日本の学校給食費はなんと全国平均で小学校は約250円、中学校は290円。この安さで果たして健康的な給食が支給できるのか。貧困問題と、深刻な学校給食の闇とは。
日本の学校給食そのものに問題あり?
以前、大磯の中学校で食べ残しが多いと報じられ、更に異物混入もあったと判明して話題になったことがありました。
こちらのニュースはまだ記憶に新しいのではないでしょうか。
食べ残しによるフードロスや異物混入による児童の怪我・食中毒といったことも勿論問題ですが、栄養と健康面の観点から見ても、更に根深い問題がある学校給食。
それは学校給食というシステムそのものなのです。
そもそも学校給食とは
日本の学校給食は明治時代から始まりました。
そのきっかけは貧しい子供たちの食事を補うためという背景だったとされます。
戦後、日本の学校給食はアメリカからのララ支援によって始まり、アメリカから救援物資として送られた脱脂粉乳などで子供たちの栄養を補い、1946年12月24日に東京・神奈川・千葉で試験的に開始され、翌年には全国の児童に対して学校給食が開始され増しt。
学校給食の費用に関して、日本政府は無償化するつもりでしたが、GHQが日本人の自立性を保つよう指摘があったたという経緯があり給食費は有償となりました。
学校給食は文部科学省において管轄され、学校給食法で学校教育の一環として位置づけられているのですが、小・中学校は義務教育なのになぜ有償なのかといった意見は今でも議論が絶えません。
オーガニック給食には到底できない日本の給食の費用相場!
給食費は全国平均で小学校は約250円/食、中学校では290円/食だった
学校給食法上は義務ではなく努力義務です。
経費負担は設置者である地方自治体であり、自治体で負担しない場合は保護者の負担となります。
例外的に無償化している学校はありますが、少子過疎化が進んでいるためちいった特別な事情によるものです。
義務教育だから給食費を払わない、といった保護者の主張が以前話題となりましたが、地域の施策など特別な事情がなければ基本的には給食費は有償です。
この、給食費自体が子供たちの食に大きく影響を与えていると私は考えています。
給食費は全国平均で小学校は約250円/食、中学校では290円/食です。
規定によって給食費は材料費が中心で、関連する人件費や施設メンテナンス等は自治体が負担していますが、
この材料費で、無農薬などの本当にいいものを子供に食べさせるのはかなり難しいことです。
私の友人や専門学校の同期が学校給食に関わっていますが、
栄養士として献立を立てる際に限られた給食費から必要なカロリーを満たして体にいいものをどうやって子供たちに食べさせるのか苦労しているのを知っています。
子供たちの口にはいるものだから本来であればオーガニックな食材で全て揃えたい、それは保護者も栄養士も同じ思いです。
でもごはんやおかず、デザートなどバランスよく子供に食べさせるためには1食300円くらいの給食費ではとてもまかないきれません。
パンやデザートだけでなく野菜や果物もオーガニックなもので全てを揃えるとしたら、その何倍も費用がかかってしまうのです。
引用:NPO法人くらしとバイオプラザ21
http://www.life-bio.or.jp/topics/topics712.html
学校給食の給食費未払い問題から見える、子供たちの貧困
学校給食は義務教育だから給食費は支払わないという保護者がいる一方、更に深刻なのは給食費を経済的な理由で払えない家庭があることです。
文部科学省の平成28年度の給食費徴収状況の調査では、給食費未納の実態について報告されています。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/07/attach/1407555.htm
前回の平成24年度の調査結果と比較し、未納額の割合は徴減したとしつつも、小学校では0.4%、中学校では0.5%は未納です。
また、児童生徒ごとの未納原因についての学校の認識として、保護者としての責任感や規範意識が68.5%、保護者の経済的な理由が18.9%と約5人に1人の割合で経済的な困窮が理由ということが判ります。
内閣府によると、子供の相対的貧困率は1990年代半ばごろから概ね上昇傾向にあるとしています。
http://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h27honpen/b1_03_03.html
相対的貧困とは、その地域や社会において普通とされる生活を享受できない状態を指します。
平成24年には16.3%と、先進国のなかでアメリカに次いで高い水準となっています。
生命維持のために最低限必要な状態が満たされていない絶対的貧困は途上国の飢餓状態にある子供たちに多く、
絶対的貧困も大きな問題ですが、一方、子供たちの視点からすれば相対的貧困もとても大きな影響を心身ともに与えかねません。
自分たちと違う、給食費を払えない子供に対する子供たちのいじめや自分たちと違う状況の子供に対する排他的な子供たちの態度は児童心理に大きな影を落とします。
そうした子供たちの心身の健康の問題とあいまって、トランス脂肪酸や農薬、添加物で汚染された食品を子供たちの給食に経費上出さなければならない日本の学校給食の問題は、子供たちの将来に大きく関わってくるのです。
学校給食、そして子供たちの健康に向き合うには
子供たちの将来のためには、心身ともに健康な環境に身をおいてほしい。
でも、現在の日本ではそれは難しいことです。
ソウルなどの海外ではすでにオーガニックの給食を国負担で支給するという取り組みも大々的にスタートしていますが、
オーガニックにおいて著しい遅れが目立つ日本ではそのような日が来るのはまだ遠い話なのでしょうか。
それでは、今すぐ消費者である私たちが出来る対策はどのようなことなのでしょうか?
深い学校給食の闇。私たちが今すぐ子どもたちにできること
オーガニック食材のお弁当を子供にもたせる
私の弟は重度の食物アレルギーだったため、小学校高学年までは母親がオーガニック食材で作ったお弁当を持たせていました。
学校給食においての問題点では食品添加物や農薬が使用された食材を使用している可能性が高いため、
子供の体のことだけを考えるのであればこれもひとつの手段です。
しかし、学校によってはアレルギーなどの事情がない場合はお弁当の持参をよしとしなかったり、
子供自身が他の子達と違うからといじめや差別にあってしまう可能性も考えられます。
日本にはオーガニック食材で給食を作っている学校もありますが、まだまだごくわずかな学校数しかなく、そのために転校するというのも現実的ではありません。
家庭ではオーガニック食材でご飯をつくり、食べきれないオーガニック食品は子供食を支援する団体に届ける
学校では通常の給食を食べても、家庭ではオーガニックな食材で子供にご飯を食べさせることで
1日の食事のうち少なくとも3分の2は子供の安心や安全をカバーできます。
また、子供の貧困の救済においては政府やNPO・NGO団体が対策を行っていますが、
そうした支援にオーガニック食材を届けることで貧困に悩む子供たちの心身の健康に寄与することも出来ます。
フードバンクに家庭で余ったオーガニック食品を届けることで、環境問題の改善にもつながるので、
そうした団体が何を行っているか調べることからはじめるのもいいでしょう。
学校給食を通して子供たちの将来を考えることが大事
子供の相対的貧困率が大きく上昇した1990年代はバブル崩壊、デフレ時代の始まりと重なります。
そから日本は加速的に安価な商品を生産するため、添加物を沢山使用し、農薬で汚染された食材も利用が当たり前となりました。
アベノミクスで日本の経済状況はよくなったと政府は主張していますが、個々の世帯では決して給与が上がったといえず、
更には少子高齢化に歯止めが利かずにこのままでは日本経済は先細りが見えています。
そんな中、消費税増税がなされようとしており、ますます子供の相対的貧困が進むのではないかと懸念されます。
子供たちの健康を守るため、一般市民からすれば、ぜひとも学校給食はオーガニック食材で揃えてほしいところですが、
税金の使い方として子供の将来に対する投資を重視しない日本では政府主体で学校給食のオーガニック化は難しいのが現状。
北欧やヨーロッパの国々では義務教育の間は学費だけでなく給食費は無償化されていたり、
オーガニックな給食を出しているところもありますが、子供の数が少ないのに日本での国策としては、全くそうした動きはありません。
むしろ年々農薬基準が緩和するという悪い方向に向かっているように見えます。
積極的な姿勢で国がオーガニックに関しての対策を行わないのであれば、消費者である私たち自身が子供たちの未来を守っていくしかありません。
そのためには、安心できるものは何か、見極めていくことが大切なのです。
あなたに今できることを、始めましょう。
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