衝撃!深刻な食糧危機のベネズエラも5-6年前までは日本と同じような状態だった!? 今、食料自給率の低い日本で食糧危機が起こったらどうなっちゃうの?
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マクロビオティックの真髄とも言える言葉「身土不二」
「身体(身)と環境(土)は切り離せないもの(不二)」
という日本の伝統食の基本です。
私たちの体は常に環境からさまざまな影響を受けています。
気温、湿度、空気、日光、日照時間・・・。
その環境の中で健康に暮らすには、
同じような環境のもとで育った食べ物を食べるのが、最適であるという考えが身土不二。
この身土不二の考え、
日本にだけでなく、世界中でもその土地のものを食べることが食生活の基本です。
今回はその基本が身にしみた、南米の国、ベネズエラでの体験を紹介します。
ベネズエラって、どういう国?
スペインで暮らす私たちは娘が生まれた8年前、夫の祖国ベネズエラへ旅しました。
私にとっては初めてのベネズエラ、スペイン居住が長い彼も9年ぶりの帰国でした。
気候と食べ物に深いつながりがある
ベネズエラは南米大陸北部に位置し、カリブ海に面する熱帯気候の国。
私が訪れた街は、首都カラカスから140キロ南西にある小さな街サンフアンと
そこから700キロ離れた、なんと、標高2000メートルのメリダという街です。
スペイン暮らしで、日本に比べたらずっとゴタゴタしている環境に慣れてはいましたが、
それでも見るものすべてが驚きのベネズエラ。
秩序がないようである、あるようでない。高速を軽トラックが荷台に人をたくさんのせて走っている・・・。
国道の逆車線を私たちと同じ進行方向の車が走っている・・・。
そして驚きは、食生活にもありました。
この国の主食原料は、トウモロコシ。
暑い国で中庸・陰よりのトウモロコシが主食なのは納得がいく話です。
このトウモロコシをつぶしたり挽いたり粉末にしたり、さまざまな方法で調理します。
田舎の家にはどの家にもトウモロコシをつぶす臼がありました。
朝ごはんの定番はアレパスというトウモロコシの粉を水と少量の塩でこねて、
平たい円形にしたものを焼いたり揚げたりしたもの。
外はカリカリ、中はモチモチのアレパスを開いて、
中にハムやチーズ、タマネギやピーマンを卵と炒めたスクランブルエッグなどを詰めて食べます。
動物性満々で朝からヘビーです。
お昼に親戚が集まったパーティーはバーベキューと、
直径80センチくらいの大鍋で作った牛肉、キャッサバ、トウモロコシがたっぷり入ったスープ。
すごいスケールです。
1日目にして私のお腹はギブアップ状態。
これから滞在中、大丈夫なのでしょうか・・・。
ベネズエラの食べ物、黒糖パペロンは、ミネラル補給にぴったりだった
熱帯気候地帯でも、標高のおかげで比較的気温はあまり高くなかったのですが、
サンフアンでは突然降り出す大雨と、そのあとの暑さで急激に襲ってくる熱気。
メリダでは、やはり標高のせいか体がキツイのです。
メリダへ向かって8時間の車移動の最中、人生で経験したことのない不調に襲われました。
生後9ヶ月の娘に授乳しながらの長旅で、おそらくカロリーも奪われていたのでしょう。
貧血なのか車酔いなのか、ふらふらと自分の体がコントロールできないような状態になってしまいました。
そこで慌てて道沿いのレストランに入り、出してくれたのがパペロン・コン・リモン。
南米では砂糖の代わりに、きび砂糖のかたまりパペロンをよく使います。
日本でいうと、沖縄で生産されているプロック状の黒糖に似ています。
その黒砂糖とレモンの絞り汁を水で割ったドリンクでした。(ピンチ状態だったので残念ながら写真はありません)
脱水しているのか車酔いなのか空腹なのか、もう自分でもわからない私はひとまずそれを飲み干しました。
甘さと酸っぱさの混じったさっぱりする味です。
しかしこれが大正解!!!
すぐに食欲が出てきてトウモロコシをつぶしてパンケーキのように焼いたカチャパスと
根菜と牛肉のスープをしっかり平らげ、また旅路に着くことができました。
普段なら胃が弱いので絶対飲まないレモンベースのドリンクが、
こんなに素直に体に入っていくなんて驚きでした。
あとで調べてみると、それもそのはず、この黒糖パペロンは、
ビタミンC、鉄分、カルシウム、マグネシウム、カリウムが豊富な抗酸化作用の高い食材なのです。
採れたそのままの状態で精製されないままミネラルがまるごと摂取できます。
スポーツや体を使った作業のミネラル補給にぴったりとのことです。
その酸化防止作用はアサイーに匹敵するそうです。
参考:Steemit
食べものの陰陽で考えてみるとレモンは強陰、きび砂糖も強陰。
私はどうやら、陽性に偏っていたようです。
知らない土地での緊張感、長旅の疲れもあったのでしょう。
普段は欲しがらない強陰性のものを、体が欲しがっていたのです。
ベネズエラでは「気候とのバランス」「陰陽のバランス」があるから、完璧なエネルギー補給食が食べられる
そして一週間後、だんだんと気候にも慣れてきて居心地が良くなってきました。
その日はマラカイという街の市場へ出かけ、市場の中の食堂でお昼ご飯を食べました。
そこで食べたのが、パベジョン・クリオジョというベネズエラ人なら誰でもうなる、典型的な家庭料理です。
ワンプレートに3種類以上の料理が盛られる豪勢な料理で基本料理は
・カラオタという小豆くらいの大きさの黒豆を玉ねぎと赤ピーマンの炒めたものとグツグツ煮詰め
例のきび砂糖で甘めの味付けをしたもの(日本のおせち料理の黒豆に似ています)
・牛肉を茹でてから割いて、トマトベースで野菜と一緒に煮込んだカルネ・メチャダ
・お米(タイ米種)を炊いてコリアンダーを混ぜたごはん
・プラタノと呼ばれる甘くないバナナをスライスして焼いたり揚げたりしたタハダス
全部食べられるかな、と思ったのですが結局完食!
そして強烈にエネルギー補給をした実感がありました。
煮豆にしても甘め(陰性)な味付け。
肉(陽性)もトマト(陰性)で煮込み
バナナ(陰性)は揚げたり(陰性)焼いたり(陽性)して調理。
熱帯、常夏の国。とにかく陰性の食べ物に囲まれているなという印象ですが、
暑いとはいえ、みんな体格はいいしスタミナがないと動けない気候なので、
お肉、お豆と、タンパク質はたっぷりです。
伝統家庭料理なだけに、しっかり考えられているなと感心しました。
それを食べている人々も、バイタリティあふれた人ばかりでした。
そりゃ、これ毎日食べてたら元気でるわ、と思いました。
そうして帰る頃にはすっかり、この国のエネルギッシュ食生活に夢中になっていました。
その土地のものを最適な時期に食べることは、ただ美味しいだけでなく
体にポジティブな影響を与えると言うことを、私は驚くほど体感しました。
その土地にはその環境で、ベストを尽くせる体を作るための食べものがある。
体質の問題ではなく、見事に体の方が環境に適合したのでした。
その土地で生産される物を食べる意味って?
この旅で印象に残ったのは、フレッシュジュース。
レストランに入ると飲み物のバリエーションの中で、ジュースの種類がとても豊富なのです。
さすが熱帯。トロピカルジュースです。
しかもすべて果物を、その場でミキサーにかけてくれるフレッシュジュース。
大人も子供も、フレッシュジュースを頼みます。
普段はどちらかというと苦手で、私はめったに食べないトロピカルフルーツですが、
この暑い気候にはありがたい水分補給法で、不思議と体も拒否しませんでした。
フレッシュメロンジュースを帰国前にもう一度!とお願いするほど気に入ってしまいました。
ところが帰ってきて、こちらも暑い国、スペインなんですが、
同じようにメロンジュースを作ってみても美味しくないのです。
同じように、あの甘くてジューシーな水分補給を求めているのに、まったく違います。
メロンの熟れ具合からして、もうあの常夏の熟れ具合とは違うわけです。
そして、あのムンムンした熱気の中で飲む爽快な感覚も得られない!
同じような経験を、スペインの生ハムでしたことがあります。
昔、まだ生ハムを日本へのお土産に持ち込めた頃、
日本で家族や友達に振る舞うのですが、日本で食べるとその美味しさがまったく違うんです。
振る舞った家族や友達は美味しい美味しいと言うんですが、私は納得がいきませんでした。
やはり気候、つまり気温や湿度が違うからなのか、と考えましたが、
実は日本からスペインへ戻ると、空気の匂いが違うと感じることがあります。
スペインを離れて半年ほどして戻ると、あ、スペインの匂いがする、と思います。
気温や湿度だけじゃない、匂いまで、空気まで、国によって違うのです。
それなら何かを食べた時の味覚や感覚が変わって、当然だと思いました。
これが身土不二だ、と。
ベネズエラが食糧危機を受けて、日本の自給率が心配になりました
物価が上がり、スーパーで食べ物が買えなくなる
そのベネズエラでもう一つ驚いたことがあります。
それは自宅の庭でマンゴーやバナナ、桃、アボガドなどがざくざくと採れることです。
日本の庭で梅が採れるのと、同じような感覚です。
しかしその野生のパワーは驚きで、ほっておいてもどんどん育つのは熱帯気候が影響しているから!
街を歩いていると、バナナがあちらこちらにぶら下がっています。
ここ数年、ベネズエラが苦しんでいる食糧・物資危機があります。
本当に、本当に人々は食べるものがなくなってしまいました。
幸い、近親の家族はもうベネズエラにいませんが、いとこなど遠い親戚の様子を聞くとあまりに深刻です。
独裁に近い政策のおかげで物価は急上昇。
物がなくなり油や小麦粉、卵などの最低限必要な食べものでさえ、
何週間かに一度、家庭ごとに支給される量が指定され、支給されないことさえありました。
誕生日ケーキの代わりに、砂糖を1キロ手に入れて持って行って大喜びされた、
と言う皮肉な笑い話を聞いたのももう数年前です。
最近では砂糖すら手に入らない、
手に入っても異常なインフラで1ヶ月分の給料が飛んでしまうような値段です。
こちらから物資を送りたくても、
税関や政府のコントロールで略奪されたり盗難にあって届きません。
コロンビアへ国境を超えて食糧を求めていたのに、国境さえも封鎖されてしまうのです。
悪夢以外のなにものでもありません。
日本人の私が驚くスケールで、山のように食べ物や加工食品が並んでいたスーパーが空っぽ。
ほんの5年ほどでの変化です。
自給自足で食糧危機をしのぐ!土地と気候が与えてくれたもの
しかしこの食糧危機を、ベネズエラの人々は当分の間、
この庭でできる野菜やフルーツでしのいだと言うのです。
どんなに悪政を強いられても、気候や地理は変わりません。
ベネズエラの自然と気候が、食糧危機におちいった人々を救っていたのです。
ベネズエラだけでなく、他南米諸国やアフリカ、アジアで作られているジュカという芋があります。
日本ではキャッサバという名前で、知られているようです。
この芋はどんなに貧しい土壌でも育ち、カロリーはジャガイモの2倍。
亜鉛、マグネシウム、鉄分、カリウムなどのミネラルが豊富な熱帯地方の重要な栄養源でもあります。
ベネズエラのマクドナルドからポテトフライが消えた時、
この、ベネズエラでたくさん採れるキャッサバがポテトフライの代用品として使われたのです。
わかりますか?
その土地のものが与えてくれる豊かさは、こんなに有力なのです。
日本の自給率は低いって本当??
今、食糧危機が起こったら日本はどうなっちゃう?
こんなベネズエラのニュースを聞くたびに、考えてしまうのが日本の自給率。
日本が国内で自給できている主な食料は米、卵、野菜のみ。
毎日使っている大豆は28%、砂糖は32%、小麦に至ってはたった14%と、ほとんど輸入に頼っています。
カロリーベースで1965年(昭和40年)には73%だった自給率が2017年で38%
ほぼ半分になっています。
参考:農林省自給率データ
味噌、醤油、豆腐、納豆の国にあって、大豆を輸入しなければならないというのはとても深刻です。
今、日本に食糧危機が起こったら、どうなってしまうんでしょう?
中国の経済成長とともに、世界に食糧危機が訪れるとも言われています。
ベネズエラが、私たちと同じような生活から現在の食糧危機に陥るまでは、
たった5,6年でした。
それも、主食を自給できて庭でできるものを食べられるという、恵まれた気候があっての話です。
現在の日本の食生活で、パンやパスタの占める部分を米がカバーできたとしても、
どこからタンパク源を得るのでしょう?
動物性はもちろん、植物性たんぱく質ですら大豆を輸入に頼っている状態では、とても耐えきれません。
身土不二を食生活の基本と、理想のように語っている場合ではないのです。
現実にしていくためにある基本です。
自給自足のススメ
戦後をゼロから生き延びた祖父は、マイホームを建てた後も、その庭の一角で畑を続けていました。
食糧がないということが、どういうことかを知っているからです。
その場で得られる食糧の価値を知っているから。
その土地でちゃんと育つ食糧を知っているから。
昨年、スペインで収穫できるはずのジャガイモを、
イスラエルから輸入して販売している大手スーパーマーケットが、
ソーシャルネット上で大バッシングを受けました。
スーパーから1キロのところでジャガイモを栽培している畑があるのに、
売っているのはイスラエルのジャガイモ。
利益主義のなせるわざです。
太平洋海岸沿いに住む人は近海で採れる魚を食べて、
同じ温暖気候で採れる柑橘類はやっぱり近海魚と相性がいいのです。
トマトとバジルはお互いに害虫を寄せ付け合わない、
畑でも料理しても抜群の組み合わせです。
それは同じ環境で、同じ季節に、よく育つ組み合わせだから。
スペイン内陸では豆類がよく採れます。
そしてその豆をしっかり食べて、厳しい冬を過ごします。
冬にバナナが手に入っても意味がないんです。熱帯の食べ物なのです。
北海道と九州でも、そこで採れるものや食べる物はずいぶん変わります。
”古くから、その土地で採れるもの、食べてきたもの”
体に合っているという意味でも、食糧確保の知恵としても、
それがその土地の人の一番の選択。
日本の自給率を上げていくために
国産のものを消費して自給率を上げていく。地産のものを消費して地産を支えていく。体に合うものを食べていく。
そんな理想を、少しづつ現実にしていきましょう。
そのためには、あなた自身がどんな食べ物を食べるのか?
一人ひとりの行動が大切になってくるのではないでしょうか。
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