”セイヨウトチノキ”(Horse chestnut)とは一体何か?抗がん作用・静脈疾患に効くと示唆される噂の薬用植物に迫る!
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Horse chestnutという名前を聞いたことがありますか?
Horse chestnutの日本語名はセイヨウトチノキといい、栗のような見た目のヨーロッパにあるバルカン半島が原産とされる植物です。
オーストラリアで薬局に行って、冷え性改善に役立つサプリメントはありますか?と聞くと紹介されることの多い定番サプリメントでもあります。私も冷え性で血行が悪いので、何か冷え性に効くものはないかと薬局に相談したところ、このサプリメントをおすすめされました。
病院に行って手術をしてもらうほど悪いわけではないけど、日常生活に影響が出ている場合やさまざまな病気の原因となったり、血行が悪いと体にいろいろな悪影響があります。
セイヨウトチノキのサプリメントは主に静脈の健康状態の改善や炎症を抑える効果を期待して使われます。
セイヨウトチノキにはどんな効果が期待できるの?
有効成分は?
セイヨウトチノキに含まれるアアシン(aescin)は長年その効能について研究されており、たくさんの健康効果が期待されています。慢性静脈不全症
慢性静脈不全症とは脚の静脈に問題が生じ、脚の静脈内の血液が正常に流れていない状態です。
・脚のむくみ、浮腫
・足がつる(こむら返り)、脚の痛み
・脚のかゆみ
・静脈瘤や静脈の肥大化
・静脈性潰瘍
・脚に力が入らない
などの症状が見られます。
脚のむくみや痛みはときには眠れないほどひどく感じるときもありますよね。
慢性静脈不全症には着圧ソックスなどで静脈内の血流を増やすトリートメントが一般的ですが、セイヨウトチノキの服用によってこういった慢性静脈不全症の症状が改善した研究結果も出ています。
毎日600mgのセイヨウトチノキの抽出物を摂ることを8週間続けた結果、脚の痛みやむくみなどの症状が軽減されたようです。
<参考>
Horse chestnut – efficacy and safety in chronic venous insufficiency
抗炎症作用
炎症が起きている場合、体に水が溜まりやすくなりなってしまいます。
セイヨウトチノキに含まれるアアシンは抗炎症作用があり、傷による炎症や静脈不全、むくみを軽減する効果が期待できます。
アアシンを含む軟膏を塗ることで手術や外傷、運動が原因の怪我などによる炎症やむくみを減らすことがあるという研究結果があります。
<参考>
Aescin: pharmacology, pharmacokinetics and therapeutic profile”
Venoplant Effect in the Management of the Post-operative Oedema in Plastic Surgery: Results of a Randomized and Controlled Clinical Trial
この研究に使われた軟膏には抗炎症作用のある他の物質も使われており、アアシン単体での抗炎症効果についてはさらなる研究が必要となっているようです。
いぼ痔
いぼ痔は肛門周辺にできたいぼ状の腫れで、かゆみ、炎症、痛みや出血などの症状があります。
排便の際に強くいきんだり、長い間座りっぱなしでいる状態など、肛門に負担がかかることや、冷え性などで肛門周辺の血行不良が原因で起こるといわれています。一度なってしまうと再発を繰り返すことが多いのが特徴です。
放置すると我慢できないほど痛くなり、手術で取り除くしかなくなる場合もあります。
セイヨウトチノキの抗炎症効果でいぼ痔の原因である炎症や静脈の腫れを軽減する効果が期待できます。
抗酸化作用
セイヨウトチノキの実の抽出物には強力な抗酸化物質が含まれています。抗酸化物質は不安定な分子であるフリーラジカルによる細胞へのダメージを軽減してくれる効果が期待できる物質です。抗酸化作用は細胞の老化を防ぐアンチエイジング効果でよく知られている物質でもあります。
セイヨウトチノキの実の抽出物にはクェルセチン(Quercetin)やケンペロール(Kaempferol)を含むフラボノイドが豊富に含まれています。アアシン単体よりもセイヨウトチノキの実の抽出物の方が強力な抗酸化作用を持つようです。
抗がん効果
セイヨウトチノキに含まれるアアシンには抗酸化効果だけではなく、抗がん作用の報告もあります。
この研究結果によるとアアシンは肝臓がん、白血病、骨髄腫などの特定のがん腫瘍に大きな効果があったようです。
さらに他の研究では、膵がんや肺がんのがん細胞の中の細胞を死滅させる様子が見られたようです。
この研究では濃縮されたアアシンを使用しており、セイヨウトチノキに含まれるアアシンの量で同じ結果が得られるかどうかはまださらなる研究結果が必要とされています。
<参考>
Escin, a natural mixture of triterpene saponins, exhibits antitumor activity against hepatocellular carcinoma
Escin, a pentacyclic triterpene, chemosensitizes human tumor cells through inhibition of nuclear factor-kappaB signaling pathway
男性不妊にも?
男性不妊の原因のひとつに、睾丸の上部にある静脈が肥大する精索静脈瘤や、睾丸の周りの静脈が異常に腫れていることがあげられます。セイヨウトチノキに含まれるアアシンによる抗炎症効果や腫れをおさえる作用で、不妊の原因となっている異常な静脈の肥大化をおさえることで、不妊改善効果が期待できます。
実際に100人の静脈の肥大が原因の男性不妊の方々にアアシンを12時間に一回30mg摂取してもらった結果、精子の濃さ、運動性などの精子のクオリティーが上がったという結果が出ました。さらに静脈の肥大も軽減されたようです。
<参考>
Escin improves sperm quality in male patients with varicocele-associated infertility
安全性
セイヨウトチノキの実の抽出物は危険なものではありませんが、副作用や服用に際しての注意事項があります。手を加えていないセイヨウトチノキの実には「エスクリン(aesculin)」という物質が含まれています。これは人間の体には有害なもので、そのまま食べることはできません。もし食べた場合の症状として、鬱、筋肉の痙攣、麻痺、昏睡、さらに最悪の場合は死に至ることもあります。セイヨウトチノキの実を生で食べようとする機会はなかなかないと思いますが、こういった危険性があることを知っておきましょう。
副作用
セイヨウトチノキの実の抽出物を使ったサプリメントなどの副作用は、・胃のむかつき
・めまい
・頭痛
・かゆみ
があげられます。皮膚に触れた場合アレルギー反応が出ることもあります。
薬とセイヨウトチノキ
薬の種類によってはセイヨウトチノキが薬の作用によくない影響を及ぼす可能性があります。
・抗凝固薬
血液をサラサラにし血栓ができにくくする薬です。セイヨウトチノキは薬の効果を強くしてしまう可能性があります。
・インスリンなどの糖尿病の治療薬
セイヨウトチノキは血糖値を下げる可能性があります。糖尿病の治療薬を服用していた場合、血糖値が低くなりすぎる危険があります。
・非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
セイヨウトチノキは・非ステロイド性抗炎症薬の吸収力を下げてしまう可能性があり、思ったような効き目がなくなるかもしれません。
・リチウム
セイヨウトチノキは利尿作用がある場合もあるので、精神系疾患の治療に使用されることのあるリチウムを体が処理する速度を遅らせる可能性があります。
肝臓や腎臓の病気の人はセイヨウトチノキの摂取は避けましょう。セイヨウトチノキの摂取によって症状が悪化する場合があります。
他にも体に疾患がある場合はセイヨウトチノキを摂取する前に、病院で相談しましょう。
妊娠中や授乳中の影響も不透明なのでそのような状態にあるときは摂取しないようにしましょう。
セイヨウトチノキを日常に
Horse chestnut extract、日本語名セイヨウトチノキの抽出物を含むサプリメントは主に体の中の静脈に関する問題の改善期待効果があることを紹介しました。
慢性静脈不全症など血管の問題は治療が難しいものが多いので、自然なものを使って体の中から改善効果が期待できるのは嬉しいことですよね。
近年ではいぼ痔に悩まされている人も多いのではないでしょうか。いぼ痔は出血や痛みなどで日常生活に悪影響がある上、再発を繰り返しやすいものです。私も冷え性で、いぼ痔には長年悩まされてきましたが、セイヨウトチノキのサプリメントを飲み始めてからはあまり気にならなくなりました。
その強力な抗酸化作用と抗炎症作用でさまざまな症状に効果が期待できるセイヨウトチノキはとても人気なサプリメントです。上に書いた注意事項を守って安全にセイヨウトチノキを日常にとりいれてみてはいかがでしょうか。
<参考>
7 Health Benefits of Horse Chestnut Extract
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