「目」は免疫力低下も教えてくれる重要な臓器！ 鍼灸師が教える自宅でできる東洋医学かんたん望診方法。

目を見だけでさまざまな体の調子がわかります。
現代医学が頼りとする検査機器や放射線を使った画像診断が発明されるより、
ずっと前から東洋医学では治療者の五感を通じて患者さんと向かい合って来ました。

もしあなたが医療やセラピーに関わる人でなくても
身近な人が体調を崩していたら気がつきますよね。

顔色が悪い、目がどんよりしてる、覇気がない…
見て察するその技術は望診（ぼうしん）と言います。

自分の目で、
自分や家族の体の変化、体調の悪さを察することができたらいいですよね。

この記事では、皆さんでもできる望診法についてお話しします。

目は口ほどにものを言う

最先端の技術では手のひらや指の血管の情報で
個人の区別をつけるのが可能となっています。

血管での個人認証は銀行のATMでも導入されていますね。
眼の黒目である虹彩や眼の奥にある網膜でも
個人の識別は可能になっていて現実がSFに追いついてきているのを感じます。

眼でわかるのは個人の区別だけではありません。
例えばマスクをしていても何となく相手が笑っているのか怒っているのか
退屈しているのかわかってしまいますよね。

「目は口ほどにものを言う」なんて表現があるくらい目には色んな情報があらわれます。
個人の区別が可能な情報、今抱えてる感情、そして体調。
体調が悪いな、と感じたならゆっくり休んで回復を待つのが1番です。

でもその不調を感じる前に察知できたり
どこに不調の原因があるのかわかればよりよい対処が可能なのではないでしょうか。

臨床現場でも家庭でも頼りになる望診

現場に立つ多くの施術者が共通していう事は
ベッドサイドにたつ前に施術は始まっているという事です。

扉を開けた瞬間や待合いにいる間に
すでに症状や原因の推測が出来ているセラピストは決して少なくはありません。
これは望診が出来ているからです。

身体の動きから痛みの原因を推測するだけではなく
神気といわれるものを捉えるのも望診です。

東洋医学では精神状態や意識状態のことを神気といいます。
神気は目にあらわれるとされており、
治療効果や施術後の経過などの予測ができると古くより伝えられています。

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未病を知り対処するために身体からのサインに目を向けよう

東洋医学用のカルテでは多くの場合において
常見（じょうけん）症状というものがチェック項目にあげられています。

気が不足している時の特徴であったり津液が不足している時の特徴であったり
五臓六腑がそれぞれ不調になった時の特徴であったり
というものがあるのでそれを確認するとその患者さんの状態が把握できるのです。

ただこの常見症状での問診には少しコツがあって、
慣れていないセラピストが行うと今その患者さんが困っている症状の原因ではなく
普段からのその患者さんの体質にフォーカスしてしまう事もあるのです。

また、慣れたセラピストでも常見症状が頭にしっかりと入っているために
「腎も肝も脾もあるけれどどれが主たる施術対象なんだろう」
と迷ってしまうこともあるのです。

目をみて行う望診ではこの問題がありません。
サインといわれるものがどこからどこに向かうのかを見るので
どの臓腑にもともとの問題があったのか、
その問題がどの臓腑に影響を与えているのかというのが一目瞭然で把握できるのです。

白目に映し出される全身の状態

鍼灸ではツボを使う事で直接臓腑に触れなくても施術を行う事が可能です。
ツボとは違いますが反射区といわれるのは、
身体の1部に全身が反映されるエリアがあるという考え方です。

足の裏や手にあるものが有名でリフレクソロジーでの施術対象ともなっています。
この眼にも反射区があるという考え方があります。

黒目の部分（虹彩といいます）で判断するものには
イリドロジーや虹彩診断とよばれるものがあります。

白目の部分（強膜といいます）で判断するものに
スクレオロジー、スクレラ分析、オプトロジーとよばれるものがあります。

眼の深部にある網膜は体表から直接血管の状態を観察できる唯一の場所です。
脳に近い場所に存在していて脳から神経で支配されている眼は
全身の状態をよく反映すると考えることができるのです。

スクレラ（強膜）で見ているもの

出来ればアナログの時計を1つ電池を抜いた状態で
お手元にご用意して頂くとわかりやすいと思います。
白目には結膜という表面の薄いものとその下にある強膜といわれるものがあります。
目薬をさしたときに目が赤くなるのは結膜の血管が充血するからです。

スクレラの分析では結膜ではなく強膜の状態をみて判断します。
表面の鮮やかな細かい血管は結膜のものです。

やや深い色調のものが強膜部分の血管ですので
この中で目立つもの・太いものをサインとみて分析していきます。

血管が目立つ状態になっているのがサインであるとするならば
真っ白な白目がよいかというとそうでもありません。

小さな赤ちゃんは別ですが白目が全体的に青みがかっているように白い場合は
陰性食が過剰になっているなど身体が冷えてしまっている事を示唆しています。

時計の短針が指す角度を指標に強膜の反射区を紹介します。

左目の対応範囲

9:00〜10:00　心
10:00〜11:00　腎・膀胱
11:00〜1:00　脳
1:10〜2:00　肝・胆
2:00〜4:00　心
3:00～4:00　心包
4:00〜4:50　脾・胃
4:50〜5:40　肺・大腸
5:40～6:40　生殖、腎
6:40～7:40　肺・大腸　
7:40～9:00　心包

右目の対応範囲

3:00～2:00　心
2:00～1:00　肝・胆
1:00～11:00　脳
11:00～10:00　肝・胆
10:00～9:00　心
9:00～8:00　心包
8:00～7:10　肝・胆
7:10～6:20　肺・大腸
6:20～5:20　生殖、腎
5:20～4:20　肺・大腸
4:20～3:00　心包


これ以外には黒目の内側の部分に細かい血管が集中的に出現している場合は
咽喉のあたりの反応とみなします。
黒目の外側の部分に細かい血管が集中的に出た場合は、
心臓を中心とした循環器系の反応とみなします。
黒目の周囲を囲むような血管は免疫機能からの警告とみなします。



もともとは肩こりや頭痛、イライラするという東洋医学での肝の症状で悩んでいた方です。
最近不正脈や立ちくらみといった自覚症状が出てきました。
病院で精密検査したものの問題はありません。

スクレラ分析の実際①

右目では色の暗い血管が6:00過ぎの範囲から8:00の範囲へと伸びて虹彩に近づいて
8:00～10:00の角度で虹彩に沿って囲むような走行をしています。
また8:00～9:00の範囲に細かい血管が密に出ております。

これは腎の不調によって血液の浄化作用がうまく行われなかった負担が
血液貯蔵の作用のある肝及び血液を送り出す心包に現れる事への警告です。

スクレラ分析の実際②

左目では色の暗い血管が3:00〜4:00寄りの方向から発生して虹彩に近づいてから
虹彩を囲うように2:00の領域へと伸びています。
東洋医学で肝は筋を支配するとしています。

心筋の弱りがあり、その影響が筋と関わりの深い肝にあらわれていたと考えられます。
心・心包の負担が強くなり肝だけでカバーしきれなくなり
心筋の不調として不正脈があらわれたと判断します。

肩こり頭痛イライラの時点で、
心臓の問題が出ないように気をつけておければよかったケースですね。

もしこのようなサインがあれば今は自覚症状は無くても、
この先それぞれの領域に関する問題が出てくる恐れがあるので
身体が中庸になるよう養生を心掛けるべきです。

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日常生活で出来る簡単な工夫

ご自分の眼で気になるサインはあったでしょうか？
ずっと同じ部位に目立つ血管が存在する場合、
そこに負担がかかりやすい体質や生活を送っていると考えることができます。

強膜のサインは不変ではなく飲食物や日常生活に気を付けて摂生を心がけることで
時間はかかりますが変化していきます。

胃や腸の消化器系にサインがあらわれた場合にできる簡単な対処は、とにかくよく噛むことです。
人間の消化管の中には歯はなく消化酵素にたよって消化しています。
口でしっかり噛み砕いておくことでそのあとの臓器への負担が軽くなりますよ。

臨床で季節の変わり目によく見るサインに
黒目の内側の部分に細かい血管が集中する咽喉からの警告サインがあります。

のどが痛くなってからうがいや就寝時のマスク・加湿器をつかうよりも
咽喉の警告サインがあらわれた時点でのどをケアする生活を心がけたり
疲れが取れるよう睡眠時間を確保するという未病対処が可能となります。

自分自身の体調管理はついおろそかになりがちです。
身体が発するさまざまな変化に目を向けて未病のうちにケアをしていきましょう。

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