「ゆとり世代」にゆとりはなかった！？多忙な学生時代を過ごして疲弊した若者の深刻な鉄分不足とは。

2002年から施行された新学習指導要領によって
「生きる力」の教育を受けてきた世代を、「ゆとり世代」と呼びます。

ゆとり世代と聞くと、自分本位、身勝手、打たれ弱い、協調性がないなど
マイナスイメージを持っている方も多いのでは。

ゆとり教育が始まった背景には、70年代から加熱した「詰め込み教育」によって、
総合的な思考力より暗記が偏重されたことがあります。
とにかく時間をかけて教科書の内容を覚え込むこと。
これが子どもにとっては大きなストレスになっていったのです。

その結果として、90年代ごろから頭痛や腹痛、倦怠感、吐き気など、
原因不明の体調不良を訴える子どもが増えました。

このような慢性的な不調の訴えのことを、「不定愁訴」と言います。
強いストレスにさらされたことによって、精神が体調に表れている症状です。

こうした事態を改善するために、「子どもの生活態度を改めて、疲労を改善する」、
これがゆとり教育が始まったそもそものきっかけでした。

ですが、現実にはその思惑は大きく崩れたと言えます。tた
なぜなら、ゆとりを持たせるために授業内容が削減されるという結果を招き、
学力の低下を恐れた親による学習塾の利用が増加しました。

学校で行う勉強内容が削られたために、
一部の子どもたちはさらに勉強しなくてはならないという矛盾が生じたのです。

このため、2010年代を終えようとする現在では、
10代を非常に多忙に過ごした若者が増加しました。

このようなことが、引きこもりやニート、
切れる若者などを誕生させた背景とも言えます。
現在10代のお子さんをお持ちの方のために、
子どもを疲労させないためにどうすればいいいのか見てきましょう。

不登校の原因とも考えられている小児慢性疲労症候群

塾に通う時間が増え、睡眠時間が削られるなどしている子どもたちの中に、
「小児慢性疲労症候群」と診断される事例が増えています。

2000年代からこうした「疲れた子ども」の増加が社会問題化していき、
不登校の1因とも考えられてきました。

小児慢性疲症候群とは、文字通り慢性的に疲れが溜まった状態で、
体に様々な不調が現れることを言います。

有病率は0.2～2.3%といわれ、不登校の児童・生徒に多く存在し、
3ヶ月以上の持続する疲労・倦怠感および睡眠・覚醒リズム障害などの症状を特徴とする。
CCFSはChildhood Chronic Fatigue Syndromeの略。 

引用：熊本大学

学習塾の増加が子どもの疲労を加速させる

70年より、学力至上主義ともいえる社会状況が生まれました。
「いい高校に入っていい大学に入っていい会社に入れば幸せに暮らせる」
これが不文律として浸透していったのです。

その結果として、
フランチャイズ化された学習塾が急激に発展していきました。

2000年代に入っても塾を利用する子どもの数は増え続け、
加えて習い事などもあり子どもの疲労は深刻化しているのです。

小学校高学年から中学校にかけて「学習塾や予備校」の利用者が増え続けるのは、
受験への意識が高くなっていくためと思われる。
この時期、「英会話学校などの語学教室」「計算や書きとりなどのプリント教材教室」から、
より受験に直結した「学習塾や予備校」へとシフトしていくものとみられる。 

引用：ベネッセ

ゆとり世代。その実態は、ゆとりではなく「過密スケジュール」だった

このように、生活時間にゆとりを持たせる意図ではじまったゆとり教育が、
かえって過密スケジュールを生むという皮肉な結果となりました。

2002年に始まったゆとり教育と時期を同じくして、
小中高のどの学年を通しても学習時間が右肩上がりに増えているのです。

食事内容が子供の疲労に追い打ちをかける

学習時間の増加によって削られるのは、食事の時間や睡眠時間です。

特に塾に通っている子どもの中には、
お金を渡されてお弁当を買って塾で食べていた例もあったようです。
さらに親の労働時間超過によって、
子どもが1人で食事をとる「孤食」化も問題になりました。

その結果、栄養バランスの悪い食生活が定着していき、
好き嫌いが増え特定の食べ物しか好まない子どもが増えているのです。

偏食によって進む鉄分不足の弊害

食事からの鉄分の補給が減ることによって、
子どもは鉄欠乏性貧血という症状に陥りやすくなります。

鉄分が足らなくなることによって、
体力がなくなることの他に様々な弊害が起こります。

鉄欠乏状態は発達や知能に影響を与えることが報告されています．
鉄剤の内服により泣き入りひきつけが改善したという報告があります．
思春期の鉄欠乏性貧血では，運動能力や学業成績の低下，
落ち着きのなさ，集中力の低下，むずむず脚症候群，
氷を好んで食べる氷食症が現れることがあります．

引用:はしもと小児科

私自身も学生時代には無理な食生活をして、
しばらく朝起きるのが辛かったり学校に通う意欲が現減退した時期がありました。

どのような食品に鉄分が含まれているかについて知る

子どもの鉄分不足が深刻になっている背景に、
食事を作る側の親が鉄分の多い食品に対して知識が薄いという問題があります。

鉄で第3位となった「どの食品（食材）に鉄が多いのかよく知らなかったから」という項目は、
カルシウムの約2倍の結果でした。
この結果より、鉄を含む食事を与えたい場合でも、
どの食品（食材）を使用すればよいのかに迷いがあることが推測されます。

参考：PR　TIMES

食物の中に含まれる鉄の事を総称して鉄分というのですが、
カルシウムやその他のミネラル同様に、何に含まれているのかよく知られていません。

鉄分が多く含まれている食事を作るには

1日に必要な鉄分を効率よく補給するには、
まずどのような食品に鉄分が多いのかを知ってください。

私は知り合いに猟師の方がいて、新鮮なジビエをいただくことがあります。
きれいな赤身の肉には鉄分が豊富です。

さすがにジビエを定期的に食べるのは難しいので、
身近な食べ物の中で鉄分が多いものを見ていきましょう。

鶏や豚のレバー

体内の血液が集まる場所であるレバーには、鉄分が多く含まれています。
お子さんによっては好き嫌いが多いかもしれませんね。

臭みが気になる場合には牛乳に浸けるなどして匂いを消します。
そしてミンチにしてハンバーグに混ぜたりすると、比較的食べやすくなります。

大豆製品

以外にも鉄分が多いのが、納豆や油揚げなどの大豆製品です。
大豆にはたんぱく質も豊富なので、
貧血の治療にも良い成分だと言われています。

特にお味噌は普段の食事に取り入れやすいですいし、
お味噌汁の中にビタミンの豊富な野菜を入れることで、鉄分の吸収率を高めます。

赤身の魚

カツオやマグロなどの赤身で脂の少ない部位にも鉄分が多く含まれています。
刺身として手に入りやすいですし、
子どもの好きなお寿司として取ると抵抗も少ないかもしれませんね。

貧血にはたんぱく質やビタミンも重要

鉄分の吸収をよくするには、ビタミン類を一緒に取ることが重要です。
先に挙げたように、
お味噌汁の中の野菜を工夫することでこの問題を解決できます。

おすすめなのがジャガイモと油揚げです。
ジャガイモにはビタミンが豊富で、油揚げには鉄分が豊富です。

また、体を作る主成分となるたんぱく質もバランスよくとることで、
貧血を防ぎ疲れやすさを解消できます。

まとめ

勉強する時間を減らす目的で考案されたゆとり教育は、
学習内容の削減という意図しない方向に進んでしまいました。

その結果学習塾の利用が増え、
逆に勉強する時間が長くなるという皮肉をを生み、
2018年からは見直しが進んでいます。

学習時間が長くなったことで食事が不安定、不規則になってしまい、
鉄分の欠乏が問題視されるようになりました。

思春期の子どもの鉄分不足は疲れやすさや意欲の減退を招き、
学校に通えなくなる例もあります。
食事から鉄分を効率よくとるには、
身近なお味噌汁を使うことが元雄も簡単です。

時には肉も入れることで、一杯で栄養豊富な完全食になりますし、
それだけで一品になって料理の手間も省けますよ。

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