東洋医学から見た「下痢」とは?冷たい物ばかりで夏は下痢になりがち・・。いざという時の対策用お助け食材もご紹介!
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こんにちは、上級望診法指導士、国際薬膳師の霜崎ひろみです。
今年は、猛暑、酷暑を通り越して、極暑という言葉まで出てきました。
天気予報では、「命にかかわる暑さ」「危険な暑さ」と流れてきます。
昨日、犬の散歩を早朝にしたにもかかわらず、私も犬もすっきりしない暑さでヘトヘトになってしまいました。
こんなに暑いと、どうしても冷たいものに手が行きがちですね。
氷を入れた冷えた飲み物やアイス、食事では生ものなど。
これは、私たちが自ら体を冷やそうとする、ある意味、自己防衛ですが、
冷たいものばかり摂っていると、突然、お腹がいたくなり、トイレに駆け込む…なんてこともあるのではないでしょうか?
「冷たいもの食べてお腹が冷えたのね。」と考える方が多いと思いますが、中には、他に原因がある場合もあるのです。
今日は、東洋医学の視点で、「下痢」をお伝えしていきます。
東洋医学で「下痢」を考える
「下痢」とはどのような場合か?
東洋医学では、下痢を「泄瀉」(せっしゃ)といいます。トイレに行く回数が多く、便は柔らかく、水のように出る時もあります。
正常な便の回数としては、おおよそ、1日に2回までとされています。
3回以上だと下痢、また、水のような形態であれば下痢と考えます。
食中毒など細菌やウイルス感染で起こるような激痛をともなう下痢、粘液や血液が混じるような大きな病気が潜んでいる下痢もあります。
こういった場合、急を要したり、医師の診察を受ける必要があります。
東洋医学が得意な種類
東洋医学が得意とするのは、
✳︎食事の後、すぐトイレに行きたくなる
✳︎お腹が冷えると、すぐ下痢になる
✳︎行事の前に下痢になるなど、
体質的、精神的に下痢になりやすいような場合と言われます。
こういった下痢は、原因を知って、日常の生活や食事に気を遣い、元気な体にしていくことで、起こりづらくなることがあります。以下ご紹介するもので、該当するものがあれば、ぜひ取り入れてください。
東洋医学的「下痢」の原因
東洋医学では、病気になる原因を、
①環境など外からの原因(外因)
②精神的な自分の内側からの原因(内因)
③外からでも内側からでもない原因(不内外因)
に分けて考えることがあります。
「下痢」の原因もおおよそこれらに分類することができます。
①環境など外からの原因~湿気によって消化器が弱る
食べ物を口に入れると、「食道」を通り、「胃」に到達します。
「胃」は、食べ物をキャッチし、ぐちゃぐちゃの状態にし、「胃」の下の方に位置する「小腸」に送り出します。
「小腸」では、再度、体に必要なものを取り出し、いらないものを「大腸」に送ります。これが食べ物が便になっていく過程です。
「胃」では、食べた物をぐちゃぐちゃにしながらも、営養分が取り出されています。
この営養分は、「胃」より上の方に位置する「肺」や「心(臓)」に送られ、
私たちの体を作る「気」「血」「水」となるというのが東洋医学での考えです。
この営養分を取り出し、体の上の方にある臓器に運ぶ働きをしてくれているのが、東洋医学で「脾」と言われる臓器。
「脾」という臓器を西洋医学的にあてはめるとしたら、「脾臓」と「膵臓」の働きと言って良いでしょう。
つまりは、「胃」と「脾」で、食べ物の消化に関わっているのですが、
「胃」の下げる力、「脾」の上げる力で絶妙なバランスを保つ、これが正常な働きです。
しかし、「脾」の力が弱まると「上げる力」も弱まります。
必然的に「下げる力」のほうが強くなり、「下痢」が起こりやすくなります。
「脾」は「湿気」に弱いため、「湿気」が「下痢」の原因になりうるのです。
「湿気」が多い梅雨の季節、「寒さと湿気」、日本の夏のような「暑さと湿気」が
強すぎると、体が耐えられなくなり、「下痢」になることがあります。
●「寒さと湿気」に負けた時
<よくみられる体の状態>
腹痛、水下痢、腹部の冷え 等
<摂りたい食材>
大葉、生姜、ねぎ、小豆、はと麦 など
腹痛、水下痢、腹部の冷え 等
<摂りたい食材>
大葉、生姜、ねぎ、小豆、はと麦 など
●「暑さと湿気」に負けた時
<よくみられる体の状態>
腹痛、便が臭い、排便後すっきりしない、肛門に熱を感じる など
<摂りたい食材>
冬瓜、蓮根、大根、緑豆 など
腹痛、便が臭い、排便後すっきりしない、肛門に熱を感じる など
<摂りたい食材>
冬瓜、蓮根、大根、緑豆 など
②精神的な(自分の内側からの)原因
学校に行く時になるとお腹が痛くなる、緊張してお腹が痛くなる、など強いストレスで下痢を起こすことがあります。ストレスを感じると、少なからず、体に流れる「気」が停滞します。
特に、私たちの体の「気」を流すのにかかわっている「肝」の「気」が滞ります。
すると、鬱々しすぎた「肝」は、「脾」を強い力で押さえつけ、先ほどと同じように、「脾」の上げる力がストップ。
食べたものを下方向に向かわせる力が強く働き、「下痢」をしてしまうのです。
<よくみられる体の状態>
腹痛、ストレスを感じると下痢が起こる、ため息が多い など
<摂りたい食材>
かんきつ類、そば、えんどう豆、ジャスミン茶、ミント茶 など
腹痛、ストレスを感じると下痢が起こる、ため息が多い など
<摂りたい食材>
かんきつ類、そば、えんどう豆、ジャスミン茶、ミント茶 など
③それ以外の原因
*食べ物が原因
冷たい物の食べ過ぎ、生ものの食べ過ぎ、脂っこい物の食べ過ぎ、不衛生な物を食べた、暴飲暴食、不規則な食べ方などが原因で、「脾」「胃」などの消化機能が落ちてしまい、「下痢」になることがあります。
<よくみられる体の状態>
腹痛、おならや便が臭い、口臭 など
<摂りたい食材>
かぶ、大根、みかんの皮、らっきょ など
*空腹を感じるまで、胃腸を休ませることも大切です。
腹痛、おならや便が臭い、口臭 など
<摂りたい食材>
かぶ、大根、みかんの皮、らっきょ など
*空腹を感じるまで、胃腸を休ませることも大切です。
*「脾」が弱い体質
先ほど述べた通り、「脾」は私たちが食べた物から営養物質を取り出します。しかし、「脾」が弱ければ、営養物質を取り出すというこの作業をすることができません。
つまり、消化力が落ち、「下痢」が起こります。
「脾」が弱い人は、「湿気」もたまりがちになります。
「脾」を強化しながら、「湿気」も取り除くことが必要です。
<よくみられる体の状態>
腹痛、慢性的な下痢、お腹の張り、疲れやすい など
<摂りたい食材>
米、芋類、人参、しいたけ、はと麦、みかんの皮 など
腹痛、慢性的な下痢、お腹の張り、疲れやすい など
<摂りたい食材>
米、芋類、人参、しいたけ、はと麦、みかんの皮 など
*「腎」の温める力が不足している場合
私たちの臓器のひとつ「腎」には、「腎陽」といわれ、体を動かすエネルギーの源であり、体を温める力を持つものがあります。
この「腎陽」が不足すると、「脾」も温まらず、営養物質を取り出し、
上のほうに運ぶ力が低下するために、「下痢」が起こることがあります。
また、「腎」は、大小便を出す、留める、という作業を取り仕切っています。
よって、「腎陽」の不足で、「便を留める」力が弱まり、「下痢」が止まらないこともあります。
<よくみられる体の状態>
特に明け方の腹痛や下痢、体の冷え(特に下半身)、下痢をした後は症状がおさまる など
<摂りたい食材>
山芋、くるみ、えび、にら など
特に明け方の腹痛や下痢、体の冷え(特に下半身)、下痢をした後は症状がおさまる など
<摂りたい食材>
山芋、くるみ、えび、にら など
その他、下痢におすすめはコレ!
梅酢(梅酢を水やぬるま湯で薄めて飲む)梅肉エキス
我が家では、子どもが下痢をしたとき、梅酢や梅肉エキスを活用しました。
梅が持つ「酸味」には、出すぎる物を止めるという働きがあります。また、梅は殺菌作用があることでも知られています。
いざというときのために、梅酢や梅肉エキスを常備して、ご紹介してきた食材とともに摂り入れてくださいね。
この夏、お腹も元気でお過ごしください。
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