短鎖脂肪酸ってなに?短鎖脂肪酸には腸内環境を整えるプラスの作用があった|本当に取るべき脂質と短鎖脂肪酸を食べ物から増やす方法
食生活が欧米化し始め、
生活習慣病と言われる疾患が多く見られるようになってきました。
疾患とまではいかないまでも、便秘や吹き出物などに悩まされることはありませんか?
もちろん原因はストレスや飲酒、喫煙など他にもあります。
しかし元々魚介類を主に食べてきた生活から
肉や動物性脂肪、加工食品などを摂る機会が増え、
比例するように肥満や生活習慣病への危惧を唱えられて来たのも事実です。
こうした経緯から脂質そのものを避ける人も。
ですが、全く脂質を摂らないわけにもいきません。
大切なのは、摂るべき脂質を見極める事です。
摂りすぎも摂らなさすぎも体調不良に繋がる脂質
脂質は生命維持にとても重要な役割を果たしています。
体温調整、肌や髪の保湿、脂溶性ビタミン(A、D、Eなど)の吸収を助けたりと体に必要な構成要素です。
脂質の種類は大きく分かれて二つになります。
飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸です。
また、その中でも細かく分類することが出来ます。
脂質の種類:飽和脂肪酸
常温で固まる性質を持ち、中性脂肪・コレステロールなどが増えるとされる。・短鎖脂肪酸(バターなど)
・中鎖脂肪酸(ココナッツオイルなど)
・長鎖脂肪酸(ラードなど)
脂質の種類:不飽和脂肪酸
常温でも固まりにくく、体内では液体で存在。血中の中性脂肪やコレステロールを調整すると言われる。
・一価
オレイン酸、パルミトレイン酸、およびネルボン酸が含まれる。(マカダミア、オリーブ、アボカド、キャノーラ、ベニバナ油など)
・多価
リノール酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、DHA、EPA、アラキドン酸が含まれる。(青魚、エゴマ(しそ)、ごま、アマニ、サフラワー、コーン、大豆油など)
食事の欧米化により、飽和脂肪酸を摂りすぎる傾向にあった近年。
飽和脂肪酸の過剰摂取により動脈硬化や心臓病などへのリスクも高まっていました。
こうした事から、コレステロールを増やすとされている飽和脂肪酸を減らし、
オメガ3などの不飽和脂肪酸を摂るようにと推奨されてきました。
オメガ3系のALA(α-リノレン酸)やEPAなどの不飽和脂肪酸は、
人間の健康に非常に有益であることが示されています。
ですが、オメガ6系のアラキドン酸(リノール酸を摂る事で体内で変化し炎症性のある物質へ変換される)は、
少量では必須脂肪酸とされていますが、普段の食生活で欠乏する事はあまりありません。
むしろ摂りすぎている傾向があるとも言われ、オメガ3とのバランスが重要とされています。
過剰摂取ではアレルギーや循環器系の疾患を引き起こす可能性があると言われています。
しかし最近の研究で、すべての飽和脂肪がCHD(冠状動脈性心疾患)の発症に関して
等しく有害であるとは限らない事がわかりました。
寄与効果がまったくないものも。
その違いはそれらの分子構造、特にこれらの脂肪酸が持っている鎖の長さにあると言います。
こうした脂肪酸の研究が進むにつれ、なるべく避けるべきと言われてきた飽和脂肪酸であっても、
体内に良い影響をもたらすものがあることがわかりました。
それが短鎖脂肪酸です。
短鎖脂肪酸って例えばどんなもの?体の中でどう働くの?
短鎖脂肪酸は、大腸内で善玉菌が食物繊維を発酵させる時に生産されます。
大腸の健康に重要な役割を果たし、
ひいては健康や病気に関しても重要な役割を担います。
そして大腸における主要なエネルギー源でもあります。
生成の基となる食物繊維は、果物や野菜、全粒穀物、米、豆、豆類から来ています。
短鎖脂肪酸が増えると腸内が弱酸性になります。
すると酸性に弱い悪玉菌が減り、腸内環境を整えてくれます。
弱酸性の腸内環境は体の健康維持に必要なカルシウムやマグネシウム、
鉄などのミネラル分を水溶性に変化させるため、体内へ吸収されやすくなります。
過剰な短鎖脂肪酸は体内の他の機能に使用されます。
短鎖脂肪酸は炭水化物や脂肪などの重要な栄養素の代謝にも関与しています。
体内に存在する短鎖脂肪酸は、
アセテート(酢酸)
プロピオン酸
酪酸
があります。
この3種で約95%を占めています。
プロピオン酸は主に肝臓でグルコースを生産するのに関与していますが、
酢酸や酪酸は他の脂肪酸やコレステロールに取り込まれています。
酪酸やプロピオン酸は腸の粘膜を元気にし、バリア機能をアップさせてくれます。
酢酸には抗炎症作用があり、悪玉菌を殺菌してくれる役割もあります。
結腸内の短鎖脂肪酸の量には、微生物の存在量、食物源、
そして食物が消化器内を移動するのにかかる時間など、さまざまな要因が影響します。
短鎖脂肪酸の効能が実証された研究
短鎖脂肪酸は以下のような疾患に対し、研究が行われています。
炎症性腸疾患
潰瘍性大腸炎とクローン病は、炎症性腸疾患(IBD)の代表的な2つです。どちらも慢性腸炎を特徴としています。
その抗炎症特性のために、酪酸塩はこれらの状態の両方を治療するために使用されてきました。
マウスでの研究は、酪酸サプリメントが腸の炎症を減らすことを示しました。
また特に酪酸は潰瘍性大腸炎やクローン病の症状を改善する可能性があるとの研究結果もあります。
参考 NCBI
大腸がん
短鎖脂肪酸は、特定の癌、主に結腸癌の予防と治療に重要な役割を果たす可能性があります。研究は酪酸塩が結腸細胞を健康に保ち、腫瘍細胞の成長を防ぎ、
そして結腸の癌細胞破壊を促進することを示していますが、そのメカニズムは解明されていません。
いくつかの研究では、高繊維食と結腸癌の危険性の減少との関連を示唆しています。
多くの専門家は、短鎖脂肪酸を生産する事が減少に関係しているのではと考えています。
参考 NCBI
糖尿
短鎖脂肪酸は、特に糖尿病またはインスリン抵抗性の人々にとって、血糖値を調整するのに役立つとされる研究結果もあります。
糖尿病患者は腸内微生物に不均衡が見られる事が関係しているとしています。
短鎖脂肪酸は肝臓や筋肉組織の酵素活性を高め、血糖コントロールを改善することが証明されています。
酪酸塩が2型糖尿病を持つ動物と人間の両方にプラスの効果をもたらすことや、
プロピオン酸サプリメントが血糖値を下げる事にもわかりました。
しかしその一方で、健康な人の血糖コントロールに大きな影響を与えないこともわかりました。
心臓疾患
多くの研究では、高繊維食を心臓病の危険性の減少と関連付けてきました。ですが食物繊維の種類と、何から摂取したかによって異なる場合が多いと言われています。
ヒトに対しての研究では、食物繊維の摂取は炎症の減少にも関連しています。
繊維が心臓病のリスクを減らす理由の一つは、結腸での短鎖脂肪酸の生産によるものと考えられています。
動物とヒトの両方に対しての研究では、
短鎖脂肪酸がコレステロールレベルを低下させることも報告されています。
これは酪酸がコレステロールを作る重要な遺伝子と相互作用し、コレステロールの産生を減らすと考えられています。
こうしたことから、心筋梗塞のリスクも減らすのではないかと見られています。
参考 NCBI
短鎖脂肪酸はサプリでも増やせる?
サプリは簡単に入手可能ですが、デメリットとして結腸に達する前に、通常は小腸で吸収されます。
これでは結腸細胞に対するすべての利点が失われてしまいます。
さらに、短鎖脂肪酸サプリメントの有効性についての科学的証拠はほとんどありません。
酪酸塩は、繊維から発酵したときに最もよく結腸に到達します。
こうしたことから、短鎖脂肪酸を増やすには食事中の高繊維食品の量を増やす事が
最も適した方法と言えるのではないでしょうか?
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短鎖脂肪酸は食べ物で増やそう!腸内細菌のエサとなる食物繊維の種類とは?
短鎖脂肪酸を増やすには発酵性のある食物繊維を多く含む食品をたくさん食べることです。
果物、野菜、マメ科植物など、繊維が豊富な食品をたくさん食べることで、
短鎖脂肪酸の増加につながります。
ある研究では、
植物性食品の摂取量の増加と糞便中の短鎖脂肪酸濃度の増加に関連があることがわかりました。
しかし、食べる繊維の量と種類はそれぞれの腸内細菌の構成や短鎖脂肪酸の生産に影響します。
そのため、一概にどのくらいの量を一日に食べればよい、という数字を出すのは難しくなります。
量を算出するのは難しいですが、食物繊維の種類は以下のようなものが適していると言われています。
イヌリン
一緒に摂った糖質の吸収を妨げ、善玉菌のエサとなり良い腸内環境を作るものの一つ。アーティチョーク、ニンニク、ネギ、タマネギ、小麦、ライ麦、アスパラガスなどに含まれます。
フルクトオリゴ糖(FOS)
消化されずに、腸内細菌となる。FOSは、バナナ、タマネギ、ニンニク、アスパラガス、ごぼうなど、
さまざまな果物や野菜に含まれています。
レジスタントスターチ
穀物、大麦、米、豆、緑色のバナナ、マメ科植物、じゃがいもなどに含まれます。加熱し、冷やした後に量が増える特性。大腸に届くでんぷんとして、
難消化性でんぷん、耐性でんぷんとも呼ばれます。
ペクチン
ペクチンを多く含む物にはリンゴ、パプリカ、アプリコット、ニンジン、なすなどがあります。アラビノキシラン
アラビノキシランは、主に穀物に含まれています。米や麦、とうもろこしなどです。小麦ふすまには22-30%ほど含まれ、総繊維含有量の約70%を占めています。
グアーガム
グアーガムはマメ科植物であるグアー豆から抽出することができます。いくつかの種類のチーズ、バター、牛乳にも少量の酪酸塩が含まれています。
食べ物で短鎖脂肪酸を増やす場合はオーガニックである事、
GMOでない事にも注意しましょう。
有機栽培は化学薬品を使わない事で土壌に豊富なビタミンや栄養素が含まれます。
そこで作られる作物は必然とその土壌の恩恵を受ける為、
一般的な農薬を使用した作物に比べ、よりビタミンや栄養素が高い傾向にあります。
オーガニック野菜の方が抗酸化物質が最大70%も多く含まれているとの研究結果もあります。
もちろん、栽培環境や旬などにより栄養価の変動はありますが、
出来るだけ不安要素のない物を選ぶようにしましょう。
参考 New Castle University
短鎖脂肪酸を増やして腸内環境を整えよう
腸内環境のバランスが崩れると肌あれやアレルギー、体調不良などにもつながります。
ストレスや加齢、食生活の乱れ、抗生物質の摂取などであっという間にバランスは崩れます。
短鎖脂肪酸を増やす食べ物(プレバイオティクス)を意識して摂る事は善玉菌の栄養源となり、
ひいては腸内環境を整えることへ繋がります。
乳酸菌などのプロバイオティクスなどと同様に、
日々の食事を意識して短鎖脂肪酸を増やし、腸内から健康を目指しませんか?
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