年間95万トン捨てられている衣服廃棄の実態。私たちが今できることを考えよう
年間95万トン捨てられている衣服廃棄の実態。私たちが今できることを考えよう
個人のリサイクル意識が世界的レベルから見ても高く、特に洋服などのドネーション(寄付)設備が整っていると言われているカナダでさえも、
年間に1人が買う洋服の数は平均約100着。
つまり1ヶ月に8〜10着を1人が買っている計算になります。
これは“平均値”なので、ある人は1ヶ月に20着以上買っている人もいるという実例があるのです。
今や「洋服の買いすぎ」は世界的な大問題なのです。
近年増え続けている「安い」洋服を提供している大企業(H&☆、ZA☆A、Fore☆er21等)、安値でファッショナブルな商品を世界的に営業展開している成功の裏側には、過酷な労働条件のもとに働かされている労働者の健康状態の問題があり、それは牢獄以下の環境状態だと指摘され、人権問題にまで取り上げられ始めています。
具体的には、建物の扉には鍵をかけられ、労働者は拘束され、場合によっては自由にトイレに行くことも許されず、
空調設備もない暑い部屋の中、一日18時間労働を強いられている場所もあるほどです。
それ以外にも、環境問題としては工場排水の垂れ流し、化学薬品の大量使用によるアレルギー、
工場排水からの環境問題、化学繊維による体への影響など、様々な問題が取り上げられています。
人々の欲求を満たす為に行われている異常な大量消費の裏側には、それを満たす為の製造者側のビジネス的見解があり、
莫大なお金の流れの裏には労働者側の希望=労働の対価として賃金を受け取り家族を養い生きて行く為の苦しい実態があり、
それらが具現化された物が商品として消費者側の目に止まり、それぞれの理由で買われては捨てられていく訳です。
企業→ビジネス→安値で生産、販売
労働者→生活のため過酷な労働条件で働く→家族を養う
消費者→ストレス発散、人目、見栄などの大量消費→すぐに捨てる
つまり、消費者側の私たちが、物を買うときに少しでもストレス発散のための大量購入や、同じ服を着るのが恥ずかしいといった人目を気にする購入パターン、
満たされない欲求を埋める為の浪費癖など、「物欲を満たすため」に洋服などを購入して、数回着ては捨ててしまうようなサイクルを見直していければ、少しづつでも世界は変わると思うのです。
日本では昔と比べて「職人」が洋服を作る、といった文化が激減し、今や25年前と比べて洋服の製造工場は4分の1にまで減少しています。
これはつまり、輸入品が激増しているという表れです。そして日本国内の製造工場は激減しているのに、逆に洋服の供給量は25年前と比べて250%以上も増え続け、現在では、なんと年間40億着以上の洋服が日本では供給されているのは、それ程までに安値の洋服が輸入され、消費されているという統計です。
問題はその半数以上が1年以内に捨てられている、ということ。
私たちは現代に生きていて、物欲に対する意識も明確にある環境で生まれ育っています。だから「オシャレを楽しむ」権利は誰にでもあり、
それは人々を幸せにする方法の1つだと思います。
ただ、「安いから」という理由でたいして好きでもないのに買ってしまったり、「安いから」という理由で何回か着たら捨ててしまったり、
「安いから」という理由でとりあえず買っておこう、という意識だと、このサイクルは歯止めが効かなくなってしまう可能性があります。
衣服のリサイクルは効果的なのか?
洋服を無駄に買ってしまっても「リサイクル」できるから大丈夫でしょ?
という考え方もあるようですが、例えば元々の服の素材に使われているコットンをリサイクルする場合、それを化学薬品によってまた再生し直すため、コットンの素材自体が純正なコットンではなくなってしまうのです。また、例えばブラウスにしても、いくつかの素材を複合している場合が多いので、
再生すると別の生地へと変化するのです。つまり、リサイクルした製品を商品化するまでには数年の歳月と様々な複雑な工程が必要であるのに対して、
それの元になる洋服の消費量は2日あれば売り切れるといった異常な現状は、過剰なスピードにリサイクルシステムが追いついていない証拠です。
ファーストフードもファーストファッションも同じ
今やファーストファッションと呼ばれるようになったH&☆を始めとする、
安い洋服を提供する企業が社会に与える問題は、ビジネスモデル自体が根本的な問題だと言われています。
・大量過ぎる生産量
・安すぎる価格設定
・消費者の買い捨てを煽るシステム
そして、そのような企業が「改善」だと掲げている取り組みとしては、不要な洋服を引き取るシステム(着ない洋服を引き取り寄付する代わりに、新しく購入するものを割引するシステム)を消費者に向けて掲げていますが、寄付として様々な場所に送られた洋服の大半は再利用されず、余った不要な洋服は更にアフリカなどの海外に輸出され、現地の小売店で販売されることになるので、結局「作りすぎた」洋服は、食物と違って大地へと還ってコンポストされる訳ではないので、場所を変えて廃棄されるだけで、根本的な問題の解決にはなっていないのが現状です。
安過ぎる価格設定は、安過ぎる労働条件を生み、物欲を煽られた消費者は不要な物にお金を使い、
廃棄物が増えるので、結局は環境への負担が増すわけです。
安かろう、早かろうのインスタント食品、ファーストフード、冷凍食品、コンビニ弁当と同じように、「ファーストファッション」と呼ばれる低価格の洋服は、
消費者の欲求をいとも簡単に満たす事が可能でも、地球範囲で長い目てみると浪費を加速させ、環境問題や人権問題のバランスを崩していくのです。
アフリカ等への寄付は本当に現地の人々の役に立っているのか?
発展途上国のアフリカなどに大量に寄付している日本や北米からの洋服は、果たして現地の人々の生活を豊かにしているのか?というと完全にはそうではなく、
例えば現地の零細な繊維産業を破綻に追いやっている事実などもあり、実際にケニア政府は「海外から輸入される古着は価格が安すぎて、国内産業へ悪影響を与えている」という理由で既に、エイチオピア、ウガンダ、タンザニア、ナイジェリア、コートジボワール、マラウイ、フィリピン、イエーメンなどが輸入の禁止や規制に踏み切っているのです。
つまり私たち先進国に住む消費者が、環境にいいものを買い、自分に必要な量を買い、自分の心が喜ぶものを買い、
自分で消費できる範囲内で生活する幸せを感じられる精神を持つ事は、洋服だけでなく、食べ物に対しても同じ事が言えるのだと思います。
食べ物も、洋服も、私たち一人一人ができる事から見直していくと、将来の子供達が住みやすい環境を、
我々今の大人たちが創り上げていく事ができるのだと思います。
良質な天然繊維でできたアイテムを使ってみよう。
生き物にはもともと恒常性(ホメオスタシス)という身体を常に良い状態に保とうとする働きがありますが、その恒常性が弱ってしまうと病気を発症するのです。その恒常性を補ってくれる働きをする成分がアダプトゲンです。アダプトゲンは生薬ハーブの持つもので、インドのアーユルヴェーダで自然療法で使われてきた不老不死の良薬と言われてきたものです。粉にしたものを衣服に入れ込み、身体を安定させる“着るサプリ”天然素材「アダプトゲンリネン」のストール、タオル、ハンカチをご紹介致します。
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