「はじめての生け花の作り方」こどもと楽しむ簡単、基本の生け花を教えます。
1 衣食住に欠かせない存在「植物」
こんにちは。『いつもがわくわく☆こどもてらこや・おとなてらこや』主宰の柳原里実です。
「植物」はわたしたちひとにとって、はるかいにしえより欠かせない存在ですね。
木や竹、かやなどは建物の材料に、麻や綿でつくる布や衣服、それらを染める藍などあらゆる植物。
毎日の食物や茶をはじめ、薬草、ハーブ、生薬、灸、蒸し風呂、美容…。まさに衣食住すべてにおいて、
多様な形態と効用で、暮らしを支え、からだを作り、こころを健康に保ってくれる存在です。
森林浴、庭園、花壇、香、アロマテラピーなどは、自然そのものの中に暮らしていた昔よりも、
自然から離れた場所に居を構える現代、ますますその役割が大きくなったといえるかもしれません。
今回は、このあまりに広く、深い植物の世界の中から、「いけばな」に注目したいと思います。
2 いけばなの誕生の背景にある古来の考え方
「いけばな」「華道」といえば、その世界の深さは言わずもがなですね。一生をかけ、さらに何世代もかけ、見いだされ、加えられ、確立され、守られ、破られ、伝統的でありながらも、生み出されつづけている世界。
現在、日本いけばな芸術協会に登録されている流派の数は、約300。
中でも「池坊(いけのぼう)」「草月流(そうげつりゅう)」「小原流(おはらりゅう)」が三大流派といわれています。
すべての流派に「〇〇流」やそれを意味する語がつく中、すべての流派の元である「池坊」にはそれらがつきません。
文献でいけばなが現れるのは、室町時代(14世紀末~15世紀半ば)。
書院造り建築、庭園、連歌、能楽、茶の湯など、日本独特の文化が作り出された時代です。
将軍家や有力大名に抱えられたひとびとが、新しい芸術や技術を創造し、花器の中央に枝を高く立てる立花(たてばな)が作りだされました。
中でも、京都六角堂の僧で池坊の創始者・専慶(せんけい)の立花は、仏前に供える花という従来の枠を超えるものとして賞賛され、武家社会や貴族社会へと浸透しました。
後の時代の六角堂の僧、池坊専応(せんおう)は、技法のみならず思想的な面をも含めて、いけばな理論を確立し、その口伝(くでん)はいまも門弟に授けられているそうです。
そんな、自然の草花のいのちの姿の美しさに焦点を当てる理念の起源は、わたしたちの中にある「自然への畏怖」へとさかのぼるのではないでしょうか。
昔、わたしたちのいのちは、自然の天候に大きく左右されており、そこから畏怖の念、祈り、感謝が生まれました。
ひとにとって、自然は「対立するもの」や「征服するもの」ではなく、「人が自然の一部」。
登山にまつわる英語表現には、登頂することを「conquer the mountain」(その山を征服する)という語が使われます。
日本では、山自体がご神体のことも多く、「敷地に入らせていただく、登らせていただく」という姿勢です。
奈良の大神(おおみわ)神社では、はだしでのぼられる参詣者の方々もおられます。
そういった山、森、岩などあらゆる自然に神が宿るとし、依り代として家に置くことで、家の中に神様をお迎えする。そこで、常緑で樹齢の長い植物を門に飾るようになったのが、門松です。
今年のお正月、京都の散策をした折には、根づくようにと根っこのついた松を門にかけている旧家を何軒も拝見しました。
自然への想いが根底にあるのですね。
3 簡単・花を長持ちさせる7つのコツ
せっかく活けても、すぐにしおれては残念。長持ちさせるために簡単にできるポイントを確認してみましょう。(1)「水につける」
買った花の場合は、売られていた時の状態によりますが、水分を補給するひと手間をかけるとさらによい。
1時間ほどバケツなどの水につけ、さらに新聞紙にくるむことで、茎の切り口からだけではなく全体から潤うことができるそう。
(2)「水切りをする」
外で切ると、空気が入り気泡ができ、水を吸い上げにくくなるため、バケツなどの水の中で茎を切る。最初に長さを調節するのは水の中でなくてもOK。
だいたいの長さに切り、活ける前に水切りします。
(3)「茎をつぶさずに切る」
茎がつぶれると水が上がりにくくなるため。そのためには、よく切れる刃物で、当たりをつけたらすぱっと切るとよいそう。
(4)「茎は斜めに切る」
断面の面積が大きくなるように、まっすぐではなく、斜めに切る。断面が広くなるほど水を吸い上げやすくなるためです。
(5)「水をきれいにする」
なんといっても、こまめに水を替えること。草花を活けるときに、葉が中に入らないようにすることで、水が汚れるのを防ぎます。
(6)「ぬめりをとる」
水を替えるときに、もし茎のぬめりがあれば、そっと洗い流すといい。花入れの中も洗うとよりよい。
(7)「水を補給する」
中身が見えず、ちいさい花入れの時には、水が茎より下がっていることもある。特にたくさん活けている時には、水を補給して。
4 こどもとたのしむはじめてのいけばなのやり方
今回は、わたしの習っていた流派とは異なる流派の先生にお越しいただきました。和のいけばなだけでなく、洋のフラワーアレンジメントもご指導されているestrella(エストレージャ)主宰の熊谷先生は、とてもしなやかな感性の素敵な先生です。
こどものみなさんの自由な活け方を生かしながら、それぞれの花入れの雰囲気も生かすようアドバイスをしてくださいました。
熊谷先生からいただいたアドバイスや、いけばなのポイントをご紹介します。
[準備]
(1)花入れに水を入れます
*花入れが浅い場合は、水をしみこませたオアシスを入れるのもよい
*パン切りナイフが切りやすい
*オアシスは、自然に沈むまで、水を入れたボウルに数時間浮かべる
(2)好きな花を選びます
*今回は先生がだいたい組んでくださったものから吟味
*一種、三種など奇数が決まりやすいが、自由に
*同じ季節の花材を組むことで季節感が出ます
[活け方]
(1)主の1本を選んで活けます
*花には「正面」「横顔」「裏」があり、一番表情のいい面が見えるようにいける
*花入れとその上に出ている花の長さは1:1がきれいだそう
*ただし枝物がある場合はあとで草花の茎をいれにくいので先にいれるといけやすいそう
(2)副の2本目を選んで活けます
*主役をひきたてながら自分も美しいように
*そのためには、高さを変えてすべての枝が目立つようにする
*目安は流派によるが1番長い枝:2番目の枝=1.4:1くらい
(3)3本目を不当辺三角形になるように活けます
*アシンメトリー(左右非対称)の不等辺三角形を作るように配置していくときれい
*さらに増やす場合も不等辺三角形を作るように配置していくと美しい
(4)根元をしめたらできあがり
*花入れの口元、剣山、オアシスは、短く切った花や葉で隠すように飾ると美しい
5 一輪でうるおう暮らし
どの道も、エネルギーを注いでおられる先生方の技術は格別です。それぞれの流派の、長い実践の中で見いだされた美の公式もあります。
もしご興味が湧かれましたらワンデイレッスンなど直接体感されるのもおすすめです。
忙しい毎日の中にも、ほっと豊かさを感じられるひとときがありますように。
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