スペイン民間企業の学校給食から見た、日本の学校給食の問題点。日本の給食の未来を考えたことありますか?
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日本の学校給食って実はスゴイ!!
学校給食と聞いて何を思い出しますか?
給食当番、給食袋、配膳係、なんて懐かしい言葉が浮かんできます。
私自身は好き嫌いもなく、
与えられるものはなんでも食べる能天気なタイプだったので給食の時間は楽しみでした。
もちろん楽しい思い出だけではなく、
あの200ccの牛乳を飲み干さなければならないつらさや、
大量にご飯を盛られた時のイヤーな気分もありました。
色々な記憶がよみがえってきます。
しかし海外で子供を学校へ行かせてみると
日本の給食システムの素晴らしさを認めざるを得ません。
私たち日本人が、
とりあえずあって当たり前
いまどき牛乳を必ず飲ませるなんて・・・
などと考えてしまう給食は、
世界の多くの国にとってはとんでもなく贅沢なシステムだったりするのです。
スペイン学校食堂 ランチスタイルの選択肢
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私が暮らしているスペインは給食というものが存在しません。
代わりに学校に食堂サービスがあり、お昼時間に学校に残る子供たちはその食堂でお昼を食べます。
スペインでは就業時間がまず朝9時から午後12時半。
そこでいったん家へ帰ってお昼ご飯を食べて、午後15時から16時半までまた学校へ行きます。
お昼は家へ帰って食べるものなのです。
しかし、共働きの家庭が多いので、お
昼に帰れない子供たちは学校に残って食堂でお昼を食べることになります。
のんびりランチスタイル・メリットとデメリット
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こののんびりなランチスタイル、日本では考えられない感覚ですが個人的にはメリットもありました。
卵と牛乳アレルギーの娘の食事をしっかり私自身が管理できたことです。
食堂へ残っても、もちろんアレルギーメニューがありますが、
やはり自分で支度できるのは安心でした。
アレルギーがなくても、和食の割合が多い我が家にとって
毎日学校で揚げ物やトマトソースをふんだんに使う料理を食べさせるより
健康的な和食を母の味にしたかったこともあり、昼ごはんを仕切れたのは嬉しいことでした。
学校で食べるか、学校食堂で食べるか、
選択肢があることは保護者にとって自由があると言うことでもあります。
しかし、現実にはこの学校食堂、問題がたくさん。
まずこれらの食堂サービスはすべて民間企業の運営です。
衛生面、栄養面ではもちろん基準が設置されていますが
実際の運営は各企業に任されているため、
食材の質や食べ方、食品の管理などについて学校側は介入できません。
教育分野と食分野がはっきり別れています。
そしてそれらの企業を自治体ではなく、これまでは学校が選んで契約していましたが、
現在、その選択権をPTAなど保護者団体に譲渡するべきとの動きもあり、あまり安定していません。
そのため何か事故や問題があった場合、責任を取るのは企業ですが、
設備への苦情や企業の方針に対する不満を保護者や子供がどこへ向けたらいいのかあまり明確でないのです。
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> 商品の詳細はこちら民間企業の食堂サービス、最大のデメリット
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食堂サービスが民間企業である最大のデメリットはサービス価格です。
食事そのものだけでなく、2時間半のお昼時間のモニターサービスも含まれるため
1日のサービスで6,80ユーロ。日本円にして856円。
1週間で4280円、1ヶ月で2万円弱です。
こちらの1週間分の予算で日本の学校給食1ヶ月分です。
それならそれなりのクオリティを期待できるかというと実際はそうでもなく
加工冷凍食品の使用率の高さなど子供の健康を真剣に考えているとは思えません。
娘の学校は学校の調理場を使う自校式ですが
原価を低く抑えているのがあまりにも露骨にわかってしまうお粗末な内容の食事です。
最近では地産の野菜を使ったり、有機野菜を使ったり、
アレルギー対応食はもちろん、ベジタリアン対応食、
宗教食にも対応している企業が次々登場しています。
期待が高まるところですが残念なことにこちらはまだ企業が少ないため
ほとんどケータリングサービスになってしまいます。
その場で作られるわけではないためどうしても鮮度が落ちてしまうこと
できたての温かさではないこと
食品のクオリティにあまりこだわりのない企業の場合、
賞味期限が3週間以上の肉料理の真空保存食などが使用されることもあります。
このように、民間業者の中にもクオリティやコストパフォーマンスに幅があり
日本の給食の誠実さに比べると商業色が強く、食育という側面はなく、
子供のたちはそこからいったい何を学ぶのだろうと考えてしまいます。
経済事情も大きく影響していて、公立校の場合これらの食堂使用料は自治体から補助が出て
子供の多い家族や、収入が一定額に満たない家庭の場合、学校食堂使用料が補助されます。
ところが、経済危機、自治体の財政難などにより、
これらが企業側に支払われないケースも多くなっています。
そのため、昨年、人件費をカバーできず調理スタッフが不在になったある学校食堂が
マクドナルドのハッピーミールを学校食堂で子供達に提供し、ニュースになりました。
食堂側としては子供達に食べ物を与える義務を果たすための苦肉の策、と語っていましたが
これはもう子供の食環境として最悪の事態です。
日本給食の現状
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こんなスペインの現状と比べたら日本の給食は天国です。
自治体や国が積極的に給食に関わって
食を教育の一環ととらえているだけでも大きな違いです。
世界で絶賛された子供たちによる給食配膳システム
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参考:School Lunch in Japan https://www.youtube.com/watch?v=hL5mKE4e4uU
自分の子供のためを考えた時、特にうらやましく思うのは日本学校給食の持つ「食育」の特性です。
食材のことをよく知る、地域で採れる食材に触れる、食品の背景にある農業や漁業、畜産について知る。
そしてあの配膳システム。
近年ソーシャルネットワークなどで日本の小学生が学校を掃除したり
給食を自分たちで配膳している様子が世界中に広がり大きな反響を呼びました。
世界が驚いたのは給食の質というよりも子供たちが自ら給仕や配膳を行なっている様子でした。
係が決まっていて、マスクや帽子、エプロンをキチンとつけて料理をよそうところから片付けまで行う。
その分担作業を大人に頼ることなく子供たちが自分の役割をこなしている姿。
学校の掃除は清掃業者が、食堂では食堂サービスのスタッフがすべてしてくれるのが当たり前の欧米諸国で
子供たちが自分たちの身のまわりのことを自分でしている姿は驚きでした。
学校給食の抱える課題
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しかしながらその日本の学校給食も厳しい現実に課題をたくさん抱えています。
食育にとって一番望ましい学校内の設備で給食を調理できる自校方式も
人件費の都合で、なかなか若い新規採用ができないため技術の継承がままならず
結果的に民間委託へと流れてしまいます。
民間企業へ委託するのはコスト削減のためですが、
栄養教諭の調理場への介入が制限されてしまうなど運営面でも変化が生じ、
それが給食の質の低下につながるのではという懸念もあります。
また、食材、流通の価格は上がっていても給食費の値上げが難しいこと。
格差が広がっている今の日本で、実際に支払いが困難な家庭や、
大人が食事を作らないという家庭もあり、
給食で生き延びている子供も残念ながら存在します。
一日の食事の中で最もエネルギー源となっていたのが学校給食(35%)だった。
全体の摂取エネルギー量は必要量に充足していなかったというものである(日本ケロッグ調査による)。
一日の食事が必要量に充足していない上、頼みの綱が「学校給食だった」という結果である。
さらに給食費も含まれる就学援助の増加によって自治体にかかる負担が増えるため
給食費が上げにくいという事実もあります。
地産の食品を使用することが推奨されているものの、
例えば土のついた野菜を洗うための十分な設備や時間がないなど
地産食品使用のニーズと実際の設備が合致していないというのも課題のひとつです。
実際にその実例を見てみると
野菜を洗う野菜前処理室を設けたり、地域で採れる魚を使用するための魚肉下処理室など
確かに設備や調理器具に大きな投資をしなければなりません。
学校給食衛生管理基準に基づいて求められる設備や調理場のコンディション確保にも多額の費用が必要です。
参考:地場産物を使った学校給食の現状と事例https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/senmon/1408/chosa02.html
給食を時代にあったものにしていくというのも簡単ではないようです。
給食を食べなくなって私自身20年近くになりますが、
いまだに牛乳が味噌汁と一緒に飲まれているというのに驚きました。
そもそも牛乳を飲むこと自体の必要性が問われているにも関わらず
学校給食から牛乳がなくならない。
・・・その裏にあるのは、
牛乳で摂取するカルシウムを他の食材で補うために必要な調理設備や時間、
人員が不足しているという現実です。
こうしてみると日本学校給食現状の多くの問題は予算に関わるものばかり。
学校給食は限られた予算の中で、関係者の知恵のふんばりだけが頼りという印象です。
私たち親からしてみると、当然有機野菜を使った給食を望みますが、
財政的に粗悪な材料を使わざるを得ないのです。
このままでは給食に明るい未来は期待できなそうですね…。
給食の現場、学校での問題
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そして実際の給食の現場、学校で一番の問題になるのは食べ残し問題。
その理由については全国、そろいもそろって「苦手な食べ物だから」「時間がないから」がダントツ。
参考:小学校における給食の食べ残しに関連する要因の検討
好き嫌いは個人の問題ですが、苦手な食べ物が出た日、お腹を空かせたまま過ごすというのは辛いものです。
克服できればいいのですが小学生にとって嫌いな食べ物は、もはや敵。
ただのわがままもあれば、体質が受け付けないケースだってあるでしょう。
実際に無理やり飲まされて、食べさせられて給食の思い出は最悪、なんていう話もよく聞きます。
しかし同時に食べ物を平気で残して無駄にしても平気、ではなんのための食育なのかわかりません。。
「食べ残してはいけない」?「食べ残すべき」?近年、大きく取り上げられている議論です。
学校給食が抱えるこの問題は社会問題の反映でもあります。
日本学校給食の未来予想図
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予算が厳しく、食が多様化し、社会格差が広がる中で
今後、日本学校給食に求められるモデルはどんなものでしょうか。
現状維持に限界がきているのならば変化も必要です。
日本の財政を考えると国や自治体だけに頼った給食は厳しいかもしれません。
ドイツの給食事情を見てみると、
小学校の高学年から学校のカフェで自分で選んだものを食べるというシステムがあるようです。
これは「給食」という私たちの概念から大きく異なったものですが、画期的です。
低学年は午前で学校が終わるため、お昼は自宅へ帰って食べますが
自分でいろいろなことが判断ができるようになる高学年はその日の自分に合わせて食べるものを選択できます。
日本でもこんな風に主食やおかずの種類、そしてその量を子供たちが選択できるようにしたらどうでしょうか?
これは同時に、食の知識と自覚が必要となるため
当然、栄養バランスや食べ合わせなどのサポートが必要になります。
しかし「選択する」と言う行為によって本当の意味で自分の食べるものをより真剣に知る必要が出てきます。
「そんなに食べられないから少なめに」など、意思を主張することも覚えていくべきです。
これも「食育」のひとつととらえられないでしょうか。
大人になれば毎日その「選択」をしていかなければいけないのですから。
世界から学ぶ、給食にも選択肢を
現在の給食の基礎である給食基本法は昭和29年のもの。
一同そろって同じものを食べる日本の給食というのもこれからは時代錯誤なのかも知れません。
パンかご飯かを選べたり、
牛乳を飲むか飲まないか決められる自由は世の中では当たり前のこと選択」をしていかなければいけないの。
ホテルや民間外食産業で可能なことならばそのシステムから学ぶことだって間違いではありません。
国と民間企業の感覚の差をせばめて、社会全体が子供にとっての食の大切さに理解を深めれば
新しいセクターを生み出せるかも知れません。
これまでの日本の給食は本当に有り難いものでしたが
その根本からの変化を考えるべき時が来ているのではないでしょうか。
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