まじい現状と、「プラスチックを使わない生活」とは?
2019年6月28日のG20(主要20カ国・地域首脳会合)では、
環境部門での海洋プラスチックごみ問題が主要テーマのひとつとして全世界から注目を浴びています。
そして、プラスチックごみを2050年までに、
海洋に流出するプラスチックごみをゼロにする目標をで合意するかたちとなりました。
昨年のG7でプラスチックごみを減らしていくための国際憲章に、
米国と日本だけ署名しなかったことに世界中から批難を浴びていたものの、
やはりこの問題はどうにも避けられない地球規模の問題なので、
米国と日本も今回ばかりは合意したようです。
この記事では、こうして今回焦点とされる海洋プラスチックごみについて、
日本のとある郊外に住む一人の女性サーファーとしてお話しさせていただきたいと思います。
そもそも海洋プラごみとは?何が問題なの?
海にただよう1億5000万トンのプラスチック。
2050年には魚よりゴミの方が多くなる!?
いったいどれほどのプラスチックが海に存在するのか?
誰かが投げ捨てたペットボトル、不意に風で飛んでいったビニール袋、漁で使う網や浮き・・・。
どこからかやってきたプラスチックごみは、
既におよそ1億5000万トンもの量が海洋に存在し、
更に毎年およそ800万トンものプラスチックごみが海に流れ込んでいます。
なんと、重さにしておよそジャンボジェット機5万機分ものごみが毎年海に捨てられているのです。
引用:「WWF」https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3776.html
普段海には行かないから実感ない?
いえいえ、既にあなたの体にも・・・
この問題がここまで深刻になったのは、研究の結果見つかったある物質が大きな理由のひとつです。
最近よく耳にするマイクロプラスチックです。
マイクロプラスチックとは、5mmよりもちいさなプラスチックの粒のことを指します。
海上を漂流するプラスチックは紫外線や波などの自然現象により、いずれ朽ちて粉々になります。
その粉々になったプラスチックは長い長い歳月をかけて、
やがて顕微鏡サイズのちいさな粒となって海底に沈んだり、
物体に付着したり、生物に食べられたりします。
実際、目で見える形で漂流しているプラスチックごみは全体のほんの数パーセントにしか満たず、
かなりの大部分は海底に沈殿するか、
こうしてマイクロプラスチックとなり目には見えない形で海を漂っています。
マイクロプラスチックを食べたプランクトンを魚が食べ、更にその魚が別の魚に食べられ、
と生き物でないはずのプラスチックはまんまと食物連鎖のピラミッドすべてのステージに登場することとなるのです。
そして、生物濃縮(生き物の中に有害物質が分解されずに蓄積し、
いっそう有害性を高めた状態となって体内にとどまること)により大量のマイクロプラスチックを含んだ魚が、
海中を漂うマイクロプラスチックのころもをまとい、私たちの食卓に上がります。
サーファーのみぞ知る日本の海洋プラごみ事情
台風が運ぶのはビッグウェーブと大量のごみ!?
台風の時期、サーファーは一年で一番のビッグイベントを前にソワソワしだします。
台風は普段お目にかかれない一級のビッグウェーブを連れてきてくれるからです。
しかし、それと同時に歓迎されないものまで連れてきてしまうことを、
海に行ってその光景を見てから思い出してげんなりするのです。
海に入り、波に乗るためにパドリングをしていると、腕に何かがまとわりついてくる。
クラゲ・・・かと思いきや、レジ袋です。
見渡せば、辺りは一面ごみだらけ。
サーフボードと自分の足を繋ぐリーシュコードという紐にはどんどんごみが絡まっていき、
次第に重さを感じるほどになります。
サーフィンは海のエネルギーをダイレクトに感じられる、素晴らしいスポーツです。
海上から見る朝焼けや夕焼けは何度見ても涙が出そうになりますし、
広い海でポツンと浮かんでいるとその静けさに心が落ち着きます。
ですが、ごみの海に身を委ねていると次第に心がざわざわとしてきます。
癒やされるはずの心身が、どんどん荒んでいくのがわかります。
どうして私はこんなところにいるのだろう・・・。
海の上にごみと一緒に浮かんでいる自分がなんだかみじめになってくるのです。
「妊娠したいなら海に入るな。」地元住民に言われた衝撃的な内容
雨の翌日、波の大きさをチェックしているとおもむろに地元の方が近寄ってきました。
そしてこう告げたのです。
「こういう日に女の子が入るもんでねえ。子供が欲しいと思うなら、
悪いことは言わなねえからやめとけ。」
その方いわく、雨の翌日は畑や田んぼ、道端の草むらにまかれた除草剤や、
家畜たちの排泄物など、陸からさまざまな汚染物質が雨とともに海に流れ込むそうです。
そして、海に浮かぶプラごみが堤防のような役割をし、その間に汚染物質が溜まります。
サーフィンはほとんどが岸に近い一部の海でしか行われないため、
そういった有害物質の掃き溜めで私たちは全身を海水につけ、鼻から海水が入り、
時には口から思い切り飲んでしまうこともあります。
実際、筆者の経験ではそういった後は目が痛くなったり、
お腹を下すなどなんとなく体調が悪くなる場合があります。
地元の方は「女性は」とおっしゃっていましたが、
もちろん男性にも、更には妊娠したい人だけでなく、
すべての方々にも大いに関係があります。
海をよく知る地元住民が、
慣れ親しんできた海が汚染されていることを伝えなければいけない気持ちは、
きっととてもやるせないものだと思います。
傍観していないで、どうか助けて!
無くならないゴミに疲弊する地元住民とサーファー
こういったゴミ問題に、誰もアクションを起こしていないわけではありません。
地域によっては、サーファーや地元住民の方々が協力して、
定期的に海岸に漂着したごみを拾うビーチクリーンを行っています。
また、サーフィンをした後にサーフボードを持つ手とは反対の空いた片手でごみを持ち帰る、
サーフワンハンドという取り組みをしているサーファーが近年多くなっています。
しかし、これらにも限界があります。
ビーチクリーンは、大抵の場合は年に数回、多くて月に数回程度。
サーフワンハンドも片手で拾えるごみの量はしれています。
取り組む人々に対してごみの量が多すぎるのです。
台風や雨の日の翌日は、ビーチにも海にもごみの山。
長年海上を漂ってきたごみが発する生臭いニオイは思わず鼻をおおいたくなりますし、
飲みかけのジュースが入ったペットボトルなんかは、
拾ったはいいけど中身を捨てるために蓋を開けるのも怖い。
小さく砕けたプラスチックの破片は拾い上げるのに意外と苦労しますし、
漁網や大きな浮きなどのごみはどう処分すればよいのかと悩みます。
そして多くの場合がそのごみを捨てるためのゴミ袋はもちろん、
中には焼却処分できないものを実費で処分しています。
こういったビーチクリーンやサーフワンハンドをしていても、なかなかごみは減りません。
これらの取り組みでは岸に近いごく一部の海やビーチに落ちているごみしか拾えず、
沖にはいつか岸に漂着するかもしれないごみがまだまだ溜まっています。
拾った海洋ごみはほぼすべてが何らかの形で汚れていたり破損していたりするので、
プラスチックといえど結局は拾ってもリサイクルができず、
埋め立てか焼却処分するしか他がありません。
そんな努力もむなしく、陸からは毎年800万トンものごみが海に流出します。
それでも、誰かがやらないといけないと思い、コツコツとごみを拾っているのです。
実際どうなの?
海洋プラごみに対する世界と日本の現状
世界では既にプラスチック規制が始まっています!
最近では大手コーヒーチェーンのスターバックスが、
2020年までにプラスチック製の使い捨てストローを禁止し、
紙製などの非プラスチック製ストローを導入すると発表し、
大きな話題となりましたね。
人々の環境への意識の高まりは、小さな団体だけでなく、
大企業や国をも巻き込んでこうした活動に繋がっています。
自分で何か大きなアクションができなくとも、
こういった活動に賛同しその活動を後押しできるような行動をすることで、
人々の意思は次第に強固になっていきます。
引用:プラスチックを取り巻く国内外の状況 環境省
で、日本はどうなっているの?
悲しいことに、日本は一人あたりが出すプラスチックごみの量で世界第2位。
また、今まで日本はプラスチックごみを資源として中国に輸出していましたが、
中国側から「もういらない」と受け入れを拒否をされてしまいました。
自分の国のごみすら自分で処理できない日本は、
他人に尻拭いをしてもらいながらもばんばんゴミを出してきたのです。
その結果、海洋プラごみにも無関心でいる事ができました。
しかし、国として大きな方針がなかった日本は、
今回のG20で開催国として選ばれたことによって、
世界中から責任を求められるようになるでしょう。
そこで、環境省は海洋プラごみについて、次のように対策をしていくと発表しました。
1.まず、廃棄物処理制度によるプラスチックごみの回収・適正処理を
これまで以上に徹底するとともに、
ポイ捨て・不法投棄及び非意図的な海洋流出の防止を進める。
2.それでもなお環境中に排出されたごみについては、
まず陸域での回収に取り組む。
さらに、一旦海洋に流出したプラスチックごみについても回収に取り組む。
3.また、海洋流出しても影響の少ない素材(海洋生分解性プラスチック、紙等)の開発や、
こうした素材への転換など、イノベーションを促進していく。
4.さらに、我が国の廃棄物の適正処理等に関する知見・経験・技術等を活かし、
途上国等における海洋プラスチックごみの効果的な流出防止に貢献していく。
5.世界的に海洋プラスチック対策を進めていくための基盤となるものとして、
海洋プラスチックごみの実態把握や科学的知見の充実にも取り組む。
引用:「環境省」環境省
こういった海洋プラごみ対策などの環境意識については日本人の意識の平均はまだまだ途上国レベル。
これから作り上げていく段階のようやくスタートラインに立てたであろう今、
この勢いを落とすことなく海洋プラごみ対策に尽力していきたいですね。
サーファー達が実践する
リサイクルよりも「プラスチックを使わない生活」
リサイクルをするにしても石油を使用するし、生分解性プラスチックなどの画期的な素材も、
BETTERなだけであってBESTではありません。
プラスチックを使わなければ、そもそも海洋プラごみもマイクロプラスチックも生まれないはずです。
プラスチック依存症を抜け出すために、私たちができるほんのすこしの意識をご紹介します。
個別包装は本当に必要?
スーパーでじゃがいもが積まれた売り場の横には大抵ポリ袋のロールがあり、
選んだ野菜をその袋に入れますよね?
その袋、持ち帰ってとっておいても意外と使わず溜まっていきませんか?
そもそも購入した野菜の皮を剥けば、汚れなどを気にする必要はないはずです。
また、野菜の汚れがバッグにつくのを懸念するのも、気にしすぎです。
汚れても良いバッグを使用するか、そもそも洗えばいいのですから。
新しい服を買う前に古着もチェックしてみよう!
ナイロンやポリエステルなどの衣類は、
製造工程の中で大量のマイクロプラスチックを帯びたまま店頭に並びます。
そして、洗濯機のフィルターを難なくすり抜けてそのまま排水され、海に流れていきます。
とは言え、自然素材とは違ったやわらかさや軽さ、手入れのしやすさから、
クローゼットに入れておきたい気持ちもわかります。
たとえば、そういった素材の衣類でも、
古着なら過去に何度も洗濯をされた経験をもっているので、
今後抜け落ちるマイクロプラスチックの量も新しい服と比べればかなり少ないです。
どうしてもナイロンやポリエステルの衣類を着たいのならば、
新しい服を買いに行く前に一度ユーズドのショップも見てみて下さい。
もちろん、綿や麻といった自然素材を使用した衣類を着ることは良い選択です。
しかし、今クローゼットの中にある使い古しのものを大事に着ることや、
流行を追わず古いものを良いと思う気持ちが、ごみを減らすための大きなアクションとなるのです。
コンビニのビニール袋はもうダサい!
買い物に行くなら紙袋持参で
例えばランチ用に近くのパン屋さんでいくつかパンをテイクアウトすると、
大抵ポリ袋などで個別包装をしてくれます。
そして、10分後には近くの公園のベンチに座り、
更にその10分後にはおいしくランチを平らげています。
残るのは数枚のポリ袋。
20分間パンを包む使命を終えた後は、運が良ければリサイクルされ、
悪ければあと100年は海洋を漂う運命をたどります。
あなたがバッグの中に紙袋をひとつしのばせておけば、
パン屋さんでその紙袋にパンを入れてもらうことを頼めるでしょう。
袋を忘れたのなら、持っているハンカチや手ぬぐいに包んで手で持つのもありです。
デリで惣菜をテイクアウトするなら、お弁当箱やタッパーに入れてもらうのも良いです。
フランスではバゲットをそのままバッグに突き刺して持ち帰る光景をよく見かけます。
コーヒーや食材をマイボトルやマイバッグに入れてもらうスタイルは浸透しているのに、
デリやパンを容器に入れてもらうことは、どうやらまだまだ日本には浸透していないようです。
ですが、こういったことは海外では既にごく普通に行われています。
買ったものはレジ袋に入れないと恥ずかしい?
相手に悪いと思う?気にしすぎです!
日本人の気質として、他者の目を気にするところがとても強いです。
買ったものを袋に入れず手で持っていたら、
「万引きしたと思われないかな・・・」
「商品をそのまま持つなんてなんだか恥ずかしいな」
「食品ならまだしも、衣類や雑貨はさすがに袋に入れないと。」
と思ってしまう方も多いのではないでしょうか。
また、
「本当は必要ないけれど、断ったらかわいそう・・・。」
という考えも、周囲に気遣いができるやさしい心は
日本人の素晴らしいところでもありますが、
時には弱い面であると思います。
それではいつまで経っても何も変わりません。
レジ袋を断ったら店員さんに変な目で見られる?
商品を手に持ったままなんて恥ずかしくて町を歩けない?
気にしすぎです。堂々とNOと言いましょう。
レジ袋をいらないと言ったからといって、
あなたの話題がそのお店でHot Newsになることも、新聞に載ることもないのですから。
外に出よう!
あなたが自然の中で楽しむ事で環境問題は良い方向へ向かう
筆者が思うには、これが一番効果があるのではないかと思います。
テレビやインターネットで環境問題の情報を得て、どうにかしたいと思う方々は多いでしょう。
ですが、忙しい現代社会の中で生きていると、どうしてもその気持ちを持続させておくには難しい。
そこで、すこしの時間だけでも良いので、ぜひ自ら自然の中に足を運んでみて下さい。
田舎へ行って自然に触れることも良いですが、そこまでしなくても都会にも自然はあります。
公園や遊歩道、街路樹が立ち並んだ道、
外が難しければ木の香りがする木造の建築物の中でもかまいません。
自然の中にいると、心が落ち着き、思考に余裕が生まれます。
そして、そんな安らぎを与えてくれる自然を大切にしようと思う気持ちが芽生えてきます。
そんな中、ゴミをポイ捨てしてその場を去ろうとは思いませんよね?
環境活動家にアウトドアマンが多いのは、普段自然の中に身を置いているので、
彼らは自然の偉大さとそれに対する人間の小ささをじゅうぶんに知っているからだと思います。
自然は美しく雄大ですが、私たちが思っているほど人間に情けをかけてはくれません。
すべての人類が自分たちの犯した過ちに気づく頃には、
手を施す時間を与えてくれることなく私たちの前からためらいもなく消え去ってしまうでしょう。
私たちが身をもって気づくためには、自然の中に行くことです。
こうして私たちが自分の意思で自然の中に行けるように、
自然がどうなるかは私たちの選択と行動にかけられているのです。
海洋プラごみ問題を考えることは、未来を考えること。
昔の海は違ったと、海の近くに住む年配の方々は口をそろえておっしゃいます。
このまま海洋プラごみ問題が進んでいくと、
いずれ泳ぐことの許されない地域が出てくるかも知れません。
海産物を食べられなくなるかもしれません。
子どもたちに「海ってどういうところだったの?」
と聞かれてしまう日が来るかもしれません。
もう政府や他者に責任をなすりつけるのはやめにしましょう。
海の豊かさを未来に残すため、
みんなで一緒にちいさなことからでも始めてみませんか?
ある意味、幸いなことにプラスチックはすぐに分解されません。
それは、私たちがまだ行動を起こすのに間に合うということです。
海洋でさびしく漂うプラスチックは、私たちに拾われるのをずっと待っているのかもしれません。
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