雄性不稔F1品種でない野菜は一体どこへ消えた?在来種・固定種とF1品種の違い。食べ物から身体に引き継ぐカルマとは。
在来種や固定種は、もはや市場の中では、ほぼ0%。
F1品種と固定種と在来種と古代種
F1というワードを聞いたことはありますか?
農作物において占める割合がどんどん上がっていくF1品種。
知らない方は下記へ。
市販の野菜の約90%以上はF1種で栽培されていることをご存知ですか。固定種の野菜はどこへ消えた。
在来種や固定種といったものが市場の中でどれぐらいの割合を占めているかというとほぼ0%です。
意識的にそういうものを揃えているオーガニックな八百屋か農家さんが直で売っているマルシェ。
もしくは、各々が自分で栽培するほかには出会えないほど少ないというのが現状です。
まずはじめに、F1品種のFとはFirst filial generationで、雑種第一代という意味です。
メンデルの法則により、交雑を行うと優性の遺伝子が残る・・ということなのですが、
交わって残った優性の遺伝子が、農作物として「優性」かというと、一概にはそう言い切れないのです。
F1品種の分類
F1品種の中でも、様々な分類があります。
遺伝子組み換えのものもあれば、そうでないものもあります。
近年のF1品種というのは花粉すら作らない品種。
例えば、スーパーで買った野菜から種を取り、播いて花を咲かせると、雄しべが無いわけです。
交配するための雄しべ自体がないんです。
本来の日本のF1品種は、出来上がった農作物の形と大きさ、収穫時期などを安定させるという部分に焦点を絞っており、ある程度は現代社会にとって必要なものでした。
しかし、その後アメリカで「雄性不稔」というものが開発され、一気に危険性が増してしまいました。
もはや健全な野菜はスーパーでは買えません。
今回は、この大きな問題に対してどのようなことが有効なのかについて述べていきたいと思います。
F1とは、対極にあるもの
物事の本質を考える際、対極にあるものと比較をする事で、XY軸のどのあたりにその事象が位置してるのか徐々に明らかになっていきます。
現在最先端とされている人の手を加え続けて産み出されたF1品種に対し、野生種に最も近い姿をしている古代種が対極にあります。
例えば、パスタ好きな人が必ず耳にする古代小麦は小麦アレルギーが比較的出にくいとされています。
現代の種と古代種の差がよく解る例です。
古代種にはスペルト小麦やファッロ小麦など様々な種類がありますが、その中にカムート(カムット)という種があり、
この小麦は1949年、第二次世界大戦後、エジプトに不時着した米軍のパイロットがファラオの石棺から持ち帰ったという小麦です。
種を受け取った友人の父親が栽培に成功しモンタナの農産物見本市で「ツタンカーメン王の麦」という名で発表しましたが、次第に忘れられその存在は埋もれていました。
その後1977年に、モンタナ州のQUINN父子によって初めてその学術的価値が評価されることになったのです。
初めは商業的な目線で発掘され、紆余曲折を経て現代に再び蘇ったカムートですが、六千年前に用いられていた品種改良以前の種で、現在のデュラム小麦の祖先というのは研究資料としてはなかなか稀有な存在です。
品種改良以前の古代小麦で小麦アレルギーが出にくいというのは、何が関係しているのでしょうか。
品種改良は何千年も前から行われていて、育ちやすさや収穫量、味の美味しさなどを追い求め試行錯誤されてきたのですが、その中で失ってしまったもの、偏ってしまったものもあるのではないかと思います。
子孫を残せない異常な株の掛け合わせ
穀物は動物と違ってわかりにくい。品種改良の目視化。
品種改良というのは当然、植物に限ったものではありません。
動物の例と比べてみると、よりイメージが具体的になります。
動物の掛け合わせで特に際立っているのは「金魚」の文化です。
頬を風船のように大きく膨らませた「水泡眼」などは、ぶつかっただけで頬が破けてしまうことがよくあるらしく生物として非常に脆い存在と言えます。
中国の富裕層の中で特に高額で扱われる金魚の改良方法を、知人の芸術家から聞いた事があります。
四方を暗くした水槽の上部に一箇所だけ穴を開けておき、そこから光を照らし餌を与え続ける。
そうすると次第に背中側に眼が寄っていく。
・・・・強制的に進化させるのです。
特異な姿をした異形の魚を手に入れ仲間に自慢し、誇らしげに眺めながら酒を飲む。
ここに富裕層の遊び特有の「満足の歪み」のような文化があります。
初めてティーカップチワワというものを見たときにも、その歪みに近い感覚を感じました。
実際すごく短命らしく、低血糖発作や遺伝疾患、先天性異常など、病の話が絶えません。
動物の専門家と共に見たのですが「言い方を変えれば奇形と奇形の掛け合わせ」だと言っていました。
馬で言うとポニーは可愛らしいイメージですが、一緒に歩いてみると非常に気性が荒く、奇行を起こす馬がなぜか異様に多いです。
人為的な掛け合わせを行う中で、DNAに大きな偏りが生まれているのではないかと思います。
野菜や穀物は、動物と比べて行動や特徴が目視しにくい生き物です。
古代種や在来種と遺伝子組み換え種、それぞれの種子や作物を見ただけでは上で挙げたような「奇な形」を感じにくい分、食す抵抗が少ないのだと思います。
よく言われる「種無し果物を食べると精子が減る」という言葉のように、そういう食物が身体を構成していくと、どこかで歪みが生まれます。
冒頭で説明した雄性不稔というのは、この状態を指します。
自分の子孫を残せない異常な株の掛け合わせなのです。
身体は、食べたものの連続です。
私たちが食したものが血となり肉となっているので、雄性不稔のものを食べれば、当然自分の体も「不稔」になります。
以前、豚の畜産と有機農業の連携を実験した畑をやっていた頃、一般的な養豚場の中を見て、その動物刑務所のような景観に唖然としました。
見たことがある方は、みなさん同じような感想を持たれたのではないかと思います。
豚たちは後ろ向きになることも出来ない、ぐるりと身体を回すことが出来ないほど狭い檻の中で顔の前に出てくる食事を一日中食べ続けます。
まったく身動きが取れない状態でひたすら食べるだけ。
運動させないことでより早く太らせるのです。
ガチョウや鴨たちが身体を埋められて、地中から顔だけ出している。
強制給餌(ガヴァージュ)と呼ばれるフォアグラの作り方に通じるものがあります。
ある時、南九州の畜産研究会の人から興味深い話を聞きました。
メタボリックシンドロームで悩んでいる人の食生活の統計をとると、ほとんどの人がそういう育てられ方をしている豚を主に食べていて、
その育て方をしている畜産家の人も、肉屋の人も一人残らずメタボなんだよなぁと言っていました。
ベジの方々からすると、単に肉をよく食うからメタボになるんじゃないかという見方もあるとは思いますが、量に限らず、遺伝子レベルで食べたものから引き継ぐカルマのようなものが、そこには確かに存在しています。
脂肪肝を食べれば脂肪肝に。
メタボリックな豚を食べれば、メタボに。
雄性不稔を食べれば種無しに。
美味しさの八割は種で決まるといいます。
ローで食うか焼いて食うか、ベジかノンベジか、食べ合わせをどうするか。
それ以前に、材料となる食物そのものの問題があります。
食べ方やスタイルだけでなく、自分の身体の一部にしたいものなのかどうか、
その物質が何で構成されているのか、その取捨選択が一番根幹にある別れ道です。
ではどこで健全な食べ物を手に入れればいいのか。
完全な自給自足しかないのか。
品種改良前の種は手に入らないのか・・・。
インドにいる時に大きな刺激を受けたヴァンダナ・シヴァさんが行われているナヴダニヤという名の種子の共同銀行など、
実は、種の保全を行なっている団体が世の中には沢山あります。
次回は、その辺りについて触れていきたいと思っています。
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