平成から元号が変わる日本。「安いものしか買わない消費者」バブル崩壊後の長い長いデフレ期間で日本の食生活はどう変化したのか?これまでの30年間を振り返り、今後の日本の食を考える。
平成という元号が終わり、新しい元号に変わろうとしている日本。
自分が生きている間に時代がかわるというのは非常に感慨深いものです。
この平成の30年間、何があり何が変わったのか。
景気低迷がもたらした食の安全という視点から、平成30年の最後の12月に振り返ってみたいと思います。
バブル崩壊で景気低迷、デフレで食にも危機が波及した平成
昭和の好景気から一転、平成3年にそれまでのバブル景気が崩壊し、
株価や地価が暴落し、失われた20年、と呼ばれる低成長期に突入しました。
それに伴い、消費が冷え込み、物価が下落、それと共に雇用の減少や生産の縮小が起こり
ますます、景気が冷え込む、長いデフレの時期が続くことになります。
富裕層以外は、安価なジャンクフードやコンビニ食を食べるようになった
食の安全が揺らいだデフレ
このデフレによって、食の安全も揺らぐこととなります。
景気低迷により、企業では倒産やリストラが相次ぎ、それまであまり知られていなかった、派遣社員という働き方が浸透していくこととなります。
終身雇用前提ではなく、ボーナスなどの固定費がかからない派遣社員は、企業にとっては契約を都合のいいときに解除できる存在として重宝されます。
しかし、そうした正規雇用と非正規雇用の格差は、底値まで安価な食をもとめる消費行動につながることとなります。
正規雇用であっても、給与が以前より下がったり、しくは昇給しないという消費者層も、
苦しい家計から食費を削らざるを得ず、富裕層以外は、安売りの牛丼やハンバーガーを求めて、長蛇の列をつくるようになり、
当時はニュース映像で、その模様が連日取り上げられていたのを記憶しています。
食品業界はデフレで安いものしか売れないので、化学物質や、農薬や化学物質を使うように
消費者がそうして安い食品を求めると、
食品業界は、少しでもコストを抑えるために農薬や化学肥料・化学飼料、食品添加物をふんだんに使用し、更にはそこに遺伝子組み換え食品まで登場することとなります。
消費者としても、そうした危険性のある食品を選択することに疑問を感じますが、
長引く不況で安価な食品を選択することに慣れて、麻痺してしまったり、
食品業界と結託しているとしか思えない政府の打ち出す「安全」という言葉に惑わされたり、なかなか安価で危険な食品から脱却することが難しくなります。
ちなみに、アベノミクス効果で景気が好転しつつある、といわれる今の日本経済ですが、未だにデフレ脱却は宣言されていません。
総務省が今年発表した、就業構造本調査によれば、日本のバイトやパート、契約社員や派遣社員といった
非正規雇用者の割合は38.2%と高い割合にあり、平成2年の881万から平成26年には1962万人と2倍以上に急増している事から真のデフレ脱却はまだ遠いように思われます。
引用:総務省統計局
昭和の時代からの食の変遷。平成につながる変化とは
長引くデフレで消費行動が低迷した日本ですが、その直前までの昭和ではバブルの好景気に沸いていました。
第二次世界大戦もあった激動の昭和の食生活はどういったものだったのでしょうか?
激変の昭和。その大きな節の敗戦とその後の復興
昭和の初期はそれまで上流階級のものだった洋食が庶民にも浸透し始め、食堂で洋食が食べられるようになってゆきます。
都市部では肉屋の惣菜としてコロッケなどを持ち帰って食卓に並べるなど外食、中食での食文化のはしりとなりました。
その後第二次世界大戦では戦時中は貧しい食生活を強いられ、一般家庭では米はなかなか食べられずに芋や小麦粉などの配給を細々と受けて飢えをしのいでいました。
敗戦した日本はそれまで領土としていた朝鮮半島や台湾からの食糧も途絶え、復員した人々も加わり食糧事情は戦時中よりも更に悪化して闇市がにぎわうこととなります。
そんななか、アメリカのGHQからのララ支援を受けて学校給食が開始されます。
アメリカから救援物資として送られてきた脱脂粉乳やパンなどで子供達の栄養を補い、1947年には全国の児童たちに対して学校給食が開始されました。
1956年にはキッチンカーと呼ばれる栄養指導事業がアメリカ農務省の代行機関の運営のもと行われ、安くて栄養のある食事の作り方の指導が全国で行われます。
アメリカの資金提供のもと行われ、アメリカで余った小麦や農作物を日本で流通させる狙いがあったとされますが、
当時の日本では珍しかった欧米の食事を試食できるキッチンカーは人気を博しました。
その後食糧難を乗り越え、工業化で経済成長を図る日本では、
高度経済成長期とともに時間のかかる食事ではなく、忙しいサラリーマンでも簡単に短時間で食べられる食事が好まれるようになります。
1958年に発売されたインスタントラーメンのチキンラーメンが大ヒットし、それ以外にも様々なレトルト食品やインスタント食品が広まり、
手間がかからず安価な食品が好まれるようになっていきます。
1970年以降は経済成長と共に食生活も貧困の影が薄れ、世帯の収入が豊かになったことからファミリーレストランやファーストフードが広まり外食文化が根付き始めます。
その後、1970年代半ばから登場したコンビニで、更に大きく日本の食生活は変化し、現在へと続く中食文化が普及したのです。
その後日本は好景気が加速し地価は膨れ上がりバブル期に突入、高級ホテルや高級レストランでの食事も日常となる一方、
多忙なビジネスマンの食事としてますますインスタント食品が好まれていつでも食事が手軽に調達できるコンビニも拡大していきます。
しかし、そんな好景気も長くは続かず平成に入るとすぐにバブルは崩壊し、手軽で低価格な食品を好む嗜好だけが引き継がれることになったのです。
相次いだ平成の食品偽装問題に見え隠れする、平成の世代の食生活とは
消費の冷え込みと共に、食品業界も、安価な原材料と低賃金で長時間働く労働力など、生産コストカットの徹底が為され添加物と農薬にまみれた粗悪な商品が大量に流通し、景気の底冷えが長引くとそれが当たり前となり定着してしまいます。
また、価格面に加えて景気悪化で夫の収入が減り妻がパートなど働きに出る家庭が増加したことから、
簡単に食べられるレトルト食品や冷凍食品など加工食品の需要も増えることになります。
それを当たり前として育った子供たちは、簡易的な加工食品や惣菜パン、ファーストフードを食べることに慣れて大人になってもそうした食生活が習慣となってしまいます。
日本政策金融公庫の発表した平成29年度下半期の消費者動向調査結果では、食の志向に関して健康志向が低下し経済志向が上昇、
簡便化志向は小幅に上昇が続き過去最高水準になったとあります。
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/topics_180308a.pdf
これは食品を購入する際に、健康面よりも低価格で手軽な商品を選択することを表しており、輸入食品のイメージが上昇傾向であることからも低価格重視であることは伺えます。
また、輸入食品は安いとの回答は4半期連続で上昇し67.4%にのぼり、安全面に不安があるという回答が5半期連続で低下し41.9%であるのと対照的です。
日本の輸入食品は遺伝子組み換え食品の割合が多く占めますが、価格を重視しその危険性に考慮していないという表れではないでしょうか。
問題はそれだけではありませんでした。
平成13年以降、食品偽装事件が相次ぐ。
平成13年以降、大きな食品偽装問題が相次いで起こります。
それは食の安全を根幹から揺るがす、といってもいい問題です。
平成13年には雪印食品など
大手企業も含む、複数の企業が食肉偽装事件を起こし、その手口の悪質さが話題となりBSEの危険性にも不安が広がりました。
平成18年には、ミートホープによる、
牛肉のひき肉としながら、豚肉のひき肉を混入したり、ブラジル産の鶏肉を、日本産と偽ったとする偽装事件があり異物混入の手口も話題となりました。
平成19年は賞味期限や消費期限の偽装も、相次いだ年でした。
石屋製菓の「白い恋人」の賞味期限偽装、赤福餅の消費期限偽装、更に船場吉兆では賞味期限偽装だけでなく産地偽装や無許可で製造した梅酒の販売、客の食べ残しの際提供も発覚しました。
平成20年には、農林水産省が三笠フーズに農薬が残留している米や、
発がん性のあるカビを含む米を、工業用の非食用の事故米を不正に食用として転売し、コンビニやスーパー、保育所や小・中学校の給食やなどに日本各地に流通していたことが判明しました。
そのほかにも、平成25年、平成26年には
大手ホテルやでパート、レストランチェーンなどで産地や食材の種類などのメニュー表示偽装が、続々と発覚しました。
出典: 阪急阪神HD役員が謝罪 増収増益も「グループへの影響見通せず」業績予想据え置き
最近でも、平成28年に産業廃棄物処理業者のダイコーが
異物混入の疑いがあり廃棄依頼されたビーフカツを不正に転売していたことが判明、スーパーで販売されていたことから消費者にも動揺が広がったという事件も記憶に新しいところです。
食の安全よりも、消費者の安物がいの志向に合わせて偽装したという責任転嫁なコメント
「低価格」の理由
食品偽装に走る企業は、消費者が安いものを好むから、コストを下げるためにといった理由を挙げるなど、
食の安全よりも、消費者が安いものを好むから偽装に走ったというような責任転嫁をするコメントも良く見かけます。
全ての企業がそのような考えではないと思いますが、
残念ながら、私のいたお菓子の会社ではアレルギーや、発がん性のリスクを高めるような添加物を沢山使用して、
少しでも安価に製品を作ろうとしており、当時の上司は消費者は1円でも安いものを好むから、原材料を出来る限り安いものを使用するといっていました。
まだデフレ脱却をしていない日本で、
これから消費税も上がることを考えると、これ以上企業が安価で汚染された食品を流通させる危険性がないか、危惧が募ります。
平成を越えて私達大人が子供達の未来を守るために出来ることは
日本は、明治では西洋化を目指し近代化を進め、大正では、海外へ戦争を仕掛け、昭和では、第二次世界大戦の大敗から目覚ましい復興を遂げます。
しかし、それは資本主義の上で工業化を進めて田畑を棄て、国土の環境汚染を進めることと、引き換えのものでした。
平成の時代では、バブル崩壊後の経済的損失のほか、そうした、食の安全を脅かす負の遺産までも受け継いで未だに解決されていない問題が山積しています。
私達は子供たちの未来を守るために、平成以降の先の世代に負の連鎖を断ち切らなければいけません。
そのために必要なことは何なのでしょうか?
長いデフレの時代を乗り越えて、私たちが今すぐできること・・・
安いだけではない、安心できる材料で作られたオーガニックな製品を選択する
生活していくうえで、食費は抑えたほうがいいのは当たり前ですが、
だからといって安すぎる製品を選ぶとそこには農薬で汚染された原材料や添加物をふんだんに使用した製品を選択してしまうリスクがあります。
食品表示義務があるからといって安心も出来ません。
消費者の安全を守るはずの表示義務も、企業の都合がいいよに表示義務逃れの抜け道が用意されており、遺伝子組み換え食品は大半が表示義務を逃れて流通しています。
自分達の健康を守るために、そして子供達やその先の世代の未来を守るためにもそうしたリスクを避け、オーガニックな製品を選択しましょう。
安価なものにはその理由があり、安ければいいという選択ではなく、安心できる素材で作られた信頼できる製品を選択することが大切なのです。
平成から新しい元号に変わり、日本の食の安全はどうなっていくのか
デフレでの安価な食品の流通は、添加物だらけの汚染された食品を蔓延させました。
今後も、今までアメリカの外圧で危険な食品が輸入されてきたように、国内だけでなく、海外から危険な添加物や食品が流入する恐れがあり警戒されています。
それだけではなく、現在も海外では不安視される放射能問題や、
マイクロプラスチックの海洋汚染、問題など環境汚染問題はすぐに解決される問題ではない深刻な問題もいまだ解決の道は開けていません。
何よりも嘆かわしいのは、食の安全を、日本政府が本気で取り組んでいるように見えないことです。
危険な農薬や添加物はもちろん、遺伝子組み換え食品までも、法の抜け道を政府が企業に示しているように見えるのです。
食は、私達の体を作る上での基本です。
そんな当たり前で大切なことを、企業や政府の利益重視の目的のために危機にさらしてはいけません。
政府はあれだけ甚大な被害を国民にもたらし、未だに放射能汚染の問題が解決されていないのに原発再稼動を推進しています。
買い物は投票。これからの時代をよくするためにあなたができること。それは当たり前にオーガニックを選択する人が増えること。
わたしたちがすべき一番簡単な行動
そんな危険な選択をしようとする国家には、
断固として政府の危険な施策には反対すること、そしてオーガニックな食生活を選択することが、私達が将来の子供達の未来に残せる、大切です。
その為には、消費者として買い物をする際に、「買い物は投票」という意識を持つ事が大切です。
目先の利益ではなく、
「農作物であれば育て方に」
「加工食品でれば原材料や製造方法に」
気を配っている生産者から買うべきです。
また自分がお客様ではなく、生産者と共に未来を作っているのだという意識を失わないようにしましょう。
普段から食事の大切さ・品物を見極める目を磨いているIN YOU読者様なら、簡単な事ではないでしょうか?
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