花粉症は飛散ピーク以外をどう過ごすかが重要です。東洋医学では「肺」と「脾胃」が関係していた。花粉症と上手に付き合える体質に整える方法。
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花粉症は「治らない」と諦めていませんか?
春になると、今年もやってきたか……と、花粉症の様々な症状に頭を悩ませている人はいませんか?
毎年、決まった季節になると出る症状なのでつらいですよね。
私もその一人。
このシーズンになると、とくに、目のかゆみに悩まされています。
一度、目のかゆみに意識がいくと、眼球を取り出し、水で洗ってしまいたいほどの衝動にかられることも……
鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみなどの諸症状から、
集中力の低下、倦怠感、やる気の低下、食欲減退など。
とくに集中力の低下、倦怠感など精神的な部分は、
「花粉症を理由にしたくない」、と頑張ってみるものの、
明らかに仕事や家事のパフォーマンスは落ちてしまいますよね。
心と身体は繋がっています。
東洋医学でも、イライラは肝を傷めるとされ、自律神経の乱れに大きく影響を与えます。花粉症でない人には関係ないこと?
花粉症の話題が上がっていても、花粉症でない人にとっては実感がありませんよね。
それは、花粉症に限らず、痛みやかゆさなど自分で実感していないと注意がいかないのは当たり前のことです。
しかし、こと花粉症に関して言えば、「明らかに他人事」とは言えない事情もあります。
人は、遺伝要因と環境要因の総和で疾病を発症するかどうか、決まるといわれています。
遺伝要因と環境要因について
遺伝のせいだけで病気になるわけではない!添加物や排気ガスなどの環境要因が酸化ストレス・寿命をも縮める健康被害を誘引?今からでも病気発症リスクを軽減できる「環境要因」とは。これは、いわゆる生活習慣病において顕著に現れると言われていますが、
一生のうちに発症するか否かは、環境要因(外部環境要因・生活習慣要因)の影響も受けています。もちろん、花粉症も例外ではありません。
持って生まれた遺伝要因は親から受け継がれたものなので、自分の力では変えることができない部分ですが、紫外線、排気ガスなどの外部環境要因、そして食生活、喫煙、過度な飲酒などの生活習慣要因は自分の選択で変えることが可能な部分でもあります。
スギやヒノキに囲まれた農村部の人々が、みんな花粉症か?と言われると、そんなことはないですよね。
むしろ、都市部の人々のほうが強い花粉症の諸症状に苦しんでいるケースも多くみられます。
つまり、私たちにとって花粉症などのアレルギー性の疾患は、いつなってもおかしくないものです。
花粉症以外の人にとっても、日々の生活での養生はとても大切になってきます。
東洋医学では、花粉症は「風邪」の影響を強く受ける
花粉症は、自然界の邪気「風邪(ふうじゃ)」が花粉を連れて身体に入り込むことで起こる症状と考えます。風邪はその名の通り、駆け抜ける風のように動きがはやく激しく、症状が体内のあちらこちらに移動するためにつけられた名称です。
軽く、駆け巡る、舞い上がる。
まさに、風邪と花粉は相性ぴったりの組み合わせなんです……
そして、上半身、体表(肌の浅い部分)に症状が出やすいのが特徴です。
鼻水、くしゃみ、目、咳……
とくに注意して欲しいのは、呼吸器系を司る肺、消化器系を司る脾(胃)が弱い人です。
身体の抵抗力が足りない体質の人は、風邪が侵入しやすく、花粉症の症状も強く出やすい傾向にあります。
肺
中国では、「肺は嬌臓(きょうぞう)を為す」と言われ、寒さや熱さに弱く、邪気(病気)に侵されらすいとても繊細な臓器なので、一番最初に症状として出やすい臓器として位置付けられています。
その「肺」の働きが弱くなると、風邪を含む、さまざまな邪気の侵入を防ぐ「鼻や皮膚」の防衛機能が低下します。その結果、風邪が侵入しやすく、花粉症にかかりやすい状態に。
肺は他の五臓六腑の経絡が全て集まる場所であるため、血液や体液などの経絡を通し、他の臓腑にも影響を及ぼします。
脾胃(ひい)
また、消化器系を司る、脾胃の働きが弱くなると水分代謝の悪化を招き、サラサラと止めどなく流れ出る多量の鼻水、息がしづらい鼻づまりといった、不調が起こりやすくなります。
症状として出るのは、鼻水や鼻づまり、くしゃみや目のかゆみといった部分なので、
どうしても鼻うがいや目薬を使いたくなってしまいますよね。
もちろん、一時的な改善には繋がります。
しかし、その部位にアプローチするだけでは、対処療法にしかなり得ません。
やはり、体質を整えることでつらい花粉症の症状を穏やかにすること。
そのためには、花粉症に負けない体質を目指す養生が大切になってきます。
花粉症に負けない体質を目指す養生法①呼吸法
鼻づまりやくしゃみが続くと、どうしても呼吸が浅くなりがちですよね。
また、意識の中に、空気中に花粉が舞っているのかと思うと、大きく呼吸をすると花粉を大量に吸い込んでしまいそうな抑圧感にかられることも。
しかし、この浅い呼吸を続けると、肺の働きの低下、また交感神経の高まりにも繋がります。
肺の働きを低下させる
この浅い呼吸は、「腹式呼吸」と比較して、「胸式呼吸」とも呼ばれています。胸式呼吸は疲れやすく、体内に酸素を取り込む効率が悪くなります。そうなると、全身への酸素供給量も悪くなり、肺の働きを低下させる要因にも。
交感神経の高まりはイライラ、不眠トラブルにも
呼吸というのは自律神経とも密接に関わりと持っています。この自律神経とは、私たちが無意識のうちに体の機能をコントロールしている神経です。
私たちが自分でコントロールできない数多くの臓器(心臓、肺、肝臓など)を調整する、とても重要な働きをしてくれています。
自律神経は、交感神経と副交感神経のバランスによって成り立っています。
●交感神経:仕事をしたり緊張したり脳を活発に動かしたいとき
●副交感神経:眠ったりリラックスしたりするとき
最近は、さまざまなストレスから交感神経が優位な人が多くみられます。花粉症もそのひとつですよね。
呼吸が浅く、交感神経が優位な状態が続いてしまうと、なかなかリラックスできない状態に。
結果として、イライラや不眠などのさまざまな精神の乱れにも繋がります。
そんな時こそ、深く呼吸をし、整えることで、とてもリラックスした状態に導けます。
1日5分で心のスイッチを切り替える呼吸法!
①右手の親指で右鼻を押さえ、左鼻から細~く、長~く息をゆっくりと吸います。
もうこれ以上吸えない、というところまで吸ったら一度息を止め、2、3秒。
②今度は、右手の人差し指で左鼻を押さえ、右鼻から細~く、長~く息をゆっくりと吐きます。
これを5回。
同じく、今度は逆の鼻でも行います。
③左手の親指で左鼻を押さえ、右鼻から細~く、長~く息をゆっくりと吸います。
もうこれ以上吸えない、というところまで吸ったら一度息を止め、2、3秒。
④今度は、左手の人差し指で右鼻を押さえ、左鼻から細~く、長~く息をゆっくりと吐きます。
これを5回。
もうこれ以上吸えない、というところまで吸ったら一度息を止め、2、3秒。
②今度は、右手の人差し指で左鼻を押さえ、右鼻から細~く、長~く息をゆっくりと吐きます。
これを5回。
同じく、今度は逆の鼻でも行います。
③左手の親指で左鼻を押さえ、右鼻から細~く、長~く息をゆっくりと吸います。
もうこれ以上吸えない、というところまで吸ったら一度息を止め、2、3秒。
④今度は、左手の人差し指で右鼻を押さえ、左鼻から細~く、長~く息をゆっくりと吐きます。
これを5回。
鼻を押さえる手や指は、左右どちらの手でも、どの指でも大丈夫です。
私は日常でもそうですが、夜寝る前に気分を落ち着けるために行っています。
普段、無意識に行っている「呼吸」ですが、意外と浅い呼吸になってしまっている人が多くみられます。呼吸を整えることで、とてもリラックスした状態に。
1日5分、もちろん室内でも大丈夫です。
自分と向き合い、深呼吸をしてみましょう!
花粉症に負けない体質を目指す養生法②食事法
脾胃(ひい)の役割は、栄養分や水分を消化吸収し、全身に運ぶことです。その消化器系を司る、脾胃の働きが弱くなると、水分代謝の悪化を招き、多量の鼻水、息がしづらい、鼻づまりといった、不調が起こりやすい状態に。
そうならないためには、まず脾胃を傷めない、そして脾胃の機能を高める生活習慣が大切になります。
花粉症の有無に関わらず、肺や脾胃の機能を高める強めるためには、脾胃の働きを補う補気食材を取り入れることを心がけましょう。
とくに、むくみやすく、水分代謝の悪い人。花粉症の症状としては、多量の鼻水、まぶたの強い腫れ、食欲不振、舌苔が多いといった症状も現れる人です。
まずは、過剰な水分を取り除くことが大切なので、補気食材と共に、利尿(利水)作用のある食事を取り入れてみましょう。
補気作用のある食材
山芋、玄米、杜仲(とちゅう)茶、大豆製品(豆腐や湯葉)、インゲン豆、なつめ、はちみつ利尿(利水)作用のある食材
あずき、冬瓜、ハトムギ茶、菖蒲(しょうぶ)茶、白菜、春雨、モヤシ(緑豆)そして、大切なのは、「何を食べないか」です。
脾胃は、過度に辛いもの、油っこいもの、甘いもの(白砂糖)に弱い臓器でもあります。脾の働きを補うのは、甘味です。なので、疲れた時などは甘いものを欲しますよね。
しかし、摂りすぎると、脾の働きを弱らせることにも。
とくに、砂糖は湿を呼び込みます。
利尿(利水)作用のある食事を心がけていても、大量の白砂糖を取ってしまうと意味のないことに。
花粉症シーズンのみに関わらず、上記のような食べ物には注意が必要ですよ。
花粉症に負けない体質を目指す養生法③アレルギー反応と上手く付き合う
花粉症に良い食材、ハーブ、アロマなど、近年では科学データをもとにさまざまな商品も発売されていますよね。
私も、中医学アドバイザー・国際中医薬膳師として、さまざまな漢方や食材を目にしてきました。
その中でも、「べにふうき」というお茶に含まれる、「メチル化カテキン」の花粉症に対する効果について少しご紹介したいと思います。
私は鹿児島の祖父母の家を訪れた際には、この茶葉を購入し、このシーズンは常備茶として飲んでいます。
個人的な経験からの発言ですが、このお茶を飲むと、目のかゆみがかなり落ち着いています。
べにふうき(紅富貴)は、日本で開発・育成されたもので、1993年に命名、1995年に品種登録 (種苗登録) された、日本で初めての紅茶・半発酵茶兼用品種です。
そう、何を隠そう、このべにふうきの茶葉に、抗アレルギー作用が期待できる「メチル化カテキン」と言う成分がたっぷり含まれているんです。
「べにふうき」はカテキン含量が多く、「スクリクチニン」と呼ばれる緑茶カテキンと同じタンニンの仲間をはじめ、「メチル化カテキン」という新たな成分を豊富に含んでいることが最近の研究で明らかになっています。
一般に私たちがよく口にしている「やぶきた茶」(日本のお茶市場の9割以上を占める)には、残念ながらこの「メチル化カテキン」が含まれていません。
べにふうきの嬉しい成分(花粉症などのアレルギー反応を抑制)
花粉が「鼻・口・目」から体内に入ると、免疫細胞はそれをアレルゲン物質(抗原)として認識します。このアレルゲン物質を体外へ排除する為に、抗体を作り、ヒスタミンやロイコトリエンなどの炎症物質を放出します。すると、アレルギー反応を起こし「くしゃみ・鼻みず・鼻詰まり・眼のかゆみ」などの症状が出ます。
べにふうきに含まれる「メチル化カテキン」には、このヒスタミンなどの炎症物質を抑制する力があり、
アレルギー反応を抑制する働きがあるので、「くしゃみ・鼻みず・鼻詰まり・眼のかゆみ」などの症状が緩和することが期待できます。
おすすめの飲み方
この茶葉の特徴は、少し苦味が強いということです。
渋くてあまりたくさん飲めない……という人は、ショウガエキスを入れることをおすすめします。
ショウガエキスを入れると、 「べにふうき」 緑茶のアレルギー軽減効果が増強されることがヒト試験で確かめられています。
ティーバッグの場合 は、
1. 約5g (2gもしくは3gのティーバッグ2個分) を500mlのお湯で5分煮沸
2.茶殻を取り出し、冷まして半分に分ける
3.食前後に1回ずつ、1日に2回くらい飲む
※ショウガエキスを入れる場合は、煮出して抽出した浸出液 にすり下ろしたショウガをほんの少し入れて飲んでみてください。
香りも良く立つので美味しく頂けますよ。
水筒などに入れておいても1日だったらOKです。
私は、冷蔵庫に保管し、飲む前に温め直し飲んでいます。
●出典(野菜茶業研究所)
http://www.naro.affrc.go.jp/vegetea/contents/benifuuki/index.html
食、呼吸法、免疫力を高めてアレルギー反応と上手に付き合える体質へ
症状が強い出ている花粉症シーズンだけでなく、それ以外のシーズンにどう過ごすかが改善のポイントです。
まずは、肺、脾胃(ひい)を労り、免疫力を高める身体作りです。
例え症状が出てしまっても、症状を緩和できるように、べにふうきなどのアレルギー抑制が期待できるものを摂取してみるなど。
そして、花粉症に悩まされていないからといって、肺や脾胃(ひい)に負担をかけた生活が続いていると、
アレルギーや風邪(ふうじゃ)が侵入しやすい状態へなっているかもしれません。
症状が出てから対処するよりも、症状が出ない身体作り。
東洋医学の未病・予防の心です。
養生は1日にしてならずです。
陽の気が高まりあたたかくなる春を、皆様が少しでも心地よく過ごせますように。あなたも花粉症が辛いですか?
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