人口の1割がベジタリアンの菜食先進国、台湾。 台湾人が菜食を選ぶ理由とその豊かな菜食文化をレポート
人口の1割がベジタリアンの菜食先進国、台湾。
台湾人が菜食を選ぶ理由とその豊かな菜食文化をレポート
みなさま、こんにちは!日本人の旅行先として、近年大きな人気を集めている台湾。
その台湾で最近、台湾素食(そしょく・中国語では「スーシー」と読む)と呼ばれる料理が
注目されていることをご存じでしょうか?
素食とはベジタリアン食やヴィーガン食に近い「菜食」のこと。
ベジタリアンやヴィーガンといえば欧米のイメージが強く、
アジア発祥の菜食というと、少し意外だったのではないでしょうか。
今回は、そんな台湾の菜食文化の最新事情についてご紹介します。
ここでおさらい、
そもそもベジタリアンやヴィーガンとは?
日本ではベジタリアンは知っていてもヴィーガンという言葉には馴染みの薄い方が、まだ多いかもしれません。
そこでまずは、ベジタリアン・ヴィーガンとは何かについて簡単にご説明しましょう。
同じ菜食でも、「ベジタリアン」が穀物や野菜を中心に食べる人という意味で使われているのに対し、
「ヴィーガン」は動物愛護の観点などからも徹底的に動物性食品を口にしない人
(食生活以外でも毛皮のコートや革製品なども身につけない人)のことを指します。
また、ヴィーガンは牛乳や卵も口にしません。
だし汁も、動物性のカツオだしは不可であり、昆布やシイタケなど、植物性の食材から取っただしのみを使います。
なぜ、牛乳や卵までも口にしないのかといえば、その理由のひとつは
それらが肉食と同様に家畜に苦痛を強いているという考えからです。
例えば、卵を見てみます。
卵を産ませることを目的に飼育される採卵鶏用の卵を孵化させたら当然、
そのうちの約半分はオスのヒヨコが生まれます。
しかしオスのヒヨコは卵を産まないから不良品とされ、
生まれてすぐにシュレッダーなどで殺処分されてしまいます。
では、メスのヒヨコはどうでしょう。
日本で、採卵鶏の大半はケージ(飼育用のカゴ)で飼育されています。
小さく区切られた狭いケージの中で一生を過ごし、卵を産まなくなったら廃鶏と呼ばれ、
こちらもゴミのように殺処分されてしまいます。
そのような実態を踏まえて、動物に優しい暮らし方の実践に重きを置くヴィーガンは、
ニワトリの犠牲の上で、半ば工場的に生産されている卵を口にしないのです。
食材になる動物たちの生命を尊重して肉や魚、それに加えて卵や牛乳まで口にしないのは、
ある意味でストイックさが求められますし、食事の栄養面でも工夫が必要です。
しかし、ヴィーガンは動物だけでなく地球環境への配慮、そして健康の実現を目指すという
自らのライフスタイルに誇りを持って、実践しているのです。
台湾人総人口の10%はベジタリアン
日本語で「素食」というと「粗末な食事」という意味で使われることが大半ですが、
台湾で「素食」といえば、ベジタリアンまたはベジタリアン料理を意味します。
台湾には現在、健康志向やポリシー、宗教上の理由などによって菜食を実践している人が
総人口の10%ほどいると言われ、アジア地域ではインドに次ぐ多さだそうです。
若者とそれ以外で異なる、台湾人が「肉を食べない」理由
なぜ、台湾には肉を食べない素食を実践する人が多いのでしょうか?
社団法人台湾動物社会研究会(EAST)の執行長・朱さんによれば、
「中高年者では、仏教・道教・一貫道など(殺生を禁じる)宗教の影響が大きい。
若者では環境保護・動物愛護の理念を踏まえ、健康志向もあり、菜食を選ぶ傾向がある」
といいます。
東京の渋谷のように若者でにぎわう台湾の首都・台北市の西門(シーメン)エリアでは、
ヴィーガンを勧める市民団体「Vegan 30」がデモンストレーションをしており、
多くの若者の興味を引いているとのこと。
こうした中で、台北市での素食レストランビジネスは好調だといい、
善果餐飲グループ(GOOD DEEDS)が運営する「上善豆家」「禪風茶樓」「十膳麺堂」「善菓屋」の
4店が特に有名です。
言われなければ素食とは気づかないほど色どりや見栄えが良く、味わいも素晴らしい料理を楽しめます。
その他にも、「好きな俳優やアイドルが素食なので、それに憧れてベジタリアンになる」、
「健康上の理由からベジタリアンを選ぶ」、
「学業や仕事での目標達成を目指し、期間限定で(願かけのように)ベジタリアン食を実践する」
などの理由があり、最近肉を食べ過ぎたら今日だけは或いは週末だけはベジタリアン食を選ぶ
“今日だけ素食”、“週末だけ素食”というケースもあるようです。
動物性タンパク質のほか、特定の野菜も食べない
通常、台湾素食では肉、魚、卵に加えて乳製品も使用しません。また宗教上のしきたりに従って、「五葷」(ウーフン)と呼ばれる、
ネギ、ニラ、ニンニク、ラッキョウ、タマネギという5種類の野菜を使わない素食もあります。
ベジタリアンが浸透している、台湾の食文化
そういった台湾の素食をさっぱりとした味わいなのかと思われる方もいらっしゃるしれませんが、食文化が豊かな台湾らしく、豆腐、おから、お麩などを活用して肉や魚に似せて使ったり、
ボリューム満点、バリエーションも豊富で、ベジタリアン食とは思えないほど食べごたえのある料理も珍しくありません。
驚くほどの発展している、台湾の菜食レストラン
そのような背景から、台湾にはベジタリアン料理のレストランが多く存在し、料理のレパートリーも豊富です。
素食料理専門の食べ放題レストランまであります。
また、一般のレストランでも「全素」(チェンスー/動物性食品不使用)と呼ばれる、
ベジタリアン用メニューが用意されているところもあります。
お肉や魚が食べたい人も、ベジタリアンの人も一緒に食事を楽しめる環境が整っており、
台湾のベジタリアン文化の浸透度がよくわかります。
台湾では日本料理が人気で、回転寿司のレストランも多数ありますが、
肉・魚をいっさい使わない素食の回転寿司店もあって、
マグロ、トロ、サーモン、イカなどをすべてこんにゃくなどで作った寿司を提供しています。
そのため最近では、旅行客の間でも台湾の素食は注目を集め、トライしたいという人が増えてきています。
スーパーマーケット大型チェーンもヴィーガン食(菜食)に対応
仏教団体で、有機農業・植樹・プラスチック不使用・植物由来飲食を目指す財団法人「慈心有機農業発展基金会」が運営するスーパーマーケット「里仁」は台湾全土で店舗を展開し、ヴィーガン(菜食)向けの食材もそろいます。
全133店舗のうちで最大という台北市内の店舗には生鮮食料品に加え、レトルト食品、冷凍食品、
さらには家庭用雑貨や書籍までそろいますが、目立ったのが肉もどき(代用肉)の豊富さ。
例えば、チャーシューなども肉の部分と脂の部分がうまくできていて、言われなければ代用肉とは気づかないかもしれないほど。
これを使って料理をすれば、菜食主義の人もそうでない人も、
さらに、菜食ではあるものの肉のような味わいの食材を求める人でも誰もが満足出来る出来ることでしょう。
菜食が地球環境保護に貢献するといわれる訳
先ほど、「台湾の若者が素食を選ぶ理由のひとつに『環境保護』がある」と書きましたが、
これについてもう少し詳しく説明します。
現在、世界各国は足並みを揃えて、持続可能な社会に向けた取り組みを進めています。
地球温暖化対策が喫緊の国際的課題である中、人口増大が進む発展途上国が豊かになり、
先進国並みに肉の消費を行うと水不足、環境汚染などが甚大となり、地球環境が深刻な状況に陥ることが指摘されています。
例えば、鶏肉1キロを生産するためには、(餌用の)穀物が3キロ必要です。
豚肉1キロを生産するには7キロ、牛肉に至っては1キロに対し11キロの穀物が必要と言われています。
穀物の生産にはそもそも水が必要ですし、もし国外から穀物を輸入しようと考えれば、
輸送用に化石燃料を輸送などのエネルギーとして使用することになるため、
「肉食は持続可能性が低い食材」という考え方があります。
また、発展途上国の中には肉どころか穀物さえ満足に摂取できない子どもが大勢いるなかで、
先進国では穀物を家畜に与えて肉や卵、牛乳を得ていることが貧困問題を深化させているとの指摘さえあるのです。
「菜食」は私たち自身を守るための、選択肢のひとつ
台湾ほどではありませんが、日本でも最近は、菜食向けのレストランが増加したり、
大手企業が菜食対応の食品を提供したりと、菜食の文化はどんどん広がりを見せています。
台湾素食のような光景が近い将来の日本でも見られる用になるかもしれませんね。
地球環境が悪化の一途を辿りつつあり、まったなしの状況にあることは確実です。
この問題の解決策のひとつとして、「菜食」というチョイスがあることは
知っておいて損はないでしょう。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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